機能美

自転車ベースのサイクルリクシャーやその発展形であるスクーター(中にはバイクも)がベースのオートリクシャーは伝播した地域で相当広いバリエーションがある。

それに較べると、かつて香港やマレー半島のなどにも広がった人力車については、江戸東京博物館で展示されているもの、復元されて鎌倉などの観光地で走っているものと、ほとんど形は変わらない。

全体のフォルム、棹部分の長さ、車輪の径、座席や天幕の形状いずれをとっても、日本で開発されたオリジナルの人力車の完成度が高かったためかもしれない。(「だから日本は凄い」なんて言うつもりはない。最初に横浜で人夫を雇ってこの商売を始めさせたのは華人の商売人だったという説もある。)

人力車の営業が広まった地域の中で、ただひとつ今でも現役で走っているコールカーター。ずいぶん昔から新規登録はなされず、「遠からず消える」と聞いていたのに、21世紀に入ってもこれが続いてしまったどころか、この世紀もすでに五分の一を終えようとしているので、まだしばらくは街の景色の一部であり続けるのだろう。

スワンナプーム空港近くの宿

翌日のフライトが早朝のため、チェックインは夜明けよりもかなり前となる。
そのためスワンナプーム空港近くのラートクラバーン地区にあり、ターミナルビル入口までのトランスファーが付いている宿に宿泊することにした。
このエリアにあるホテルは、どこも宿の造りや部屋の造作もとてもよく似ている。これまでいくつも異なる宿を利用したが、あまり区別が付かない。
2006年9月に開港してから、雨後のタケノコのように次々にこうした宿がオープンしたのだが、デベロッパーたちが、地権者たちに「儲かりまっせ」と売り込みをかけた結果、どれも同じようなものとなった、というような背景もあるのだろう。
カオサンやスクムヴィットのような「ホテル密集地域」といった具合ではなく、広大なエリアに、そうした施設がポツポツと点在している。昔であれば、それこそ有名なガイドブックにでも掲載されなければ、旅行者たちに知られることもなく、たちまち経営難に陥ったはずだ。
ちょうど旅行予約サイト隆盛の時代を迎えてからであったので、売り込む側にはそうしたセールストークもあっただろうし、地権者側としても納得のいくものであったのかもしれない。
実際のところ、あまり大繁盛というような状況ではないどころか、混雑している様子を目にしたことがない。市内の宿と異なり、あくまでも早朝・深夜の乗り継ぎ用宿であるがゆえに、連泊する人はほとんどいないため、経営は厳しいものと思われる。
昔からあるドンムアン空港界隈では、ネット出現以前から大小の宿泊施設がターミナルビルからの徒歩圏に集中しているのとは対照的で、スワンナプーム空港の場合は宿泊費が大変高額なNovotel Bangkok Svarnabhumi Airportか、ターミナル内にあるカプセルホテル(これまたカプセルホテルとしてはずいぶん高い)以外は、空港からクルマで移動する距離にある。ラートクラバーン地区にある飛行機乗り継ぎ用のいわゆる「トランジット・ホテル」の多くは「空港からの無料送迎付き」であることからも、スワンナプーム空港近くの宿が過当競争にあることが窺える。

ダーダルのパールスィーコロニー

初めて訪れたが別天地のようだった。清潔で良く整備された公園、パールスィーと思しき表札や屋号を掲げた屋敷やマンション。裕福な空間である。美しい豪邸が建ち並び、ここにあるゾロアスター教寺院も見るからに立派だ。平日の昼間なのに働き盛りと思われる男性の参拝客も少なくないようだ。
特にみるべきものはないのだが、Five Gardensという5つの公園があるエリアを中心に高級住宅地が広がっている。
ゴミひとつ見当たらないキレイな通りが印象的だ。
街路樹は伸び放題になっているかのように見えるかもしれないが、強い日差しを避ける目的があるため、日本における「街路樹かくあるべし」という基準のようなものとは違った存在目的がある。











