ポケットの中のインド

iPod
2001年に最初のモデルが発売されたアップル社のiPod。以前は携帯音楽プレーヤーといえば、ソニーのウォークマン、CDウォークマン、MDウォークマンや他社によるこれらの競合商品が店頭に並んでいたものだが、携帯性、機能性、収録できる曲数、拡張性どれも秀逸で、圧倒的な支持を得てこの分野第一級の定番商品となった。
これまでiPodを手にしたことさえなかった私だが、遅ればせながら私も購入してみたのは、第6世代のiPod Classicである。最近のモデルは動画機能が強化されていることが購入の動機。出先でヒマができたときにインド映画を観るのにどうだろうかと思ったのだ。

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1,00,000 Rsの格安国民車 “NANO”

NANO
フォードからイギリスの高級車ブランド、ジャガーとランドローバーを買収交渉中のターター・モータース。およびこのたび正式発表となった価格10万ルピー車の開発も進めている。最高級クラスのブランド車から、これまで自家用車が高嶺の花だった層の人々をターゲットとする格安車まで、従来生産している他の自家用タイプのクルマ、バスやトラックといった大型商用車をも含め、実に幅広いレンジのさまざまなモデルが揃う総合自動車メーカーとなる。
デリーで開催されている2008 Auto Expoで、そのターター・モータースの格安小型車NANOが目玉となっている。エアコン、パワーウィンドウ、パワーステアリングなしのシンプルな造り(エアコンは別途装備可能)のこのクルマがどうして注目を浴びるのかといえば、インドのみならず世界各地で爆発的に普及するかもしれない潜在力を秘めた世界戦略車であるからだ。
今年後半から発売される予定のNANOは、どこか既視感をおぼえるクルマだ。そう、日本の軽自動車を思わせるものがある。全長3.1m、幅1.5m、高さ1.6m。排気量624ccで33馬力の4ドア車。後にディーゼルエンジンの車種も投入する予定とか。おそらく日本独自の軽自動車やクルマ社会における位置づけなどを非常に深く研究したうえで開発されたものではないかと思う。これを『インド版軽自動車』と言ってしまっては新鮮味がなくなってしまうが、NANOの武器はその超低価格ぶりにある。たったのエーク・ラーク(10万)Rsなのだ。

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テロで変わるもの

1978年に第一回大会が開催され、『パリダカ』の名前で日本でも親しまれてきたダカール・ラリー。いくつもの国境を越えて、非常に条件の悪いルートを走破するこの過酷な競技の映像を目にすれば、モーターファンならずとも大きな驚きと感動をおぼえるとともに、出場者たちに大きな拍手を送りたくなることだろう。
そのダカール・ラリーは今月開催されるはずであったのが、まさに直前になって主催者より中止の発表があったのはご存知のとおり。すでに各種メディアで報じられているとおり、原因は治安面での不安、つまりテロの標的となる可能性があるとのことだ。
主催団体ASOのコメントにもあるように、社会的影響や経済的損失を考慮したうえでも、中止を決断しなくてはならないところまで追い込まれたとのことだが、これは尋常なことではない。フランスの諜報機関筋が具体的なテロ計画の情報が把握したことがこの判断につながった理由のひとつだというが、テロ組織がASO自身に直接脅しをかけていたのかもしれない。
今後もコースとなる北アフリカ地域での治安状況に不安はつきまとうことから、来年以降のラリー大会開催について他地域も視野に入れているようで、すでに南米を視察したとのことだ。
インドでは、首都デリーで『1月15日からIDの携帯義務化』の動きが議論を呼んでいる。ここでいうIDとは、運転免許証、有権者登録証、配給証、学生証、勤務先の職員証、外国人の場合はパスポートや外国人登録証等々など。IDとして認められるものの範囲が広いのでなんとかなるかといえば、そうでもないのがインフォーマルセクターで働く人々であり、さまざまな形で首都に入ってきて社会の底辺を成す移民の人々でもある。
この件について様々な反論や反響が報じられている。そういうものを常時携帯することを強制することは民主的でないという声があるとともに、総人口のおよそ半数が身分を証明するものを何ら持ち合わせていないと推定されるこの国で、突然このようなものを身につけろというのは実際的ではないという批判、そして電子データ入りの統一された身分証明証を発行して携帯させるべきであるという意見もある。

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手ブレ補正機能が欲しい

高倍率のズームの良いところは、それ一本でとりあえず何でもできること。しかも手ブレ補正付きとなればなおさら。旅行先はもちろん、休日に界隈を散歩なんていうときにも手軽で便利。目的や状況に合わせてレンズ交換できることがメリットの一眼レフカメラなので、オールマイティなズームレンズ一本ですべて撮っているという人はまずいないだろう。でもお気に入りのいくつかのレンズに合わせて、こうした応用の効くレンズは誰もが持っているはず。ズームはさておき『手ブレ補正はヘタな奴が欲しがる』なんていう人を見受けるが、これはとんでもない偏見だ。
もともとブレを生じやすい焦点距離の長い望遠レンズに使われる機能である。これがいつごろからか普及タイプのコンパクトデジタルカメラによく手ブレ補正が搭載されるようになった。当初はなぜスナップ用のこうしたカメラにそんな機能が必要なのだろうかと怪訝に感じたこともある。だがこれには消費者側に問題?というか、ユーザーからの求めがあったのだ。カメラがデジタル化し小型化も進んだ。機器の価格も安くなったので、日常的にカメラを持ち歩く人が増えた。するとユーザーにもいろんな人たちが出てくる。

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世界最大のヒンドゥー寺院

デリーのアクシャルダーム寺院
新年明けましておめでとうございます。
ウェブ上で初詣ということで、お寺の話題をひとつ。
グジャラーティー・コミュニティを中核に、国際的な広がりを持つヒンドゥー組織BAPS (Bochasanwasi Akshar Purushottam Swaminarayan Sanstha)による大寺院、2005年に完成したデリーのアクシャルダームがギネスブックの『世界最大のヒンドゥー寺院』と認定されたのは昨年12月半ばのこと。
アクシャルダームといえば、グジャラート州のガーンディーナガルにも同じ名前の寺院がある。こちらは1992年建立で、もちろんデリーのものと同じくBAPSのお寺だ。敷地のレイアウトや本堂の姿形もよく似ている。ただしこの寺院には非常に不幸な歴史もある。2002年に起きたテロリストによる襲撃により、境内で多数の人々が殺傷されるというショッキングな出来事のことを記憶している人も多いだろう。
さて、このデリーのアクシャルダーム、私はまだ訪れてみたことがないのだが、建設当時かなり話題になっていたようだが、特に気に留めることはなかった。だがこのほどギネスブックに載ったことで、どんなものかと同寺院のウェブサイトを覗いてみると、これがなかなか面白そうだ。
建物内外の壮麗さはもちろんのこと、広大できれいに整備されたガーデン、巨大スクリーンによる映像、夜間に美しくライトアップされる噴水、様々の工夫と趣向を凝らした宗教関係の展示など、夢か幻かと思うような設備満載で、いわば宗教テーマパークのような具合らしい。その一端は同ウェブサイト内のPhoto Galleryで垣間見ることができる。
建築的にどうなのかということはともかく、各地の様々な要素が一堂に集まっているようでなかなか興味深いものがありそうだ。非常にバブリーな雰囲気が感じられるのはもちろんのことだが、これもまたインドの今という時代を反映しているようでもある。建立時期がごく新しい巨大寺院は他にもあるが、今の時代の都会での信仰というもののありかたを示唆する貴重な一例であるように思う。
2008年が皆さんにとって良き一年でありますように!