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  • 富士通 Scan Snap iX500購入

    富士通 Scan Snap iX500購入

    先月、富士通 Scan Snap iX500と題して取り上げてみた新型のドキュメント・スキャナーを購入した。

    スキャナー単独で、Wi-Fi接続によりスマートフォンやタブレットへのデータ転送が可能となるという新機能が追加されているが、やはりスキャナーとしての基本性能の向上ぶりには目を見張るものがある。

    他メーカーからもいろいろ出ているドキュメント・スキャナーだが、読み取り画質や速度はともかく、メーカーやモデルにより大きく異なるのは、給紙性能のようだ。

    具体的には、用紙の重なりの検出であったり、読み込みトレイに積んである用紙の山の中から、1枚ごとに正確に引き離して読み込んでいく性能であったりする。

    Scan Snapの前モデルS1500は、その点で評判が良かったのだが、それでも紙質により重なりが続出して大変なことが少なくなかった。とりわけ、黄色がかるくらい古くなった紙、薄手の光沢紙は苦手のようで、数枚読み込むごとにエラーが発生するなど、まだ発展途上の製品という思いがしたものだ。とりわけインドの書籍の場合、やはりこれも紙質の問題なのか、古くなくても、光沢紙でなくてもトラブルが頻発する傾向が高かった。

    そんなわけで、11月末の発売間もなく購入したiX500。使用感は上々だ。読み込み速度は25%向上したとのことだが、体感では倍くらい速くなったかのように感じる。

    理由は、用紙読み込み時のエラーの発生がほとんど起きなくなったことにもよるだろう。前モデルでは不具合が頻発した古くなった紙、薄い光沢紙でも難なく、ただ黙々と読み込んでいく。もちろんインドの書籍も同様で、Scan Snapもようやく「インド対応」になったようだ。

    自宅の書籍をどんどん電子化していく、いわゆる「自炊」作業がどんどんはかどりそうで、大変期待している。

    Scan Snap iX500
  • Magzterでインドの雑誌を読む

    Magzterでインドの雑誌を読む

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    昨年からインドの雑誌類の購読がずいぶん楽になった。iPadやアンドロイドOS搭載のタブレットPC等で、販売されているものと同じ誌面を読むことができるMagzter社のサービスが開始されたのは、2011年6月のことだ。同社は、アメリカのニューヨークを拠点とするインド系の企業である。

    目下、私が年間購読しているのは、ニュース雑誌のIndia Today(ヒンディー版)と旅行マガジンのIndia Today travel Plus (英語版)のみだが、他誌で気になる内容のものがある場合には、その都度個別に購入している。とりわけ注目しているのはNortheast Todayという月刊誌。普段、地域外で扱われる機会が少ないインド北東地域のニュース専門誌だ。

    ただし、個別に購入するのに比べて、年間購読のほうがはるかに割安だ。たとえば週刊誌の場合は年間に10回購入、月刊誌の場合も5~6回購入した時点で、年間購読契約をしたほうが安くなる。なるべくそのようにしてもらうよう誘導しているのだろう。

    定期購読していない雑誌の個々の号について、プレビューできるページがいくつかあり、内容について多少の見当を付けることはできる。

    私自身は英語とヒンディーしか分らないが、ベンガーリー、マラーティー、タミルその他の各地方語誌の取り扱いもいろいろある。また、ごく一部近隣国の雑誌も購買・購読することができる。雑誌の分野も、ニュース、ファッション、教育、映画、自動車、写真、音楽、スポーツ、IT等々多岐に渡っている。私には縁がないが女性誌の扱いも多い。

    電子書籍として、利用している端末に自動的にダウンロードされることになるのだが、印刷や輸送の手間がかからないためだろう、前述のIndia Todayの場合、本来の発行日の前々日夕方には手元に届いてしまうため、紙媒体で読んでいる人たちよりも一足早く記事を目にすることができるというメリットもある。

    同じアカウントでログインしていれば、異なる端末(タブレットPCやスマートフォン)でも購入した雑誌を共有できるし、同じくパソコンからの閲覧もできる。紙媒体であれば、まさにそれを手にしていないと読むことができないが、これならばいつでもどこでも記事にアクセスすることが可能。また、一度端末にダウンロードされた誌面はそのまま本体に保存されるため、オフライン状態でも普通に読むことができることは言うまでもない。

