すでにご存知で活用されている方も多いとは思うが、ボリウッド作品を含めた「あの映画、いつリリースされた、何というタイトルだっけ?」「この役者が出ている他の作品は?その役どころは?」「監督は?その他キャストは?」と、いろいろ疑問に答えてくれるのが、The Internet Movie Databaseだ。
他にも似たようなサイトはいくつもあるとはいえ、昔のものから最新作まで大量に、またこれほど広い地域の様々なジャンルを網羅したものはないと思う。国別、言語別、分野別etc.と、いろいろな角度から検索できるし、作品や出演者に関するトリビアなども目にすることができて便利だ。このサイトのユーザーの投票によるレーティングもなされているので、各々の作品に対する世間の評価についてもおおよそ掴めるようになっている。
とりあえず、ここで作品等に関するアウトラインを知れば、後は必要に応じて個々のジャンルに詳しいサイト等でさらに調べたり、現在上映されていないものでも、映画ソフトを購入したりダウンロードしたりと、広い映画の世界で遊ぶための入口として、大いに役立つことだろう。
カテゴリー: cinema
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ネットで映画探し
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Namaste Bollywood #18

今号の表紙を飾るのはディーピカー・パードゥコーンである。ボリウッド作品への出演はすでに公開されたもので、まだ4作(Om Shanti Om, Bachna Ae Haseeno, Billu, Chandni Chowk to China)しかないとはいえ、この人の存在感には格別なものがある。
他の女優たちにはない神々しいまでのオーラを感じる。Om Shanti Omへの出演がそうであったように、彼女自身のキャラクターが映画の中での役柄とうまくマッチしたならば、共演する大物俳優の存在さえも霞ませてしまうほど、まばゆく輝くことだろう。
まだまだ彼女のポテンシャルはこんなものではないはず・・・と、ディーピカー主演で映画史に大きな名前を残す超大作が出てくることを心待ちにしているのは私だけではないはず。
さてナマステ・ボリウッド#18号の目玉は、特集『ボリウッドがやってきた!日本公開特集』とのことで、この時期日本国内公開のChandni Chowk to China, Slumdog Millionaire、アイシュワリヤ・ラーイが出演するThe Pink Panther 2、そして今月上旬に来日したA.R.レヘマーンへのインタビューが目玉。ご存知のとおり、インドの音楽界を代表する人物だが、Slumdog Millionaireでアカデミー賞オリジナル音楽賞と主題歌賞を獲得している。
この時期にいくつか続くインド関係の映画上陸が、日本におけるインド映画ブームの再来、ひいてはボリウッド人気の高まりということになっていくのかどうかはよくわからない。
しかし以前のインド映画ブームと大きく違う点としては、これら3作は順に?ハリウッド資本が注入された中華風ボリウッド映画、?インドを題材として、インドの人材を活用したイギリス映画、?インドの著名映画人が出演したハリウッド映画であり、?はともかくとして?と?についても、ストレートにインド映画と言い切れるのかどうかという点がある。イギリス経由で日本に入ってきた『カレーライス』ないしは日本式の『中華料理』ほどではないかもしれないが、本筋から離れていることが、個人的には少々気にかかっているのだが。
日本において良くも悪くもかつての『インド映画ブーム』にて、「インド映画ってこんなもの」という、ステレオタイプなイメージが定着してしまっているとともに、出演者についても固定化したイメージを抱いている人が多いことが、新たなインド映画熱の盛り上がりを阻害していると私は考えている。この観点からすれば、これまで日本国内で大々的に上映されていたものと切り口の違う作品を提示することの意味は大きい。
