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カテゴリー: security

  • シャールク・カーンの息子、アリアンの逮捕

    ボリウッド俳優シャールクの息子、アリアンといえば、まさに父親シャールクと瓜二つで、ひと世代離れた双子というか、シャールクがそのまんま大きく若返ったような具合。母親ガウリーの面影はどこへやら、ほとんどシャールクの若いコピーとしか思えない

    現在24歳、そんな彼がドラッグ関係で逮捕された。

    テレビのニュース番組Aajtakで見たのだが、出来心によるドラッグ所持ではなく、かなり長い期間に渡り密売組織と繋がりがあったらしいとのことで、かなり深刻な話のようだ。

    何ひとつ不自由ない環境というよりも、手に入らないものは何もない、使い切れないほど無尽蔵の富に囲まれて、国民的な大スターの息子として甘やかされて育ったからだ、などと言う人もいるかもしれないが、そういう境遇でもきちんと育って立派になる人は多いし、普通の庶民の出なのに、手のつけようもないほど悪くなる者もいる。親からしてみると、風貌も気質もどこか自分に似ている子といっても、親とはまったく異なる独立した人格なので、親への依存が薄れていく年代へと成長していくにつれて、親の思ったようにはならなくなっていくのは世の常だ。

    それにしても、ちょっとしたケンカやいざこざを起こしたのとは事情が違うので、父親シャールクも気が気ではないだろうし、逮捕した警察も「さぁて、いくら巻き上げられるだろうか?」などと署内で悪徳幹部たちが額を寄せ合って相談しているかもしれない。

    「バードシャー(皇帝)」と呼ばれるアミターブ・バッチャンに対して、「キング」と称されるシャールク。あれほどのセレブならば、各所に持つ人脈をフルに活用することもできるのだろうけれども、ただでは済まない話。ここしばらくは、ボリウッド界随一のセレブ、カーン家のドラ息子の不祥事のニュースが日々続くことだろう。父親シャールクが気の毒になる。

    Shah Rukh Khan spoke to son Aryan for 2 mins after his arrest in Mumbai cruise drugs case (INDIA TODAY)

  • 権力闘争

    アフガニスタンで、田舎侍たちが都を落としたものの、大将の座を巡って内輪もめだろうか。パキスタン陸軍が育て、各所に「同陸軍からの出向者たち」もあつたとされ、軍紀に厳しかったと思われるターリバーン1.0のころと異なり、ターリバーン2.0は、指導者も幾度か代わり、反カーブル政権の勢力も合流した部族の人たちの連合体。力と指揮の関係が縦軸で繋がるだけでなく、横軸で張り合い併存する関係もあるはず。

    おそらく地域レベルでもこうした小競り合いがあって、勝ち残ったほうが上層部から暗黙の了解を得る、というような仕組み?のようなものがあるのではないか、と想像される。今後もいろいろなことが起きそうだ。ターリバーン勢力のいろんな層で「薩長連合」的な危なっかしい関係性があるのかもしれない。これはあくまで私の想像に過ぎないのだが。

    タリバンで撃ち合い…ナンバー2のバルダル氏が負傷しパキスタンに移送 (中央日報)

  • パンジシール陥落、獅子は敗走

    アフガニスタンのパンジシール渓谷の戦いは、破竹の勢いのターリバーンを前に、なすすべもなかったようだ。昨夜のインドのニュース番組「Aajtak」によると、故アフマド・シャー・マスード司令官の息子、アフマド・マスードは敗走中で、彼の父方のおじは戦闘中に死亡したとのこと。彼らが所有していたという軍用ヘリコプターもターリバーンに差し押さえられたとのことで映像に写っていた。

    インドメディアによるものなので、バイアスがかかっているかもしれないが、さもありなん・・・という内容の報道もあった。今回のパンジシール攻撃の作戦には、パキスタン軍も関与していたとのことで、ドローンによる上空からの攻撃なども実施されており、マスード派など北部同盟+旧政府軍残党の動きは、空からの偵察によりターリバーン側に筒抜けであったらしい。戦闘開始期限までは、交渉による懐柔を試みたものの、不調に終わったため攻撃に踏み切ったわけだが、逃走している集団には、降伏すれば不利な扱いをしないと呼びかけるなど、対話志向の姿勢を見せているのは幸いだ。

