Skype 今年11月10日よりインド国内からインド国内の携帯・固定電話への通信サービス終了

最近、Skypeからこんなメッセージが届いた。

Skypeのウェブサイトにもこのような記事が掲載されている。

11月10日から、インド国内にてSkypeの「Skype Out」のサービスによるインド国内の携帯電話や固定電話と通話することが出来なくなるのだという。インド国内のSkype間の通話やインド国外からインド国内の携帯電話や固定電話に発信することは引き続き可能であるとのことだが。

今回の措置についてSkypeによる説明はなされていないようだが、インド国内の通信会社の利権に関わる問題が生じてのことであると思われる。

Skype to block local voice calls from India starting November 10 (The Times of India)

上記の記事を読む限りでは、「Skype said that users will not be able to make calls to phones in India if they are based in India.」とあることから、インドに居住しているわけではなく、Skypeにインド居住者として登録しているユーザーでもないのであれば、同国内からの通話に差し障りがないようにも読めるかもしれないが、ユーザーがどこの国に居住していようとも、インド国内からの発信については、この措置の対象となる。

場所によってはSIMの購入があまり簡単ではない場所はあるものの、概ね簡単に購入できるし、インド国内の携帯電話の通話料金は廉価ではあるのでそれほど困ることはないかもしれないが、これまでごく当たり前に使うことが出来たものが、じきに利用できなくなることについては知っておいたほうがいいかもしれない。

今後、Viberの「Viber Out」についてもこのような形でのサービス停止が待ち受けているのかどうかはわからないが、これに続くことになるとすれば、やはりインドの当局の圧力によるものということになるだろう。

すごいインド

著者のサンジーヴ・スィンハさんとはずいぶん前に何度かお会いしたことがあるが、非常に快活、そして才気煥発という印象を受けた。そのサンジーヴさんが今年の9月に出したのがこの本である。これまで経済界の人たちによる数多くのインド論が書籍や経済誌等で世に出てきたが、この人の書いたものはやはり他とずいぶん違う。

インドからグローバルに活躍する人材が輩出する理由、理系人材が豊富なワケ、インドがIT大国となった背景にある初等教育の拡充等々について、彼自身の視点と体験から綴っていく。しかしながら一方的なインド賛辞となっているわけではなく、そうした部分での自国のネガティヴな側面、日本が大きくリードしている部分などについても大いに言及しており、何もわざわざ日本に来なくても、欧米などでも活躍できたであろう彼自身が、なぜ日本に惹かれて、日本を本拠地として活動している理由へと繋がっていく。

日本在住のインド人であり、インドでの財閥系メーカー勤務、日本ではIT、外資や日本の証券業界複数社で働き、その傍らでIIT同窓会日本支部の立ち上げ、その同窓会主催による「日印パートナーシップ」を謳う国際会議の開催、はてまたAAP (Aam Aadmi Party)を率いるアルヴィンド・ケージリーワル氏がIRS (Indian Revenue Service ※税務関係の中央政府公務員の上級職)を辞して政治活動に進出するきっかけを作った腐敗糾弾の署名活動の発起人であるなど、精力的に日々を過ごしてきただけではなく、そうした多忙な日々の中で日本での社会生活に埋没してしまうことなく、インドとの繋がり、しかも個人の交友レベルではなく、財界や政界との縁をも切り拓いてしまう才覚と行動力があるのが頼もしい。

すでに会社員生活を辞めて、2008年にサンアンドサンズグループというコンサルタント会社を起業して、日印経済の架け橋として活躍中。もちろん彼自身も「インド発のバリバリやり手の人材」であるわけで、これからインドに進出を考えている企業の方などは、この本を読んで「ぜひこの人物に相談してみたい」と思うことだろう。日本在住歴の長いサンジーヴさんらしく、非常に謙虚な表現で書いてあるにもかかわらず、読者に対し自身を強く印象付ける経歴書でもあるところがまたすごい。

日本を活動の本拠地として、業務で日印間を足繁く通うサンジーヴさんは、日本で活躍するインドの人であるとともに、インドに日本を伝える「日本のグローバル人材」だ。今後のさらなる活躍がいろいろと伝えられることだろう。

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書名:すごいインド: なぜグローバル人材が輩出するのか(新潮新書)

出版社:新潮社

著者:サンジーヴ・シンハ

ISBN-10: 4106105853

ISBN-13: 978-4106105852

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Namaste Bollywood #41

Namaste Bollywood #41

ナマステ・ボリウッド#41が発行された。今回の特集は10月中旬に東京、高崎、大阪の三つの会場で開催されるIndian Film Festival Japanである。

今年で3回目となるこの映画祭は、東京(ヒューマントラストシネマ渋谷)においては10月10日から17日まで、高崎(シネマテークたかさき)と大阪(シネ・ヌーヴォ)では10月18日から24日までが会期となる。

10月10日のオープニングイベントに出演するために来日するのは誰か?!というところも大いに興味をそそるところであるが、今回の映画祭もまたMadras Café、Barfi !、Pied Piperその他のキラ星のような傑作タイトルがその名を連ねているので、大いに盛り上がること間違いなし!