    ただ、同社のサービスで少々気になる部分もある。一部ずつ購入する分には問題ないが、定期購読契約をする場合のことだ。支払い手続きはiTunesあるいはGoogleのアカウントからなされるため、とても簡単である反面、解約はMagzterのアプリ上で行なうのだが、やりかたが少々判りにくい。加えて、自分から解約手続きをしないと自動更新になってしまうし、その更新月についても、Magzter社側から連絡が届くわけでもないため、そのあたりについては留意が必要だ。やはり、そのあたりはインドの会社なので(?)気を抜けない。

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  • 富士通 Scan Snap iX500

    富士通 Scan Snap iX500

    2年以上前に、「ドキュメント・スキャナー」と題して、書類スキャナーのベストセラー、富士通のScan Snap S1500を取り上げてみたことがある。

    このスキャナーのおかげで、自室にかなりスペースを確保することができた。それでもまだまだ書籍類がいろいろあるので、ある程度まとまった時間ができると、これらをS1500でドカドカ読み込んではPDF化する作業を進めている。簡単に言えば、背表紙を切り離した書籍を読み込み台に挿入すれば、自動的に次々読み込んでいってくれる。1分間あたり40ページくらいのスピードなので、単行本一冊を電子化するのはごく簡単だ。

    スキャナーとしては、他社の類似製品をまったく寄せ付けない非常に高い評判を得ているS1500ではあるが、決して弱点がないわけではない。紙が変色するくらい古くなっていたり、表面が粗い感じの手触りがする用紙を使用している場合、数ページ読み込むごとに紙詰まりや用紙の重なりが多発することは珍しくなく、そうした書籍のスキャニングには往生したことがよくある。特にインドで発行された書籍の場合、こういうトラブルが発生する確率は高い。

    重ねた紙を一枚一枚剥離させて吸い込んでいく給紙機構の部分は消耗品なので、一定の枚数(部品によって5万枚だったり、10万枚だったりする)で寿命となるため。これらを交換すれば再び快適に動作するはずなのだが、やはり苦手とするタイプの用紙の際にはいろいろと不具合が起きた。そうでなくとも、普通に調子良く読み込みがなされていく中で、なぜか特定のページだけは、まるでその紙に呪いでもかかっているかのように何度繰り返しても重なってしまうということもときどきあるのはなぜだろう?

    このたび発表されたScan Snapの新モデル、iX500は、読込速度が25%高速化し、しかもパソコン無しでそのままタブレットPCやスマートフォンに転送できる機能も搭載されているとのことだ。デジタル製品の性能はそのように飛躍的に進化するものだが、個人的により注目しているのは、給紙機構が一新されたことだ。これにより、読み込み時の重なりや紙詰まりが低減されていることを期待したい。

    発売は11月末。給紙の正確性が明らかに向上していることが確認でき次第、購入する予定。

    Scan Snap iX500

     

  • 平凡社新書 インド財閥のすべて

    平凡社新書 インド財閥のすべて

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    書店店頭で見かけたこの書籍、新書版の一冊で「インド財閥のすべて」とは、なんと大げさな!と、少々憤慨しつつ手に取ってみた。

    ところがどうして、ページを開いて読み進んでいくにつれて、インド経済史に通じた人物が、綿密なリサーチと膨大なデータを背景から丁寧に抽出されたエッセンスであることがわかる。

    著者が経営する株式会社ネクストマーケット・リサーチのウェブサイトにアクセスしてみると、インド関係その他で興味深い経済関係の記事がリンクされている。

    19世紀に阿片貿易によって大きな富と力を蓄えたインド商人は少なくなかったが、ターターやビルラーといった財閥もこの例外ではない。インドから上海や香港といった中国大陸のビジネスの拠点を経て多国籍化していったユダヤ系資本もまた同様だ。

    個人が興したビジネスが財閥として発展していく中で、事業が時流に乗って拡大していく中で、当然のことながら政治との結びつきは重要ではあるものの、やはり時代とともに浮き沈みは激しい。