これを機に、さらに違った趣のインド映画、個人的にはとりわけボリウッド作品が紹介されるようになるといいと思う。さすがは製作本数世界一の映画大国だけあり、あまりお金がかかっていなくてもよく出来た秀作、ファンを熱狂させるヒーローやヒロインの出演はなくても、実力派の玄人俳優が見事に演じる渋い作品、挿入歌やダンスシーンなどはまったくなくてもシミジミと鑑賞できる映画というは多い。日本で公開されるインド映画のバリエーションを豊かなものとすることが、ファンの裾野を広げることにもつながるのではないかと思う。
また、ナマステ・ボリウッド主催のイベント情報も見逃せない。5月23日(土)には、ボリ祭2、続く5月24日(日)に「ボリウッド講座『想い出の小路』を語る」というイベントが予定されているとのことだ。詳しくはナマステ・ボリウッド#18あるいは同誌のサイトをご覧いただきたい。 -
Namaste Bollywood #17
4月18日から日本でも各地でロードショー公開されることが決まっているスラムドッグ・ミリオネアのアカデミー賞8部門受賞の興奮の渦の中、おなじみNamaste Bollywoodの最新号が発行された。
今号の表紙を飾るのはディーピカーだ。2007年後半にオーム・シャーンティ・オームを観たとき、スクリーンの向こうの彼女に一目惚れしてしまった私である。飛び抜けた美貌もさることながら、まだキャリアは浅いものの確かな演技力、そして瞳の力や眼差しの表現力に豊かな将来性を感じるのは私だけではないだろう。この人は何か持って生まれたものが違う気がする・・・と。
そんな彼女が今年の日本で大きくブレイクしそうな予感がする。Namaste Bollywood #17によれば、チャーンドニーチョウク・トゥ・チャイナが、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭で、スラムドッグ・ミリオネアとともに招待作品部門にて上映されるとのこと。
もちろんそれだけで日本の映画ファンの耳目を集めるはずはないのだが、なんと5月30日から東京新宿のシネマスクエアとうきゅう、舞浜のシネマイクスピアリにてロードショー公開されることが決まったそうだ。配給元はワーナーブラザーズで、日本語による公式サイトもすでに用意されている。
このところハリウッド資本がボリウッドに進出してきており、今後もその傾向はますます強まるものと思われる。果たしてこれが地元の映画産業にとって手放しで喜べるものなのかどうかについて判断するのは時期尚早と思われる。
だが少なくとも肯定的に受け止めることができるのは、米国資本による配給ルートを通じて、これまでインド映画圏外であった地域においても、ごく普通にロードショー公開される作品が増えるのではないかということだ。
『インド映画というモノは云々』と、良くも悪くも特別扱いするのではなく、『ごく普通に』という部分が肝心なのではないかと私は考えている。
観客に余計な先入観を与えることなく、また観る側もそうした雑音に惑わされることなく、ただひたすらスクリーンの上で展開していく美しい映像、楽しいストーリーを満喫すればいいだけのことだ。世の中に星の数ほどある数々の作品の中のひとつに、たまたまインドで作製された、あるいはインドを題材にして制作された映画があり、それがとびきり印象的だった・・・ということでいいのだ。
もちろんチャーンドニーチョウク・トゥ・チャイナは、日本の観客たちにとって、とても新鮮な映像として捉えられるであろうことは間違いないだろう。人によって程度の差こそあれ、私たちは香港発のカンフー映画にそれなりに親しんできて、私たちなりにカンフーに対する既成のイメージを抱いている。
だがこの作品に出てくるのは、それとはずいぶん違った味付けのインドテイストな中国の描写であり、カンフーアクションなのだから。また作品内で異なる二つのキャラクターを演じ切ったディーピカーに、インドからやってきた新たな麗しきヒロイン像として一気に注目が集まること必至と予想される。
なお彼女がボリウッド作品に初めて出演したオーム・シャーンティ・オームが、3月に開催される国際交流基金アジア映画ベストセレクションにおいて上映されるとのことだ。
2009年は日本で公開されるボリウッド作品がいろいろ続きそうな予感。追い風の中、Namaste Bollywood発の新鮮なインド映画界の情報に今後ますます期待しよう!
