バナーラスのガート裏、店主が一人で切り盛りしているカフェで休憩中。
隣の席にきたドイツ語で話しているカップルが「すべてタマネギとニンニク抜きで」と前置きして、「野菜のビリヤーニー、ダールフライド、ガーリックナーン」と注文。
しばらく考え込んだ店主は「出来るが最後のは難しい」とひとこと。生真面目な人らしい。なんか悪いけど、吹き出してしまう。
バナーラスのガート裏、店主が一人で切り盛りしているカフェで休憩中。
隣の席にきたドイツ語で話しているカップルが「すべてタマネギとニンニク抜きで」と前置きして、「野菜のビリヤーニー、ダールフライド、ガーリックナーン」と注文。
しばらく考え込んだ店主は「出来るが最後のは難しい」とひとこと。生真面目な人らしい。なんか悪いけど、吹き出してしまう。
この「Cheqアプリ」を使うようになったり、宿代、食事代からたいていの支払いをこれで済ませるようになり、現金はそれが使えないときの予備費みたいな感じになるのではないかと予想していた。
クレジットカードでチャージする際に2.5%の手数料が引かれるようだが、両替にしてもいくばくかの差損はあるし、便利さで充分相殺どころかお釣りがくるくらいだろうと考えていた。
ところが・・・である。
アプリ開通後にクレジットカードで残高をチャージし、宿の近くの 雑貨屋で 支払いをしてみようとすると これができない。幾度もエラーとなってしまう。
そこでWhatsAppを使って運営会社であるTRANSCORPの担当者に質問してみると、以下の回答があった。(質問すると迅速に回答をくれるのは助かる。)
インドの支払用QRコードにはふたつのタイプがある。 1つが個人用のIndividual QR コード。 もう1つが 法人用のMerchant QR コード という もの。残念ながら この外国人が利用できる アプリでは なんと 個人用の QR コードには支払いができない仕様なのだという。これは困る。
お釣りがなくて QR コードで支払いたい、 支払わなければならないというケースは 大きな店ではまずありえず、 釣りがなくて不便なのは 露店であったり 小さな雑貨屋であったり オートリクシャー、タクシーといったIndividual QRコードを用いる相手だ。それ以外の大きなところでは 釣りはきちんと揃えてくれるものだ。
そんなことから現状においては、このアプリの利用については 今のところ 私は誰にもおすすめしない。登録に手間がかかるうえに、肝心な場所でまったく使えないからだ。
ただし 運営会社の人が言うには この旅行者用のアプリも 個人用 QR コードに支払いができるようにと働きかけてはいるらしい。しかし こうした制限をかけているRBI、つまりインドの中央銀行が 認可するかどうかを決めることである 。
さて どうなるんだろうか。インドは何かと規制・制限の多い国であるが、スマホの決済アプリも旅行者用のものは、在住者のものと同じように自由自在には使うことはできないという大きな不備がある。
それでも、このような形で外国人も利用できるスマホ決済アプリが登場したことについては評価したい。Individual QRコードへの支払いが可能とさえなれば、インド旅行における利便性が飛躍的に向上することになるからだ。
【完】
インドで非居住の外国人でも使える「Cheq」についていくつかわかったことがある。・
・送金事業を営む「TRANSCORP」が運営しているサービス。
・Cheqアプリは、登録したパスポートの有効期間内 ずっと有効。その間にヴィザ切れの場合は新たにヴィザの写しが求められる。
・初期費用として999Rsの支払が必要。外国発行のクレジットカードでの支払い。
・外国発行のクレジットカードで「Cheq」の残高をチャージすることができる。その際に手数料として2.5%が差し引かれる。
・ アプリが有効な限り 残高も有効。
・端末交換する場合、 アプリが有効である限り 新しい端末に移すことができる。
・ パスポートが 有効期限を迎えると このアプリの有効期限も終了となるが、 残高については、チャージする際に利用したクレジットカードに返金してくれる。
・日本の携帯番号でアプリ の ヴェリフィケーションをした後、 Cheqのオフィスに出向いて 「イン・パーソン ・ヴェリフィケーション」というのが必要になる。これについては、滞在先のホテルまで来てもらって実施することも可能。
・日曜日はイン・パーソン・ヴェリフィケーションは実施できない。
アプリのインストール後、自分の日本の携帯電話番号のヴェリフィケーションは簡単に済んだものの、支払った初期費用が先方で確認できなかったり、TRANSCORPのオフィスでの「イン・パーソン・ヴェリフィケーション」に手間取ったりと、なかなかうまくいかなかったものの、幾度にも渡るWhatsAppでのやりとりの結果、無事に手続きが完了し、残高をチャージすることもできた。
このアプリの使い勝手については次回改めて紹介することにする。
【続く】
インドの中央銀行(Reserve Bank of India)の監督下にあるNational Payments Corporation of IndiaによるUPI Payment Interface。
日本で言うところのいわゆるスマートフォン決済アプリだが、日本のそれと異なるのは、個々が利用している異なる決済アプリからUPI(Unified Payments Interface)を通しての支払いとなるため、日本のように支払対象となる店が「PayPayには対応しているがLINE Payは不可」とか、「楽天ペイとLINE Payのみ」などということはない。消費者の立場からすると、インドのシステムのほうが日本よりもはるかに便利で進んでいるように思える。
ただし、非居住者の外国人はこれを利用することはできず、日本のように「コンビニで現金でチャージすることができる」みたいなザルのような扱いはない(そのあたりの日本の緩さは「マネーロンダリングの温床となる」等々で、海外から批判がある)ため、旅行者の立場では利用することができない。