2015年に日本公開となるであろうボリウッド映画の予測、ボリウッド都市伝説の検証その他のカラフルな記事を読み進んでいくと、今後日本の劇場で鑑賞できるムンバイー発のヒンディー語映画の幅が更に広がっていくことを期待せずにはいられなくなる。

なお、同誌のフリーペーパー版はこれが最終号となり、次回からは増ページした有料版へ以降するとのことで、更にパワーアップした誌面を楽しみにしたい。

購入方法等については、やがて同誌のウェブサイトにて案内がなされることと思うが、詳細が明らかになればindo.toでもご紹介したいと思う。

ヘーマント・カルカレー氏夫人死去

2008年11月26日にムンバイーで発生した大規模なテロ事件からもう6年が経過しようとしているが、あのときの衝撃は今も鮮やかに脳裏に刻まれている。その日、現場に居合わせたわけではなく、複数の現場からのライヴ映像を流すインドのニュース番組に釘付けになっていたのだが。

次々に伝えられる虚実が入り混じった情報の中、事件が起きた11月26日から同29日にこれが終結するまでという長時間に及ぶ悲惨なテロ事件が、電波に乗って中継されるという未曽有の出来事であった。テレビニュースから垂れ流しにされる様々な報道は、同時にテロリストたちの現状把握の助けにもなってしまうという皮肉な側面もあり、報道の自由や国民の知る権利について、このような事態の元にあっては何かしらの制限をかけるべきではないかという議論もあった。

そんな非常事態下ではあったが、わずか10名の実行犯により、164名の死者、308名の負傷者(数字には諸説あり)に及んだこと、足掛け4日間という長期戦となってしまったことについては、テロに対する大都市というものの脆弱さを憂うとともに、当局の手際の悪さについて厳しい非難を呼ぶことにもなった。

そんな中で、現場の警察官たちは精一杯頑張っていたことについての一定の評価もあり、実行犯のひとりのアジマル・カサーブ(2012年11月に絞首刑)をほぼ素手で生け捕りにした巡査たちの勇気やテロリストたちの銃撃により殉職することとなったムンバイー・アンチ・テロリスト・スクウォッド(ATS)のチーフのヘーマント・カルカレー氏について、メディアで大きく取り上げられていた。

Anti Terror Squad head killed in Mumbai Terror Attack Hemant Karkare (Youtube)

そのカルカレー氏のカヴィター夫人は、夫の死に関して治安組織の装備に関する不手際について非難の声を上げており、ヘルメットや防弾チョッキ等の強度が基準を満たしていないものであるという事実が明るみに出るなど、テロ対策に当たる組織のありかたについての不安について大きな波紋を呼ぶこととなる。

カルカレー氏は、自らが所属する警察組織から事件に関する最初の一報を受けたわけではなく、自宅でテレビを観ていたら、この事件を伝えるニュースが流れたため、取り急ぎ職場に急行したということにも、私自身は大きな不安を覚える。警察内部での反応よりも、報道のほうが早かったということが事実であるとすれば、である。この部分については夫人が糾弾していたわけではないようだが。

一男二女の母であり、大学講師でもあるカヴィター夫人は、事件後しばらくはメディアで取り上げられる機会が多かったが、脳溢血で倒れて昏睡状態となり亡くなった。夫を失った悲嘆とともに、数多くの心労もあったことだろう。ご冥福をお祈りしたい。

だが、彼女の場合は、夫がIPSのエリート警官であり、テロ対策チームを率いる立場であったがゆえに、また事件後にこうした業務に従事する警察官たちの装備等に関する疑問を呈して世間に知られることになったがゆえに、このように報じられることになったわけだが、カルカレー氏のようにテロ実行犯と対峙して殺害された多くの治安対策組織の人々、事件に巻き込まれて命を落としたり、大きな障害を負うことになった人たち、またそれらの人々の家族もあるわけで、生涯に渡って自分の落ち度によるものではない深い傷を負って生きていくことになる。

いかなる理由や動機があろうとも、テロ行為を正当化することは出来ないということは、広く共有される認識であるはずだが、それでもこのような事件は世界各地で後を絶たないことは誰もが憂うところである。

東京都内のインド料理店

従来、多くの「インド料理店」とは、ムグライ料理やパンジャーブ料理といったインド北西部の料理が大半であった。その経営者や従業員も主にインド北西部かネパール、パーキスターンから来た人々というケースが多く、どこも似たり寄ったりの食事を提供していた。

そのため、インド料理といえばタンドゥーリー・チキンやケバーブ、そしてナーンが必須であるかのように捉えられていたりするようだ。

そんなわけで、南インド料理を標榜するレストランでもこれらのディッシュがメインメニューに挙げられていたりして、ちょっと何だかなぁ?と思ったりする人も少なくなかったことだろう。もちろん現在も同様で、新しくオープンした料理屋を覗いてみても、往々にしてそんな具合。

ちょっと趣向の違う感じの店となると、飲み屋主体の店などもあるが、そうしたところでは「メイン」の品目に入っているタンドゥーリー・チキンとやらが、タンドゥールで焼いたものではなく、食紅だかパプリカだかで赤く着色した鶏肉のブツ切りを油で揚げたものになってしまっていたりして、これまたたまげてしまう。知り合いのヒマーチャル出身のオジサンがやっている「オヤジの手料理」的な店では、おそらく簡単に手に入るし、冷凍の大きな半身を買うと安いからなのだろうが、魚料理にシャケ(!?)を用いていて、これまた困ってしまうのである。こんな具合だったら、東京で「標準化」されたありきたりの店のほうがよっぽどマシだったりするのだ。

だがそんな状況の中でも、インド各地の料理で勝負する店もいくつかあるようだ。

インド料理の固定観念が180度変わる珠玉の12軒in東京 (mecicolle)

個人的には、ピュア・ヴェジながらも多彩な小鉢とバリエーション豊かな味わい、食事の最中にこれまた様々な甘味類が提供されるグジャラーティー・ターリーの専門店が出来たら楽しいのになぁ!と思ったりもする。

グジャラーティー・ターリー

次々にいろんなアイテムが気前よく提供される中で、「ライスを頼んだらシメの合図」というグジャラーティー・ターリーのお約束事は、米食文化の日本には合わないはずではあるけれども。いや、それよりも大変高価なターリーとなってしまいそうで、なかなか手が出ないものになるのではないかと心配したくなったりもする。