富士フィルム X10

X100を彷彿させるフォルム

今年の10月22日に、かなり気になるカメラが発売される。富士フィルムのX10である。3月に発売されたX100とよく似たフォルムだが、こちらは開放値明るめのF2、35mm換算で35mm相当の画角の単焦点モデルであるのに対して、X10は28mm~112mm相当の画角のズームレンズを搭載している。ズームレンズとしてはかなり明るいF2(広角側)~F2.8(望遠側)というのは魅力だ。またズームの機構自体も電動ではなく手動というのも使い勝手が良さそうに思える。

半年ほど前にX100を購入して、描写性と使い勝手の良さにとても満足している私だが、35mm単焦点ということ自体が大きな魅力である反面、その画角がゆえに撮ることができないものもまた多いため、どこかに出かける際に基本的に荷物を極力持たないようにしている私にとっては、いろいろ思い悩むことも多いのだ。正直なところ、X100のズームレンズ版があったらなあ、とも感じていた。


専用ケースとフードを装着した状態。実にカッコいい。

そんなわけで、X10については『X100のズーム版か?』と期待したくなるところだが、ズームレンズ搭載にしては、X100と比較してボディが一回り小さいところからして容易に推測できるように、X100に使用されているセンサーはAPS-Cの大きさ(一部の高級機を除いた一般的なデジタル一眼レフで使われている)であるのに対して、X10は2/3インチのサイズ(コンパクトデジカメで用いられている)のものである。センサーのサイズの具体的な比較については、以下のサイトをご参照願いたい。

撮像素子の大きさは性能と価格に直結(ガバサク談義)

クラシカルなフォルム(好き嫌いはあることと思うが、趣味性の高いモノであることから、姿形への愛着も大切だ)、ちゃんと使えそうな光学ファインダーが搭載されていること、おそらく操作体系はX100を踏襲しているであろうことなど、かなり食指が動く気がするものの、センサーが小型であることはいかんともしがたいものがある・・・はず。

フィルムに相当する部分のサイズがまったく違うため、小型センサーに共通して言えることだが、解像感やラティテュードに大きな開きがあるのは仕方のないことではある。それに感度を上げることによる画質の劣化も顕著なため、光量の少ない環境では使い辛くなる。

逆にAPS-Cサイズ以上のセンサーであれば、とりわけ最近のモデルはISO1600やISO3200相当でも、充分使えるレベルになっているため、画質の劣化をあまり気にせずに感度をガンガン上げて撮ることができて楽なのだ。

X10の場合は、他の多くのコンパクトデジカメと同様に手ブレ補正が付いているため、光の足りない環境ではこれを大いに活用して、可能な限り低い感度で撮るよう心掛けることになるだろう。

そんなわけで、X10はX100のバリエーションのひとつではなく、まったく別のカテゴリーのカメラで、オリンパスのXZ-1あたりと競合するモデルということになる。28mm相当の単焦点モデルであるGR Digital(最近、新モデルⅣが発売された)に対して、『ズームレンズ搭載でGR的ながらもズームレンズ搭載しているモノ』として需要がかぶることと思う。

そんなわけで、個人的にはちょっと拍子抜けではあるものの、日常的に使いやすい高品位なコンパクトデジカメを新たに購入しようという場合、非常に有力な選択肢になることは間違いない。私自身、正直なところX10は非常に欲しい。まだ実機に触れてみたことさえないものの、現状で知り得る情報だけでも、非常に魅力的なコンパクト機であることは明らかだ。日常でも旅先でも重宝するカメラ、そしてインドでどうだろう、この一台?として本日取り上げてみた。

ところで、富士フィルムのデジタルカメラFINEPIXシリーズ中の『X』ブランドのモデル、X100、X10に続き、今後ミラーレス一眼も加わることになるようだ。同社はフォーサーズ規格の賛同企業であることから、目下フォーサーズといえばその発展型のマイクロフォーサーズが主流となっている現状、小型化に有利であることなどから、パナソニック、オリンパスに続き、マイクロフォーサーズ規格の機材を製造するメーカーとなる可能性が非常に高い。

既存の規格に参入することになれば、ユーザーにとっては先行する2社のレンズを活用できるという利点(現状では両社ともそれほど豊富とはいえないが)がある。それ以上に魅力的かもしれないのは、マウントアダプターを介してMマウントのレンズを利用できることではないだろうか。

マイクロフォーサーズに参入するというのは、あくまで巷で言われているだけのことで、今のところ富士フィルムが表明しているのは『ミラーレス一眼への参入』『X100よりも少し大型』ということのみだが、それこそ唯一無二で、魅力的なカメラが出てくることを期待している。

マイクロフォーサーズ規格の『デジタル一眼』を製造しているパナソニックとオリンパスは、モデルチェンジを重ねるごとに大胆な小型化を推進しており、デジタル一眼とコンパクトデジカメの境界が曖昧になりつつあるくらいだが、富士フィルムのXシリーズから出てくることになるミラーレス一眼は、先行メーカーのモデルとは大きく異なるクラシックかつ本格派な骨太路線を歩むことになりそうだ。

