インドには植民地期の地名の綴りが今も残っている例は数多い。独立後の長い歴史の中でラージャスターン州のJeyporeがJaipurに、グジャラート州のBarodaがVadodaraに変更となったような例は数多いのだが、その一方で変わらずそのままというのもけっこうある。
Dalhousie、English Bazar、Frazerganjのように英国や英国人に因んで付けられた地名ではなく、既存の地名が「英語化(あるいはその地域の元宗主国の言葉に合わせた)された綴り」のことである。
先述のJeyporeだが、実はオリッサ州にもあり、こちらではJeyporeのまんま。それでいて地元の人たちは「ジェイポーァ」とは読まずに自然と補正して「ジャイプル」と呼ぶ。
西ベンガル州には「Serampore」という町があるが、これについても人々は頭の中で補正して「シュリーラームプル」と呼ぶ。(ベンガル語、ヒンディー語の綴りは発音どおり)。領有したデンマーク人がさだめで英語に引き継がれた綴りが前例踏襲でそのまま使われているのだ。
そういう植民地期の綴りが最も豊富に残っているのはおそらくゴアだろう。Margaoと書いて「マドガーオン=Madgaon」と補正して読むことは訪れたことのある方ならご存知かと思うが、ポルトガル風の地名がたくさん残っている。それを「補正して読む」例は他にもいろいろあるのではないだろうか。
そうそう、植民地期の綴りといえば、州名からしてそうだ。「GOA」と書いて、ゴアと読むのではないのだ。響きは近いが「ゴーワー(GOWA)」と補正して読むのがインドの人々。コンカニー語、ヒンディー語で用いられるデーワナガリー文字でもगोवा (ゴーワー)と綴り、その綴りどおりに呼ぶ。
また、植民地期の綴りと通常の読みどおりの綴りが混在することがあるのは地名だけではなく、人名にも見られるのだが、長くなるので今回はここまでとしておこう。














