
ネアク・ボアンは、東バライの中の島にある珍しい水上寺院。アンコール遺跡で面白いのは、建築のデザインや意匠は統一されているのだが、それぞれの寺院に異なるレイアウトがなされていたり、高台にあるノッポな建物の寺院ものもあれば平地で平べったく広がるものもある。千差万別で面白いのだが、こちらのような島の中の島になっているようなものは、おそらく唯一無二。



前回訪れた1992年当時、ここには行くことが出来なかっはず。ちゃんとした道路がなかったし、バライの中の島へ渡る橋などもなかった。今でこそ日本と変わらないスムースな路面を全速力で駆け抜けることができるが、当時はガタピシの道路をこれまたオンボロの昔の中国自転車でここまで来るのは相当キツかったはず。
そしてここまで来ると治安的に危険でもあった。シエムレアップ郊外にはまだクメール・ルージュの兵士たちが出没していたし、警備に当たっている政府軍兵士から旅行者がカツアゲされたという話もよく耳にした。遺跡自体の敷地内でも地雷撤去がまだであった。
当時はアンコールワット周辺でさえも、道路と遺跡の石組みの上以外の地面には降りるなと言われていたし、事故防止のためにドクロマークの「地雷あります」という標識がそこここにあった。観光客が多い主要な遺跡でこそ、そのような標識があったわけで、それ以外は一体どこに何が埋まっているのかは神のみぞ知るであった。
当時はとにかくカンボジアに行ける、アンコール遺跡に行けるというだけで、バックパッカーたちにとっては新鮮なフロンティアであったわけだけれども、今みたいに快適に楽しく見物できるようなる時代がやってくるというのはまだ想像も出来なかった。