グループAからはアフガニスタンとインドが準決勝進出へ SAFF CHAMPIONSHIP

インドvsスリランカ 試合開始直前

12月7日のカードは、第1試合アフガニスタンvsブータンと第2試合インドvsスリランカ。アフガニスタンはブータン相手に8-1と大勝。両チームの力量の差が甚だしく、一方的な展開に終始したため、試合経過については特にコメントするつもりはない。

だだし、注目すべきは、この試合での8得点中、4点は背番号9を付けているFWのバラール・アールズーによるものであることだ。これによって、初戦のインドとの試合での1得点と合わせて通算5ゴールと、今大会の得点ランキングのトップに躍り出た。目下、これに続くのはインドのFWで『バイチュン・ブーティヤーの後継者』とされるスニール・チェートリーが4得点。2得点では、モルジブのアリー・アシュファーク、アフガニスタンのサンジャール・エヘマディーが並んでいる。

今後、準決勝、決勝で対戦する各チーム同士の力の差は小さいので、ゴールが量産される試合はないだろう。ゆえに得点王はアフガニスタンのバラール・アールズーとインドのスニール・チェートリーの間で争われることになるだろう。

グループAのトップには、アフガニスタンとインドがともに2勝1分けで並ぶが、得失点差により前者が1位、後者が2位での通過となる。そのため12月9日の準決勝で、アフガニスタンはグループBで2位のネパール、インドはグループB1位のモルジブとの対戦となる。

どちらのカードもグループAから進出するチーム、つまりアフガニスタンとインドのほうが戦力は上のようだ。だがスケジュールがタイトなこの大会において、懸念される要素がひとつある。昨日最終戦を終えて中2日休むことができるグループBのネパールとモルジブに対して、アフガニスタンとインドは中1日しか休養できないことだ。そのあたりを考慮しなければ、準決勝は順当に行けばグループA通過のアフガニスタンとインドがそれぞれ勝利して決勝に駒を進めることなると予想される。

いよいよ大詰めを迎えつつある今大会だが、準決勝進出を決めるため地元開催のインドにとって大切な一番であったにもかかわらず、スタンドはガラガラであったのが気になるのは私だけではないだろう。南アジアにおいて、インドに限ったことではないが、サッカーのレベル向上のためには、足しげくスタンドに足を運ぶ大勢のファンたちの姿が必要だ。ゲームを観る人の数は、そのスポーツに対する人々の愛着の深さや関心の高さを如実に反映し、同時に競技人口の多寡を示すものでもある。

こうした寂しい状況下でも、情熱的にこの競技に打ち込んでいるプレーヤーたちに敬意を表したい。同時に、スタンドに足を運んでいるファンたちのハートに共感を覚えずにはいられない。

最後にひとつ付け加えたい。昨日12月6日にカーブルで発生した爆弾テロ事件により、アフガニスタン代表MFのムスタファ・マダル選手の親族4名が亡くなっている。これにより帰国することなく、自国代表の戦列に留まっているムスタファ選手の胸中を想像すると、やりきれない思いがする。スポーツの世界は、政治やテロ等と無縁であって欲しいものだが、なかなかそうもいかない現実がとても残念である。

Karbonn SAFF Championship India 2011をネット観戦しよう!

今回のSAFF (South Asian Football Federation)  Championship 2011の開催地はインド。デリーのジャワーハルラール・ネルー・スタジアムで全15試合が行われる。2009年にバーングラーデーシュで開催された前回大会で優勝したインドは自国での大会に臨んでいるわけだが、これまで5回という最多優勝国としてのメンツもあり、前回に続いての連覇が期待されるところだ。

グループA(アフガニスタン・インド・スリランカ・ブータン)とグループB(ネパール・モルジブ・パーキスターン・バーングラーデーシュ)に分かれて、それぞれ総当たりのゲームが実施される。ふたつのグループのそれぞれ上位2チームが決勝トーナメントに進出する。グループAの1位とグループBの2位、そしてグループAの2位とグループBの1位が準決勝を戦い、それぞれの勝者が決勝戦で対戦するといった具合。

Ustreamがこの大会のゲームをライブ配信することについては、当サイト右側にあるツイッター記事にもあるとおりだが、同様にYoutubeでも専用チャンネルを設置して中継映像を流している。すでに終了した試合を視聴することも可能だ。

12月2日、開幕戦のBグループパーキスターンvsバーングラーデーシュは、0-0の引き分け。同じくネパールvsモルジブも1-1で引き分けた。昨日12月3日は注目のインドの初戦で、相手はアフガニスタン。前半の早い時間帯で、中盤選手がのバックパスを受けたインドの左サイドバックのマヘーシュ・ガウリーのお粗末なボール処理により、アフガニスタンのエース・ストライカーのバラール・アールズーにインターセプトされて先制点を決められてしまう。しかしその後、スティーヴン・ダイアスが蹴った左コーナーキックをスニール・チェートリーの見事なヘディングによる同点弾がアフガニスタンゴールに突き刺さった。

