3月14日、オリッサ州内陸部の部族地域を訪れるツアーの一行が、同州のカンダマル地区で拉致される事件が発生した。このツアーを催行していたのは、同州プリーにあるORISSA ADVENTUROUS TREKKINGという旅行代理店で、連れ去られたのはその経営者でガイドでもあるイタリア人のパオロ氏、ツアー参加者のイタリア人コランジェロ氏、そしてツアーに同行したインド人スタッフ2名を含む計4名。インド人スタッフは3月16日に、イタリア人旅行者のコランジェロ氏は3月25日に解放されたが、依然としてパオロ氏は監禁状態にある。
彼らを誘拐したマオイストたちの要求は、投獄されているマオイスト幹部や活動家たちの釈放。これに関して、先日マオイストによるオリッサ州議会議員ヒカーカー氏の誘拐事件も発生しており、治安対策と外交上の配慮等の板挟みもあり、今なお交渉は難航している。駐インドのイタリア外交官も現在オリッサ州に滞在中で、マオイストとの交渉と情報収集に当たっている。
これまで、インドのマオイストたちは活動地域で政府関係者の誘拐、治安当局関係者たちや交通網への攻撃、市民の殺害その他を繰り返してきているが、外国人がターゲットとなったのは初めてのケースだ。しかしイタリア人と地元州議会議員1名ずつを人質とすることにより、現在までのところオリッサ政府がマオイスト関係者31名の釈放の提示を引き出しつつも、まだ合意に至っていないところからみて、より高い影響力を行使する手段として、外国人を誘拐する事件が起きる可能性は決して低くない。
同様に、オリッサ州以外でもマオイストの活動が盛んなアーンドラ・プラデーシュ、ジャールカンド、チャッティースガル、西ベンガル、ビハール、マハーラーシュトラといった各州においても、こうした挙に出ないとも限らない。
マオイスト側は、州政府当局との交渉期限を4月10日までとしており、要求が満たされない場合は「extreme steps」を取ると表明している。先述のとおり、外国人がターゲットとなったのは初めてのケースだが、マオイストがこれまで同種の目的のために誘拐した相手を殺害したケースは多々あったことから、パオロ氏、ヒカーカー氏ともに今後の安否が大いに懸念されるところだ。
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