エスニックフェスタStand Up for Your Rights

今年2月の大雪で一度中止となったエスニックフェスタだが、日を改めて5月11日(日)に開催されることとなっている。時間は午後1時から午後8時まで、場所は東京都文京区の見樹院である。詳細についてはこちらをご覧いただきたい。

エスニックフェスタ – Stand Up for Your Rights- 開催のお知らせ (特定非営利活動法人APLA)

エスニックフェスタのイベントページ (facebook)

これはAPLAジュレー・ラダックジュマネットが主催するイベントであり、他にも対象をインド地域とするものには、ナガ・ピース・ネットワークが参加する予定だ。

日本のメディアでは取り上げられる機会が少ないマイノリティの人々を取り巻く問題について考えてみる良い機会となることだろう。

ビルマハイウェイ

ビルマ系米国人の歴史家、タンミンウーによる原書「WHERE CHINA MEETS INDIA」の和訳版である。著者は1961年から10年間に渡って国連事務総長を務めたウー・タン(ウ・タント)の孫にあたる。

原書の初版は軍政期の2010年に出版されている。この年の11月に実施された総選挙を以て、「民政移管」されたことについて、あまりに軍にとって有利なシステムで選挙が実施されたことにより、「軍政による看板の架け替えに過ぎない」「欧米による経済制裁解除狙いが目的の茶番劇」と酷評された選挙であった。

「実質は軍政の継続」と批判されつつも、経済面では「中国による野放しの専横」がまかりとおっていることへの危機感とともに、「東南アジア最後のフロンティア」としての潜在力と市場規模を持つミャンマーへの制裁解除のタイミングを待っていた先進諸国の反応は迅速で、一気に大量の投資が流入することとなり、ご存知のとおりの「ミャンマーブーム」となっている。

そんなわけで、この本が執筆された当時からそれほど長い年月が経過していないにもかかわらず、すでにミャンマーを取り巻く環境は大きく変わってきている。それほど変化は早い。

新興市場としての魅力、新たな「世界の工場」としての先進国からの期待と同様の思いを抱きつつも、利用価値の高い陸続きの隣国として、戦略的な意図での取り込みを図る国々もある。

自国の内陸南部からインド洋への出口を狙う中国。中国との接近により国内北部の平定を企図するミャンマー。

隣国ミャンマーに対する中国の進出に危機感を抱いて挽回を狙うとともに、自国北東部の振興を期待するインド。中国に傾斜し過ぎることに対するリスク回避のため、カウンターバランスとしてインドへの接近を試みるミャンマー。

こうした各国の思惑が交錯するとともに、地元の人々もまた分断された国境の向こうとの繋がりに期待するものがある。もともと北東インドはインド世界の蚊帳の外にあるとともに、ミャンマー北西部はビルマ族自身が完全に掌握をしたことのない周辺地域であった。

北東インドにあった王国は、アホム王国のように現在のタイ・ミャンマーにまたがって分布しているタイ系の民族によるものであったり、マニプル王国のように現在のミャンマー領に進出したりといった具合に、相互にダイナミックな往来がある地域でもあるのだが、現在は国境から両側がそれぞれ、もともとは従属していなかったインドあるいはミャンマーの国の領土として固定されてしまっているとともに、往来が希薄な地の果ての辺境という立場におかれるようになっている。

そんな現状も、東南アジア地域への陸路による出口を求めるインド、中国とのカウンターバランスを期待するミャンマーの交流の活発化により、「地の果て」が南アジアと東南アジアという異なる世界を結ぶ物流や交易の現場として、いきなりスポットライトを浴びて表舞台に飛び出してくる可能性がある。もちろんこれまであまり知られていなかった観光地としての期待もある。

そうした動きの中で、先進国による経済制裁の中で、これとは裏腹に強固に築き上げられたミャンマーと中国の間の深い経済の絆、ミャンマーが属するアセアンの国々による政治や投資での繋がり等と合わせれば、これら政治・経済、人やモノの流れが幾重にも交差することになるミャンマーの地勢的な利点は非常に大きい。

やがては単なる市場やモノづくりの拠点としてではなく、東南アジア、中国、南アジアという三つの世界を繋ぐ陸の交差点として、大きな発言力を持つ大国として台頭する日がやってくるようにも思われる。

そんな未来の大国へと成長する可能性を秘めたこの国について、様々な角度から検証しているのがこの書籍である。ぜひ一読をお勧めしたい。

書名:ビルマハイウェイ

著者:タンミンウー

翻訳者:秋元由紀

出版社:白水社

ISBN-10: 4560083126

ISBN-13: 978-4560083123

 