先制点を決めたアフガニスタンのバラール・アールズー

概ねインドは優勢に試合を進めていたとはいえ、明らかに格下であり、しかも国内事情がスポーツの育成という状況ではないアフガニスタン相手に引き分けというふがいない結果になった。だがサッカーのアフガニスタン代表チームを見る(中継ではあるが)のは初めての私は、アフガニスタンは意外に侮れないという印象を受けた。

世界的に見れば低い位置につけているとはいえ、南アジアのサッカー界では大きな存在感を持つインド相手に遜色ないゲームを見せてくれた。先制点を決めたFWで背番号9のバラール・アールズーは幾度も好機に絡む活躍を見せていたし、同じくFWの10番付けたサンジャル・エヘマディーも見せ場を作っていた。攻撃の起点として活躍したMFで7番のイスラフィール・コーヒスターニーも良かったし、DFで16番を付けた長髪のジャラルッディーン・シャリアテャールも巧みに最終ラインを指揮していた。

これら4名のうち3名は国外でプレーしている選手だが、アフガニスタンのサッカー事情を紹介しているFOOTBALL AFGHANISTANというサイトによると、代表チームの中に占める国外クラブでプレーしている選手の数は、インドのI-League所属の選手も含めて8名とかなり多い。今回の試合で特に印象に残った4名以外においても、アフガニスタン選手たちは総じて技術的にはかなり高いものを持っており、体格面でも恵まれておりフィジカルも強い。サッカーという競技における素質の高さを感じさせるものがある。

将来、国内が安定して競技人口も増えてくると、またジュニア世代から適切な育成がなされる時代がやってくるならば、地域の強豪国として台頭してくるのではないかと思う。インド戦で垣間見せたゴールへの旺盛な意欲は、隣国イランの華やかな攻撃スタイルを思い起こさせるものがある。たぶんアフガニスタン選手たちにとっての『お手本』とは、地域的にもイランのそれであることは容易に想像できるが。インドの初戦勝利を期待していたものの、結果は引き分けでちょっとがっかりしたのだが、その反面アフガニスタン代表の意外な善戦により、最後までゲームを楽しく観戦することができて良かった。

インドvsアフガニスタンの後に行なわれたスリランカvsブータンは3-0で前者が圧勝。続いて12月4日のバーングラーデーシュvsネパールは、0-0のままタイムアップになろうかという間際に、サーガル・ターパーの芸術的なフリーキックによる得点により、ドラマチックなエンディングを迎えた。今、この記事はパーキスターンvsモルジブを観戦しながら書いている。試合はすでに後半に入ったが、スコアは0-0のままだ。

パーキスターンvsモルジブ

明日、12月5日はアフガニスタンの第2戦目。相手はスリランカだが、ここでもアフガニスタンの活躍を期待したい。この試合の後にインドがブータンと対戦する。引き分けでスタートしたインドは、これを確実に勝たなくては非常に苦しい。

今後、12月5日、6日、7日にグループリーグのゲームが行われ、12月9日に準決勝、12月11日に決勝戦となる。準決勝までは第1試合は午後3時から、第2試合は午後6時からとなる。決勝戦は午後6時キックオフだ。いずれもインド時間なので、時差3時間半先行している日本在住者には観戦しやすい時間帯だ。もしご興味があれば、SAFF Championshipのネット観戦はいかがだろうか。

UP州 四分割へ

2000年に州北西部のヒマーチャル・プラデーシュ州とネパールの間に挟まれたエリアをウッタラーンチャル州(現ウッタラーカンド州)として分離させたウッタル・プラデーシュ州(以下UP州)だが、今度はさらに四分割されることになるようだ。

UP Assembly passes resolution on state’s division into four (INDIA TODAY)

西側がデリー首都圏に隣接するパシチシム・プラデーシュ、その東側にアワド・プラデーシュ、その南にブンデールカンド、現在のUP州東部はプールヴァンチャルとする法案が、本日11月21日にUP州議会を通過した。州の分割について今後は中央政府の判断に任せることになる。

現与党の大衆社会党(Bahujan Samaaj Party : BSP)党首で、州首相でもあるダリット出身のマーヤーワティーによる、2012年4~5月にかけて予定されている州議会選挙を念頭に入れた策略であるとする野党側の声は高い。

だが先述の2000年に分離したウッタラーカンド州地域を除けば、英領時代のUnited Provinces of Agra and Oudh(略してUP)が、独立後もほぼそのまま継承されたUttar Pradesh (略称同じくUP)は、現在1億9900万人超の人口を抱える巨大な州である。なんと人口世界第5位のブラジル(1億9500万人)を凌ぐ数字だ。

