新型コロナ感染者が再急増のインド

1月から2月にかけては、新型コロナウイルス感染症流行の沈静化が見られていたインドだが、再び急激に増加して、1日の発生が10万人越え。これまでで最悪の数字となっている。一時期は2万人台くらいまで下がっていたのだが。

単純に言えば、日本の10倍の人口規模のインドなので、1日の新規罹患者数が2万数千人というのは、同じく2千人台の日本とちょうど同じくらいと言えた。これが10万人となると、日本で言えば1日の罹患者数が1万人となった場合と同等。

ワクチン接種も粛々と進んでいるインドとはいえ、13億超という膨大な人口の前では、ウイルスと太刀打ちするのはなかなか難しいのかもしれない。

India’s Covid-19 outbreak at its worst (Hindustan Times)

水の飲みかた

これから日々気温が上昇して、もうすぐ暑季を迎えるインド。今週のインディアトゥデイの特集は水不足について。乾季にはすっかり干上がる河川も多く、地下水位の下落も年々深刻になっている。

今号表示写真のように、水の入ったコップやボトルに口をつけずに飲むのがインド流だが、古くは穢れを防ぐ観点からの所作とはいえ、現実的にウイルスや細菌等の経口感染症を防ぐためにも有効だ。病理学が確率していなかった時代にあっても、先人たちはそのようなことを理解していたのかもしれない。

ペットボトルの水もこうやって飲むと中に異物が交じることなく、衛生的に保つことができる。ぜひ日本でも広めたい習慣だ。最初は距離感がつかみにくいかもしれないが、飲水の入った器を唇に近づけてから少し持ち上げて、口の中に注ぐとうまくいく。慣れると、最初から中空にかかげて、写真の女性のように優雅に飲むことができるようになるので、ぜひお試しあれ。

インドが中国を抜いて世界一の人口大国となる日

2016年あたりでは、インドの人口が中国を追い越すのは2024年という予想であったが、最近はさらに3年先になりそうだということらしい。

まあ、人口が急増するのは良いことではないので、増えるならばジワジワといったペースのほうがマシだろう。

それはそうと、インドでは「若い人たちが多いなあ!」という気がする。

見た目は貫禄ある中年でも、脂ぎったおじさんやおばさんでも、実はまだ20代とか30代に入ったばかりという人たちも多いので、あんまり溌剌とした感じであるとも言えないのだが。

India likely to surpass China as world’s most populous country in next 8 years: UN (HealthWorld.com)

インドの偉大さ

先日ミャンマーで発生したクーデター。せっかく民主化してから10年経つというのに、時計の針を一気に戻してしまうような、せっかく軌道に乗って明るい将来を描こうとしていた経済が、これからどうなるのだろうか。ミャンマーからのニュースを目にして、耳にして、ふと思うのは、年中ゴタゴタが絶えない割には、揺るぐことのないインドの安定ぶりである。隣国パキスタンやバングラデシュでは、クーデターあり、政変ありで、目まぐるしいことが多いのだが、インドは時の政権が不人気で政局が流動的になることはあっても、国の根幹が揺らぐことはない。

いや、例外はあった。インディラーの時代に強権が独走した「非常事態権限」のころである。あのときは在野の政党や指導者たちと民衆が力を合わせてインディラーの独裁に抵抗した。決して長くはなかったが、そんな時期はあった。当時、軍の一部では不穏な動きもあったとのことで、もしかしから?という可能性はあったのかもしれない。

また、隣国との係争地帯を抱えるカシミール、同様に中国その他からの干渉がある「動揺地域」である北東部のいくつかの州は、そうした周辺国と連動性のある分離活動のため、本来ならば国境の外に向いているべきインド軍の銃砲が、地元市民にも向けられる状態であったため、「インドの民主主義の外」にあった。いや、「あった」という過去形ではなく、地域によっても今もその状態は継続している。そんな地域では、警察組織ではない軍隊に市民を尋問したり拘束したりする権限が与えられていて、さまざまな人権問題も発生しているのだ。

だが、そうした地域は例外的なもので、やはりインドといえば、独立以来ずっと今にいたるまで非常に民主主義的な国だ。

90年代以降のめざましい発展が言われるインドだが、まだまだとても貧しい国だ。日本、ドイツに次いで世界第5位のGDPの経済大国とはいっても、13億を軽く超過する、日本の10倍もの人口を持つがゆえのことで、一人当たりのGDPにならすと、わずか2038ドル。9580ドルの中国はインドの4.7倍だ。もう比較にもならない貧しい国である。