    パンジシール渓谷のマスード派のもとには、旧政権の副大統領も身を寄せているなど、インドとしても新政権の中で、一定のコネを持つ人物が残ることを期待したいところだろう。
    インディア・トゥデイ最新号には、「インドはこれほどアフガニスタンに貢献したのに」と、費やした予算、ダムなどのハコものその他の経済協力の例が挙がっていたが、これまでの親印政権から親パ・親中政権へと180度の転換となる。
    パキスタンにとっての「戦略的深み」の復活に繋がるものでもあり、インドは軍事的にも再考を迫られることになる。

    この戦略的深みとは、簡単に言えば次のようなものだ。
    南北に長いものの、東西には薄く、インド北西部に細長く貼りつく形のパキスタンの国土は、同国にとって地理的に降りなものがある。アフガニスタンの親パ政権のもとで、アフガンの国土を有事の際にインドから攻撃を受けない「安全地帯」として、軍事的拠点として活用できるようにすること。また首都圏を強襲されるなど存亡の危機に陥った場合に指揮系統、行政機能をも移転可能な後背地を国外=アフガニスタンに持つことが可能な関係を構築・維持すること。これがパキスタンにとっての「戦略的深み」となる。

    Ahmad Massoud safe, says NRF; Taliban ask ex-Afghan forces to integrate with govt: 10 points (Hindustan Times)

  • マハーラーシュトラ州で「寺院の再開」をめぐり火花

    同州でコロナ対策が順次緩和されている中で、「すでにモールやバーは開けているのに、なぜ寺は閉めているのか?」と、州与党のシヴセーナーを同州野党BJPが攻撃。

    寺院の参拝者締め出しは、春先の祝祭ごとが重なった時期により感染爆発となったことを踏まえてのことだろう。ふだんの参拝ですら、モールや商店街よりも、さらに密だし、神像や建物の一部に口づけしたり、素手で配られるプラサードを素手で受けて口にすることなど、感染の機会の濃密さはショッピングの場の比ではない。

    マラーター民族主義を標榜する極右政党のシヴセーナーは先の同州議会選挙まではBJPの友党であったが、選挙戦勝利後の組閣のポスト割当で紛糾して瓦解。前者が国民会議派及びその協力関係にある政党と連立するというまさかの展開で、偏狭な地域民族主義極幹政党と中道左派という、いずれの支持者をも裏切る不思議な政権が樹立したのは2019年11月だったが、コロナ禍という試練の中で持ちこたえている。

    シヴセーナーは野党のときには不条理かつ暴力的なバンド(ゼネスト)を敢行して、建物を破壊したり、人々に大怪我を負わせたりもする。地元マハーラーシュトラ州で、シヴセーナーが号令をかけてのバンドを実行する際、大勢の活動家や動員した暴徒がバール、鎌に斧、三叉の槍、手製の刀などの凶器まで手にして、バンドの呼びかけに従わず開けている店、運転しているクルマやオート、事務所や会社などを襲撃する。あまりの乱暴狼藉ぶりが恐ろしいため、役所や公共機関まで業務を放棄してしまうのだ。もちろん市バスや鉄道すら例外ではない。

    ところが、政権党となると、まるでウソのように極めてまともな施政を敷くことが出来るのが不思議だ。党首のウッダヴ・タークレーは、たぶんジキルとハイドみたいな人なんだと思う。政権にあるとジキル博士なのだが、下野すると、とたんにハイド氏になる不思議な人物だ。

    Amid Covid curbs, BJP begins its temple run in Maharashtra (Hindustan Times)

  • ターリバーン特集

    ターリバーン特集

    配信されたインディア・トゥデイ最新号。特集記事は「ターリバーンにインド政府はどう向き合うべきか」。

    良好な関係にあった前政権とは反対に、パキスタンの軍事統合情報部(ISI)とは「親子関係」にあったターリバーン政権の復活。インドにとってアフガニスタンは「遠いどこかの国」ではなく、歴史的に繋がりが深く、パシュトゥーン起源の歴史上の人物やその血を引く自国民も少なくないだけでなく、安全保障上の大切な地域。インドメディアの注目度は高く、アフガニスタンに関する知識の蓄積、分析の深さもまったく日本の比ではない。

