古い写真の記憶

写真やアルバムは本人や家族にとって大切なものだ。年月を重ねるにしたがってその価値や重みを増していく。 その画像に写っている『現実』がどんどん遠いものとなっていくからだ。

大人になってから眺めてみる子供時代の写真、今では年取った親の若いころの写真、社会に出てからずいぶん経ってから、ふと開いてみる学生時代の卒業アルバム、そこには今とは違う自分や家族や友人たちの姿がある。

どれも懐かしい思い出に満ちている。時間の経過とともに記憶の中で特に良かった部分が、非現実的なまでに増幅して思い起こされるものだ。 そうした昔の写真は、さらに時を経てそこに写っている個人やその家族のみならず、そこに記録された時代を知る貴重な手がかりとして、万人にとって価値あるものとなってくる。

インドの古い写真をブログ的に取り上げているOld Indian Photosというサイトがある。1850年代から1970年代にかけての写真が取り上げられている。セピア色の画像の裏に繰り広げられていた当時の日常、そこに写っている人々はすでにこの世に無く、その個々を知る人さえない忘却の彼方に去って行った過去もある。今とはずいぶん違う景色、現代とは異なる装い人々の姿から当時の世相や習俗が伝わってくる。

想像力たくましくして、色褪せたモノクロームの写真に『記憶された』風景の背後に思いを馳せたい。撮影者の目の前にあった当時の日常生活、彩り豊かな失われた昔日をゆったりと眺めてみたい。そこには人々が歩んできた歴史があり、それは言うまでもなく今の私たちの時代に繋がっている。

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