そして文字を読み書きできない人々は総人口中の23%。ひどい州になると33%にも及ぶ。今、西暦2021年なのに・・・である。そんな貧しい人の票もミドルクラスの裕福な人たちの票も等しく一票。投票所の投票マシーンには、政党のシンボルマークが描かれており、文字が読めない人でもそれを頼りに票を投じる。中央の選挙でも地方の選挙でも、ときどき不正があったのどうのという話は出るが、どんな不満があっても居座ったり、クーデターを画策するようなこともなく、敗者は退場していく。落選した議員、失職した大臣などが、政府から与えられた官舎から落選後もなかなか出ていかないというトラブルはあるようだが、公職に力ずくでしがみつこうとするような話はまずない。そのあたりは実にきっちりしている。さすがはインド。

スーチーさんは母親のキン・チーさんがインド大使であったため10代の一時期をデリーで過ごしており、現地で学校にも通っていた。当時首相であったネルーとも家族ぐるみの親交を持ち、24 AKBAR ROADにあった屋敷がキン・チーさんの大使時代に与えられていた。青春時代にインドの首都で「デモクラシー」の薫陶を受けたスーチーさんにとって、「民主主義インド」は彼女の理想かどうかは知らないが、ひとつの重要なモデルであるとされる。

それにしても、ネルーからこの24 AKBAR ROADの屋敷を使わせてもらっていたというのは大変なことだ。現在の国民会議派の総本部があるのが、まさにその場所なのだ。そのような重要なところに住まわせてもらっていたのが現在のスーチーさんを含めたキン・チーさん家族。インドと、そして初代首相のネルーと、実にゆかりの深い人だ。それだけに、今の時代になってもミャンマーでこのようなことが起きて、自宅軟禁となっているのは、なんとも皮肉なことである。

同時に、常々いろいろな問題や不正に満ちていながらも、「総体としてはしっかり」しており、「根幹は良識と法で守られている」インドに対して、いつもながら畏敬の念を抱かずにはいられない。「JAI HIND !(インド万歳)」という言葉が自然と口に出る外国人は、実に多いのである。

For Japan, Myanmar coup brings fears of threat to business, political ties (The Mainichi)

「アーリア人の谷」の気になる噂

ラダックのブロクパの人たちの地域、俗に「アーリア人の谷」とも呼ばれるところだが、そこにはチベット文化と仏教を受容したアーリア人たちが暮らしている。

「アレキサンダーの東征の末裔」という説もあるが、中央アジアのフェルガナ盆地に端を発するアーリア人たちの幾多の集団が、現在の欧州、イラン、南アジア等へと移動していく中である集団は定着し、またある集団はさらに先へと移動していった。こうした集団の中の小さなグループがたまたまこの地に定住して、現在に至っているのだろう。周囲はモンゴロイド系の人たちの地域ながらも急峻な山岳に遮られているエリアだけに、そのままコミュニティが残されたのだろうか。

そんな珍しい地域で嫌な噂が流れているのに気が付いたのは近年。「妊娠ツーリズム」というものがあるのだというのだ。「純粋なアーリア人の遺伝子を求めて子供を授かることを目的でやってくる欧米人女性がいる」という話である。

当初は根も葉もない与太話だと思っていたのだが、India Today傘下のニュース番組でも取り上げているところから、実際にそういう例はあったようにも思える。ナチスの優生思想ではあるまいし、「純粋なアリアン」が何だというのだろうか。アーリア人の血とは、それ以外の人たちにくらべて、そんなに尊いもののなか。

それとは別に「現地男性が女性旅行者に買われる」という倫理的な問題がある。言うまでもなく「女性が男性旅行者に買われる」というケースは世界中で多く、これも同様に倫理的に問題なのであり、「アーリア人の谷」でのこの件がそれらより大きな問題というわけではないのだが、こんな小さなコミュニティのもとで、そんなとんでもない「ツーリズム」が振興したとしたら、本当に大変な話だ。

それはそうと、この地に暮らす「アーリア人仏教徒」というのは、たしかにちょっとミステリアスな存在ではある。しかし「純粋なアーリア人」という意味では、チベット文化を受容しており、チベット仏教徒となっている人たちが多いことなどから、「純血種」というわけでもないように思う。灰色や緑色の瞳の人たちは多いが、総じて小柄で肌色は赤みがかって(これは日焼けか・・・)おり、風貌も先祖のどこかにモンゴロイドの面影を感じさせる村人も少なくないのである。長い歴史の中でどこかで他のコミュニティとの交流があり、混血が繰り返された過去があると考えるのが自然だろう。

まあ、いろいろ頭に浮かぶことはあるのだが、地域起こしに観光というものは手っ取り早く収益を上げることができ、放っておけば失われてしまう地元の文化を「観光資源」として守り育てていく効果もあるのだが、方向性を誤ると地元の文化やコミュニティをひどく傷つける、地域の評判を著しく落とすたいへん不健康なものとなりかねない。

このような「ツーリズム」は、ごく一部の非常に稀な事例に尾ひれがついて広まった「都市伝説」みたいなものではないかと個人的には思いたいのだが、とりあえずは今後の進展に注目していくしかない。

Pregnancy tourism in India (INDIA TODAY)