Kindle Unlimited

昨年、amazon.co.jpのkindleで月¥980定額読み放題とかいうサービスが開始されたとき、「あ~、そういうのがあるのか」と何となくスルーしていた。だが先日、Lonely Planetのkindle版を買おうとしていたら、¥0との表示があり、これも定額サービスの対象となっていることがわかった。買おうとしているガイドブックが4000円弱なので、そのだけで定額サービス4か月分。そもそも毎週、どこかの書店店頭で文庫本ないしは新書くらいは買って読むし、雑誌だって月に何回か買っている。それらをキンドルでまとめてしまうとすれば、けっこう節約にもなるではないか。

街角の書店衰退に寂しい思いをしつつも、ついついポチッと定額読み放題の申し込みをしてしまう私であった。こんな時代なので、本屋さんはとても大変だと思う。アマゾンの読み放題で、ついでにダウンロードしてみたのは、LPのブータン。いつか訪れてみたいが、高額なツアーに参加しなくてはならないという制度が変わらない限りは行けそうにない。

この国と特別な関係にあるインドの人たちにとっては、ヴィザ不要で、インドルピー(ブータン通貨はインドルピーと常に等価で固定)国内旅行の延長みたいに気楽でエコノミーな目的地であるのが羨ましい。また、デリー発の外国旅行ツアーの広告で見かけたことがあるが、「バンコク・パタヤ5泊6日」とかいうパッケージが「ブータン5泊6日」というものと同一料金だった。インド人にとっては、ブータンは特別な国ではない。

コトバの環境はシンガポールみたいなところがあって、1970年代以降、小学校から教育の仲介言語は英語(国語であるゾンカ語の授業を除く)。当初はインドから大勢のインド人教員が導入されたため、それ以降に学校に通った人たちは堂々たるインド英語を喋る。ヒンディーも普通に通じるインド環境がよく整った国でもある。

インドと特別な関係というのは、ブータンの外交は、基本的にインド外務省の専管事項で、国防と通貨政策も、それぞれインドの国防省、財務省の管理下にあることなど。両国の人たちは互いに査証なしで、自由に往来することができるため、インド各地(とりわけ北部や都市部)でブータン人の姿を目にする機会は実に多い。

さて、話はガイドブックに戻る。Kindleに限ったことではないのだが、電子版ガイドブックの使い勝手については、少々注文を付けたいことがある。通常の書籍と使い方が異なる部分があるからだ。具体的には、小説等の一般書籍の場合、前から後ろに順繰りにページを読み進んでいくものだが、ガイドブックの場合は、ちょっと辞書に近い使い方となる。目次を参照して、目当てのページに飛び、さらに次の目的地のページに行く。普段、紙媒体のガイドブックを使う際、その日に参照したいページの端を折っておいたり、付箋を付けたりして目印にしたりする。電子書籍でもブックマーク機能はあるにしても、やはり紙媒体に対してこの部分は追い付いていない。また、ボールポンなどでページに書き込んだりするのと同じような手軽さでメモを入れる機能も欲しいところだ。

The Open Library

ゴア州都パナジーの中心地にある広場。カトリックの聖堂、ポルトガル時代から引き継がれて使用されている官庁の建物などがあるエリアで、文字通り「街のヘソ」だが、ここの大きな公園には、「オープン・ライブラリー」と名付けられた書棚があった。

置かれているのは主に雑誌、そして軽い読み物くらいのものだが、付近の人々(主に年配層)が、ここから持ち出して園内のベンチで読んでいたりする。
他の街でこういうものを設置していたら、アッという間に蔵書がどこかに消えてしまいそうだが、やはりパナジーは文化的というか、ゆったりとした落ち着きが感じられる街である。

The Open Library

「地球の歩き方 インド」電子書籍版

昨年度発行分から、「地球の歩き方 インド」に電子書籍版が追加されている。Kindle、楽天Kobo、Apple iBooks Storeその他いろいろなフォーマットで販売されており、他の国のガイドについても同様だ。

掲載されている情報量が少ないため、個人的には「地球の歩き方シリーズ」を利用することはないのだが、スマホやタブレットが常時携帯するアイテムとなっている昨今、ガイドブックの類が電子書籍化されていくのは、自然な流れだろう。

Magzter Gold

MAGZTERで電子マガジンを定期購読している。電子版とはいえ、印刷版と同じコンテンツとレイアウトで読むことが出来るのがいい。タブレット、スマートフォンあるいはパソコン上で閲覧する。

世界中の主要な国々で発行されている各種雑誌およそ7,500タイトルの中から選んで定期購読あるいは特定の号の購入をすることが出来るのだが、これを運営しているアメリカで設立されたMagzter Inc.という企業は、インドからやってきた起業家が設立したものであるがゆえに、インドの雑誌に大変強い。その反面、やはり英語圏や主要な欧州語圏以外は不得手のようで、日本の定期刊行物でMAGZTERにて購読できるものは、現在までのところは、一部の業界誌等くらいしかない。

