デリー・ワーラーナスィー新幹線

デリー・ムンバイだけではなく、新たに浮上してきた新幹線路線案。経済的には重要度が高くないワーラーナスィー終点という不思議なもの。アーヨーディヤーも経由するなど、「政治のための路線」という感じがする。

グジャラート州出身のモーディーだが、現在の選挙区はまさにU.P.州ワーラーナスィーとなっており、我田引水といった感じだ。おそらくさらなるフェーズではコールカーター延伸をチラつかせ、次の西ベンガル州議会選挙でこれで票を釣ろうという思惑か。

それにしてもデリーからアーヨーディヤーまでわずか2時間、デリーからワーラーナスィーまでたったの4時間とは恐れ入る。

本当に実現するのか、実現したら本当に完成するのはいつになるのだろうか。

Bullet train from Delhi fast-tracked as Ayodhya aims spot on world tourism map (INDIA TODAY)

インドの駅舎

インド鉄道旅行の楽しみのひとつには、植民地時代から存在している歴史的な鉄道駅舎を楽しむこともある。

ムンバイCST、ハウラー、オールドデリー駅のような壮大な英国植民地鉄道建築は言うまでもなく、ハリヤーナー州の旧パティヤーラー藩王国には当時の藩営路線部分であっただけに、駅舎は個性的なデザインが施されたものであるし、同様にラージャスターン州、グジャラート州にも藩営路線があったため、かつての藩王家専用のプラットフォームであったところが残っていたり、バス路線による輸送に押されて、独立後にあまり発展を見せなかった路線では、「ガーンディーの塩の行進の時代もかくや?」と思われるような非常に古めかしい駅舎のままで残っていたりもする。同様に、地元の建築様式を反映させた駅舎も南インドなどで多く、長い汽車旅でプラットフォームに降りたそのときから「異国感」を感じることも少なくない。

そんなわけで、まるで国内線飛行機に乗るがごとく、出発の2時間くらい前には到着して、駅舎内を眺めて回ったり、用事もないのに列車のタイミングを尋ねるふりをしながら、駅長室その他を「ああ、ちょっとすみません」と覗いてみたりするのである。古くからある駅では乗客の待合室天井にパンカー(ファン。電化される前の植民地インドでは、天井から吊るされた板状のファンをサーバントが紐で振って風を送っていた。王家などでの様子として、時代ものの映画などで見られるシーン)があるなど、古い時代の痕跡がいろいろ見られるものだ。

もちろんインドの人たちは、そんなものに興味関心があるわけではなく、古色蒼然とした鉄道駅が好きなわけでもなく、今どきのインドで改築されたり新築されたりする駅は、そのような感じの建物ではなく、レンガとコンクリの無味乾燥な建物となるわけだが、このところはかなり豪華なものも造られるようだ。

ロークサバー(下院)での選挙区はバナーラスに移したものの、やはりモーディー首相お膝元のグジャラート州。州都ガーンディーナガルの新駅舎は、一昨日モーディー自身により開業式が行われたところなのだが、駅の上に300室を持つ五つ星ホテルが入るなど、複合施設を持つ大きな駅。プラットフォームを覆うドーム状の屋根は「コラムレス」つまり柱を持たず屋根そのものが支える構造だとか。

このような豪華な駅は例外的であるにしても、各地で駅舎がどんどん建て替わっているこの時代、「インド魅惑の鉄道駅~英領のヘリテージ~」みたいな写真集がどこかから出ないと、個人所蔵の写真以外にその姿を残すとなく、この世から消え去ってしまうことだろう。

夜遅く着いたときの宿

こんな思いをしたことのある人は少なくないだろう。

路地裏にあるホテル、夜遅い時間帯に戻ろうとすると、行く手を阻む野犬集団。通りかかる人があれば、テキトーにくっついてやり過ごしたいところだが、あいにく誰もやってくることなく時間が過ぎていく。

そんなこともあるので、あまり路地裏深くにある宿はなるべく利用しないようにしている。できれば表通りにあればなお良い。クルマの騒音だの街のざわめきなどというのはまったく気にならないほうだ。普段生活している環境がいつも騒々しいからということもある。

遅い時間帯に鉄道やバスで到着した場合、駅やバススタンドすぐ近くのエリアの宿が取れるといいのだが、これらがひどく街外れに立地していることだってあるので、いつもそうとは限らない。

