発行済のヴィザ効力停止

従前より、中国の人々に発行されたインドヴィザの効力停止は伝えられていたが、日本人に対しては、ここ数日間でヴィザ・オン・アライヴァルの停止、e-visa申請受付停止ときて、「遠からず私たちも・・・」と思っていたら、やはり昨日3月3日に「発行済のヴィザの効力停止」ときた。

下に貼り付けた英文記事は、この件に関するインド政府の報道発表。ご参照いただきたい。

インドや日本などのメディアによっては、ヴィザについて「キャンセルした」「破棄した」等々の表現が見られるのだが、政府の公式発表を見る限りでは、「suspended」とあるので、「(一時的に)効力停止」であるように思うのだが、日本の外務省の出先機関である在インドの大使館、領事館等からのニュースレターでは、「日本人に対して3月3日以前に発給されていたあらゆるビザ(通常ビザ及びe-Visa)は無効となる旨発表」とある。これだと「現時点で」「一時的に」という含みは感じられないように思えるのだが、どうなのだろう。

またこの「無効」となるヴィザについて、対象者は「日本居住者」ではなく、「日本国籍」となっているため、たとえこれまで新型コロナウイルス感染者がひとりも出ていない国に居住し、何年間も日本に帰国すらしていない人であっても、この措置から逃れることはできないことにも留意が必要だ。

また「who have not yet entered India」という下りについては、「マルチプルのヴィザで、今は日本にいるけれども、インドにはこのヴィザで1度入国しているから大丈夫」というものではなく、「報道発表時点でインドに滞在・居住しているかどうか」とのことだ。

今年の正月明けくらいまでは、保健衛生上の理由から日本からの入国を拒否する国々が続々と出てくるようなシナリオは「清潔な国、日本」を自負する私たちには、まったく想像すら出来なかったが、「まさか!」の事態が音を立てて進行中である。

 

Ministry of Health and Family Welfare

Update on COVID-19: revised travel advisory

Posted On: 03 MAR 2020 1:31PM by PIB Delhi

In view of the emerging global scenarios regarding COVID19, in supersession of all earlier advisories, the following advisories are issued for immediate implementation:

All regular (sticker) Visas/e-Visa (including VoA for Japan and South Korea) granted to nationals of Italy, Iran, South Korea, Japan and issued on or before 03.03.2020 and who have not yet entered India, stand suspended with immediate effect. Those requiring to travel to India due to compelling reasons, may seek fresh visa from nearest Indian Embassy/Consulate.

Regular (sticker) visa / e-Visa granted to nationals of Peoples Republic of China, issued on or before 05.02.2020 were suspended earlier. It shall remain in force. Those needing to travel to India under compelling circumstances may apply for fresh visa to nearest Indian Embassy/Consulate.

Regular (sticker) visas/e-Visas granted to all foreign nationals who have travelled to Peoples Republic of China, Iran, Italy, South Korea and Japan on or after 01.02.2020, and who have not yet entered India stand suspended with immediate effect. Those requiring to travel to India under compelling circumstances may apply for fresh visa to nearest Indian Embassy/Consulate.

Diplomats, officials of UN and other International bodies, OCI cardholders and Aircrew from above countries are exempted from such restriction on entry. However, their medical screening is compulsory.

Passengers of all international flights entering into India from any port are required to furnish duly filled self declaration form (including personal particulars i.e. phone no. and address in India) and travel history, to Health Officials and Immigration officials at all ports.

Passengers (foreign and Indian) other than those restricted, arriving directly or indirectly from China, South Korea, Japan, Iran, Italy, Hong Kong, Macau, Vietnam, Malaysia, Indonesia, Nepal, Thailand, Singapore and Taiwan must undergo medical screening at port of entry.

Indian citizens are advised to refrain from travel to China, Iran, Republic of Korea, Italy and Japan advised to avoid non-essential travel to other COVID-19 affected countries.

