非居住の外国人でも使えるUPI Payment Interface (Unified Payments Interface) ②

インドで非居住の外国人でも使える「Cheq」についていくつかわかったことがある。・

・送金事業を営む「TRANSCORP」が運営しているサービス。
・Cheqアプリは、登録したパスポートの有効期間内 ずっと有効。その間にヴィザ切れの場合は新たにヴィザの写しが求められる。
・初期費用として999Rsの支払が必要。外国発行のクレジットカードでの支払い。
・外国発行のクレジットカードで「Cheq」の残高をチャージすることができる。その際に手数料として2.5%が差し引かれる。
・ アプリが有効な限り 残高も有効。
・端末交換する場合、 アプリが有効である限り 新しい端末に移すことができる。
・ パスポートが 有効期限を迎えると このアプリの有効期限も終了となるが、 残高については、チャージする際に利用したクレジットカードに返金してくれる。
・日本の携帯番号でアプリ の ヴェリフィケーションをした後、 Cheqのオフィスに出向いて 「イン・パーソン ・ヴェリフィケーション」というのが必要になる。これについては、滞在先のホテルまで来てもらって実施することも可能。
・日曜日はイン・パーソン・ヴェリフィケーションは実施できない。

アプリのインストール後、自分の日本の携帯電話番号のヴェリフィケーションは簡単に済んだものの、支払った初期費用が先方で確認できなかったり、TRANSCORPのオフィスでの「イン・パーソン・ヴェリフィケーション」に手間取ったりと、なかなかうまくいかなかったものの、幾度にも渡るWhatsAppでのやりとりの結果、無事に手続きが完了し、残高をチャージすることもできた。

このアプリの使い勝手については次回改めて紹介することにする。

【続く】

非居住の外国人でも使えるUPI Payment Interface (Unified Payments Interface) ①

インドの中央銀行(Reserve Bank of India)の監督下にあるNational Payments Corporation of IndiaによるUPI Payment Interface

日本で言うところのいわゆるスマートフォン決済アプリだが、日本のそれと異なるのは、個々が利用している異なる決済アプリからUPI(Unified Payments Interface)を通しての支払いとなるため、日本のように支払対象となる店が「PayPayには対応しているがLINE Payは不可」とか、「楽天ペイとLINE Payのみ」などということはない。消費者の立場からすると、インドのシステムのほうが日本よりもはるかに便利で進んでいるように思える。

ただし、非居住者の外国人はこれを利用することはできず、日本のように「コンビニで現金でチャージすることができる」みたいなザルのような扱いはない(そのあたりの日本の緩さは「マネーロンダリングの温床となる」等々で、海外から批判がある)ため、旅行者の立場では利用することができない。

ネット上では、Paytmに対して一部のデビットカードでチャージできたとか、アメックスのクレジットカードでもできたというような話は散見されるのだが、基本的にはインド国外発行のカードは対象外と聞く。私自身もそうしたインド国外発行のカードが使用できた経験はない。

しかしながら最近、「Cheq」というインドで非居住用の決済アプリができたとのこと。初期費用で999Rsもかかるとか、アプリのアクティベートのためにオフィスに行かなくてはならないとか面倒な部分もある。

【続く】

PDR MALL

宿泊先近くにPDR MALLというささやかなモールがある。ごく小規模なものではあるものの最上階には映画館が。バナーラスのような伝統的な街のゴチャゴチャした旧市街にこのようなものがあるのは不思議な気がする。

ここのファーストフロアーにはSpencer’sのスーパーマーケットが入っている。英領時代のマドラスでインド亜大陸最初のデパートを開店したスペンサー商会をルーツとするもので、モールその他手広く主に南インドで展開している。

ワーラーナスィーの路地裏

バナーラス(ワーラーナスィー)旧市街の路地裏を「庶民の町」と侮ってはいけない。この街で巨万の富を築いた豪商もいたので、ところどころに大きなハヴェーリー(お屋敷)を見かける。

こちらもそんなハヴェーリーのひとつ「ダース家の屋敷」のようだ。ボロボロになっているが、門構えからしてただ者ではないことがひと目でわかる。「オーシディャーライ」つまり診療所と書かれているので、アーユルヴェーダのクリニックだろうか。

ちょうど中から初老の女性が出てきたので、「素晴らしいお屋敷ですね」と声をかけると、奥に家の主人がいるからどうぞと言われたので入ってみる。女性はここの人ではなかったようだ。

奥の階段手前で靴を脱いで上がってみると、外の荒れ果てた眺めとはまったく異なる華麗な空間となっていることにたじろぐ。ちょうど屋敷の修復中で、ようやく完了手前といったところらしい。コロナ禍前までは身内の15家族が暮らしていたとのことだが、現在はひと家族だけがここに住んでいるそうだ。

