壮年ランボーとシェパードの散歩

壮年ランボーとシェパード出現前のマジヌー・カー・ティーラーの街角

マジヌー・カー・ティーラーで、野犬がどんどん集まってきて、盛んに吠えたてる。危ない予感がして、すぐさま近くの露店の軒先に入る。

何があったかと思って目をやると、大きなシェパードが、飼い主かその使用人かよくわからないが、壮年男性と歩いてくるところであった。目の前で、沢山の犬たちが吠えているので、さすがに大型犬も怖じけて、男性の背後に隠れてしまっている。

壮年男性のほうは落ち着いたもので、すぐそばまで接近してくる犬があれば、容赦なくバットくらいの長さと太さのコンボウを振り下ろし、強烈な打撃を与えて道切り開いていく。ランボーみたいで、こちらはなんだか壮観だ。

野犬のバリケードを突破すると、男性はシェパードを自分の前方を歩かせて、背後からの攻撃者(野犬)たちから守っている。なかなかご立派!

ブン殴られた仲間が悲鳴を上げると多少距離を空ける野犬たちもしつこく、彼らのエリア?を抜けてしまうまで、絶え間無く吠えたり、幾度も攻撃を試みたりする。やはりこいつらも狼の子孫だ。

たかが飼い犬の散歩が、激しいコンバットみたいなことになっているが、勇ましい飼い主に連れられて、心臓を縮み上がらせながら毎日散歩する(たぶん・・・)シェパード君は、本当は外出しないで、お家でヌクヌクとしていたいのかもしれない。

追撃をふりほどいたと思ったら、向こうの辻にも犬集団が集まってきた。シェパードを連れた壮年ランボーのバトル、第2ラウンドが始まる。(笑)

National Geographic 11月号

Facebookである方が書き込まれたことから知ったのだが、National Geographic11月号の特集はSorrow on the Mountainと題して、今年4月にエベレストで発生した大規模な雪崩による「エベレスト史上最悪の日」とされる歴史的な事故が取り上げられている。

地元ネパールで登山に関わる人たちの仕事と暮らし、事故の顛末と遭難した人々やその周囲の動き、山をめぐる経済効果や労働問題、事故の後に持ち上がった政治的な動き等々が各種メディアを通じて報じられてきたが、それらを俯瞰する形で読んでみると、この事故が起きる前から、その背後にあった社会問題が浮き彫りにされているように思う。もちろん、それらは現地で登山関係の仕事に従事している人々にとっては、周知の事実に過ぎないのかものであったとしても。

そこに登山の仕事がある限り、そこでの稼ぎを求めて行かなくてはならない男たちがいる。名峰を征服する登山隊の華々しい活躍は彼らの支えがあってこそのものであり、登山活動がそこにある限り、こうした男たちやその周辺の産業で働く人々にも恩恵が及ぶことになる。また、登山料等の収入は、国家に対しても貴重な財源となり、300万ドルもの収入を与えることになるなど、経済的な効果は計り知れない。

それほど重要な産業なのだが、これを支える最前線の現場、つまり登山の仕事でほとんどの補償もない状態で、命の危険を冒して働く人々に依存している現状。だが、その仕事による収入を必要としている男たちや彼らが養う家族があり、登山者たちもそうした彼らを必要としているというジレンマ。労働条件の改善は必要であるとはいえ、そこにマオイストたちがツケ入る隙間も大きなものであるわけで、これが政治絡みの騒動へと繋がる。とりわけこの国の「基幹産業」のひとつともなれば、なおさらのことだ。

上記に示したリンク先でも記事内容のあらましは判るとはいえ、ぜひ印刷された今月号を手に取っていただければ幸いだ。記事内にいくつも散りばめられて、文章同様に、あるいはそれ以上に多くを語りかけてくる写真とその解説を読みながら、この問題についていろいろ考えさせられるものがある。

