ハビーブガンジ駅の改名

こちらはMP州。同州の選挙は2023年なので選挙戦とは関係ないようだが、州都ボーパールにある鉄道の「ハビーブガンジ駅」が「ラーニー・カムラーパティ駅」に改名。

BJP政権下で、ムスリムやイスラーム教関係者に因んだ地名等をサンスクリット起源の名前に置き換えて「純化させる」という事象が頻発しているが、こちらは少し趣が違う。

先住民のゴンド族の女王に因んでとのこと。同様に先住民族が多い地域では、これまでほとんど顧みられることがなかった「先住民族の英雄」が再評価されて、地名、施設、道路などの名称に使われるという現象が起きている。これらを実施しているのはBJPだけではなく他の政党にも見られる。

チャッティースガル州、ジャールカンド州などでも見られるものだ。この2州はBjP政権下になく、前者はJMMという先住民族が主導する政党、後者は国民会議派だが、先住民族たちの歓心を呼ぼうという政策の一環。

Habibganj railway station renamed after Gond queen Rani Kamlapati: MP CM Shivraj Singh Chouhan (INDIA TODAY)

UP州の「アーザムガル」が「アーリャムガル」に改称へ

来年2月から3月にかけて州議会選挙が予定されており、再選を狙うBJPとこれを迎え撃つ姿勢の社会党。BJPは様々な選挙キャンペーンの中で、お得意の地名改名を打ち出してきた。

現行:アーザムガル → 改称後:アーリャムガル

アーザムガルは、ワーラーナスィーから北上してゴーラクプルに向かう中間付近にある街だが、1665年にゴータム・ラージプートの属する豪族のアーザムという首領によって開かれたといういわれがある。ゴータム・ラージプートは基本的にヒンドゥーの氏族だが、アーザムの名が示す通りムスリムで、何代か前に改宗したらしい。(ラージプートの様々な氏族の中からムスリムに改宗したケースはけっこう多い。)

「アーザムガル(アーザムの砦、城塞)なので、この首領の城塞の周囲に家来や取り巻き、必要な物資を調達する商人や職人などが住むようになり、彼らに食料等を供給する農民や酪農家なども周囲に集落を形成して街に発展していったのだろう。

そんなわけで、街の成り立ちを示す地名なのだが、「アーザム」を除去して、取って付けたような「アーリャム」に置き換えて、「アーリャムガル(神の砦、城塞)」にするわけだ。アーリャムは女性の名前にもよくあるものだが、アーザムガルとは特に縁はないはずだ。旧称と語呂を合わせて命名してみたといったところだろう。

UP CM Yogi Adityanath hints at changing Azamgarh’s name to Aryamgarh (INDIA TODAY)

サルマーン・クルシード

国民会議派の重鎮のひとり、世俗派を代表するムスリムの国会議員で、著述家としても広く知られるサルマーン・クルシードのナイニタルにある屋敷が放火される事件が起き、ネットで拡散されたその様子がインドのニュース番組でも取り上げられていた。このようなことが起きた原因は先月リリースされた彼による著作が原因らしい。

Four arrested for vandalism at Salman Khurshid’s house in Nainital (INDIA TODAY)

1992年のバーブリー・マスジッド破壊事件に至るまでの道筋とその後の展開を回想したもので、この事件については立場によっていろいろな捉え方があるが、世俗国家インドからサフラン勢力台頭へと転換した分水嶺のような事件であった。これを境にインドの国是と常識が一転したと言える。それまでのインド中央政界は「中道左派vs左派」の対立軸であったものが、「ヒンドゥー右翼vs中道+左派」に移行してしまったからだ。

穏健かつ良識ある世俗派のベテラン政治家がこれをどのように総括しているか知りたいので、キンドル版を購入してみることにした。

書名:Sunrise over Ayodhya Hardcover – 25 October 2021

著者:Salman Khurshid

ISBN-10 ‏ : ‎ 0670096148

ISBN-13 ‏ : ‎ 978-0670096145

エアインディア民営化最終局面へ

いよいよエアインディアが民営化される。もう後戻りはないだろう。

TATAの航空会社として誕生して、その後国営化。そんでもって2022年に元のサヤに戻ってTATAの航空会社になるとは。

それはそうと、いろいろ不採算なものを大胆に整理するであろうことから、しばらくはエアインディアの航空券の「買い控え」が起きるかもしれない。国際線よりも、政治的理由で超幅広になっている国内線路線の簡素化を実施しないはずがない。IAとICが合併して統合AIになる際にも大きな問題として懸念されたのは特にその部分だった。

民営化したエアインディアは普通の会社になるので「倒産することができる」わけで、事業規模も相当コンパクトにならざるを得ないはず。

旧ICの赤字路線。日本からではそもそもしばらく行けそうにないため、関係ないといえば関係ないのだが。

Tata Set To Take Over Air India By January (SimpleFlying)

L.K.アドヴァニー氏の誕生日

11月8日、94歳の誕生日を迎えたL.K.アードヴァニー氏の自宅を訪問する首相のナレーンドラ・モーディー氏。アドヴァニー氏は内務大臣、副首相などの要職も歴任し、BJPの中核として党を牽引してきた重鎮だ。

アドヴァニー氏は現在パキスタンとなっているカラーチー生まれで、モーディー氏と同じようにBJPの母団体であるRSSのプラチャーラク(教宣師)出身。1980年代末からの「サフラン旋風」がインドを席巻する機運醸成を演出した立役者のひとり。

2014年の総選挙を前に、念願の首相の座を目指すべく、党内での地歩を固めようとしていた際、それまではグジャラート州チーフミニスターで、全国政党BJPの地方のボスに過ぎなかったモーディー氏及び彼の右腕のアミット・シャーが仕掛けた電光石火の党主軸への進出により、リーダシップのラインから外れる。

アドヴァーニー氏の子飼いの重鎮、党総裁経験者のラージナート・スィンもニティン・ガルカリーも、女性指導者のトップであったスシマー・スワラージ(故人)もグジャラートからやってきた野心家に恭順を示し、アッと言う間に「モーディー体制」が出来上がり、選挙戦に突入していった。モーディーとシャーのコンビの手際の良さに仰天した。

グジャラート州のチーフミニスター時代から、経済に明るい政治家、発展志向のリーダーとして全国で注目度の高かった彼らだが、それまで盤石に見えたアドヴァニー体制をいとも簡単に(本当はたいへんだったかもしれないが、あまりに迅速で簡単であったように見えた)世代交代させた。この手腕に、多くのインド国民は「このコンビに向こう5年間を任せてみよう」と思ったはずだ。

PM Modi visits LK Advani on his 94th birthday, praises his scholarly pursuits (Hindustan Times)