    親類縁者で中核をガッチリと固めた財閥が多いものの、その内部では身内同士での骨肉の争いは日常茶飯であり、しばしば組織の分裂をもたらすこともある。

    経済の自由化以降、事業の整理ないしは新規分野への積極的な進出、外資との合従連衡が不可欠となり、流れに乗り遅れた財閥はかつての栄華の見る影もなくなっていたりする。

    インドで、こうした財閥について書かれた書籍は少なくないが、日本語で「インドの財閥」を広く俯瞰した本は多くない。また内容が新しい(2011年9月発行)こともあり、現在のインド経済や財閥系企業の歴史について多少なりとも関心のある方には必読の一冊である。

    インド財閥のすべて (平凡社新書)

    著者:須貝信一

    ISBN-10: 4582856047

    ISBN-13: 978-4582856040

  • Namaste Bollywood #34

    Namaste Bollywood #34

    Namaste Bollywood #34

    Namaste Bollywood#34が発行された。今号ではボリウッド映画界とベンガルとの繋がりに焦点が当てられている。

    近世以降、文学、絵画、演劇といった様々な方面の芸術が豊かに花開いてきたベンガル地方由来の小説を下敷きにしたボリウッド作品はいろいろある。そうした文化的な背景もあってのことかと思うが、ベンガル出身あるいはベンガル系の血筋の演技者も多い。ベンガル出身の芸術映画、左派映画の製作者も多いことは広く知られているが、たぶん製作者以外にも映画関係で撮影や舞台装置その他の技術系の仕事に携わる人の中にもベンガル系の人々が占める割合は少なくないことだろう。

    さて、今号には日本のボリウッド映画ファンが、決して見逃すことのできない大変重要なニュースが掲載されている。10月6日(土)から12日(金)に渡って開催されるインディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン。東京の会場はオーディトリウム渋谷で、大阪の会場はシネ・ヌーヴォである。この期間中に上映される映画は合計23本。どれも選りすぐりの素晴らしい作品だ。東京と大阪とで、それぞれの作品の上映日時が異なるのでご注意願いたい。

    過去の『インド映画ブーム』により、ある程度以上の年齢の日本人観衆の間に定着してしまったインドの娯楽映画に対する「単純明快」「勧善懲悪」「唐突に挿入される歌と踊り」「ハッピーエンド」等々の紋切型かつどれもがB級、C級といった誤ったイメージを払拭(そうしたイメージを抱いて映画祭を観賞した人はこれまでと考えを180°転換させることだろう)して、個々の作品のクオリティの高さを正当に評価するきっかけになることを願っている。

  • TRANSIT第18号 美しきチベット

    TRANSIT第18号 美しきチベット

    TRANSIT 第18号

    季刊誌(年4回発行)TRANSITの最新号はチベット特集。主に取り上げられているのは中国占領下のチベット(中国政府は「西蔵自治区」を自称)、ブータン、インドのダラムサラとラダック。旅行関係の出版物だけあり、豊富でカラフルな写真や図版が楽しい。

    色々な方面の執筆者による記事が満載だが、それらの中で意外であったのは、「日本で触れるチベット仏教」と題されたもの。今までまったく知らなかったが、広島市にある高野山真言宗牛田山龍蔵院内に、デプン・ゴマン学堂日本別院という、日本初のチベット僧院があるのだそうだ。

    チベット僧院といっても、チベット式の建物があるわけではなく、龍蔵院の敷地内に間借りしているとのこと。

    書店で見かけたら、ぜひ手に取ってページをめくってみることをお勧めしたい。

  • 越境フットボーラー

    越境フットボーラー

    2000年代に入ってから、欧州のトップリーグで活躍する日本人サッカー選手がずいぶん増えた。日本代表クラスは言うに及ばず、日本の高校サッカーからJリーグを経ることなく、イングランドのアーセナルに加入した宮市亮選手のような例もある。

    彼はイングランドの査証取得の問題から、オランダのフェイエノールトに期限付き移籍、アーセナルに復帰後に再び期限付き移籍でボルトンにてプレーしている。日本人プレーヤー海外組の中で、今後が最も期待される選手のひとりだ。

    欧州のトップリーグでプレーする日本人選手の話題がいろいろ取り沙汰される中で、アジア各国のリーグで活躍する選手もまた少なくない。昨年、「MNL (Myanmar National League)に日本人選手」と題して取り上げた伊藤壇選手は、その中で最も知られているプレーヤーだろう。

