ハイデラーバーディー・ビリヤーニー

インド各地で「ハイデラーバーディー・ビリヤーニー」名付けられたビリヤーニーを目にする。ハイデラーバードでビリヤーニーを食べたことがなかったので、漠然と「ビリヤーニーが飛び切り旨いのだろう」と、想像していた。

老舗の「シャーダーブ」

ようやくその街にやってきたので、チャールミナール近くにある老舗のレストラン、シャーダーブで昼食にすることにした。店員たちのぶっきらぼうさもまた「本格的」な印象。ここは、ほぼビリヤーニー専門店らしいので、チキンビリヤーニーを注文。間もなくテーブルに運ばれてきた。


ご飯のなかには半羽のチキンがうずまっており、見た瞬間、食べ切れる量ではないことがわかった。これで170rsとはずいぶん安い。周りのお客はどうしているのかと眺めていると、だいたい二人で一人前注文している。すっかりギヴアップするまで食べ続けても半分くらい残ったので、男性なら二人、女性なら3から4人はシェアして食べられることだろう。

味のほうは?といえば、確かに美味であった。だが、好みは人それぞれとはいえ、私自身はデリーで「美味しい」と思えるビリヤーニーのほうがもっと旨いと思う。この料理は出来不出来が大変明確に出るため、上手な店とそうではないところでは天地の差となるし、旨い店でもそれぞれに満足度が異なる。もちろんこの一軒をもってハイデラーバードのビリヤーニーを総括することなどできないので、他のレストランも幾つか訪れて検証する必要がある。

旧市街で幾人かに尋ねたところ、「ここが一番」とのことだったが、確かにバカでかい盛りには大変驚かされた。

TAJ MAHAL HOTEL (Hyderabad)

「料金の割にとても良い」という話はよく耳にする、ハイデラーバードにあるタージマハルホテルに宿泊してみた。名前が似ているターター財閥系のタージホテルグループとは無関係で、ハイデラーバードの地場資本のホテル。ロケーションは交通の便の良いAbidsエリア。


コロニアル建築のヘリテージホテルということになっているが、増改築を繰り返しているため、オリジナルの雰囲気を残しているのはレセプションがある本館のみ。このホテルで最も低価格の部屋は税込で2024Rs(2015年5月現在)だが、実にモダンで清潔快適な部屋。部屋代に含まれる南インドのアイテムを中心とするビュッフェもなかなか好評。

ホテル内には、行列の出来る大繁盛のレストランもある。狭い敷地の駐車場にでは朝から晩まで沢山のクルマが押し合いへし合いで出入りしていることから、家族や友人連れでの食事どころとしていかに人気があるかということを推し量ることができる。

南インド式ターリー

部屋も料理も相場よりもずいぶん低く抑えているからこその人気なのだろう。場所柄、この倍、3倍取っても相応という気さえもします。立地の良さからずいぶん無理な料金設定しているホテルは少なくないがゆえに。

かなり昔から営業を続けている施設らしいが、人気にあぐらをかくことなく、長年マジメにリーズナブルな料金でのサービスを続けていることに敬意を払わずにはいられない。スタッフの対応も大変良い意味でプロフェッショナル。大変好感が持てる。エコノミーな価格帯でビジネスライクに経営しているホテルで「心に残る滞在」を味わえるというのはなかなかないことだ。

蛇足ながらこのホテルのカフェで出しているケーキもなかなか美味であった。

TAJ MAHAL HOTEL (Hyderabad)

Maggieの危機

かつて米国系の清涼飲料水メーカーが、製品から許容度を越える農薬成分が検出されたということで、激しい批判にさらされたことがあったが、今年の5月以降、スイス系企業ネスレ社のMaggiシリーズのインスタント麺に鉛成分が含まれることが判明したとのことで、各地で次々に販売が禁止されるなど、大きな波紋を呼んでいる。

Maggie noodles undergoes tests across India: Nestle investigates excess MSG in its batch of noodles; Can cause chest pains (BENCHMARK REPORTER)

Maggi sales plummet across India (THE TIMES OF INDIA)

Nestle’s Maggi Noodles Banned In India’s State Of Delhi Over Allegations Of High Lead Content (INTERNATIONAL BUSINESS TIMES)

India withdraws Maggi noodles from shops in mounting food-safety scare (theguardian)

鉛の含有に関する許容値が0.01ppmであるところ、17ppmという高い数値であったことに加えて、成分表に記されていないMSGつまりグルタミン酸ナトリウムが多く含まれていることが明るみに出たことが今回の騒動の発端だ。

