米国メディアの取り扱いも増えてきた米国の購読プラットフォーム「Magzter」

雑誌や新聞の電子版購読プラットフォーム「Magzter」は米国の企業だが、在米インド人が起業したインドのメディア購読を主目的とするものであるため、米国のメディアの扱いはあまりないという捻じれがあった。

しかしながらこのところNewsweekその他のアメリカの雑誌が次々エントリーされている。

しかしそれでもようやく「今度はTIMEも!」と宣伝しているくらいなので、やはりアメリカのメディアには弱い「アメリカの電子版メディア購読プラットフォーム」。

それにしても「インドメディアほぼ専門」でありながらも米国で操業というのは、おそらく法的その他の環境から、インドでこういうビジネスの操業は容易でなく、米国でのほうがやりやすいというようなことがあるのだろう。

「Magzter」はいろいろなニュース週刊誌に加えて、大手各紙の様々な地方版を読むことができるという点でも素晴らしく、とりわけ読み放題の「GOLD」に加入すると、その真価を発揮する。

アダーニー財閥

インドのアダーニー財閥関係の騒動が大変なことになっている。株式の時価総額がわずか1週間で半分になるとともに、総負債がGDPの1%超なのだとか。先日、同財閥の不正疑惑のニュースが出た直後から日々急展開が続いている。

同時にアダーニー氏がモーディー首相を始めとするBJPのグジャラート人脈と非常に親しい関係にあることから、癒着や国営銀行による不正融資の疑いなども以前から言われていたが、この関係でBJPは野党から突き上げを食らうなどしており、さらに大きな問題へとエスカレートしていく可能性もある。

このアダーニー財閥だが、ゴータム・アダーニー氏が一代で築いたエネルギーやインフラ関係企業を中心とするグループで、「アダーニーグループ」と称している。本拠地はアーメダバード。

アダーニーは、その名が示すとおりのジャイナ教徒だが、父親は衣類取引に従事する普通のバーザール商人だったようだが、ゴータム自身は大学をドロップアウトして、もともと繋がりのなかったムンバイのダイヤモンド業界に飛び込んで身を起こしたという、まさに徒手空拳のスタート。1990年代を目前にして独立を果たすが、その後はインドの経済改革開放の波に乗ることができたようだ。

2002年にグジャラート州でモーディー政権発足。その後さらに事業は拡大を続け、2000年代には海外進出(インドネシア等)を果たしている。アダーニーグループの成長ぶりは、とりわけモーディーがインド首相に就任してからの勢いが凄まじく、世界的な財閥へと台頭したのもこの時期なので、ごく最近のことだが、現在のインドでは港湾、空港、道路その他、「アダーニーが手掛けた案件」は星の数ほどある。

不正疑惑、癒着疑惑が言われるいっぽうで、インドの民放によるゴータム・アダーニー擁護とみられる取り扱いも少なくない。

インドにおいてメディアに対する政府の規制や圧力は効きにくいいっぽうで、財閥と近い関係にある大手メディアが多いため、その部分からのバイアスがかかることは珍しくないのだ。

先日、民放連ニュースチャンネルIndia TVの中の人気プログラム「Aap Ki Adalat(あなたの法廷)」というコーナーで、ゴータム・アダーニー本人が出演していることに驚いた。法廷に仕立てたスタジオで、司会者が検察側の立場で、被告役の出演者を糾弾したり、鋭い質問を投げかけたりして回答させるプログラムなのだが、「世界的な金持ちになる手法は?」「あなたをここまで注目の的として、この法廷に召喚される原因を作った会議派のラーフルをどう思うか?」といった質問をしつつ、アダーニーをインドが誇る世界的な実業家と持ちあげるなど、世間の騒ぎ何のそのといった具合で呆れ果てるほどだった。

このアダーニー財閥問題、今後の行方に注目したい。

アダニ、総負債がインドGDPの1%超 増資撤回が痛手に(日本経済新聞)

KANGRA VALLEY RAILWAY

昨年7月、モンスーンの大雨により起点のパンジャーブ州パターンコート駅からしばらく進んだ先の橋梁が落ちて以来、運行が休止されていたカーングラー渓谷鉄道だが、「そろそろ復旧」との報道。

パターンコート駅から終点のヒマーチャルプラデーシュ州のジョーギンダルナガル駅までを1日2往復、ジョーギンダルナガル駅のひとつ手前のバイジナート・パプローラー駅までを4往復する山岳鉄道だ。山岳といっても緩やかな丘陵地が多いのがこの地域だ。

インド国内の他のトイトレインと異なり、沿線に大きな観光地は存在しない(それでも文化の宝庫インドなのでマイナーな名所旧跡はある)こともあり、地元民たちの生活の足として機能しているため本数は比較的多いため利用しやすい。それがゆえに地元の人々からは運休が続いていることについて苦情が多いというのは、無理もない話だ。

Train service to be resumed on Kangra valley line soon: MP Krishan Kapoor (The Tribune)

なるべく安くインドへ

LCCも昨今はやけに高いし、帰りは書籍を買うので荷物は出発地から東京までスルーにしたい。円安と減便のため運賃は上がっているし、ロシアのウクライナ侵攻のせいもあり燃油サーチャージも上がるし辛いことになっている。いやチケット代が高いのは運賃というよりもサーチャージの高騰による部分が大半だ。

LCC以外でインド行きに強い(つまり乗り継ぎ同一キャリアで代金も低めの)航空会社はないかと探してみると、現状ではスリランカ航空がよいらしいことがわかった。しかも南インド中心に就航地が多いのも魅力だ。チェンナイやムンバイのような巨大都市を経ずに、そのまま目的地に着くことができるという場合も少なくないだろう。

しかし破産中の国のナショナルフラッグキャリアというのは、ちょっと気になる。とりわけ次の予定がかなり先のことであれば、なおさらのことである。

バゲーシュワルのバーバー

このところニュース(インドの)を点けると必ず出てくる「話題の人」となっているディーレーンドラ・クリシュナ・シャストリー。

MP州のバゲーシュワル・ダームのバーバーとして知られており、メディアからは「迷信を広めている」と非難されているわけだが、彼のアーシュラムで信者たちがトランス状態になっている様子、彼が信者たちに対して行うダルシャンで、相手の詳細を知らずとも何で悩んでいるのかお見通しで、的確なアドバイスを与えるとされている。

まだ26歳だか27歳で寺の主となり、背景がよくわからないことが多い不思議な「バーバー」だが、話や人のあしらいは上手いし、頭は良さそうだ。(そうでないとこんな立場にないし、メディアから「インチキバーバーだ」と騒ぎ立てられることもないだろう。)

カレッジをドロップアウトしたとは何かで聞いたが、この記事には「貧しい育ち゛数年前までリクシャー引きだった」ともある。

シャストリー姓は本当のようだからブラーフマン。ブラーフマンでリクシャー引きというのは別に珍しい話ではないが、リクシャーを引いていた若者が数年後に宗教者となり、政治家の庇護も得ており、怪しげな奇跡やトランスなどを使って大衆の注目を引き、マスコミから非難されるほどの存在に成りあがるとは、なんだかすごいサクセスストーリーのようにも思える。インドは実力社会だ。知恵(ときに悪知恵)と機転(ときに狡猾さ)でどんどんのし上がる者は各方面にいる。

善し悪しはさておき、エンターテインメント性の高いバーバーであるため、インド野次馬としては引き続き注目していきたい。まだまだ若いので、ある意味今後がますます楽しみでもある。

Why is godman Dhirendra Shastri of Bageshwar Dham trending? (dailyo.in)