    それらを含めた海外組の中で、一般的に自国のJリーグよりも格下とされているリーグで活躍している選手の動向は、日本にはあまり伝わってこないため、他にはどんな選手がいるのか、どういう環境でプレーしているのかといったことについては、ちょっと見当もつかないという人が大多数かと思う。

    今年1月に発行された「越境フットボーラー」という本では、そうした選手たちの生き様が描かれている。

    書名:越境フットボーラー

    著者:佐藤俊

    発行:角川書店

    ISBN:978-4-04-110074-5

    巻頭で取り上げられている、先述の伊藤壇選手は、1年1か国と決めて、アジアでこれまで12か国・16チーム目のネパールのMMC (Manang Marshyangdi Club)に在籍している。昨年は、ミャンマーのラカプラ・ユナイテッドFCにて、一昨年はインドのゴアを本拠地とするチャーチル・ブラザーズSCでプレーしていた。これまでほとんど代理人を使わずに、自ら現地に乗り込んで「道場破り」スタイルで道を切り開いてきた猛者だ。

    日本でJリーグに在籍したことがなく、高校フットサル部出身で、ペルーや欧州のマイナーなリーグで武者修行の末に、アルバニアでプロ選手になった中村元樹選手、日本サッカー界のいわゆる黄金世代に名を連ねた酒井友之選手は、インドネシアでプレーを続けている。JFLで戦力外通告を受けた星出悠選手は、トリニダード・トバゴで活躍した後、現在はフィリピンでプロサッカー選手生活をしている。

    日本のファンの注目を一身に集めることはないが、諸国のチームを渡り歩く選手たちの波乱に富んだサッカー人生は、チャレンジ精神と日々の精進、度胸と強烈なプロ意識の賜物だろう。非常に興味深く読ませてもらった。

    この本で取り上げられている4人以外にも、アジア各地でプレーする日本人は多い。インドのIリーグでも和泉新選手末岡龍二選手といったプレーヤーが在籍している。

    ところで、シンガポールのSリーグにありながらも、所属選手が全員日本人のアルビレックス新潟・シンガポールのような例を除けば、海外のリーグで、現在最も日本人プレーヤーの層が厚いのは、タイ・プレミアリーグだろう。

    今年1月に引退した財前宣之選手は、U17、U19時代には同世代の中田英俊よりも評価が高い時期もあったほど才能に恵まれたプレーヤーであったことを記憶している人は多いだろう。非凡な才能に恵まれながらも度重なる大きなケガに苦しみ、2009年にJリーグを離れた後、2010年にタイ・プレミアリーグのムアントン・ユナイテッドに加入。2011年に移籍したBECテロ・サーサナFCで選手生活を終えた。

    タイのサッカー界における日本人選手の貢献度もなかなかものものであるようだ。昨年のベストイレブンに2名の日本人選手が名を連ねている。

    タイ・プレミアリーグ2011 ベストイレブンに日本人2名選出!(wakusaka.com)

    先月には、ジュビロ磐田のDF本田選手がタイのクラブチームに移籍するというニュースもあった。

    磐田のDF本田、タイ・リーグへ移籍 (sanspo.com)

    日本でサッカーが国民的なスポーツとして定着して久しい。国内での競技人口の拡大とともに、経済成長目覚ましいアジア各国(残念ながら日本はその例外だが・・・)で隆盛する各地のリーグにて、プロとして活躍の場を求める日本人選手は今後さらに増えていくことだろう。ちょうど草創期のJリーグに欧州や南米からやってきた往年の名プレーヤーたち、まだ若く野心的な選手たちがキャリアアップのために上陸してきたように。

    今まさにその歴史が形作られつつあり、現在そうした国々のリーグで活躍する選手たちは、その先駆者たちであるといえる。自国内では無名だった日本人選手が、アジアのリーグから日本のJリーグに逆上陸して名を上げる日もやってくるかもしれない。

  • 紅茶スパイ

    紅茶スパイ

    中国からインドに茶の木と栽培法を伝えた功績で知られる植物学者ロバート・フォーチュンの試行錯誤を軸に描かれた、紅茶をめぐるノンフィクション作品。

    イギリス東インド会社の依頼により3度中国に渡った彼だが、その中で2度目の中国行き(1948年~1951年)での任務は、当時の中国において門外不出であった茶の秘密を得ること。茶の木と栽培技術を密かにインドに移すことであった。

