インド旅券の衣替え

インドのパスポートから、従前の最終ページが廃止になるとのこと。所持人の住所、保護者、配偶者などの記載がある部分だ。これについてはNRI、つまり国外在住のインド国籍の人から不安の声があがっているというのは理解できる。
また、最終学歴が10年生に満たない人は、これまでの紺色の表紙のパスポートではなく、オレンジ色のものになるとのこと。子供だからまだ表紙がオレンジ・・・というケースだけではなく、ドロップアウトして大人になってもオレンジ・・・ということもあるわけだ。これを所持しているいい歳をした大人が、そういう事情を知っている外国の訪問先で、半人前扱いされそうで気の毒な気がする。

India Today 2018年1月31日号記事

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国立博物館の企画展「サウジアラビア王国の至宝」

1月23日から2018年3月18日まで、東京上野の国立博物館で開催されている企画展「
「サウジアラビア王国の至宝」を見学した。

先史時代からイスラーム出現前の時代にかけてのものも多数展示されていたのがとても良かった。アフリカで発生した人類がその大陸を出て、まず足を踏み入れたのが現在のアラビア半島。当時は緑と水が豊富な別天地だったという。初期の我々人類のご先祖たちが繁栄した痕跡があるからには、きっとそうであったに違いない。

時代は大きく下り、イスラームの出現後、まさに電光石火という勢いで各地に広がっていき、各地の伝統文化、社会や生活等に多大な影響を与えたわけだが、もしこれがなかったら、どういう世界になったのか?と想像してしまう。

地中海を挟んで欧州と北アフリカはひと続きの文化圏のままであったのだろうし、多神教であったアラビア半島に徐々にキリスト教が浸透して、欧州圏の外縁部のような感じになっていたかもしれない。

いっぽう、欧州では、イスラーム圏からもたらされた数学、航海術等々、当時の先端技術を得ることがなければ、今のような繁栄を迎えることはなかったということも考えられる。

また、中央アジア、南アジアにイスラームが到来しなかったら、これまたまったく異なる世界になっているわけだ。イスラームの影響を受けなかったインドの文化や人々の生活というものが想像できるだろうか。さらに東進した先の東南アジアのマレーシア、インドネシアにおいても同じようなことがいえる。

欧州人たちによる大航海はイスラーム圏から伝わった航海術なしにはあり得なかったとすれば、北米や南米は、今もインディヘナの人たちの大陸ということになるかと思う。

数々の偶然と必然が重なって、私たちの今の世の中がある。

展覧会を見学してから外に出ると、サウジアラビア大使館文化部がしつらえた砂漠のテントを模したところでのデーツとコーヒーが振舞われており、この展覧会のためにずいぶん力を入れていることが感じられる。

「メッカの守護者サウジアラビアの栄光」や「金満サウド王国の財宝」といった視点ではなく、アラビア半島を経由した人類や文化の伝播を俯瞰したスケールの大きな展覧会である。

アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝 (東京国立博物館)

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「インド初のオーガニック野菜州」実現目前で頓挫

今年の春先から有機栽培以外の農作物の輸入・移入が禁じられることになっていたスィッキム州だが、直前になってこれを撤回。

おそらく州内の農業保護とあわせて「イデオロギーの実現」の目的が大きかったようだが、自前で州内の需要を満たせないことに加えて、流通業者の反発や市民の反対もあったのだろう。大半の人々がなんとか食べていける状態なので、西ベンガル州などからふんだんに安い作物が入ってくる現状のほうが良いに決まっている。

自分の身に置き換えてみても、有機野菜しか手に入らないというのは大変健康的な環境かもしれないが、家計維持の面で大変苦しくなる。

もっとも、これが施行されたとしても、安い作物の需要から「野菜闇市」がはびこることになったのかもしれないが。

Sikkim withdraws bill on non-organic import ban (NEWS CLICK)

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小さなトリプラ州が分割される可能性

もともと小さなトリプラ州がさらに分割されることになるかもしれない。

州外からのベンガル系移民の流入が続いた結果、「ほぼベンガル化」された同州から、ベンガル化の度合いが低い地域が分離しようという動きが中央政府レベルでも検討されることになるようだ。

北東州への浸透を図ろうとする中央政府与党BJPは、トリプラ州では現地で旧来の住民の利益を代表する分離支持側の政党と共闘関係にあるということが強く作用している。

そんなわけでトリプラのベンガル系ヒンドゥーの人たちからの不興を買うことは当然予測されてはいるようだ。

Home Minister has agreed to form panel to look into Tipraland demand: Debbarma (THE ECONOMIC TIMES)

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「OUR MOON HAS BLOOD CLOTS」という本

Hello Bastarの著者、Rahul Panditaによるカシミールを題材にした一冊。彼自身が、カシミーリー・パンディットの出自で、少年時代に家族とともにシュリーナガルからジャンムーへの脱出を余儀なくされている。

「民主主義インドによって蹂躙されたカシミール」にて、「踏みにじられたムスリム市民が蹂躙したパンディット」というパラドックスが展開していく。

「学者、識者」を意味する「パンディット」という言葉で通称される「カシミーリー・ブラーフマン」は、イスラーム勢力進出後のカシミールの長い歴史の中で、イスラーム教への改宗者が増えていく中、「マイノリティのヒンドゥー教徒」ながらも、高い知性と学識により、独立以前の歴代のカシミールの王朝時代に主に官職で重用されることにより繁栄」したコミュニティ。

時代的にも「抑圧」により流出したわけではないが、インド国民会議派を率いて、インドを独立に導き、初代首相となったジャワーハルラール・ネルーを生んだのは、まさにこの「カシミーリー・ブラーフマン」コミュニティであった。

独立インドのカシミール地方においては、とりわけ1980年代中盤以降は、イスラーム民兵、テロリスト等による襲撃が急増したことから、パンディット・コミュニティの中の大半が自国内で難民化した。

国民会議派率いるUPA政権時代の2008年から、カシミールから流出したパンディットたちの再定住化が試みられているが、あまり芳しい効果出ていないようだ。

Our Moon Has Blood Clots: The Exodus of the Kashmiri Pandits
By Rahul Pandita
ISBN-10: 8184000871
ISBN-13: 978-8184000870

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