ちょっとした大きさの鉄道駅の場合、「リタイアリングルーム」が利用できるとたいへんラッキー。今は空きがあればネット予約することも出来るため、鉄道に乗って目的地の宿をまだ決めていなかったら、ウェブで確認してみると良いかもしれない。最大48時間しか滞在できないとはいえ、鉄道好きな人にとっては「駅に宿泊」というのもなかなか良いものだし、深夜あたりになって到着してクタクタの身にはとても助かる。

BOOK INDIAN RAILWAY RETIRING ROOM ONLINE (IRCTC)

鈍行列車でカルナーへ

ムルシダーバードからベルハムプル方面に戻り、橋を渡った対岸から少し進んだところにあるカグラーガート・ロード(Khagraghat Road)駅に到着。果たして列車に間に合うかどうか、ギリギリのタイミンクであったが、運行が大幅に遅れているとのことで、2時間近く待つこととなった。

ここから各駅停車に乗車して、カトワー・ジャンクション(Katwa Junction)駅で乗り換えると、アンビカー・カルナー(Ambika Kalna)駅に行けるらしい。

やはりインドの汽車旅の醍醐味は鈍行列車。日に何本かしか停車しないローカル駅。駅前といっても畑しかない景色を見ながらのんびり過ごすのが良い。

車中の人々の入れ替わりも盛んで(長距離移動するならば急行を使うので)、気分も変わって良い。顔ぶれが変わるため、さきほどと同じ質問に再び答えなくてはならないが。

ゆっくりと列車が動き始める。さほど速度を上げることなく、ノロノロと進んで行く。ほどなく次の駅に停車すると、また人々は降りていく。これが夜行の鈍行列車であれば大変疲れる割にはぜんぜん進んでいなくて散々だったりするのだが。

ガンガーティクリーという鈍行専用駅。近年のインドでは駅の整備が進んだため、こういうところでもホームに屋根があったり、蛍光灯が付いていたりするころが増えた。ホームもちゃんとコンクリートで仕上げてある。

鈍行列車用駅も施設が良くなったとはいえ、従前からの「ホルト」の駅は変らない。「ホルト」とは、ちょうど郵政民営化前の特定郵便局みたいなものと言えばよいだろうか。国鉄職員が配置されない簡易駅。働く人は国鉄マン(公務員)ではない民間人である。

正式な駅ではない「ホルト」

カトワーからはハウラーを中心とする郊外電車のネッワークを利用。カトワーとバンデルを結ぶこの列車はパンタグラフから給電する全車両駆動の通勤電車スタイル。この車両の背後に接続しているのは郊外からカルカッタ都市圏に移動する行商人や物資運搬の人たち専用のコーチ。

ハウラーまで行く列車なのでやはり車内は都会的なレイアウト

そうこうしているうちに日が暮れてきた。鉄道は乗ること自体がエンターテイメントである。

昔であれば、TRAINS AT A GLANCE(という時刻表)に掲載されていない各駅停車で乗り換えをともなう移動をする際、ルートや時間がわからなくて困ったりしたこともあったが、今の時代は全国各地で走行するすべての列車のタイミングや実際の運行状況(遅れなど)が検索できるサイトhttps://etrain.info/inがあるため、とても楽になった。

目的地に到着するのが遅くなりそうであれば、スマホで旅行予約サイトから宿を確保しておくこともできるし、フロントに電話して到着時間を伝えておくこともできる。便利になった分、気持ちにも余裕が生まれて、ゆったりと旅行を楽しむことができるのだ。

内容は新型コロナ感染症が流行する前のものです。

コールカーター駅

ハウラー駅、スィアルダー駅に並ぶ第3の鉄道ターミナル、コールカーター駅(旧チトプル駅)は、もともと貨物用の鉄道施設だったが、今世紀に入ってから旅客ターミナルとして整備されたため駅全体が新しく、ムードはまったくない。

ベルガチア(Belgachia)地区南側にあり市内中心部に近いのに周囲は広大な空き地となっており、よくもまあこんなスペースが残っていたものだと感心する。やはり鉄道施設周囲にはかなりゆとりを持って用地を確保してあることが多い。

出発まで1時間近くあるが、本日利用の列車が入線してきた。AC車両は1両のみ。予約取ってあるので、涼んで行ける。

バスはただの移動手段だが、鉄道は乗ること自体が体感するエンターテイメントでもある。英国では鉄道趣味は紳士的な趣味という認識が行き渡っているように聞く(聞き違いかもしれないし、英国の鉄道オタクが勝手に紳士を名乗っているのかもしれない)が、日本ではかなり異なる理解がされているように思う。

内容は新型コロナ感染症が流行する前のものです。