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※『新加坡的印度空間?』は後日掲載します。 -
ナマステ・ボリウッド ♯16

記事のアップロードが遅れてしまったが、ナマステ・ボリウッドvol.16 (Dec-Jan 2008-9)として発行の最新号が出てきた。今号の表紙を飾るのはプリヤンカー・チョプラー。
いつものことながら手に取ったとき、私が一番最初に読むことにしているのが、巻末のおなじみ『Bollywood Filmy Pedigree』なのである。今号で取り上げられているのはアーミル・カーン。
巷では公開中のGhajiniが話題になっているが、私にとってアーミル出演で一番最初に出会った作品は、ジューヒー・チャウラーと共演したQayamat Se Qayamat Takであった。
他の多くの俳優・女優たちに負けず劣らず、アーミル自身もかなり強力な映画一族の出身であるが、この作品を監督したマンスール・カーンが、アーミル自身のいとこであることをこの記事を読むまで知らなかった。
しばらく似たような役柄、つまり甘いマスクと好青年ぶりを前面に出したラブストーリーものが多く、ちょっとマンネリなイメージを抱いていたが、彼が現在のような演技派へと脱皮したのは、確か今から10年ほど前のことだっただろうか。
さて巻頭に戻る。Jodha Akbar、Sarkar Raj、Singh is Kinngなどといった2008年に大きなヒットを記録した作品、サルマーン・カーンやアジャイ・デーヴガンといった人気スター出演の話題作に加えて、『小粒名画に心酔』として、キャストや製作費用の点では地味な映画についての言及もあるところもありがたい。
さすがは日本唯一のボリウッド専門情報誌だけあり、さまざまな方面からムンバイーの映画界を包括的にガッチリと捉える姿勢は、あでやかにして個性豊かなスターの顔ぶれよりも、むしろ映画作品そのものの造りに重きを置く正統派映画ファンとにとっても非常にうれしいところだろう。
小粒な映画がかならずしもB級というわけでもなく、そうした中にもピリリとスパイスの効いた面白い作品が見られるのは、どこの国においても同じことだ。
書籍紹介コーナーには、MR AND MRS DUTTが取り上げられている。言うまでもなくサンジャイ・ダットの両親である。往年の銀幕を代表するカップルであった父母について、サンジャイの姉妹二人が綴る回想録という体裁の本。一度手に取ってみたことがあるが、挿入されている写真も多く、ダット・ファミリーのファンならずとも、ぜひ手元に置いておきたい一冊である。
8ページという限られた誌面ながらも、今号もまたそのスペースをフルに活用しての楽しい情報が満載のナマステ・ボリウッド。2009年もまた私たちにボリウッドの話題や魅力を余すところなく伝えてくれることだろう。 -
YouTubeで大物政治家の映画人時代を観る

冒頭の写真は、今年2月に還暦を迎えたジャヤラリター。タミルナードゥを代表する大物女性政治家というよりも、インド政界でも有数の女傑といったほうがいいかもしれない。
1981年にタミルナードゥの地域政党AIADMK(All India Anna Dravida Munnetra Kazhagam)に加入し、1988年に同党の創設者M.G.ラーマチャンドランが亡くなってから現在まで20年の長きにわたりリーダーシップを発揮し、同州の首相も務めた。彼女の行政手腕を高く評価する声も多いいっぽう、その強権ぶりと数知れぬ汚職疑惑から数多くの非難もある。
ジャヤラリターは、M.G.ラーマチャンドラン同様に、政界入り前は映画人として高い人気を集めた人物である。タミル映画およびカンナダ映画に多数出演し、この地域の民族的アイドルであった。80年代後半から『元人気女優』としてではなく、実力派政治家として社会に大きな影響を与えるようになってからも、大輪の花を思わせる華やかな風貌にはまた格別の存在感があった。
