Train 18 試験走行完了

インド国鉄史上最速のTrain 18が無事に試験走行を終えたようだ。今年のクリスマスからデリー・バナーラス間に投入されるとのこと。この距離を8時間で走行するというから、やはり速い。これまではドゥロント、ラージダーニーといった特別急行で9時間前後だ。

だが、しばらくは、そのような具合にはならないことだろう。霧の時期なので、早朝6時にデリーを出てバナーラス到着、午後2時にバナーラスを出て、デリー到着は午後10時というスケジュールのようだが、きちんと運行できるのは、濃霧の季節が明けてからだろう。

Launch Date, Features And Speed Of Train 18, India’s Fastest Train (NDTV Profit)

インドの本気

インド国鉄 ヒマーチャルプラデーシュ州の「ケイローン駅」は地下に建設されるそうだ。

ビラースプルからマナーリー、ケイローンを経てラダックのレーまで至る鉄道の計画。レーからはカルギルを経由してスリナガルまで繋がり、そこから先は現在スリナガルからジャンムーに向けて建設中(スリナガルから途中駅までは開業している)の鉄道で、既存の国鉄路線に接続するという青写真。つまりデリーから鉄道でヒマーチャル、ラホールスピティ、ラダック、カシミールをぐるりと旅行できるようになるというのだ。

マナーリーからロータン峠へ至る急峻な地形を思っただけでも、こんな計画が実現するとは信じがたい。これはプランというよりも限りなくホラ話に近いものという感じがするかもしれないが、ところがどうしてインド政府は本気なのだ。

スリナガル・ジャンムーはやがて全線開通となるのでさておき、ビラースプル・マナーリー・ケイローン、レー、カールギル、スリナガルが繋がるまで、100年以上かかりそうだ。すると子や孫の代になっても全線完乗することができないんじゃないか?という気はする。

それでもきっとやるんだろう。インド人はとってもしつこい、いや非常に勤勉かつ辛抱強い。

もっともこの計画の主目的は旅客輸送よりも軍事目的である。道路が閉ざされる秋冬春先でも変わりなく、年中、軍事物資をバンバン中国国境地帯に送り届けることができるようにすることが路線建設における至上命題。

つまりあと何十年かして、万が一、中印の対立がすっかり解消したりしてしまうと、これを建設する動機がなくなってしまうわけだ。世界情勢というものは、ときに驚くような展開を見せることが多々ある。5年、10年先のことはある程度予想できても、数十年単位の未来となると、正しく予測できる人などいない。

よって、曾孫、玄孫の代になっても、この路線は実現していないかもしれないということになるが、世界的な大戦の火種が消失していることになるので、それはそれで喜ばしいこととなるだろう。

India’s first railway station inside tunnel to come up in Himachal Pradesh (Business Today)

ナワルガル到着

夜汽車は良かった。乗り込んでしばらくは、人々は賑やかに会話。忙しげにケータイで話し込む者、デリーに住む親戚とビデオチャットを楽しむ母娘。スマホで音声流しながら映画や音楽を楽しむ男性・・・。

長距離列車内はこれで良いのだ。

スマホの目覚ましを午前4時半にかけておき、目が覚めてからしばらく待っているとナワルガル駅に到着。まだ外は真っ暗で深夜のようだ。

待合室で少し明るくなるまで待とうかと思ったのだが、どうやら駅は市街地からかなり遠いらしい。客待ちしている乗り合いオートはあるのだが、今着いたお客たちが行ってしまってからだと足に困ると思い、そのまま宿に向かうことにした。

まだ夜明け前、マーケットの一角まで来て下ろされたのだが、果たしてここから宿泊先まで、どのくらいの距離があるのかわからないし、この時間帯の野犬の群れも危ないのだが、案外、人の行き来はあることがわかった。こんな時間帯からお寺を参拝する人たちがいるようだ。

ちょうど宿の方向とおぼしきダイレクションに向かう熟年夫婦がいたので尋ねてみると、彼らはその前を通過するとのことなので、一緒に行かせてもらうことにした。

進んでいくとフレスコ画の壁を持つ大きな屋敷が見えてきて、いかにもシェカワティに来たという気がする。

鉄路の深夜

夜10時過ぎにデリーのサライロヒラー駅を出発の急行列車。

乗り込んでしばらくは、世間話に興じる人たち、デリー滞在時にお世話になった親戚筋と子供たちも交えてビデオチャットしている家族連れなどで大変騒々しかったが、いつしか彼らも寝静まり、夜汽車は粛々と進んでいく。

寝台で、背中にレールのガタゴト感じて寝る夜行列車は心地良く、いつしか私も眠りに落ちて行くのだが、隣のオヤジの高イビキに「えーい、うるさい!」と目が覚めてしまうのだが、周囲を見渡すと、意外にも静粛な車内。

そうか、イビキの主は自分であったか!と気が付く、インド汽車旅深夜過ぎ。

列車待ち

サライロヒラー駅前の狭い広場のすぐ向こうにある「南インド料理」の看板を掲げた店で簡単な夕食を摂る。北インドの大きな街で、本場の料理を食べさせる店として営業している南インド料理店を除き、それ以外の店で出す「南インド料理」というのは、たいてい美味しくないものだ。食後のコーヒーもまた残念なものであった。こういう店がやっていけるのは、やはり始発・終着駅の目の前というロケーションあってのことだろう。

なんと「厚焼きドーサ」であった。

サライロヒラー駅は主要幹線から外れたローカル線、もともとはメーターゲージの路線専用駅だったので、往来の頻度が少なく、主にビカネール、ビカネールとジャイプルの間に広がるエリアといった田舎へ向かう列車となるため、首都の鉄道駅らしからぬローカル感に満ちている。

サライロヒラー駅
プラットフォーム上にある「シヴァ寺院」
乗り込む列車が入線してきた。

それはさておき、スマホカメラで良いことのひとつに、ちゃんとしたカメラだったら憚られるようなシーンでもなんとか撮ることができる場合が少なくないことがある。最近のスマホ上位機種のカメラ機能・画質の向上は目覚ましく、ちょっとしたコンデジと同等といっても良いレベルにあるモデルも少なくない。当然、暗所にも強いため使い勝手も良い。

インドでは鉄道施設、橋梁など公には撮影が禁じられているところは多い。そうした場所で、おおっぴらにカメラを構えてファキンダーを覗いて「さあ、撮るぞ!」とやっていると、駅員に注意されたり、鉄道に配置されているポリスに捕まったりすることもあるのだが、そのあたりのハードルがやはりスマホだとずいぶん下がる。もちろんシャッター音を消すソフトは入れておくべきだろう。

いずれにしても撮影禁止の場所で、咎められたら面倒なことになるのは間違いないので、あまりお勧めできる話ではないのだが。