最高峰への挑戦

世界最高峰エヴェレストの標高といえば、8,848mであると思っていたが、長きに渡りネパールと中国の間で論争が続いていたようだ。『頂上』についての定義の違いによるものであり、前者は文字通り一番高くなっている部分、雪や氷に包まれた頂がそれであり、後者によれば氷雪の下にある岩石部分こそがエヴェレストの頂であるというもの。
8848mとは、前者の主張に沿うものであり、中国側の言い分ではそれよりも4mほど低くなるらしい。だがこのほど中国はネパールによる『8848m説』を受け入れたことにより、この論争に終止符を打ったのだという。
Official height for Everest set (BBC NEWS South Asia)
だが上記BBCの記事の最後にあるように、US National Geographic Societyの計測によれば、8,850mであるとのことで、まだ『標高8,848m』異論を唱える人たちはいるようだ。
ところで、エヴェレストといえば、言うまでもなく世界最高峰であるがゆえに、ベースキャンプからの最短時間登頂、最多登頂回数、最高齢登頂等々、数々の記録が話題になる山である。
偉大な記録の樹立は、人々の大きな喝采と祝福とともにメディアを飾ることになるが、まさに記録とは破られるためにあるという言葉のとおり、更に上を行く人物が出てきて世間を驚かせてくれるものだ。
こうしている今、新たな記録樹立を狙いネパール入りしているアメリカ人の少年がいる。彼、ジョーダン・ロメロが目指しているのは最年少登頂記録だ。1996年7月12日生まれの13歳である。
American boy, 13, to attempt Mount Everest climb (ABC News)
もちろん彼は素人などではなく、近年タンザニアのキリマンジャロ、アルゼンチンのアコンカグア、アラスカのマッキンレーその他の高峰を制してきたキャリアを持つ、極めて早熟なクライマーである。

これまで最年少記録といえば、2001年5月に16歳17日で頂上を極めたネパールのシェルパ族のテンバ・ツェリ。それを大幅に下回る年齢での登頂が成功したとしても、後にその記録を塗り替える例はなかなか出てきそうにない。
登山家としてはあまりに低年齢すぎる子供にこうしたチャレンジをさせることについて、医学面ではもちろんのこと、倫理的に問題であると捉える意見も多い。
私自身、ジョーダンよりもいくばくか年下の息子を持つ親としては、登頂の成否云々よりも、彼が無事に帰還することを切に願いたい。
同時期に、インドからは16歳の少年アルン・ヴァジペィーが同じくエヴェレスト山頂を目指しており、こちらもメディアで話題になっているところだ。
Not eyeing records, says youngest Everest challenger (The Hindu)
ちなみに女性でエヴェレスト登頂最年少記録を保持しているのはインド人。ヒマーチャル・プラデーシュのマナーリー近郊の村に暮らすディッキー・ドルマが1993年5月に19歳35日で登頂に成功している。

異星の生き物

1898年発表の古典SF小説の名作、THE WAR OF THE WORLDSで、著者であるイギリス人作家H.G. ウェルズは火星人による地球侵略を描いた。秀逸な作品であるがゆえに、映画が一般化する前のアメリカでラジオドラマになったり、幾度か映画化されたりしている。
それらの中で最近のものといえば、スピルバーグ監督による2005年のWar of the Worlds (邦題『宇宙戦争』)である。

この作品を観たとき、子供の頃にUFOや宇宙人の話を本で読み、広い空のどこかで奇妙な動きをする物体を見つけることができないものかと目を凝らしてみたり、宇宙人と出会った夢などを見たりしたことなどを思い出した。映画の中の宇宙人たちは、子供心に描いていた平和で友好的なものではなく、地球への侵略者たちであったが。

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エベレストはシーズン真っ只中

北京オリンピックの聖火リレーの関係でしばらく中断していたエベレスト登山だが、先週から今週にかけて記録ラッシュが続いているようだ。
5月22日には、なんと86名もの登山者が頂上に立った。一日の最大登頂者新記録とのことである。またその日に、ネパールを代表する登山家かつ山岳ガイドであるとともに、世界最高のクライマーに数えられているアッパー・シェルパ氏が自己の世界記録17回を更新する18回目の登頂を無酸素で成功している。
つづいて5月25日には、77歳の誕生日を目前に控えたミン・バハードゥル・シェールチャン氏が登頂者最高齢記録を樹立。2003年に70歳でエベレスト山頂に立ち、当時の登頂最高齢世界記録を樹立した(その後2007年に柳沢勝輔氏がこの記録を71歳で更新) 三浦雄一郎氏がほぼ同じタイミングで頂上を狙っていたものの、一日遅れで本日5月26日に登頂。残念ながら最高齢記録を手にすることはできなかったが、シェールチャン氏に続く堂々2位である。
プロスキーヤーそして登山家として知られてきた三浦雄一郎氏は、私立学校の校長先生でもあり、生徒たちへの教育的効果もさぞ高いのではないかと思われる。やはり教師や親たち自身が熱いハートを抱いていなければ、どうしてその生徒や子供たちが将来への夢を描けるだろうか。
それにしても、なんだか今年のエベレストは当たり年らしい。今シーズン一杯ヒマラヤから聞こえてくるニュースに耳を傾けていたいと思う。
Nepali grandpa becomes oldest person to scale Mt Everest (Nepalnews.com)
三浦さんエベレスト登頂「涙が出るほど辛くてうれしい」 (asahi.com)