Maggiブランドのインスタントヌードルは、1982年から現在に至るまで、実に33年間に渡ってインドで親しまれてきた。インド中、どこに行っても雑貨屋や食料品店で見かけるが、手軽に作ることができることから、育ち盛りの子供の好物であったり、一人暮らしの若者たちの定番アイテムであったりもする。また、冬季には外界との陸路ルートが閉鎖となるラダック地方などでは、そうした時期の食堂でもありつくことのできる外食アイテムであるなど、非常に存在感の高いインスタント食品だ。

最近、このMaggiのインスタントヌードルのCMに何本も出演していたマードゥリー・ディクシト、以前出演したことがあるアミターブ・バッチャンやプリーティ・ズィンターといった銀幕のスターたちも、ちょっと困ったことになっているようだ。

Madhuri Dixit gets FDA notice for endorsing Maggi noodles (The Indian EXPRESS)

Court orders FIR against Amitabh, Madhuri, Preity over Maggi row (THE HINDU)

食品類の安全性は、どこの国にあっても非常に大切なものであるが、果たしてネスレがこのような状態であったとしても、他のメーカーの様々な食品、食材、調味料などはどうなのだろうか?という思いもする。加工食品だけではなく、米や野菜のような第一次産品にも不安な要素を抱えている国だ。

私たちの日本で「食の安全」と言えば、その食料のかなりの部分を輸入に依存しており、とりわけその中で中国産のものが多いことから、常々やり玉に上げられることが多いが、比較的政府の管理が行き届きやすい中国と比較して、インドがその方面で安全性が高い国であるということは決してない。

今回、たまたま外資系の大会社の全インドでポピュラーな製品が取り上げられることになったが、この騒動がどのようにして収束を見るのか、かなり関心を引かれるところである。

マジヌー・カー・ティーラー

マジヌー・カー・ティーラーでチベット料理でも食べようと出かけてみた。

メトロのヴィダーン・サバー駅で下車して、サイクルリクシャーで少々進んだところのGurudwara Majnu Ka Tilla Sahibからアウターリングロードを少し北に進んだ道路反対側にある。


TIBETAN REFUGEE COLONYと書かれた門をくぐり、まずはチベット寺院にお参りしてから少し散策することにする。この街区だけはインド人の姿はあまり多くなく、行き交う人々の大半がチベット系の顔立ちで、インドにいることをつい忘れてしまいそうになる。

まずはチベット仏教寺院に参拝

とかく違法建築の多いデリー(デリーに限ったことではまったくないが・・・)にあっても、ことさら無秩序に大小の建物が並び、路地が極端に狭くなったり広くなったり。また、チベット仏教のお寺正面の広場以外には、空が見えるエリアはなく、規制とはまったく無縁の空間であるように見受けられる。


その割には、昔と違って小奇麗な店やレストランなどがかなり多いのは、他のバーザール地域とは異なる。そんな中の一軒に入ってみると、もう昼時を大きく回って午後3時くらいにはなっているのに、ほぼ満席に近い状態であった。

食事を終えて外に出る。ふたたびサイクルリクシャーでメトロの駅に向かう前に立ち寄ってみたYangdon’s Collectionという店では、飲み物、菓子類、女性の化粧品などとともに、マニ車などの仏具や様々なチベットグッズなども販売していた。


そんな中で少々気になったのがこの壁時計。チベット旗をモチーフにしたカラフルなもの。ショーケースから出してもらった直後に私はこれを購入していた。

この店では、ときどきこのような具合にオリジナル商品を作らせては販売しているとのこと。このようなところは地域に他にいくつかあるようだ。

DARGAH HAZRAT NIZAMUDDIN


せっかくデリーに来たので、ニザームッディーンのダルガーに参拝。スーフィーのチシュティー派の聖者、ニザームッディーン・アウリヤーの墓廟。境内で演奏しているカッワーリーを聴きながら、しばし陶酔の時間を過ごすことができる。ムスリムだろうがヒンドゥーだろうが、はてまた外国人だろうと誰でもウェルカムな包容力がいい。祝祭の時期ではないこともあり、金曜日の割には空いていて、本殿で楽に祈ることができた。清浄な気分になってダルガーを後にする。







先日、Karim’sのファストフードと題して書いた、南デリーのモールで見つけたファストフード版のカリーム(Karim’s)ではあまりにやるせなかったので、ダルガー参拝のついでにニザームッディーンにあるちゃんとした店舗のカリームを訪れた。しかしながら、カリームではあっても、ビリヤーニーまでもが破格の美味さというわけでもないようだ。もちろん上々の味わいであることは間違いないのだが。

ダルガーの参道にはずらりと巨大な釜を並べるビリヤーニー専門店が並ぶ横丁がある。このあたりにKarim’sよりも旨いビリヤーニーを出す店がきっとあることだろう。付近にはティッカーやケバーブ、様々なナーンの類などを売る店も多く、これまた食欲を大いにそそる一角である。