元有名女優とは知っていても、彼女が出演する映画を見たことがなかったが、近年YouTube他の動画投稿サイトが普及するにつれて、Sakti LeelaiやKannan En Kadhalanといった彼女の出演作のひとコマを簡単に目にすることができるようになってきた。前述のM.G.ラーマチャンドランも同様で、Nadodi Mannanのワンシーンを眺めることができるのはうれしい。
インターネット上に新旧さまざまな映画作品が投稿されていることについては、著作権云々ということもある。しかしインド国外ないしはインド映画圏外からでも、自宅にいながらにしてその映像にアクセスできること、必要に応じて参照できることについては、肯定的に評価できる部分も少なくないのではないかと思う。
ネット上のインド映画については、作品を最初から最後までまるごと見ることができてしまうものもあるが、後日そうした事柄について少し考えてみたい。 -
『ミッドナイト・チルドレン』銀幕へ
ムンバイー出身の英国籍インド人作家、サルマーン・ルシュデイーの代表作のひとつである『ミッドナイト・チルドレン』がディーパ・メヘター監督により映画化されることが決まった。ナンディター・ダースとシャーバナー・アーズミーの出演が決まっているようだ。
サルマーン・ルシュディーといえば、自身の著作『悪魔の詩』内の描写や表現等がイスラーム教を侮辱しているとして、1989年に当時イランの最高指導者であったホメイニー師のファトワーにより、死刑宣告がなされた。その後彼はイギリスの警察による庇護を受けることになる。またこの作品の翻訳者たちが各国で重傷を受けたり、殺害されたりという事件が続いた。日本でも和訳を出した筑波大学の教授が何者かの襲撃により命を落としている。
今回映画化されるミッドナイト・チルドレンにしてみても、当時ネルー=ガーンディー王朝と揶揄されていた政権に対する強烈な批判が含まれているとされ、インド国内においてはなかなかムズカシイところもあったようだ。
とかく敵の多いこの作家。作品の映画化について、思わぬところから横ヤリが入ったり、撮影や出来上がった作品の上映を暴力的な手法で阻止しようという動きが起きたりすることもあるのではないか、とボンヤリ思う。
しかし映画そのものの良し悪し以外についても、批判・脅迫含めて周囲でいろんな動きが展開していくとすれば、サルマーン・ルシュディーらしくもあり、ディーパ・メヘターらしくもあるなぁ、と無責任な野次馬は考えるのである。
ともあれ、良い作品に仕上がることを期待したい。
Midnight’s Children to be a film (BBC NEWS South Asia) -
Namaste Bollywood #15
早いもので、創刊2周年なのだそうだ。今回の特集は、読者のボリウッ度を試す『ボリウッド検定』だ。超初級、初級、中級、上級、特級と、いろんなレベルでのクイズが掲載されている。
実用的な記事としては、その特集ページ下段にある『プレーヤー強化作戦』だろうか。購入したDVDをプレーヤーに挿入してもうまく動作しない、話題作を観ていて途中でフリーズして先に進まなくなった・・・なんてことを経験したことがある人は少なくないはず。
プレーヤーに接続したテレビで鑑賞するのを諦めて、パソコンで観るとか小型DVDプレーヤーで試すなどしてみると、いずれかでなんとか動作することが多いとはいえ、なぜかこうした相性の問題は付いて回る。だがこの問題に対して対処できる強力な味方があるとのこと。詳しくは本号の2ページ目をご覧いただきたい。
こうした裏技?や映画豆知識を仕入れることができることもさることながら、インド映画上映情報もまたチェックしておきたい。東京銀座のメゾンエルメスでは、10月4日から12月20日までの毎週土曜日にMughal-E-Azamを上映しているとのことだ。3週間前からの予約制で入場料は無料。
Namaste Bollywood主催による11月16日(日)に開催されるイベント関係記事も掲載されている。東京新宿にて開かれる『ボリウッド講座vol.6』だが、詳しくはこちらをご参照いただきたい。
いよいよ創刊3年目を迎えるNamaste Bollywood。今後ますますのご発展をお祈りいたしたい。