Xシリーズは、X100、X10ともに日本製だ。おそらく今後出てくるモデルもそうだろう。『MADE IN JAPAN』ならではの違いがそこにある・・・と思う。

X100同様にX10もMADE IN JAPAN

PENTAX Q

PENTAX Q

ミラーレスのモデルが普及してきたこともあり、デジタル一眼のカメラの小型化が進む昨今だが、今月末にはPENTAXから『PENTAXQ』という究極的に小さなデジタル一眼が発売される。

マイクロフォーサーズ機同様、ミラーレスなので一眼レフではない『一眼』カメラである。 まさか既存の規格のデジタル一眼レフないしはデジタル一眼から乗り換える人はいないと思うが、サブ機として持ち歩くコンパクトデジカメの代わりとしてという需要は多いのではないだろうか。また主としてコンパクトデジカメのユーザーの中でハイエンド機を使用している人たちがターゲットになるはず。

PENTAX Q (PENTAX)

まったく新しい規格のカメラであり、実機に触れる機会もまだないため、なんともコメントすることができない。『世界最小、最軽量のデジタル一眼』を謳っている。だがデジタル一眼としてよりも、むしろ『レンズ交換式かつ多様なアクセサリ類と合わせてデジタル一眼的に使えるコンパクトデジカメ』としての魅力を感じる人のほうが多いことだろう。

一眼的に使うために最も大切な要素である交換レンズ類については、ラインナップをこれから揃えていく方向にある。もちろんPENTAXQの売り上げが伸びていく前提での話なので、実際のところどうなるかは発売後しばらく様子を見ないとわからない。

従来の一眼レフの場合、キヤノンにしてもニコンにしても、自社ブランドのレンズの豊富なヴァリエーションに加えて、シグマやタムロンといったサードパーティーが製造するこれらのマウント規格等に合致した数多くのレンズ群の中から、目的と予算に合わせてふさわしいものを選択できる。

まったく新しい規格のQマウントの場合、他のレンズメーカーも製造に乗り出すことはないだろうが、PENTAXから今後様々なタイプのレンズが用意されて『こんな小さなカメラなのに一通りのシステムを組むことができる!』なんていうことになったら面白いと思う。

コンパクトデジカメのハイエンド機に対して、PENTAX Qはそれぞれ用途や性格の異なる複数のレンズを交換して、一眼的に撮影できることウリなので、まずはそのあたりの環境の整備が普及のポイントとなる。

『小さいのに意外に楽しいカメラ』『超コンパクトな万能機』として、日常でも旅行先でも多いに活用できる常時携帯可能なカメラとなることだろう。まだ発売前のこのカメラを『インドでどうだろう?この1台…』として取り上げてみた。

ただしこのカメラについて『デジタル一眼』として興味を抱いているわけではない。その理由は搭載している撮像素子のサイズだ。1/2.3型というコンパクトデジカメ用のもの豆粒ほどの大きさである。画質はもちろんのこと、背景のボケ具合、ラティテュード、高感度時の画像の荒れ等々、従来のデジタル一眼に対して著しく不利であることは当然であるからだ。センサーのサイズ比較については下記のサイトをご参照願いたい。

撮像素子の大きさは性能と価格に直結 (ガバサク談義)

『小さくて持ち歩きにいい』と、当初気に入って使っていたマイクロフォーサーズ機でさえもAPS-Cサイズのセンサー搭載のカメラに比べるといまひとつ・・・としみじみ感じている。 だが常時携帯しているリコーのGR-DigitalⅢよりもひと回り大きい程度なので、これがくたびれてダメになるあたりで、その時点で販売されているおそらく次世代のPENTAX Qを手に入れることになるかもしれない。レンズ交換式コンパクトデジカメというまったく新しいジャンルのカメラとして。

蛇足ながら、オモチャ的に小さなサイズにもかかわらず、ボディはしっかりとしたマグネシウム合金製というのも好感が持てる。実機に触れてみるをとても楽しみにしている。

古い写真の記憶

写真やアルバムは本人や家族にとって大切なものだ。年月を重ねるにしたがってその価値や重みを増していく。 その画像に写っている『現実』がどんどん遠いものとなっていくからだ。

大人になってから眺めてみる子供時代の写真、今では年取った親の若いころの写真、社会に出てからずいぶん経ってから、ふと開いてみる学生時代の卒業アルバム、そこには今とは違う自分や家族や友人たちの姿がある。

どれも懐かしい思い出に満ちている。時間の経過とともに記憶の中で特に良かった部分が、非現実的なまでに増幅して思い起こされるものだ。 そうした昔の写真は、さらに時を経てそこに写っている個人やその家族のみならず、そこに記録された時代を知る貴重な手がかりとして、万人にとって価値あるものとなってくる。

インドの古い写真をブログ的に取り上げているOld Indian Photosというサイトがある。1850年代から1970年代にかけての写真が取り上げられている。セピア色の画像の裏に繰り広げられていた当時の日常、そこに写っている人々はすでにこの世に無く、その個々を知る人さえない忘却の彼方に去って行った過去もある。今とはずいぶん違う景色、現代とは異なる装い人々の姿から当時の世相や習俗が伝わってくる。