  • 米軍が去ったカーブル空港

    米軍が去ったカーブル空港

    インドの放送局による「米軍撤退直後のカーブル空港」報道クリップがYoutubeでシェアされている。

    きちんとした軍の戦闘服を着用しているのは、ターリバーンの313部隊というコマンドー集団とのこと。伝統的ないでたちでないところが、いかにもちゃんと訓練されたプロ兵士という感じがする。「孫にも衣装」といったところだが、外国メディアに撮影させてオンエアしてもらうことにより「意外と近代的だ」というイメージ構築の意図もあるかもしれない。空港に残された戦闘機やヘリの類は、米軍発表によると「無力化済みである」とのことだ。

    ターリバーン側によると、可能な限り早い時期に近隣国、とりわけイラン、カタル(「カーブル」であって「カブール」ではないように、本来は「カタル」であって「カタール」ではない。こんなこと言っても切りがないが)とのフライトからでも再開したいとのこと。

    アナウンサーは「ターリバーンが占拠した」と言っているが、見出しには「テロリストたちが占拠した(आतंकियों ने किया कब्ज़ा)」と出ていることから、少なくともこの局はターリバーンについて、そのように考えているのだろう。(一般的にインドメディアの大半もインド政府も同様の考えかと思う。)

    米軍が去ったことを祝い、ターリバーンの兵士たちが空に立て続けに撃っている映像もあり、「いくつものマガジンを空にしている」そうだが、空に無数に撃てば、その数の弾丸がいつか落ちてくると思うのだが、それが当たって死んでしまうということはないのだろうか?アフガニスタンではないが、インドのビハールなどでも、結婚式の際に空に向けて祝砲を撃つというようなことはよく聞くが、こういうのは怖い。

    काबुल एयरपोर्ट में घुस गया तालिबान, स्पेशल फोर्स यूनिट बदरी 313 के आतंकियों ने किया कब्जा (INDIA TV)

  • インド発DNAコロナワクチン

    インドで世界初の人間用DNAコロナワクチン承認とのことだ。ファイザーやモデルナのmRNAワクチンも遺伝子情報を利用したものだが、このDNAワクチンとどう違うのかは、私自身はよくわかっていない。このワクチンは3回接種となるらしい。
    もともとインドでは綿花やオクラなどの農産物、とりわけ虫害の多い作物に対して遺伝子組換え作物を積極的に導入してきたが、いっぽうで日本その他、遺伝子組換え技術に懐疑的な国々も多い。またインド国内でもこれに警鐘を鳴らしてきた専門家やジャーナリスト、それに賛同する市民も少なくないようだ。
    mRNAワクチンの普及、そして今回のDNAワクチンの承認は、とりわけ体内に「遺伝子組換え物質」を注入するわけで、より心配されてもおかしくないわけだが、新型コロナウイルス感染症の爆発的な広がりが、そうした警戒感を一蹴することとなった。ワクチンの必要性があまりに急を要するもので、まさに「待ったなし」の状況にあるからだ。
    これが「ゲームチェンジャー」となり、ワクチン以外の分野でも遺伝子組換えへの抵抗感が社会で相当薄れていくような気がしなくもない。

    India approves world’s first DNA Covid vaccine (BBC NEWS)

  • 「インドにおけるタリバーン的思考」

    「インドにおけるタリバーン的思考」

    一昨日、国営ドゥールダルシャンで放送されたBharat mein Talibani soch ? (インドにおけるタリバール的思考?」と題した討論番組。

    出演はインドのある識者、BJP幹部、そしてふたりのイスラーム学者たち。学者たちは身なりからしてもムスリムのかなり保守層に属すると思われる。

    こういう番組でしばしばあるのが、開始前から結論ありきの集団リンチ的な展開だ。まずは左のアナウンサーで司会を務めるアショーク・シュリーワスタヴが「カーブルで、タリバーンからの布告で15歳から35歳までの女性を登録するために兵士が家々を回り始めている」「インドの社会党議員のひとりがタリバーンによる首都制圧を『アメリカからの独立』と称え、タリバーンを『自由の戦士』と褒めたたえた」ということから話をひとりひとりにふっていく。

