GNT (Good News Today)

常々、前向きで楽しく、人々が元気になるニュースばかり流す「ハッピーニュース・チャンネル」のようなものがあれば良いのにと思っていた。

巨大地震のような災害のときにも、新型コロナウイルスの流行が頂点に達してにっちもさっちもいかないときでも、そういう苦境で人々を救うべく奮闘している人たちや回復して元気になった人たちなどの姿もある。もちろんそうした状況とは関係なく、明るい話題というものは常にそのあたりに転がっているはずだ。ただ、何か大きなことが起きると、そうしたポジティヴな話題にスポットライトが当たらなくなってしまう。悪いことが起きると、畳みかけるように様々なチャンネルで繰り返し報じられて、気が滅入ってしまう思いをした人は多いだろう。繰り返し映像で流れるアメリカのツインタワーの崩壊シーンであったり、日本の東北で起きた津波の様子であったりといったものはその典型であった。

「ハッピーニュース」の需要はインドでも高かったようで、今年9月から、インドのIndia Todayグループのニュースチャンネル「AajTak」に姉妹番組「Good News Today」が加わった。前者はご存じのとおりインドや世界のニュースを人々に伝えるヒンディー語のニュース番組だが、このたび開始された後者は、まさに私が夢想していた「ハッピーニュース・チャンネル」そのものといった構想で開始されたものだ。いずれもインドでオンエアされているものが動画配信されており、もちろん日本での視聴することができる。

India Today Group launches Good News Today, India’s first and only positive news channel (India Today)

放送開始時の映像は以下のリンク先から閲覧できるが、コロナ禍の中でパンデミックに関する陰鬱な報道が非常に多い中で、「気分が沈むのでニュース番組を観たくなくなった」という声を背景に、人々が前向きになることができる、元気の出るニュースを届けるチャンネルとして開始されたとのことだ。「ニュースを変えるのではなく、視点を変える」ことをポリシーにしているのだそうだ。

Good News Today Live TV | GNT TV Live | Watch Live Good News Today Launch (Youtube)

ライヴ放送は、こちらから観ることができるが、「Good News」とは言っても、能天気に愉快なニュースを垂れ流すというものではなく、政治の動向、公害などの社会問題なども取り上げられているなどバランスの取れたものであるようだし、ニュースとニュースの合間にバジャンの演奏なども入ったりして和める。

インドのテレビニュースで多い誘拐、殺人などの事件、視聴者などが投稿したリンチ映像の転用などといった、お茶の間ではあまり目にしたくない凄惨な映像とは無縁のチャンネルは家庭の団欒のひとときなどで流れる、ある意味安心なニュース番組としても支持されるのではないかと思う。

ヘロイン禍

芸能人などの有名人が逮捕されたら、大騒ぎして報道するのは、いずこの国も同じ。

インドでも同様で、シャールク・カーンの息子、アーリャンの逮捕関係のメディア露出は相当なもので、中には「ムスリムを標的にしたBJPの陰謀説」のような荒唐無稽なヨタ話をもっともらしく吹聴するニュース番組もある。

そんな中でのインディア・トゥデイの「ヘロイン禍」の特集記事。「インディア・トゥデイ、お前もか?」と思いながらページをめくっていったが、さすが「ちゃんとしたニュース雑誌」は、ゴシップ誌や半ニュース半ゴシップ誌と大きく異なる。

世界中のケシ関係の麻薬供給元の85%はアフガニスタンが占めているそうだが、近年はインドへの供給量が大幅に増えていることが、水際での押収量の増加で明らかなのだそうだ。先日もアフガニスタン発でイラン経由のコンテナがチェンナイで差し押さえられ、空前押収量を記録したとのこと。

麻薬を大きな収入源とするターリバーンの「怪進撃」の要因のひとつには、この関係の売上増が果たした役割もあるかもしれない。

同様に近年はパンジャーブ州で、とりわけ若年層へのドラッグ使用の蔓延が大きな社会問題になってもいるのは、ずいぶん前から聞いており、それを題材にした「UDTA PUNJAB(2016年)」という凄惨な映画が物議を醸したこともあった。

パンジャーブ州への薬物流入は、国境地帯の農村部で移送がなされる様子が同作品でも描かれており、背後には当然、パキスタン側の組織があり、これには同国の工作筋も関与していると言われている。

アーリャン・カーンの逮捕というのは、現在の麻薬禍において発生した無数の現象面での「ひとつの例」であり、背後にある動きこそ重要かつ深刻なものだ。

現象面の末端に過ぎない個人を叩くのではなく、背後の巨悪にメスを入れたインディア・トゥデイ誌の姿勢は、まさに社会の木鐸としての矜持だろう。

インディア・トゥデイ10月20日号

国境向こうの南インド料理屋

パキスタンでの南インド料理とのこと。ケーララやタミルナードゥから、ワケあってパキスタンに移住した人たちがいたとのことで、カラーチーにはタミル人ヒンドゥーのコロニーもあるとは興味深い。人の世には、必ずや例外的な人たちもあるわけで、何がしかの理由により、通常のセオリーとは異なる道を進むことになる人たちがいる。このあたりを目的にパキスタンを訪問してみるのも面白そうだ。

For Tamil cuisine, away in Pakistan (THE HINDU)

特別展「インドサリーの世界」(2005年)

だいぶ前にインドで購入して読んだ本で、Emma Tarlo著の「Clothing India : Dress and Identity in India」という、インドの服飾文化について書かれた本があった。

インドの伝統的な社会において、身につけるあらゆるモノに意味があり、装いはその人となり、出自や職業、立場や経済力を如実に表現するものであり、コミュニティーの内外をきちんと区別するものであったということが書かれており、マスプロダクション時代におけるマーケティング戦略のもとで、工場で大量生産して、マーケットで販売される現代の服飾においては、もはやサーリーもシャルワール・カミーズも洋服と同じような西洋化グローバル化された産物に過ぎないというようなことが書かれており、かなり衝撃的であるとともに、伝統的なコミュニティごとの服飾の棲み分けの事例などを読むと、なるほどと納得することばかりでもあった。

さて、こちらの書籍は複数の著者写真によるインドにおけるサーリーの変遷、同国の民族衣装のトレンドなどについて綴られており、これまた興味深い。発行年がすでに16年前のものなので、ファッションに関する内容は古くなっている部分はあるようだが。大阪の国立民族学博物館で2005年に開催された特別展「インドサリーの世界」の展覧会図録。同博物館のオンラインショップで購入することができる。

インドが観光ヴィザ発行を再開

ようやくこの時が来るようだ。10月15日からひと月はチャーター便での入国のみ。商業定期便による入国は11月15日からとのこと。ヴィザの扱いの詳細(申請方法、有効期間、種類その他)に関する情報は今後出てくることだろう。

Covid-19 cases down, India to issue tourist visas from October 15(INDIAN EXPRESS)