想像力たくましくして、色褪せたモノクロームの写真に『記憶された』風景の背後に思いを馳せたい。撮影者の目の前にあった当時の日常生活、彩り豊かな失われた昔日をゆったりと眺めてみたい。そこには人々が歩んできた歴史があり、それは言うまでもなく今の私たちの時代に繋がっている。

マンフロットの卓上三脚 MP1-C & MP3-D

3年ほど前に『カメラと一緒にいつでもどこでも』と題し、カメラの三脚メーカーとして知られるマンフロット社製のMODOPOCKET 797を取り上げたことがあったが、最近この路線の新型モデルのMP1-CMP3-Dという小型テーブル三脚が登場した。

MP1-C  コンパクトデジカメ用
MP3-D   一眼レフにも利用可能

前者は自重30gで、MODOPOCKET 797と同じく最大耐荷重は500gでコパクトデジカメ用だが、後者については自重70g、最大耐荷重は1,500gまでとなっており、このタイプのものとしては珍しい一眼レフ用となっている。両モデルとも色は黒とグレーが用意されている。

どちらも折り畳んだ状態では平べったく軽量であるため、カメラに付けっ放しにしておけるのがいい。通常、こうした小型テーブル三脚は脚部が貧弱であることはもちろんのこと、雲台が華奢であること、重心が高くなってしまうこともあってごくごく小さなカメラにしか使えないのだが、そのあたりはうまく考えて作ってあることに感心させられる。

画像左側に見えるヒモ付きの金具のようなものは、カメラの三脚取り付け用の穴に取り付けるネジを回すための工具。MODOPOCKET 797の場合はポケットからコインを取り出して回していたが、こういうささやかな心遣いはちょっとうれしい。加えてMP3-Dはカメラネジ用の溝が3本あるのが目を引くが、これはカメラにより三脚用の穴の位置が違ったり、カメラそのものの形状もいろいろであることに対応したものだということで、実に汎用性が高い。

MODOPOCKET 797の発展形であるどちらも魅力的だが、とりわけ後者、一眼レフに使えるMP3-Dについては、他に同じようなものがほとんど見当たらないため、ひとつ購入してポケットの中にでも忍ばせておけば、何かと役に立つことがありそうだ。MP1-Cの日本での販売価格は2,300円前後、MP3-Dは3,300円前後といったところだ。

旅行向け三脚

 三脚といってもいろいろあるが、コンパクトカメラを使用している方ならば手軽に旅行先に持参しているものといえば、通常はいわゆるテーブル三脚、つまり小型の三脚なのではないかと思う。 

こうした類もピンキリだ。見るからに華奢なものから、なかなかしっかり造ってあり、小型の一眼レフと単焦点の標準レンズ程度の重量ならば充分に使えそうなものまでいろいろある。 

ただ置いて撮影するだけでなく、石突三か所を壁に当てて安定させてスローシャッターを切るという応用もできるし、あるとなかなか便利である。 

だがあくまでもテーブル三脚である。高さがまったくないため、地面に置いて使うのは毛現実的ではないし、使いたいところで適当な台があって高さを稼ぐことができるとは限らない。 

どうしてもシャッタースピードが遅くなってしまう場面、とりわけコンパクトデジカメの場合はセンサーが小さく、画面が荒れるので感度を上げたくない。かといってある程度の長さの三脚を持参するとなると、それなりの荷物になるため、わざわざ一眼レフを家に放っておいて、コンパクトデジカメ一台で、荷物に振り回されることなく身軽に出かけるというメリットが削がれてしまう。手軽なカメラを使うのにわざわざ三脚の出し入れやセッティング等をするのも面倒ではある。 

そんなわけでテーブル三脚以外のものを旅行先に持ち歩くという考えはまったくなかったのだが、昨年12月に発売されたVelbonのCUBEという、コンパクトデジカメ専用の三脚はかなり気になっている。 

重量は390g。やや大きめのコンパクトデジカメと同じくらいだが全高は940cm。しかも畳んだ状態は三本の脚と雲台がフラットに並ぶので小さなカバンの中でも邪魔にならない。さらには『世界最速』を謳う脚の出し入れのスピーディーさがスゴイ。 

世界最速セッティング – ミニ三脚「CUBE」(Youtube) 

これならば面倒などと思うことなく気軽に使う気になるだろう。3本の脚がフラットになっている状態で引き出すので杖のような形で持つこともできる。つまり一脚的な利用もできるだろう。常時カバンの中に潜ませておくと、野犬に囲まれたときの威嚇用にも使えそう(?)な気もする。 

もちろんコンパクトかつ軽量というのがウリなので、堅牢さを期待してはいけない。あくまでもコンパクトデジカメ専用ということもあり、脚を最大限に伸ばすと頼りなくグラつく。荷重は400g以内ということになっている。 それでもリコーのGRDやシグマのDP1といった軽量カメラを使う分には申し分ないし、収納性とスピーディーさという点からも唯一無二の存在である。 

日常的に持ち歩くのはもちろんのこと、旅行先に持参するにも非常に具合の良い三脚である。価格は5,000円以下、概ね4,500円前後といったところのようである。