MV

(Release ID: 1604942) Visitor Counter : 6683

Update on COVID-19: revised travel advisory (Press Information Bureau, Government of India)

中華朝市とナコーダー・マスジッド

コールカーターのティレッティー・バーザールのエリアで開かれる中華朝市。もともとは華人が盛大に開いていたそうだが、現在では売り手もお客も華人たちの人数は多くなく、華人の商売人の手伝いをして仕事を覚えたインド人が引き継いでいる露店も多い。

近年は名所として知られるようになったため、地元コールカーターの人々はもちろん、他の地域から来たインド人旅行者も訪れるようになっているため、売り子たちは露店のディスプレイに少し気を遣うようになってきた。

ここでいくつかのアイテムつまんでから、すぐ北にあるナコーダー・マスジッドの方角を目指す。目当てはマスジッドの向かいにある「スフィヤー・レストラン」だ。ここのネハーリーは絶品なのである。朝の時間帯にこれを食すためにしか来たことがないが、ここはビーフアイテムが充実しているため、ランチあるいはディナーの時間帯にも来てみたいと思う。

ナコーダー・マスジッドの脇、つまりラビンドラー・サラニーを通る市電が廃止になったことは実に寂しい。BBDバーグにある市電の大きなデーポーから出発していたが、これを起点とする路線すべてが廃止となっている。デーポーはすでに跡形もなく消失している。

コールカーター旧中華街のチャッターワーラーガリーの先のアングロインディアン地区

華人たちが集住するチャッターワーラーガリー。カルカッタの旧中華街南側にある小路だ。

昼間はその存在すら感じさせないが、休日の昼間には華人の子供たちが遊び、朝方や夕方には散歩に出てくる大人たちの姿がある。

このすぐ南にあるのが、アングロインディアン地区にある英領期からのアパート。アングロインディアンの勤め人が多く住んでいたところだが、今もアングロインディアンが暮らす集合住宅として知られる。

アングロインディアン地区

そのアパートの前に露店を広げている人たちふたりがいた。インドのマーケットの野菜はどれも新鮮に見えるけど、「自家農園直送」を謳う華人の店は素敵だった。

華人が営む野菜の露店
カルカッタ郊外の菜園から直送しているとのこと。

バングラ国境近いバスィルハートの農園で収穫して、ここに直送しているとのこと。どの野菜もピチピチで美しかった。やはり華人は気の利いたことやってくれる。

アングロインディアン住宅隣にある仏教寺院。テラワダ仏教のお寺だが、どういう由来かどういう教団なのかいろいろ尋ねてみたかったが、お坊さんたち食事中につき、他の予定もあるので早々に退散。

HAP HING CO.のチェンさん亡くなる

メトロの「セントラル駅」で下車して進行方向側のエンドから外に出ると、そこはもうチャイナタウンの東端である。すぐそばには雑居ビルの中にある「ビルマ寺院」もある。

Sun Yat Sen St.へ。Sun Yat Senとは孫逸仙こと孫中山、言うまでもなく孫文のことである。つまり「孫文路」という道路があるのは、いかにも旧中華街らしいところだ。

十数年前に初めてお会いして以来、カルカッタを訪れる際には顔を出している方のお店「HAP HING Co.」がある。(FBページは、インターネットもスマホもせず、アナログな方だったチェンさんが開いたものではなく、彼女の店に出入りしていた地元のカメラマンによるもののようだ。)

客家華人の年配女性で、父親から引き継いだ店で、長年中華食材や漢方薬などを商っているため、華人事情には当然大変詳しい。

夜明け前に店を開けると、目の前のエリアで開かれる中華朝市で魚ボールのスープなどを食べて、この方の1日は始まる。商いは午前7時には終わって店を閉めてしまうという、朝型人間のチェンさんだ。

私がコルカタ華人に大変興味を持っていることを知っているので、訪問すると、いつも「えーと、このあいだは何を話したっけ・・・。」から始まって、界隈の古いゴシップ、幼い頃の話、カルカッタから外国への移民の話、香港に仕入れ旅に行ってみた話等々、お茶を淹れていろいろ話してくれるのだ。

この方のおかげで、カルカッタの華人関係のことをいろいろ知ることができたし、訪れることもできた。あけっぴろげな人で、「チェンさん、子供の頃の話をしてよ」と言うと、旧正月の話、親戚との宴会の話をとともに彼女の父親のもうひとつの家庭との微妙な関係など、引き込まれるけど、「ちょっとそんなこと話していいの?」と思うようなことまで、いろいろ聞かせてくれた。

彼女によると、比較的稼ぎの良い華人男性がふたつ目の家庭を持つのは珍しくなかったそうだし、同じ父親による「公式」「非公式」の世帯は、当然親密ではなく距離を置いたものではあるが、まったく往来がないというわけでもなかったらしい。