    もちろん出演しているインドのイスラーム学者たちもタリバーンを肯定せず、前のタリバーン政権のときの二の舞いとなることを懸念する発言などをしているのだが、右寄りの識者とBJP幹部が意図的にイスラーム教そのものを挑発するような発言をして、これに対する学者たちの反論、言葉尻をとらえてのヒンドゥー右翼による再反論・・・という形に対話が流れていく。

    こうした不毛な討論番組は民間放送にもよくあるのだが、国営放送でこうしたバイアスがかかるというのは、政権からのそうし誘導があるのではないかとか、世論誘導のためのツールとしているのだろうとか、いろいろ考えてしまう。「国内でのタリバーン的思考について」考察するという目的から、「国内のイスラーム教徒を不審視する」という流れで、大変不健全なものだ。

    また、こういう番組にヒンドゥー保守派とイスラーム教徒保守派というふたつの両極端な人たちを出席されて討論というのもあからさまな意図が感じられるようだ。

  • 大統領宮殿での記者会見

    大統領宮殿での記者会見

    一昨日のタリバーンによる大統領宮殿への入場と記者会見の動画。アルジャズィーラが放映したもの。田舎侍みたいな男たちがきらびやかな宮殿内で、少しオドオドしながら記念写真を撮っていたり、物珍しそうに眺めていたりもするように見えるが、彼らを率いている立派な身なりをした3名(4名?)の偉そうな人物たちはタリバーン幹部なのだろう。彼に随行している兵士たちも組織内ではかなり上の存在のはず。市内ではこれまで警官がやっていた交通整理や検問の実施などもタリバーン兵がやっているという。そんな場ではなく、こんな「勝利宣言」の席の幹部の護衛で来ているのだから、「エリート」兵士たちのはずだ。

    この大統領宮殿。これまでは権力の中枢であった場所で、タリバーンにとって平和裏に実権が移行したことを内外にアピールするにはもってこいの場所だ。そこに「PRESS」と背中に書かれたクルーとインタビュアーを伴ってやってきているわけだ。

    こうした形でメディアとその先にいる世界中の視聴者たちを明らかに意識した姿勢は、かつて政権にあったときのタリバーンとはちょっと違うような気がする。「怒れる若者たち」だった幹部上層部も中高年になって成熟したのか、世の中の変化とともに彼らも多くを学んできたのか。

    これからタリバーンが何をしようとしているのか、どんな統治をしようとしているのかは、まだしばらくわからないかもしれないが、まずはメディアに対してどのように振舞おうとしているのかについても注目していきたいと思う。タリバーンが目指しているのは首長国なので「情報公開」のような意識のかけらすらないかもしれないが、少なくとも国外とどのように付き合っていこうとしているのか、そういうつもりはあるのかについては見えてくるかもしれない。

    Taliban enters presidential palace in Kabul (Al Jazeera)

  • アフガニスタンの8月16日

    アフガニスタンの8月16日

    文末に埋め込んだ動画は、アフガニスタンに関するアルジャズィーラによる首都カーブル陥落当日のリポートだ。

    やはりタリバーンによる旧政権側市民等への報復などの人道被害、女性への差別行為、外部のテログループへの庇護や支援、難民流出などが危惧されるとともに、前のタリバーン政権時代の記憶から、これらが再現されることが最も懸念されている。市内からの映像ととともに国連の会合の様子も伝えられており、ここでも同様の懸念が示されている。

    先進国等によるタリバーン政権の承認はおろか、積極的な支援や関与というのも期待できないだろう。ここでやはりキーになってくるのは自国を中心とするCIS加盟国中の中央アジア諸国と隣接するロシア、そしてかねてよりタリバーンとの接触が伝えられていた中国、とりわけ迅速に動くのは後者だろうか。

    「内政不干渉」を旗印に、悪魔とでも平気で手を結ぶ中国の目的は通商と軍事的なロジスティックの構築。支援対象国からすると、自国内のイデオロギーや宗教に対してニュートラルな立場で関与してくれる北京政府、通商と軍事ロジ以外の関係では一切口出しをしないので、たいへんありがたい存在だろう。ただし貸し付けたカネはあらゆる形でキッチリ回収にくるので、本当はとても恐ろしい相手なのだが。予想よりもずいぶん早く崩壊した旧アフガニスタン政権にうろたえる国際社会を前に、中国共産党は「先見の明があった」ということになるかもしれない。

