ボリウッドの大スターたちとペーシャーワル

数々の有名な俳優、女優を輩出してきたカプール一族のルーツは、現在パーキスターンのペーシャーワルにあることは広く知られている。偶然にしてはあまりに偶然すぎることに、ペーシャーワルの街のキッサー・クワーニー地区の半径200mほどのエリアに、ディリープ・クマール、そしてシャー・ルク・カーンの父親の生家があったというから驚く。

Bollywood’s Shah Rukh Khan, Dilip Kumar and the Peshawar club (BBC NEWS ASIA)

もともと北西地域の商業・経済の中心地としてだけではなく、文化と芸術の核として栄えてきたペーシャーワルではあるが、やはりそういう土壌があってこそ、映画人の揺籃の地となったのではないだろうか。いまやイスラーム原理主義過激派が跋扈する街というネガティヴなイメージが定着してしまっているが、非常に保守的な地域にありながら、とりわけリベラルな気風で知られた土地であることを忘れてはならない。

上記リンク先記事にあるように、カプール一族の先祖や伝説的な俳優ディリープ・クマールはともかく、シャー・ルク・カーンは今をときめくボリウッドを代表する映画人だ。彼が10代の頃に幾度か父の故郷を訪れていたこと、いとこのヌール・ジャハーンと息子で同名のシャー・ルク・カーンに関する逸話等々、非常に興味深いものがある。

シャー・ルク・カーン自身も、やはり父方の親戚はすべて向こうに在住ということもあり、ペーシャーワルについては格別な思い入れがあるのではないかと思われる。それはともかく、言うまでもないがインド北部と現在のパーキスターンは、まさに血の繋がった身内であり、たとえ国が分かれても、その縁はどうにも否定できない。

マドゥバラー、アムジャド・カーン、ヴィノード・カンナー、そしてアニル・カプールの父親で映画プロデューサーとして活躍したスリンダル・カプールもまた、ペーシャーワルの出身であるとは、この記事を目にするまで知らなかった。

よく知られた映画スターでさえ、このようにペーシャーワルをルーツとする人たちが多いくらいだから、映画関係の技術職やその他周辺産業に関わる人々の中で、父祖が同地を故郷とする人は相当あるのではなかろうか、と私は想像している。

記事内にあるように、インドを代表する映画人たちのルーツでありながらも、シャー・ルク・カーンの父親の実家近くにある映画館が二度ほど爆弾テロに遭ったことに象徴されるように、これを非イスラーム的であるとして敵視する過激派の活動により、映画という文化の存在さえ危うくなっている状況について胸が痛む。

インドとパーキスターンというふたつの国に分かれて65年が経過しているが、その時間の経過とともに、その記憶と伝統は次第に風化していく。それがゆえに、私たちよりももっと前の世代のボリウッド映画ファンにとっては周知の事実であったことが、こうして改めてメディアで取り上げられると「そうだったのか!」とあちこちでツイートされ、Facebookでシェアされ、ブログ等で話題になる。

1947年、イギリスからの独立の際にインドと分離したパーキスターン。元々は同じインドという地域でありながら、別々の国家として成立した両国は、今後永遠に「ひとつ屋根の下」で暮らす日は来ないだろう。それでも、水よりも濃い血の繋がりを否定することは誰にもできはしない。

アフガニスタンのプレミア・リーグ

プレミア・リーグといっても、我らが香川がプレーするマンチェスター・ユナイテッドが所属するイングランドのプレミア・リーグのことではない。

今年9月から10月までという短いシーズンではあるが、アフガニスタンで8チームで構成されるローシャン・アフガン・プレミア・リーグがスタートした。2006年から首都のカーブルの13のクラブから成るカーブル・プレミア・リーグが存在しているのだが、今後はローシャン・アフガン・プレミア・リーグが同国のトップリーグということになる。現在までのリーグの順位表はこちら

Premier league football launched in Afghanistan (BBC NEWS MIDDLE EAST)

Roshan Afghan Premier League a hit with fans (BBC NEWS MIDDLE EAST)

また同リーグの公式Youtubeページでは、これまでに行われた試合の模様を視聴することができる。

アフガニスタンの民間放送局のリアリティーショーの番組がきっかけとなり、急造されたチームから構成されるリーグであることから、正直なところ見るに堪えない試合をやっているのではないかという予想が見事に裏切られた。ほぼ「サッカー不毛の地」と思われている国としては、実に意外なまでにレベルが高いのである。

私にとって、昨年12月にインドのデリーで開催されたSAFF Championshipで決勝戦にまで駒を進めて惜しくもインドに敗れたアフガニスタン代表の躍進ぶりは記憶に新しい。欧州や北米のリーグでプレーする在外アフガニスタン選手たちが含まれていたとはいえ、この国の人たちのサッカーにおけるポテンシャルの高さを目の当たりにして非常に驚かされた。

国情が安定し、国民的なスポーツとして定着していけば、間違いなく南アジア地域を代表する勢力に浮上することは間違いないだろう。現状では、試合に出場するごとに10米ドル相当を受け取るという薄給の選手たちだが、サッカー観戦がエンターテインメントとして定着していけば、待遇面も向上していくことになるだろう。