デリー首都圏からほど近く、工業地帯として発展したノーエダーを擁する西部は、後進地域であるその他の地域から切り離したほうが将来の展望は明るいと思われるため、それを希望する意見は従前からあった。

その他、現在のUP州都であり、アワド王国の古都としても知られ、北インドの文化の中心地のひとつでもあるラクナウーがそのまま新州都として移行するのであろうアワド・プラデーシュは豊かな穀倉地帯だ。

同じく農耕地の広がるプールヴァンチャルは、隣州ビハールにつながるボージプリー話者が暮らす地域だ。先に挙げたふたつに較べると有力な産業を欠き、開発の遅れたエリアということになる。

以前から分離要求の声が最も高かったのは、現在のUP州の中で最貧地域であるブンデールカンドだ。人口中にダリットが占める割合も高く、州の現与党であるBSPの大票田としても知られている地域だ。

もちろんマーヤーワティー率いるBSPにはしたたかな計算あってのことには違いないとはいえ、ひとつの州が『世界的な大国並み』の巨大人口を抱えていることは、政治への民意の反映や施策への民意の汲み上げを困難にするし、行政の効率上も好ましくない。

さらに露骨な言い方をすればUP州西側の先進地域パシチム・プラデーシュにとっては、『その他の地域を食わせてやる』義務から解放されて今後勢いの良い成長が期待できるということになるし、州内では比較的豊かなアワド・プラデーシュにとっても『余計なお荷物が減った。今後は自分のことに専念できる。』ということになる。反対にこれまで州の後背地であったブンデールカンドとプールヴァンチャルは、それぞれ独自の州としての地位を得ることにより、自主性・主体性を持った開発が可能になるとも言えるだろう。

地域的なカラーが著しく異なる(ゆえに分割という論にたどり着くことにもなるのだが)がゆえに、UPの有力政党がそれぞれの地域でうまく棲み分けをすることにより、不毛な政争を避けて、それぞれが本来なすべき仕事に注力できるようになる・・・としては期待しすぎだろうか。

独立以前から有力な政治指導者たち、イギリスが去ってからは歴代の首相や政界の重鎮たちを輩出してきたUP州の政治的な重みは失われてしまうが、このUP分割はそれでも『遅きに失した』感さえある。

今後、UP州分割がどのように進展していくのか目が離せないし、はなはだ失礼であることを承知で言えば、分離したそれぞれの地域がどのような成長あるいは停滞、発展あるいは混乱を呈していくのかといった野次馬的な興味も尽きない。

本日挙式 ブータン国王夫妻

以前、ブータンのロイヤル・ウェディングと題して、同国の国王が今年10月に挙式することを取り上げたが、その結婚式は本日とどこおりなく行なわれたようである。

Bhutan’s royal wedding” ITVNews (Youtube)

どうか末永くお幸せに!

 

格安タブレットPC その名もアーカーシュ(大空・天空)

だいぶ前から開発が進められていることが伝えられていたインド製格安タブレットPC『アーカーシュ』がついに姿を現した。

価格は1,750Rs、およそ35米ドルと、これまでのタブレットPCよりもはるかに安い。インドの人材開発省主導のプロジェクトで、IITとイギリスのDataWindによる共同開発だ。

目的は、インドの津々浦々の学生・生徒たちへのデジタルデバイスの普及による教育効果とデジタルディバイドの解消。もちろんハード面のみならず、今後はより安価なネット接続環境、無料Wifiアクセスポイントの普及が求められることになる。

OSには何を搭載しているのか不明であるし、実機に触れてみていないので、使い勝手がどんな具合であるのかわからない。

下記リンク先記事にもあるように、タッチスクリーンの性能や処理速度など、他のタブレットに大きく劣るであろうことは容易に想像できるものの、やはりこの価格で実現できるところに意義があるのだろう。インドのみならず、他の途上国からも今後引き合いがあるのではなかろうか。

India launches Aakash tablet computer priced at $35 (BBC NEWS South Asia)

だが、こうしたモノを安価に製造することに長けており、起業家精神に富む中国からも、そう遠からずこうした格安のタブレットPCが出てくるのではないかとも想像している。その潜在力は、すでにiPhone, iPad等のコピー製品の流通からも証明されている。

もちろん、このアーカーシュの開発は、商業ベースによるものではなく、これを政府がまとめて買い取ることにより、教育の場に普及させるという使命を帯びたものである。やがて、世間でタブレットPCの類の利用が広まり、政府によるこうした補助なしで、学生・生徒たちの誰もが難なく安価なタブレットを購入できる環境が出来上がったとすれば、それはそれで喜ばしいことであろう。

このアーカーシュ、私もぜひ試し一台入手してみたいと思っている。