    折しも、ウォードの箱の発明により、植物の長期間に及ぶ輸送が可能となっていたという背景がある。観賞用としてシダやラン、工業用の作物としてのゴムの木等々の苗の大陸間での移送が可能となり、当時海外植民地を持っていた列強国にとって、新たな富の創造を可能とするものであった。

    インドに持ち込まれた茶の木は、当初U.P.のサハラーンプルの植物園で栽培されていたが、当時スィッキム王国から割譲されたばかりであったダージリンが、茶の生育には天恵といえる好適地であったことにより、質・両ともに本場中国を凌ぐ茶の生産の一大拠点として発展していくことになる。

    1957年に発生したインド大反乱により、イギリス東インド会社がインドで得ていた特権は剥奪され、本国の君主が英領インド帝国の皇帝となることにより、それまで250年間もの間に亜大陸の貿易港の商館での取り引きから、この地域のほぼ全土を掌握するに至っていたこの「会社」による支配は終焉することになったが、その「会社」がこの地に残した最後の大きな遺産のひとつが茶の生産であった。

    インドでの茶の栽培の進展は、それまでの茶葉の貿易事情に大きな変革をもたらし、茶をたしなむ習慣の大衆化を推し進めることにもなった。イギリスにおける磁器産業の発展も、まさにこうした茶器需要あってのことでもある。

    フォーチュンは、日本との縁も少なからずあり、東インド会社とは無関係な仕事で1860年から1862年まで中国と日本に滞在している。植物学者として、またプラント・ハンターとしても当時第一級の知識と腕前を持つ人物であったが、同時にビジネスマンとしての才覚も人並み外れたものがあったようで、この時期の極東滞在で大きな財産を築いたとされる。

    この本のページをめくりながら、休日の午後のひとときを過ごしてみると、手にしたカップの紅茶の味わいがことさら愛おしいものとなることだろう。

    書名 : 紅茶スパイ

    著者 : サラ・ローズ

    訳者 : 築地誠子

    出版社 : 原書房

    ISBN-10 : 4562047577

    ISBN-13 : 978-4562047574

  • ラダックの旅行案内書

    ラダックの旅行案内書

    インドのガイドブックといえば、日本の出版社から出ているものはもとより、欧米やインド国内で出ているものまで、また国全体を包括する内容から特定の地域について取り上げられているものまでいろいろある。 そうした中で、今年6月にこんな旅行案内書が発行されている。

    書名:ラダック ザンスカール トラベルガイド

    著者:山本高樹

    発行:ダイヤモンド・ビッグ社

    ISBN:978-4-478-04267-0

    地球の歩き方のGEM STONEシリーズの中の一冊である。私自身は、取り上げられている地域や場所が少ないため、地球の歩き方というガイドブックはほとんど利用したことがないのだが、ラダックとザンスカールに特化したこの本は、ラダック取材をライフワークという著述家であり写真家でもある著者の手によるものだけに、内容が充実している。

    文章だけでは表現できないものが多々あるのはどこの国や地域でも同様だが、とりわけラダック地方においては、乾燥した高地であることによる空の青みの鮮やかさや透明感を含めて、そこを訪れてみないと想像できない部分が多い。

    美しい写真がふんだんに用いられたこの案内書は、眺めているだけでもワクワクしてくる。140ページ強というスペースの中に占められる画像が多い分、テキストの分量は制限されてくるにもかかわらず、丁寧に各地の見どころの紹介がなされている。

    この地域を訪れることを予定されている方に、ぜひお勧めしたい一冊だ。

  • Kasab: The Face of 26/11

    Kasab: The Face of 26/11

    Kasab : The face of 26/11

    パーキスターンのパンジャーブ州出身のアジマル・カサーブといえば、同国の悪名高き過激派組織ラシュカレ・トイバにより、2008年11月28日にムンバイーで発生した大規模なテロ事件の実行犯の中で警察に拘束された唯一のメンバーとして知られている。

    彼の生い立ち、過激派との接触と組織への加入、武闘訓練、ムンバイーへの潜入、彼が担ったムンバイーCST駅での銃乱射とそれに続く附近の病院での銃撃、市内での逃走と逮捕、警察による尋問と裁判の過程等々がつぶさに描写されたノンフィクション作品が、この『Kasab: The Face of 26/11』と題する一冊である。著者はムンバイーを拠点に活動するインド人ジャーナリスト、ロメル・ロドリゲス。