書名:Where China Meets India

著者:Thant Myint-U

出版社:Faber & Faber

ISBN-10: 0571239641

ISBN-13: 978-0571239641

 

スィッキム州のパキョン空港 2014年末までに開業予定

いよいよスィッキム州にも空港がオープンすることになる。空路によるアクセスといえば、州都ガントクから120km以上離れている西ベンガル州のバグドグラ空港まで行き、そこからバスあるいはタクシーでスィッキムへという具合であった。

2014年末までに開業が予定されているパキョン空港は、ガントク南方30kmほどの場所である。下記リンク先の記事には、「The airport has a 180-metre long airstrip」などと書かれているが、滑走路が180mというのはあまりに短すぎるので、何かの間違いだろう。

Sikkim’s first airport to be ready by 2014 (ZEE NEWS)

山地での空港建設はかなり困難で手間がかかる様子は、こちらの資料から窺うことができる。

パキョン空港とダイレクトで繋がるのはどこの街だろうか。コールカーターとグワーハーティーは必須であるとして、デリー、ムンバイー、その他の大都市からも需要があるだろう。ただし観光シーズンとそれ以外のギャップは大きいはずなので、とりわけ季節性の高いダイヤが組まれることだろう。

観光は平和と安定の呼び水

中華人民共和国国家旅游局のインドにおける出先機関である中国駐新徳里旅游辦事処(China Tourism)をニューデリーのチャナキャプリに構えている。

インドにおける対中不信感は根強く、しかもそれを風化させないようにと中国側が努めているかのように、ときおりインド領内への中国軍の侵入があったり、その他両国間の領土問題に関する挑発的な発言や行為があったりする。

そんなこともあってか、中国の公の機関としての活動は控えめなのかもしれない。だが、やはり90年代以降、インドでとどまることなく高まり続ける旅行に対する意欲は、インドから多くの旅行者たちを国内各地はもちろん、国外にも送り出してきている。

こうした分野で集客を現場で牽引しているのは、インドにあっても中国にあっても民間の力である。インドからの年間に1,400万人ほどの出国者たちの中から、中国を訪問している人たちの規模はすでに60万人を突破している。これに対して、出国者の規模は8,000万人を超えている中国からインドを訪れる人たちは10万人強ということだ。

これらの数字には観光と業務を区別していないため、このうちどのくらいの人たちが観光目的なのかは判然としない。だが、かつてない規模で人々の行き来がある中、観光先でたまたま出会ったのがきっかけで知己となったり、仕事で協力関係にあったりなどといった具合に個人的な付き合いも増えていることだろう。中国からみたインドという国のイメージはもちろんのこと、インドにおける中国の印象も、個々のレベルではかなり異なったものとなっていくはずだ。

国家という往々にして傲慢かつ身勝手な組織が、自分たちの側と相手側との間に不信感や緊張感があるからといって、それぞれの国に所属する市民たちが自らの国家に迎合して相手側を適視する必要などない。高い文化や資質を持つ両国の人たちが、平和に共存することは、互いの安全保障上でこのうえなく大切なことであるとともに、その「平和」と「安定」の恩恵は東アジアのさらに東端にある私たちにも与えられることは言うまでもない。

「観光」の多くは物見遊山に終始することだろう。それでも体験と記憶はそれを経験した人の心の中に長く残るとともに、訪問地への「また訪れてみたいな」憧憬というポジティヴなイメージを形成する。また、観光がきっかけでその国に留学したり、仕事絡みで関わってみたりという形で、その土地への関与を深めていく人たちも少なくない。

観光とは、単に産業としてのみならず、安定と平和の呼び水という側面にも注目すべきであると私は考えている。

マッチャル・マール・エクスプレス

デリーでは蚊の発生時期にマラリアやデングを媒介する蚊を減らすため、2週間に1度、マッチャル・マール・エクスプレスを走らせている。

鉄路からホースによる液剤の散布の届く範囲に限られるため、どの程度の効果があるのかは疑問ではあるものの、蚊ならびにその幼虫の駆除を実施することにより、沿線住民への啓蒙を促すことの意味はあるし、まさにそこが狙いということなのだろう。

ひとりひとりの心がけなくしては、都市部において蚊が媒介する伝染病の防止はあり得ないので、これを含めた広範囲な対策が求められるところだ。

Northern Railway’s mosquito terminator on the prowl (NDTV)

Delhi’s Malaria Express (The Hindu) ※こちらは昨年の記事