※『昼下がりのお寺で?』は後日掲載します。 -
Namaste Bollywood #14
すでに手にされている方も多いかと思うが、Namaste Bollywoodの第14号が発刊された。今回のトップ記事は、東京六本木のシネマートで『ボリウッド・ベスト』と題して、8月30日からロードショー公開されるKABHI KHUSHI KABHIE GHAM (邦題:家族の四季 愛すれど遠く離れて) KAL HO NAA HO (邦題:たとえ明日が来なくても) DON (邦題:ドン 過去を消された男)、ならびに福岡国際映画祭2008での上映が決まったOM SHANTI OMにまつわるものだ。
言うまでもなく、どれも大作なので、東京でも福岡でも大いに好評をもって迎えられることは間違いないだろう。ただし個人的にちょっと気にかかる部分がないでもない。どの作品をとっても決して不満はないのだが、単に『インド映画好きな人たちの集まり』に終始してしまわないかというところだ。
90年代の日本でちょっとした旋風となった『インド映画ブーム』で、日本人映画ファンたちの間に刷り込まれたある種の固定観念を払拭するだけの広がりや深みを持つ、バラエティに富んだ作品群がやってこないといけないような気がする。ひとつひとつの作品の良し悪しではなく、より違ったタイプの映画が紹介されないといけないように思う。
私たちの間で、日本映画に対する紋切り型の印象、ハリウッド映画に定型化したマンネリ感覚を抱く人はまずいないだろう。もちろん日米ともに映画大国であり、有名無名の数々の監督、役者、裏方の人々が日々活躍しているとともに、私たちは子供のころから多くの異なるテーマ、違った作風の映画に親しんできている。
それがゆえに90年代の日本で突然起きたインド映画ブームについては、最初から非常に危ういものを感じていたのは私だけではないだろう。『歌に踊り』『派手なアクションとハッピーエンド』『庶民にひとときの夢を与える最大の娯楽』などといった表現が一人歩きを始め、『これまでになかった新鮮な映画』というスタンスで、似たような作品が次々に映画館に投入され、一時はかなりの人気を集めるにいたった。 -
Namaste Bollywood #13

早いものでもう2カ月かぁ・・・と思う。4月に12号が出てから、アッという間に時間が過ぎ去って行った。
今号の目玉は、『はやわかりボリウッド』とのことで、映画界に関する豆知識が散りばめられている。ムンバイーで製作される映画の国際性、映像技術の高さ、大人が楽しめる質の高い作品群等々に情報がぎっしりと並んでいる。こういう努力の積み重ねが、日本の映画ファンの間で根強いボリウッド映画ひいてはインド映画全体に対する誤解や先入観を解き、が様々なジャンルの異なるテーマの無数の作品群の中から好きなものをいくらでもチョイスできる無尽蔵の宝箱のようなボリウッドの世界の魅力に開眼する手助けとなることだろう。
また個人的にちょっと気になる記事があった。リライアンスグループを率いるアニル・アンバーニーが映画製作に意欲を示しているとのこと。飛ぶ鳥を落とすような勢いの新興財閥がエンターテインメントの世界で何を仕掛けてくるのか?という期待とともに、欧米嗜好のテイストが好みらしいことから、限りなくハリウッド的なボリウッド作品、あるいはボリウッド的なハリウッド作品を量産しようとしているのでは?という不安も感じないではない。
他にも5月にバングラーデーシュから来日したバウル・ロッカーへのインタビュー、ヌスラット・ファテ・アリー・ハーンの後継者であり甥でもあるラーハト・ファテ・アリー・ハーンに関する記事、書籍の項には往年のボリウッドのダンスシーン彩ったヘレンの伝記『HELEN』の紹介等々、いつものごとく何でもアリのリッチな誌面だ。