    ファリドコートという村で生まれ、10代で家を出てからラーホールでケータリング・サービスの職場で働いて自活する、どこにでもいる普通の少年であったカサーブだが、単調な日々に飽き足らず、知り合った仲間たちと「もっと割のいい仕事を」と窃盗を繰り返すようになっていった。

    反社会的な生活に浸かったカサーブは、やがて武器に興味を抱くようになり、銃器類の訓練を受けられるからという理由で過激派組織と接触するようになっていく。そうした反抗期の只中にあるような年代を巧みに扱うことに長けた組織の中で、各種のトレーニングを積んだテロリストとして養成されていく。カサーブ本人は、まさに自分の居場所を見つけたと認識していたのだろう。

    訓練地から訓練地への移動の間、あるいは休暇で帰省する際などに逃亡して姿を消すメンバーも少なくなかったようだ。それでもカサーブは脱落することなく組織の命令に従っていった。

    やがて組織は、他の選抜されたメンバーとともに、カサーブをスィンド州に送り、洋上での訓練とともに『ミッション』遂行のための最終訓練を施して、海路ムンバイーへと送り出し、中途でハイジャックしたインドの漁船、クベール号でムンバイーへの上陸を果たす。

    犯行グループのリーダーであったイスマイルとともにタクシーでムンバイーCST駅に乗りつけるまでの間、彼は車内に時限爆弾を仕掛ける。「釣りは要らない」と手渡された大きな額面の紙幣に喜んだ運転手は、駅の駐車場から発車して市内を走行する間に車体が爆破して帰らぬ人となる。

    タージマハル・ホテル、オベロイホテル、ユダヤ教関係施設のナリーマン・ハウスに乗りつけた他の犯行メンバーたちも、利用したタクシーに同様の手口で爆弾を仕掛けて、事件の「同時多発性」を高めることにより、警察の対応の攪乱を図っていたようだ。

    カサーブとイスマイルの犯行目標となったムンバイーCST駅や近隣の病院にしても、この事件における他の実行犯の攻撃目標となった高級ホテル等にしても、現場で誰彼構わず銃弾の雨を降らせて多大な死傷者を出す残忍極まりないものであった。

    この作品では、カサーブの家族や交友関係、パーキスターンの過激派組織内の人間模様、彼らの犯行の犠牲となった市民や彼らと果敢に対峙して殉職したインドの治安組織の職員等々の人々の生活背景にも踏み込み、誰もが忘れもしない『26 Nov.』とそこに至るまでの道のりの多角的な検証がなされている。

    こうした大規模なテロ事件の実行犯が生け捕りにされること自体が異例であったが、まさにそれがゆえに明らかになった部分もまた多い。

    あまりに大きな事件を引き起こした犯人たちのひとりであるカサーブに同情の余地はまったくないが、裁かれるべきは過激派組織のツールのひとつに過ぎないカサーブ自身だけではなく、その目的のために彼とその仲間たちを訓練し、犯行を逐一指導してきた黒幕の面々でもあるのだが、そこにはインドの司法は及ばない。

    こうした集団の存在を許し、排除どころか規制すらできないパーキスターン政府の機能不全ぶりには、怒りとともに限りない恐怖感を抱かずにはいられない。隣国にそうした行政・統治がある限り、インド側の市民が隣国に信頼を置くことはあり得ず、インドの情報機関もまた、こうした集団の所在や訓練地などについて精度の高い確信を抱きつつも、自国の権限が及ばないところにあるだけに、手出しが出来ないことをもどかしく思うのも無理はない。

    分離独立以来続くカシミール問題はともかく、パーキスターンにテロの実行集団を抱える過激派組織があり、これらの活動を同国の政府が野放しにしている限り、印パ間での善隣外交などあり得るはずもない。

     

    書名:Kasab: The Face of 26/11

    著者:Rommel Rodrigues

    出版社:Penguin Books

    発行年:2010年

    ISBN-10: 0143415476

    ISBN-13: 978-0143415473

     

