アレッピーのスタジアム

宿泊先のすぐそばにスタジアムがある。こうした円形の建物を目にするとワクワクするものである。

ちょうどピッチへの入口が開いていたので、これからピッチに向かう選手になった気分で入場してみたのだが・・・。

小石がゴロゴロ、雑草も生えたただの空き地という風情でガックリ。ゴールがあるからにはフットボールの試合で使われているはずだが、これは残念だ。

印パ激しい衝突へ

・・・といってもクリケットの話。

インドで自国開催のクリケットのワールドカップ。ちょうどナウラートリーのタイミングでパキスタンと対戦。インドのファンたちにとってもは勝つ以外考えられないカードのはず。

明日の大一番を前に、全国から人々が集まる旅客需要急増に対応するためにムンバイ・アーメダバード間などでは特別列車まで出るそうだ。アーメダバード市内の宿泊施設はすでに満杯、料金は何倍にも跳ね上がっているとのこと。

そんなわけで何とか宿泊しようと、市内の病院では地域外の人たちによる健診(泊りがけでの健診というプランがあるそうだ)の申し込みが殺到し、関係者は困惑しているらしい。つまり需要急増により料金が急騰したり空室そのものがなくなったりしている宿代りに病院の健診を利用しようというチャッカリ者たちが大勢いるということ。

試合開催地となるのは、その名も「ナレーンドラ・モーディー・スタジアム」。歴史上の人物名を競技場や空港名に冠することはよくあるが、存命でしかも現役首相のモーディーは、すでにそういう突出した存在ということ。なにしろ「独立後もっとも人気の高い首相」ということだから。良いか悪いかはともかく、右翼勢力が主流はとなる日が来るとは、1980年代あたりまでのインドでは想像すらできなかった。

パキスタンを迎え撃つには万全といった具合で、ライバルに競り勝つ前提で盛り上がっているのだろうけど、よもやここで負ける、しかも惨敗するようなことがあったら、ひどく暴れる者たち、ドサクサでともに暴れたり略奪に参加したりする者たちがたくさん出そうで怖い。

そんな懸念はあっても、ウクライナ、パレスチナのガザ地区と悲惨な戦争が起きている中、国と国とのぶつかり合いはスポーツだけにしてもらいたいところだ。

Cricket fans throng hospitals for overnight stay amid Indo-Pak hysteria (REUTERS)

勝利の女神が降臨 W杯決勝戦

ワールドカップの決勝戦、試合そのものの話ではないのだが、あのシーンを目にして「誰だ?あの神々しいまでの美女は?」「美し過ぎる、この世のものとは思えん!」と思った方はさぞ多かったはず。

トロフィーを披露する役回りで、映画女優のディーピカー・パードゥコーンが出ていたのだ。美貌と見事な8頭身は言うまでもないが、背丈が175cmくらいあるので、このような場で大変見栄えがする。

どういう経緯でここに出ていたのか知らないのだが、本大会に出場していないインドが決勝戦でこのような存在感を示したことに、侮れないものを感じた。

昨夜の決勝戦の場に姿を現したディーピカーという名の「勝利の女神」は、120分に及ぶ両者の激しい戦いを目にして迷いつつも、最後の最後で青と水色のユニフォームの側に微笑んだ。

だからアルゼンチンはPK戦を制することができたのだ。そして私たちはいつもなんとなく口にしていた「勝利の女神」は、実はインドからやってくることを知るに及んだ次第。

開催地、開催時期、全日晴天、サウジアラビアの大金星、日本の躍進、モロッコの大躍進等々、異例なことが多かった今大会は、やはり歴史的な大会であったことが、最後の舞台で大きく印象付けられた。

FIFA World Cup: Deepika Padukone unveils trophy in final – WATCH (THE BRIDGE)

ドーハの歓喜

ワールドカップのグループリーグE組の日本vsドイツの一戦、誰もが予想していなかった日本による後半の電光石火の2得点による逆転勝ち。大会の優勝候補筆頭格を相手に、日本におけるサッカー史上最大の金字塔を打ち立てることとなった。

ワールドカップに出場していない国でもワールドカップへの注目度は高く、南アジアでもとりわけバングラデシュ、そしてインドの東北部、西ベンガル州、カルナータカ州、ゴア州、ケーララ州など、サッカー人気の高い地域では熱も上がるが、このたびの日本のドイツが相手の勝利については、その前日にサウジアラビアがやはり大変有力な優勝候補の一角であるアルゼンチンに対して逆転勝ちを演じたのと同様に、驚きを持って報道されている。

Germany vs Japan Highlights: A World Cup of upsets – Japan stun Germany 2-1 with late strikes (THE TIMES OF INDIA)

World Cup: Japan bank on ‘insider’ knowledge (The Telegraph)

FIFA World Cup Germany vs Japan: फीफा वर्ल्ड कप का दूसरा उलटफेर, जापान ने 4 बार की‌ चैम्पियन जर्मनी को हराया (AAJTAK)

思えば今から29年前、1994年10月にこのドーハでアメリカワールドカップ・アジア地区最終予選の最終節、対イラク戦で2-1とリードして迎えた後半のロスタイム、コーナーキックからの得点で2-2に追いつかれて引き分けたことにより、勝点でイーブンであった韓国に得失点差で下回ったことからグループ3位となり、ワールドカップ本大会行きを逃すという惨劇が起きた。

まさにそのピッチ上で中盤選手としてプレーしていたのが現在日本代表を指揮する森保一監督。「悲劇」から30年近い年月を経て、このドーハの地で「歓喜」を演出したことに、因縁めいたものを感じる。

世界のトップクラスの代表を下すという歴史的な出来事となったが、目標へ到達するための通過点のひとつ。日本代表の次の試合は11月27日のコスタリカ戦、そして12月2日には、今大会の最強チームではないかと思われるスペイン代表とのゲームが控えている。グループリーグE組2位の位置を確保して、決勝トーナメントへ進出し、悲願のベスト8を達成できるよう期待したい。

ガチなアカーラー(道場)

マハーラーシュトラ州のコールハープルのアカーラー(道場)を見学したことがあるが、ここは強豪を輩出する名門らしく、極めてガチなところだった。

コロナ禍で寄附は減り、大会も開かれなくなるので賞金収入はなくなるわ、罹患者も増えるなどで、8ヶ月も休業していたそうだ。昔の安旅行者のドミよりもさらに狭苦しいところに詰め込まれての集団生活なので、クラスターでも起きれば全員道連れだろう。加えて2021年には洪水被害もあり、さんざんなコロナ禍だったらしい。

もちろん今は活動を再開しているそうだ。近所の人たちも暇つぶしによく来ているし、見るからに強豪といった感じのペヘルワーンたちの取り組みも間近に見ることができるためお勧めである。

あしたのジョーの丹下段平みたいな風情の親方がどっかり腰掛けて睨みを利かす中で、黙々と取り組みが進行していくストイックな空間だ。

Before and after the July 2021 flood: a wrestling akhada in Maharashtra’s Kolhapur district (Youtube)