    国連の会合では、崩壊したばかりの政権から派遣されていた「アフガニスタン国連大使」のグラーム・イサクザイが発言をしていたが、この人を含めて旧政権から国際機関や在外公館などに派遣されていた人たち、当然そこには在日アフガニスタン大使館の人たちも含まれるが、大変不安なことだろう。不安といえば、そうした大使館に勤務する現地職員も同様。

    米国の国連大使は、首都を制圧した勢力に向けた自重と人権擁護を訴え、テロ組織への関与のないようにという注意喚起、国際社会に向けてはアフガニスタンへの人道的関与、新型コロナ対策に係る支援、国外に流出するであろう難民への理解と支援を促すなど、自制の聞いた内容の発言をしていた。てっきり声を上げて強く非難するのかと思っていただけに、少々意外でもあった。米軍撤退完了の前に首都陥落で、大いに面目をつぶされた形になるが、やはりそれでもアフガニスタンへの関与は順次薄めるという方針には変わりがないのだろう。ただし、彼女のスピーチの中で、アフガニスタンとの関わりについて「Time to step up」と発言しており、この部分について現地リポーターとスタジオの間で「これは何を意味しているのか?」「さあ、私にはわかりません」と話題になっていた部分は気になった。時間がない中でも推敲を重ねた発言内容であるはずなので、何か示唆するものがあるのかもしれない。

    それはそうと、今後のタリバーンにより市民生活がどう変わっていくのか、案外変わらず様々な観測は杞憂に過ぎないのか、国際社会はこの政権を承認するのか、タリバーンは国際社会に参加する意思はあるのかないのか。自国の強い影響圏CIS内の中央アジア諸国がアフガニスタンと隣接するロシアはどう動くのか、中国はどのような関与をこれから始めようとしているのか、パキスタンはどう動くのか等々、注目していきたい。

    Taliban fighters patrol streets of Kabul (Al Jazeera English)

  • 第二次タリバーン政権樹立間近

    アフガニスタンで米国の傀儡政権が陥落しようとしている。現政権と懇意にしてきたデリーの外務省は慌ただしくなっていることだろう。民間人たちも市内のラージパトナガルあたりのアフガンコミュニティでは、身内などの脱出のために手を尽くしている在印アフガニスタン人たちも多いだろう。

    またタリバーンの生みの親であるパキスタンの軍統合情報部(ISI)も逆の意味で忙しくなっているはず。パキスタンにとってはアフガニスタンに親パ政権を樹立させることは対インドの安全保障上の重要課題。地理的な「戦略的深み」のためである。インドに対して平べったく接する形のパキスタンにとって、有事の際にインドによる攻撃圏外に要人、司令部、戦闘能力その他を退避させることが可能な場所を確保することは、いつの時代も最優先課題。

    アフガニスタンの社会主義政権時の内戦時代に様々なムジャヒディーン勢力がそれぞれ米国、サウジアラビア、パキスタンなどの支援をうけてカーブル政権打倒のために活躍したが、この時期にパキスタンが最も強く支援していたのはグルブッディーン・ヘクマティヤル。ただし彼が繰り返す合従連衡、周辺勢力との協調性の無さと配下の組織の狼藉ぶり等々に愛想を尽かしたパキスタン軍が目をつけたのがアフガニスタン出身の神学生たちであったとされ、これを同軍が育て上げて当時混乱を極めていたカーブルの政権を陥落させたのは90年代半ば。当時はなぜ若者たちの徒党が雪崩を打って拡大して首都まで落とすようになったのかミステリーであったが、「パキスタン軍からの出向者」も要所に配置されたパキスタン軍の子会社みたいな組織であったため統率は取れていたのだろう。

    タリバーンという組織は、ムジャヒディーンを名乗りながらも実質は野党集団が牛耳る政権、政権の勢力圏外では各地軍閥が支配する無秩序で危険な国土に安定と良好な治安を回復させることを目的に旗揚げした集団であったため、各地で好意をもって迎えられたことをすっかり忘れている人たちも多いようだ。タリバーンは平和をもたらしたのだ。