わずか8チームとはいえ、本拠地は全国に分散している。地域を挙げて国全体を巻き込んで、人々の心を繋いでいくよう期待したいものだ。

ターリバーンのウェブサイト

アフガニスタンのターリバーンによる英語のウェブサイト「Islamic Emirate
of Afghanistan」
がある。マメにアップデートはなされているようだ。

いまどきの反政府組織やテログループは、往々にして独自のウェブサイトを持ち広報活動をしているものだ。

しかしながらこの世の中、すべてを白黒つけることができるものではなく、かなりグレーゾーンの幅も広いのはご存知のとおり。

ターリバーンが不倶戴天の敵とみなすアメリカによるアフガニスタンでの行動について、許されざる部分も少なくないのと同様に、西側メディアからは否定的な側面のみ取り上げられてきたターリバーンの論に理のある部分も少なくない。

もちろん私自身は、決してターリバーンに肩入れしているわけではないのだが、各種メディアは、自分たちの価値判断による主観的な報道をしているに過ぎないことを忘れてはならない。

マラーラー・ユースフザイー

非常に残念なニュースだ。マーラーラーが撃たれた。この件については少々説明する必要があるだろう。

パーキスターンのスワート地方のミンゴーラー。かつて観光地として大いに栄えた地域だが、今世紀に入ってからは、この地域で勢力を伸長したターリバーン勢力と政府側との衝突により訪問者が激減した。さらに2009年にターリバーン支配下となり、その後政府軍が奪還するといった具合に内戦状態が激化することとなった。

ミンゴーラー出身、リベラルな家庭に育った少女マーラーラー・ユースフザイーはこの地の出身。2009年に内戦状態のスワート地方を離れてパーキスターン国内を転々とする中、故郷スワートでの就学機会を求める利発な少女の姿は内外のメディアの目に留まり、しばしばニュース等で取り上げられてきた。

ターリバーンが少女たちに対する学校教育を禁止したり、女子学校を破壊したりする中、少女たちの教育機会を求めての積極的な発言や行動は世間の耳目を集め、オランダを拠点とするKids Rights FoundationのInternational Children’s Peace Prize候補のノミネートされたことがある。惜しくも受賞は逃したものの、パーキスターン政府からNational Peace Awardが贈られた。

Peace Award to Malala yousafzai from Prime Minister Pakistan Sherin Zada Express News Swat (Express News)※ウルドゥー語

Malala Yousafzai awarded Pakistan’s first Peace Award (Ary News)※ウルドゥー語

あまり上手ではない英語でのインタビューと異なり、上記リンク先のウルドゥー語によるものでは、ずいぶんしっかりした内容で話していることに感心する。受賞は2011年、当時のマラーラーは13歳だ。

彼女は仮名でBBCウェブサイトに日記をブログとして公開して注目を集め、ニューヨーク・タイムズのサイトでもClass Dismissedと題した動画と関連記事が紹介されるなど、国際的にも知名度の高い少女人権活動家でもある。

Class Dismissed (New York Times)

現在14歳、将来は医者になりたという夢を胸に抱いて活動を続けていたマーラーラーだが、昨日ミンゴーラーにて他の女子生徒たちと乗っていた通学用のヴァンの中で撃たれた。その後、ターリバーンは犯行声明を出している。

マーラーラーは頭部と首に負傷しているとのことで、ペーシャーワルに空輸されて救命治療を受けている。現在までのところ、複数のメディアにより「手術は成功」「脳は弾丸による損傷を逃れている」といった情報が流れているが、非常に危険な状態にあるということは変わらない。彼女の回復を切に祈る。

Child rights activist shot in head (Business Recorder)

ネパールやインドで跋扈するマオイスト活動家たちの大半が、共産主義の何たるかをほとんど知らず、銃器による社会秩序への抵抗と下剋上の快感に酔っているように、ターリバーンの連中もまたイスラームの説く中身への理解もなく、やはり武器の力を背景にした支配と強制により、彼ら自身の乏しい知識による独自の解釈による社会規範を絶対的な正義と取り違えている。

従前からターリバーンたちから脅迫を受けてきたマラーラーとその家族だが、ついにそれが現実のものとなってしまった。この卑劣な犯行を、私たちは決して許してはならない。

サッカーのミャンマー代表 9/23(日)にセレッソ大阪と親善試合

このところJリーグは、アジア各国のリーグとの関係強化を図っているが、このところ経済方面で大きな注目を浴びているミャンマーとパートナーシップ協定を締結したという発表がなされたのは8月下旬であった。

ミャンマーナショナルリーグ(MNL)とのパートナーシップ協定締結について (Jリーグ)

そのパートナーシップ締結と直接関わりがあるのかどうか不明だが、9月23日(日)にセレッソ大阪がミャンマー代表との親善試合を実施する。セレッソのウェブサイトに書かれているとおり、ミャンマー代表は今年の東南アジアサッカー選手権大会(スズキカップ)へ向けてのトレーニングキャンプを日本で実施し、その一環としてこのゲームが組まれるとのことだ。

ミャンマー代表と親善試合実施のお知らせ (セレッソ大阪)

試合会場はJ-GREEN堺で、キッフオフは午後3時半。入場料は何と無料である。注目されることはなく、観客数も少ないことと思われるが、ミャンマーのサッカー事情に多少なりとも関心のある方はぜひ押さえておくべき一戦であろう。