巻末のBollywood Filmy Pedigreeに登場するのは、サイーフ・アリー・カーンとその親族。『世が世なら』の正真正銘の王子様であることは広く知られているが、彼が持つ高貴な雰囲気と傲慢さはまさにその血筋ゆえのことだろうか。元妻のアムリター・スィンの叔父は有名な著述家クシュワント・スィンであることはちょっとビックリしたが、それ以上に興味を引かれたのは、パタウディーのナワーブであった父方のほうも、ボーパールのナワーブであった母方のほうも、印パ分離独立時に親族もインド側に残る者あれば、パーキスターンに移住した者ありといった具合であったとのこと。映画以上にドラマチックな出来事に満ちた王子様の家族史の糸口が行間に見え隠れしているようである。
今号もまた非常に力のこもった濃い内容のナマステ・ボリウッド誌だ。 -
2012年 ドゥバイが楽しみ
下記リンク先の記事を見ていただきたい。ボリウッドの映画監督ヤシュ・チョープラーがにこやかに握手を交わす相手のアラビア人女性は、中東の金融センター、UAEのドバイを拠点とするドゥバイ・インフィニティ・ホールディングスのCEOであるサミーラー・アブドゥルラザク。
Yash Raj Films (YRF) signs a Joint Venture with Dubai Infinity Holdings (Yash Raj Films)
両者の間で、ヤシュ・チョープラー監督率いるヤシュ・ラージ・フィルムズによる『YRF Entertainment District』なるものがドゥバイに造られることが決定した。詳細はまだ明らかになっていないが、テーマパーク、ムービーパレス(?)およびホテルといった施設が含まれるそうだ。もちろんどれもボリウッドがテーマとのことで、UAEに暮らすビジネスマン、技術者、建設労働者など、様々な業種の150万人ものインド人居住者たちの関心を大いに引くことだろうが、同時にインドの富裕層に人気のレジャー先でもあることから、『いつか訪れてみよう』と思っている人も少なくないだろう。
完成予定は2012年。まだまだ先だが、かなり興味を引かれつつもなかなか足が向かないドゥバイに、そこを訪れるためのひとつの大きな動機ができるわけで私としてはちょっとうれしい。またひとつ目玉が出来るわけでちょっとうれしい。果たしてどんな施設が出来上がることになるのか、続報を待つことにしよう。
ヤシュ・ラージ・フィルムズの提携相手のドゥバイ・インフィニティ・ホールディングスは、昨年12月に発足したばかりの会社だが、金融と観光とファッションの街ドゥバイをまさに地で行くような活動を展開しているようだ。主にエンターテインメントやレジャー関係で多額の投資を行なっているらしい。
テーマパークはさておき、個人的にかなり気になるのはサミーラーCEO。巨万の富(・・・たぶん)を自在に操る、若くて見目麗しき辣腕経営者。それこそ映画に出てきそうな人物だ。あまりにカッコ良すぎるが、この財の源泉と地位の背景には何があるのか?この人はいったい何者なのだろう?謎多き美女である。単なるマスコット的なお飾りなのか、それとも真の実力者なのか。同社ウェブサイト中の『Ask the CEO』に何か意見を書き込むと、本人が直接返事をくれるとある。今のところ何かメッセージを送って贈ってみるつもりはないが、ちょっと興味をそそられる。なかなか上手い演出だな、とも思う。 -
ナマステ・ボリウッド #12

ボリウッドの旬なネタ満載のナマステ・ボリウッドの第12号が出た。
今号のテーマは『歌声』のようだ。巻頭には『麗しき美声』と題して、女性プレイバックシンガーたちが取り上げられている。映画のみならずバジャンでもその神々しい歌声を披露しているアヌラーダー・パウドワル、ボリューム感のあるヴォイスのアルカー・ヤーグニク、80年代末から90年代にかけてのポップ・アイドルだったアリーシャー・チナイ等々、銀幕を彩る歌い手たちが取り上げられている。
記事中にもあるとおり、アリーシャーも元々はプレイバックシンガー。シャーム・ベネガル監督による、ゴアを舞台に植民地末期からインド返還後までのある一族を描いた映画TRIKAL (1985年)の音楽を手がけたのは、ゴア出身のレモ・フェルナンデス。ポルトガル音楽の影響を強く受けたゴアのフォークソングを現代風にアレンジしたアルバム『Old Goan Gold』は、映画TRIKALのサントラ盤としてのみらならず『ゴアの音楽ってどんなもの?』という向きにはうってつけの一枚として認知されている。なおレモ自身のウェブサイトには、『日本で最初にリリースされたゴア音楽アルバム』とある。