さて、このサービスが開始された頃には、世界中の主な国々で発行されている各種雑誌の中から購読したいものを選び、タイトル毎に特定の号だけ購入するか、あるいは定期購読をすることになるのだが、価格設定がシングルイシューのみの購入に較べて定期購読のほうがはるかに安いものとなっているため、後者を選択するように誘導する形になっている。

ニュース週刊誌のINDIA TODAYを例に挙げると、英語版、ヒンディー語版ともに単号で購入すると約110円。年間購読すると前者は約1550円、後者は780円という設定。なぜ単号では同じ価格なのに年間購読では金額が倍の差となるのかはよくわからないが、特定の号だけ買うよりも、定期購読したほうがはるかにお得であることは明らかだろう。同様に米国のTimeやNEWSWEEKは、前者が単号約890円で年間購読が約16,700円、後者は単号約550円、年間購読約2,800円となっている。

さらに、現在はMagzter Goldという、上記およそ7,500タイトル中の3,750超のタイトルが読み放題で約890円というプラン(あるいはMagzter Gold Liteという3,750超のタイトルの中から毎月5つの雑誌まで読み放題で約560円というプランもあるが、こちらは「MAGZTER GOLD」に較べてかなり損な気がするだろう)へと誘導しようという流れになっている。

MAGZTERが扱う雑誌類の中で、MAGZTER GOLDで読み放題となる雑誌がどのようなものであるかにいては明確に示されてはないのだが、価格が高めで需要も多いタイトルが除外となっているようだ。版元の意向によるものなのだろう。

MAGZTERで購読可能な日本の飲食や商業関係の業界誌(取り扱うタイトルは少ないが)については、MAGZTER GOLDの読み放題の対象となっている。例えば「商業界」という業界誌を購読したい人にとっては、この定期購読料金として約13,360円支払うよりも、MAGZTER GOLD (約890円×12か月=約10,680円)あるいはMAGZTER GOLD Lite (約560円×12か月=約6,720円)のほうが安価という逆転現象が起きることになる。

インドの主要な雑誌類の多くはMAGZTER GOLDでカバーする対象となっており、新書一冊分の金額で、どこに居てもインドの主要な雑誌類を際限なく読むことが出来るというのは大変素晴らしい。もちろんそれに加えて他国の雑誌も同様であるわけで、なかなか使い勝手の良いサービスではないだろうか。世界中の各種雑誌をネット配信するというサービスは、他にもtextureなどがあるのだが、「インドの雑誌類を読む」ということについては、やはりMAGZTERが有利であるようだ。

「無制限に読むことが出来る」とはいえ、そのための時間のゆとりがないというのは誰もが抱える悩みではあるのだが。

Lonely Planetのガイドブック「The World」

一昨年10月にロンリープラネットからこんなガイドブックが出ていたことを今日になってようやく知った。単一の国(「India」や「Thailand」など)あるいはひと続きの地域の案内(「Middle East」や「Africa」など)ではなく、その名も「The World」という大胆なもの。

ISBN: 9781743600658
Authors: Lonely Planet Publications
960 pages, 250 maps | Dimensions: 128mm x 197mm

この本のインデックス部分が公開されているが、これではコンテンツについてよくわからないので、amazonの「なか見!検索」でサンプルを閲覧あるいはKindle版の無料サンプルを試してみると、イメージを掴むことができるだろう。

私自身は購入していないので何とも言えないのだが、250の地図を含む960ページ、「世界ガイドブック」というのは、同じくLonely Planetの「India」が256の地図を含む1248ページであることを思うと、実用的なガイドブックとしてではなく、「今度の旅行はどこに行こうかな?」と自宅でぼんやり考えるときに良さそうだ。

書籍版はかなり嵩張るし重量もあるので、日常の隙間の時間にまだ見ぬ異国の地に思いを馳せるため、Kindle版を手に入れて、スマホやタブレット、あるいはKindle端末でページをめくりながら、世界各地のおおまかな名所や旅行事情を把握して、今後の旅行計画の参考にしておく、何か大きな出来事や事件が報じられたときに、「どんな土地だろうか?」と開いてみる、といった使い方をするのに便利だろう。あるいは世界各地の主要都市に煩雑に出張する機会が多いビジネスマンにとっても役に立つものであるのかもしれない。

案内の対象が「世界」というガイドブックは、これまで目にしたことがないので、はなはだビックリした。当然、実用性には大きく欠けるであろうことから、それほど売れるものではないように思うのだが、こういう形で「浅く広く」というスタンスで、世界の有名どころをカバーするというのは、なかなか意欲的で楽しい試みであると、私は肯定的に捉えている。