ネット上では、Paytmに対して一部のデビットカードでチャージできたとか、アメックスのクレジットカードでもできたというような話は散見されるのだが、基本的にはインド国外発行のカードは対象外と聞く。私自身もそうしたインド国外発行のカードが使用できた経験はない。
しかしながら最近、「Cheq」というインドで非居住用の決済アプリができたとのこと。初期費用で999Rsもかかるとか、アプリのアクティベートのためにオフィスに行かなくてはならないとか面倒な部分もある。
【続く】
バナーラス訪問の目的のひとつは、「カーシー・ヴィシュワナート・コリドール」を訪れること。かつてゴチャゴチャした迷路のような路地にあった通称「ゴールデン・テンプル」ことカーシー・ヴィシュワナート寺院のために周辺地域の建物をことごとく壊して更地にしたうえで、大きなゲートと壁に囲まれた聖域を「ゴールデン・テンプル」を中心に構成し、ガンガーのガートからこの寺の本殿まで直進できるようにするという壮大なものだ。
これは選挙区をお膝元のグジャラートから、地縁のないバナーラスに移したナレーンドラ・モーディーが公約として掲げたプロジェクトのひとつで、コロナ禍の時期に一気呵成で進めて完成している。もちろん2017年に成立して現在2期目のヨーギー・アディティヤナート率いるBJPによる州政権あってのことでもあるが、よく言われるところのダバルインジャン・サルカール(double engine goverments=中央のBJP政権+州のBJP政権)により、たったの3年間あまりで仕上げたものである。
政治と鉄道を中心としたインドウォッチングを趣味とする身としては、ここの見学はマストであるため、早朝の比較的空いている時期に向かうことにした。この「コリドール効果」はてきめんなようで、4割近く訪問者が増えているのではないか?という街の声もある。(途中、コロナ禍の時期を挟んでいるため、真相は定かではない)
身分証とお金以外、あらゆるモノの持ち込みが禁止(腕時計すらダメ)されているため、宿にすべてを残して早い時間帯に出かけてみたが、入場に何時間もかかると思われる行列にたじろぐ。
しかし事前にここ「ゲートNo.4」にはVIP用出入口と有料出入口が設けてあり、インド人は祭司にプージャーをしてもらうという名目と権利(300Rs)を買い、外国人はプージャーの権利なしで外国人料金(600Rs)を払って、行列することなく入場することができるようになっている。いかにもインドらしく、お金がなくてもその目的を果たせるエコノミーなルートとお金を払って面倒を回避するシステムが用意されている。
結局のところ、衣食住すべてが同様で、限りなく安く済ませることは当然可能で、そこからくるしんどさ、不衛生さ、面倒くささをそれなりの対価を支払って避けることができるようになっているのだ。
空調の効いたラウンジのような専用のチケット売り場でパスポートを提示して支払いを済ませると、作成した係の人がプージャーの権利を買ったインド人家族とともに特別入場口へと杏奈してくれる。そういう待遇を受ける身であることがひと目でわかるように、肩から大きな目印がかけられる。
ひとつ残念なのは中は撮影禁止であるどころか、携帯も持ち込めないため、写真が1枚も手元に残らないことだが、こればかりは仕方ない。
大きな門や境内の各種建物を抜けた先に、あの「ゴールデン・テンプル」が姿を現している。「コリドール」が出来る前は、ヒンドゥー郷土以外は入ることが出来なかった(ときどきチョロっと潜り込んで、ちゃっかり写真を撮って出てくる旅行者はいた)はずなのだが、今は万人に開かれた寺となっている。そういう「Inclusive」な姿勢が今のインドの右翼政権の特徴で、一般的な意味での保守ではないし、復古主義でももちろんない。昔はなかった新しいヒンドゥー思想を軸にした動きと言える。
昔々、このお寺のすぐ隣にあった宿に泊まったことがある。その建物のすぐ下にこの金色のシカラーを持つお寺を目にしていたが、いまや周辺すべてが取り壊されて、大きな境内となっているのが何とも不思議な気がする。
この寺を中心とした「コリドール」とセットで見学したかった「ギャーンヴァーピー・マスジッド」だが、このコリドールとぴったり隣り合っていることがわかった。ゲートナンバー4から入り、まず目にするのが金属フェンスで囲まれたそのモスクであるからだ。
ここはかつてヴィシュウェーシュワル寺院であったとされ、ムガル帝国のアウラングゼーブ帝の次期に取り壊されてモスクになったとされる。「地元のヒンドゥー教徒の主婦たち」が裁判所に訴えをおこし、「ヒンドゥー教徒たちがここでプージャーを行う権利」のためという訳のわからない裁判が進行中。もちろん主婦たちというのは表の顔で、背後で操作しているのは右翼団体であるようだ。
提訴当時はただの話題作りや反ムスリムの機運醸成ともみられ、早々に棄却されるとの観測もあったが、裁判の中で原告側の巧みな策略のため、「それでは本当にそのような過去があったのか長座せよ」とインド考古学局(ASI)に命令が下り、昨日から調査団がモスク内に立ち入って調べを開始している。現在もここでムスリムの人たちの礼拝は実施されているが、トラブルを避けるため、ムスリム以外の入場は禁止されているとのこと。
それにしてもモスクなどイスラーム教徒の礼拝施設で、ペルシャ語やアラビア語から来た名前ではなく、「ギャーンヴァーピー(知識の泉、知識の井戸)」というサンスクリット語の名前が付いているモスクなど他にあるのだろうか?単に「カーシー・ヴィシュワナート寺院」というバナーラスを代表する名刹の隣にあるだけでなく、このような名前であるがゆえに、象徴的なものとして攻撃の対象になるのではないだろうか。
この「ゴールデン・テンプル」訪問後、さきはどのラウンジみたいなチケット販売所でプラサード(神様からのお下がり)をいただき宿に戻る。