その名盤のいくつかの曲にアリーシャーが参加しており、映画TRIKALにもレモとともにチラリとその姿を見せていた。彼女が幾多のプレイバックシンガーの中から、歌声のみならずそのキャラクター自身がアイドル歌手として頭角を表すきっかけのひとつとなったのがレモと共演したこの作品であったようだ。
90年代半ばにMADE IN INDIAで一世を風靡したアリーシャーだが、実生活でのパートナーも『インド生まれが最高!』という具合にはならなかったようだ。数年前ゴールインしたお相手はレバノン人。
やや話は脱線したが本題に戻る。いつも楽しみにしている巻末のBollywood Filmy Pedigreeだが、今回はマンゲーシュカル篇となっている。そう大御所ラター・マンゲーシュカル、アーシャー・ボースレー姉妹を中心とした親族・姻族特集である。もう今回は冊子を手にする人それぞれの思い出のあんな曲、大好きなこんな曲が頭の中をめぐることだろう。
目下話題の作品、今後公開予定の期待の新作等々の記事はもちろんのことながら、見落とせないのがイベント関係記事。『今年もまたインド系野外フェスが西伊豆で開催!』というのが目に飛び込んでくる。今年も・・・といっても、従前からそういう催しが開かれていたことも知らなかった自分の無知さ加減に恥じ入るばかりだが、インドから来日するアーティストあり、日本の有名なインド舞踊家の遠征ありと、西伊豆のオートキャンプ銀河を舞台にゴージャスな時間が楽しめるらしい。期日は5月23日(金)から25日(日)だそうだ。詳細は以下をご参照いただきたい。
dance of shiva (TIRAKITA)
夏にはボリウッド・ベストと題して、シャー・ルク・カーン出演の人気作3本が東京六本木、大阪、名古屋と巡回上映される予定だそうで、ナマステ・ボリウッド誌もメディア・サポーターとして情報を掲載していくことになったのだそうだ。その3本とはDON (邦題:ドン−過去を消された男)、KAL HO NAA HO (邦題:たとえ明日が来なくても)、KABHI KHUSHI KABHIE GHAM (邦題:家族の四季 愛すれど遠く離れて) である。

ボリウッド映画を愛する人々の輪が今後ますます広がっていきますように! -
ナマステ・ボリウッド♯11

ナマステ・ボリウッド♯11号が発行された。今回はホーリー特別号とのことで、巻頭特集は『ホーリーの春、スポーツの春』と題して、最近の映画の中でスポーツ物の作品、『Chak De ! India !』『Dhan Dhana Dhan Goal』『Apne』その他いろいろ取り上げられている。
時節柄、Film Fare Awardsの話題にはじまり、近日封切の期待作の紹介、そして『Dhoom 3』や『Don 2』製作のウワサ、おなじみ『Bollywood Filmy Pedigree』で今回取り上げられているのはヤシュ・チョープラー。今回は演技者ではなく、監督・製作者一族を取り上げた、ちょっと通好みの記事かもしれない。
今号を読んでみて、『そうそう!』と思わずポンと膝を叩いたのは、小さな囲み記事内にある『インド映画は長いというのは、まったくの都市伝説である』というくだり。たしかに近ごろの都市型の映画は、『2時間+αというがほとんど』とここに書かれているとおり。私は特に上映時間をあまり気にすることがないのだが、心なしか最近の作品はちょっと早く終わるように気がしていた。映画の内容はもちろん、時間的な部分もグローバル化されてきているのかもしれない。でも元来せっかちな私にはこのくらいがありがたい。
意外に短い上映時間・・・はさておき、いまだ根強いインド映画に対する先入観や偏見を払いのけ、娯楽の王道ボリウッドの豊かな魅力を日本の隅々にまで存分に伝えるべく、ナマステ・ボリウッドの今後ますますのご発展をお祈りいたしたい。