    その後、行き過ぎたイスラーム主義の暴走による人権侵害、女子教育の否定、映画や音楽そして舞踊などの娯楽の禁止、バーミヤン遺跡の破壊などにより評判を落とすとともに、1999年12月に起きたカトマンズ発デリー行きのインディアンエアラインスのハイジャック事件で実行犯たちが飛行機をアムリトサル、ドバイその他へ着陸させるなど混乱を極めた後、最後に交渉の場をカンダハル空港に定め、ここでタリバーン政権仲介のもとで、現地に駆けつけた当時のインドの外務大臣、ジャスワント・スィンが交渉を続けた。この際に人質との交換でインドの刑務所に服役中であったパキスタン人テロリストを釈放させ、犯人たちはタリバーン政権が用意したクルマで悠々とパキスタン国境へと消えて行った。このあたりから「タリバーン=テロ組織支援勢力」という評判がついてまわるようになったようだ。そして2001年の米国での同時多発テロ以降、黒幕のオサマ・ビン・ラーデンを匿っているとして米国に名指しされたことにより、日本でも「テロ組織」ということになったように記憶している。その後、ご存知のとおり米国主導の戦争により、タリバーン政権は崩壊。

    パキスタンの文民政権の関与できない工作活動なども軍主導で進んでいることだろう。政権と並立する形で軍の権力が存在するパキスタンの危険な二重構造は長年の問題だ。現在のイムラーン政権は軍寄りではあるものの。

    日本のメディアでは、米国との関係性で語られることはがりが多いアフガニスタン情勢。視野をアフガニスタン周辺国にひろげてみるともっといろいろなものが見えてくる。

    「第一次タリバーン政権」では、同政権を承認したのは、たしかパキスタン、UAE、サウジアラビアなどの数少ない国々。孤立した政権は資金等などをチラつかせた国際テロ組織(アルカイダだけではない。ムンバイでの同時多発テロを実行したパキスタンのあの組織とも)などにも利用され、これらに隠れ場所を提供することにさえなった。

    第二次タリバーン政権樹立にあたって、国際社会はこのアフガニスタンの新しい記事政権に積極的に関与して、国際社会と互恵的な関係を結ぶよう務めるべきだろう。こういう事態を見越してか、中国などがタリバーンとの関係性を深めていることは、ある意味朗報とも言える。

    ただパシュトゥーン人主導のタリバーン政権再樹立となった場合に懸念されるのは、その他の勢力つまり現政権側の民族への報復行為と、あまりに偏ったイスラーム主義の強制。西欧その他の「民主主義」の手法が、なかなか実現しにくい土壌ということもあり、数多くの人権侵害の事案発生が心配だ。

    それでも遠からず傀儡政権は倒れるだろう。タリバーン新政権は周辺国その他と、どのような関係性を築いていくのだろうか。あるいは前回同様に孤立した政権となるのか?タリバーンそのものの姿勢がどうかということもあるが、かつて「テロとの戦い」と銘打った戦争で追い出した政権であるとともに、人権侵害や性差別といったイメージもあり、欧米をはじめとする先進国が自国世論を前に、彼らの政権を承認しにくいこともある。

    これが今後の政権の性格を左右し、アフガニスタンの運命を決めるカギになることは間違いないだろう。

    タリバーン、アフガン第2の都市も制圧 州都陥落13に (朝日新聞DIGITAL)

  • デルタ株の広がりで新たなロックダウンや行動制限

    「新型コロナ感染症」から「デルタ感染症」と呼び名が変わりそうな勢いだ。

    今にデルタに特化したワクチンが求められるかもしれないし、今後ブースター用にと開発されるのは、デルタ用に新開発されたものになるんじゃないか?とも想像している。

    しかしながら主流となっているメッセンジャーRNAタイプのワクチンは、そこに組み込む遺伝子情報を変異種のそれに書き換えるだけで出来てしまうというスグレモノだ。もちろん新規に治験等は必要なのだが。感染症に対抗するワクチン技術がたいへん進化していることは心強い。

    しかしながらワクチンの普及とともに、もうすぐそこまでに来ていると信じていた「コロナ後」が、まだしばらく先のこととなりそうであることは残念であり、気が滅入るものでもある。

    Global report: rise in Delta variant cases forces tougher restrictions (The Guardian)