アギャーリー(ゾロアスター教寺院)の名前がそのまま地名になっている。

ゾロアスター教寺院

ダマン4 海岸

ナーニー・ダマンの市街地からしばらく北上したところにあるデーヴカー・ビーチ。日本風の松林の中にヤシの木が混じるエキゾ空間。ここは岩場が多いが松の木が生えているエリアと浜の間くらいに海の家みたいなのがいくつもあり、みんなそこで飲んでいる。ほとんど男性客ばかりだ。たいていラムやウイスキーなど、安価に酔える酒をあおっているため、もう昼近くになると、大声で騒いだり、へべれけでフラフラしながら小便に立つ男性たちの姿が見苦しい。平日でこうなのだから、週末はどんなことになっているのかと思うと情けない。酒はスマートに飲もう。

あまり雰囲気が良くなかったので、ダマンの海岸に戻ることにした。昔の記憶では、ボロボロの穴が開いたようなシャツを着ていかにも貧しげな男たちばかりだったオート運転手の中にも、一見ちょっとしたいいとこのボンボンみたいに見えなくもない身なりと風貌の男の子が、たまーにいたりする近年。特に都会ではそういうのは珍しくはない。それだけ豊かになりつつあるということなのだろう。
ダマンでは、ご覧のとおりの逆三角のボディービルダー運転手がいた。見た目の筋肉に時間とお金を投資する余裕があるわけだ。庶民の可処分所得の変遷を比較(どういうモノサシで測ればよいのかわからないが)すると、なかなかおもしろいことになりそうだ。

お客が来ないのでフテ寝しているタトゥー屋。浜にはこういうのが多い。ひどく不衛生そうだし、病気がうつりそうだ。近ごろインドでも若い人たちで入れ墨しているのが増えてるけど、まったく感心しない。入れたら10年後どころか1週間後にでも覆いに後悔しそうなデザインサンプルを掲げている店もある。

タトゥー屋

湖かと思うほど穏やかな水面のダマンの海岸。アラビア海に沈む夕陽が大変美しい海岸だ。浜から長く沖に突き出している砂洲があるのだが、潮が引くと仰天するほど遠くまでそれが伸びる。更にはそこから先もずいぶん遠浅なので、かなり遠くまで出た人がくるぶしまでしか水に浸っていなかったりする。満潮の際の水面からすると、潮流は強そうで海水浴には向かない感じであるが。砂は黒く、粒が小さな石のような感じの浜で、昼間はまったくパッとしない。水も茶色で見映えするようなことはないとはいえ、夕陽の時間帯となるとこれが絶景となるのだ。インド人はカナヅチが大半なので、海で遊んでいる人たちは大勢いても、泳いでいる姿はみかけない。

ダマンのビーチに面した素晴らしいロケーションを占めるサーキットハウス。つまり役人用の宿泊施設。

夕暮れ時のダマンの眺めは最高だったが、とても残念なことがひとつ。

ビール瓶の破片が散乱しており、散歩していてもそこここで飲んでいる人たちが平気で瓶を放置していくし、立ち去り際にわざわざガチャンガチャン割っていくグループもあった。飲み終えてから海に投げる奴もいた。

酒税の低さで、飲酒がダマン観光の主要な魅力のひとつになっているだが、その結果としてのこうしたゴミの散乱は、目に余るものがある。

浜を歩くと足元でガラス破片がギシギシ、バリバリ鳴る。とても裸足で歩いたり、寝そべったりして日光浴などという環境ではない。サンダル履きで歩くのさえ危険なくらいだ。

野犬と治安

安全性、治安の良さの指標のひとつとして、野犬の不在という点も加味して良いかと思う。
深夜や早朝、そして自らの生活圏外のエリアの小路、田舎の村落などを歩いても、野犬たちに取り囲まれたり襲撃されたりするリスクが無いことへの安心感は高い。
インドでは、ムンバイのような大都会のオフィス街でさえも、界隈の会社などが閉まっている休日ともなると、人気の少ない真っ昼間に犬集団に囲まれ、締め切られた商店の扉を背にして応戦(背後を取られると危ないので)しなくてはならないような事態がある。あるいは夜間早朝の野犬リスクを避けるため、宿泊先を決める際に細い小路をどんどん進んだ奥にある宿よりも、通りに面した宿を志向する必要があったりする場合もある。そんなことから、日本において野犬がいないことからくる安心感はとても大きい。
徘徊する犬たちの存在は、それ自体が治安に関わるものだと私は考えている。

世界一安全な都市は東京、大阪は3位 19年版ランキング(CNN)