  • 電子書籍

    英文出版大国インド。自国インドの様々な分野における興味深い書籍が大変多いのだが、流通面ではいつでもどこでも手軽に何でも手に入るという具合になっているとは言い難い。

    大都市の大きな書店に行けば、いろいろと購入したくなるものがあるとはいえ、やはり特定の対象についてドカッとまとめ買いするには、各出版社のショールームに足を運んで見繕ったり、スタッフにあれこれ尋ねて引っ張り出してもらうのが一番だ。

    とはいえ、自分自身の状況から、随時そうしたところに出向いて購入するわけにもいかず、さりとて自宅のスペースの問題もあり、関心を引かれるが果たしていつ扉を開くかもわからない本を狭い自室にどしどし放り込むわけにもいかない。

    そんなわけで、これまで購入してきた図書類を、自己利用目的で日々少しずつスキャンしてPDF化、いわゆる『自炊』なる行為を続けている。もちろん紙媒体で読むのが一番だとは思うものの、生活との折り合いがあるので、こればかりは仕方ない。他方で、そうした書籍をブックリーダー、タブレットPC、あるいはDropboxにでも保存して、いつでもどこでも時間の空いたときに読みまくるという利便性については私自身非常に重宝している。

    どうせならば、最初から電子書籍版も販売されていればいいのに・・・と思う。だが特定のアウトレットやデバイスに依存するフォーマットではありがたさも半減なので、より汎用性の高いフォーマットだと助かる。取り扱いについてはPDFが楽なのだが、やはり違法コピーや著作権の問題もあるので、なかなかそうはいかないのだろう。

    そうした面で、比較的汎用性の高い形で電子書籍を販売している業者の中で、イギリスのTaylor & Francisがあり、インド関係の書籍もある程度は扱っているようだ。インド国内でも、電子書籍を販売しているサイトはいくつもあるが、今のところ特に興味を引かれるようなところは見当たらない。電子書籍の分野は、まさにこれからという段階にあるので、今後の進展に期待したいと思う。

    ところで著作権といえば、書籍とは関係ないのだが、先日ある方がfacebookで話題にされていた、こんな記事がある。

    音楽は発売後3カ月で使い放題に 中国が著作権法“改正”案検討 (Sankei Digital)

    上記リンク先記事に書かれている『著作権法改正案』が実現すれば、発売から3カ月後には、海賊行為が政府のお墨付きを得ることになる。こんな感覚なので、国内利用のみに限るという前提で日本や欧州から供与された鉄道技術を、いとも簡単に輸出してしまうようなことになるのだろう。

    中国高速鉄道“見切り発車”の初輸出 特許問題で日欧と国際摩擦に発展も(フジサンケイ ビジネスアイ)

    作り手側が叡智を集めて作り上げたものの利用については、まさにその受け手側のモラルが問われる。ゆえにそう易々と再頒布される可能性のある形で供与することができないことについては充分理解できるところだ。

  • Namaste Bollywood #32

    Namaste Bollywood #32

    今号は、日パ国交60周年記念と銘打って、昨今のパーキスターン映画界の特集が組まれている。

    かつては地場の映画製作が不振で、年を追うごとに映画館の数も減少といった有様が伝えられていたものだが、2007年公開のKHUDA KAY LIYEで、同国の映画界の潜在力を改めて見直した人は少なくないだろう。私自身もその映画を鑑賞して、パーキスターン映画もあなどれないと実感したクチである。その他、近年は国際映画祭でも注目を浴びた作品も複数あり、昨年インドでも公開されたBOLのようなヒット作もある。

    今号の記事によると、それらに加えてこのところは前述のボリウッドの二番煎じにもなかなか秀作が多いらしい。これらを観る機会があまりないのは残念な限りである。

    パーキスターンの映画製作の中心地、ラーホールの「ロリウッド」、カラーチーの「カリウッド」、どちらもボリウッドほどのタイトルの豊富さや多彩さは期待できないにしても、このところ秀作が続々出てきているとなると、やはりこの地域の映画に関心を持つ者としては非常に気になる。

    ところで、ボリウッド映画の公開本数が非常に少ない日本ではあるが、埼玉県に「インド映画専門」で上映する映画館が出来ている。ただし、現在までのところボリウッド映画の上映は行っていないようで、公開しているのはテルグ映画のようだ。今後の進展に期待したい。