「ちょっと向こうのお母さんのところにお使いに行ってきて」とか、「向こうの兄弟と遊ぶ」というのはよくあることであったようだ。

そうは言っても嫡流の世帯と傍系の世帯がイーブンな関係であるはずはなく、子供時代のCさんも複雑な視線で「傍系の家族」を眺めていたようだ。

「でもね、もうとっても昔のことだし、私もほら、こんな歳だからねー」とケタケタ笑いながら喋る賑やかな人だった。傍系の親族たちも含めてすべてカナダに移民してしまったとのことだが、年に一度旧正月に何人かはカルカッタに戻ってくるとも聞いた。

中華朝市は、もともとは華人が盛大に開いていたそうだが、今は人数は多くなく、華人の商売人の手伝いをして仕事を覚えたインド人が引き継いでいる露店もある。

その華人チェンさんだが、お店の常連客は夜明け前からの朝市に来る人たちなので、もう6時を回ってしまうと暇であるため、私に「中華レクチャー」をしてくれるのだ。いつものように今回も日本から小さな手みやげを持って訪問するつもりだった。

ところが今回はなんだか違う。店が開いていないし、看板もなくなっているのだ。

ちょっと嫌な予感がした。

店の向かいのタバコ屋に尋ねてみると、なんと昨年3月に亡くなったとのこと。ちょうど通りかかった若い華人女性にも聞いてみると、「店がしばらく閉まったままになっていて、どうしたのかと思ったら、亡くなっていたことに誰も気付かなくて・・・」とのこと。いわゆる孤独死であったそうだ。

彼女は生涯独身、兄弟を含めた身内はカナダに移民しているので、カルカッタに親戚はひとりもいないということは知っている。糖尿病の具合が良くないことは前回の訪問の際に聞いていたが、界隈の人たちの話によると、心臓発作じゃないだろうか、とこのと。かなり太っていたし、血圧が高いことも聞いてはいた。

インターネットはやっていないし、ガラケーしか持っていない人だったので、近況は知らなかった。毎年、年賀状を交換していたのと、ときおり思いついたように手紙をくれていたが、今年もらった年賀状に続いて、「中華新年に遊びに来ないかい?界隈では獅子舞とか歌ったり、出し物とかの集まりもある。いろいろ案内してあげるよ」というお誘いの手紙ももらったのだが、これがチェンさんとの最後のやりとりになってしまった。

今やもう、「えーと、このあいだは何を話したっけ?」というチェンさんの言葉を耳にすることはできなくなってしまった。

チェンさんのご冥福をお祈りする。

 

コールカーターの「魯迅路」と「中山路」4 (indo.to)

再びコールカーター中華朝市へ 2 中華食材屋のCさん

再びコールカーター中華朝市へ 3 華語新聞 (indo.to)

 

「華人とムスリムは繋がりが深い」という常識

前回取り上げた「欧州飯店」はちょっと特殊な営業形態ではあるが、一般的には華人オーナーが複数のインド人たちを料理人として雇用しているケースが多いようだ。

インド中華の面白いところは、華人経営の店であっても入手の可否だけでなく、顧客や店のスタッフへの配慮などから肉については当然のごとく鶏肉が主流(華人経営で牛肉、豚肉を出す店もあるが少数派)だ。そしてパニールのようなインド食材もこれまた当然のごとく取り入れられたりしている。誰もが馴染み深い食材であり、お客も働く人も困ることはないのはもちろんのこと、メニューのレパートリーも広がる。

さて、カルカッタのこうした料理屋で働くインド人たち(厨房&給仕)はムスリムが多い。同じく華人たちの主要産業である革なめし業と同様にムスリムの雇用が多く、華人たちが居住して仕事を営む地域は、往々にしてムスリム地区内あるいは隣接するエリアにある。

ここでは、まさに「ムスリムあるところ華人あり」という状況で、「ムスリムと華人は親和性が高い」という、世界的にもあまり例を見ない様相が展開しているのは、華人による雇用の提供とムスリムによる労働力の提供という互恵的関係が背景にある。

ヒンドゥー社会において動物の屍体や肉の処理等に関わることはタブーであるがゆえ、これを厭わないムスリムコミュニティは、華人コミュニティにとって無くてはならない働き手の供給源となるのだ。

本来は縁もゆかりもないふたつのコミュニティが、周囲の大きな社会(ヒンドゥー社会)との関係性により、密に繋がることが可能となることの好例である。世界広しといえども、「華人とムスリムであるがゆえに緊密に結ばれるという常識」がまかりとおる国は、ほとんどないように思う。