聞けば、この家はやはり医薬品の取り引き(アーユルヴェーダ医薬)で財を成したとのことで、その流れで今は屋敷の一角で診療をしているとのこと。

細い路地裏に面した高い壁の向こうに、こんな豊かな空間が隠れていたりするのがバナーラス旧市街のすごいところで、奥行きの深さを感じるとともに、あのような豪邸に暮らす主が、現在は自宅の一角で細々と続けるアーユルヴェーダの診療を生業としているというのも信じられなかった。はなはだ失礼かとは思うが、「没落貴族」という言葉が頭に浮かんだ。(貴族ではなく商人だけれども)

それにしてもその屋敷をあんなに綺麗に修復しているとは・・・。

拝見させていただきながら重ね重ね失礼ながらもそんなこんなを思ったのであった。

訪問したのは、ちょうどサーワンの時期だったため、「シヴァの街」バナーラスでは、主要なガートから目抜き通り、そしてシヴァ関連の大きな寺院界隈では、サフラン色の衣類で全身を固めたカンワリヤーの連中でいっぱい。大声で「Bol bol, Bam bam(唱えよ、シヴァの名を)」その他の掛け声がこだまして煩く、とても汗臭い。だがほとんどは拡張から来たよそ者たちなので、路地に入ると騒々しい彼らの姿はなく、落ち着いた街歩きが楽しめる。

とかくガンガー沿いの寺院が多い界隈は一時滞在者が非常に多いため、小路を入った先の地元の人たちの空間とのギャップの大きさに戸惑う。

ヴァンデー・バーラト・エクスプレス(2)

車両出入口ドア上には現在の時速が常に表示されている。

この日乗車したのは、ニューデリーから。2019年2月に始まったヴァンデー・バーラト・エクスプレスの一番最初の路線である。終点のワーラーナスィーまで乗車。ちょうど8時間の行程。ワーラーナスィーまでわずか4駅。速度を下げることなく、ほぼ時速120km台で粛々と進んでいく。路線上のあらゆる列車に対して最優先のプライオリティを与えられて運行しているため大変スムースな運行。窓は遮光ガラスにはなっておらず、必要があれシェードを下ろすようになっているのかありがたい。

大きな窓からの眺めが心地よい。

途中駅のカーンプル・セントラルに到着。鉄道用地は大きな余白をもって確保してあるため、インドに限らず主要駅周辺では不法に住み着いている人たちが多く、スラムを形成している。

鉄道用地内スラム
カーンプル・セントラル駅

当然、電気や水も必要となるため、鉄道施設内の水道施設から汲んできたり、関連施設から電気を勝手に引っ張り込んだりしている。

インドでは今も給電状況が逼迫している地域やよく停電する地域もあるが、官庁街、軍施設などと並んで鉄道施設は最優先で電気が確保されているため、安定的な給電が期待できる・・・というより、停電はまずありえない。

そんなこともあり、そうしたスラムでは仮の掘っ立て小屋状態から粗末なレンガ積み、そしてしっかりとしたレンガ造家屋へと移行していく例が多い。そのため、ときには不法占拠された地域とは思えないほどの発展ぶりを見せることも珍しくない。

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ヴァンデー・バーラトのデリー→ワーラーナスィーの車両編成。14両がCCクラス(Chair Car)で、2両はEC(Executive Chair Car)クラス。私が利用しているのは前者で運賃は1840RS。後者は倍近い3500Rsくらい。

CCで充分以上に快適だし、ECだとちょうど飛行機の料金くらいになるので、それなら飛んでしまったほうが良いくらい。ヴァンデー・バーラトに限らず、客席の等級がたくさんあるインドでは、クラスがひとつ違うごとに料金は倍になる。快適さの違いもあるが、同乗者自身の階層(経済水準)の選択という部分もある。

通常のエクスプレスのように機関車に牽引されるのではなく全車両駆動で、車体もアルミ合金主体で軽量であるため、加速も迅速なヴァンデー・バーラト・エクスプレスだ。

車内では、チケット代金に込みの軽食や食事が提供されるが、それ以外に車内販売もある。時折車内を巡回販売する係の人に「アイスクリームを」と言ったら出てきたのがこれ。大手会社が「マトカー・クルフィー」として製造販売している製品。

マトカー・クルフィー

近年は「マトカー・ビリヤーニー」「マトカー・ラッスィー」などよく見かけるが、この手のものが大変流行している。マトカーと言っても素焼きではなく釉薬をかけて焼いてあるので、そのまま持ち帰っても使えそう・・・というか、捨てるのはもったいない気がしてならない。

このヴァンデー・バーラト・エクスプレスは、来年1月には初の寝台サービスも開始される。その最初の路線となるのがデリー・スリナガル間だ。デリーを午後7時に出発してスリナガルには翌朝午前8時に到着するというもの。800kmを13時間で結ぶサービスとなる。