ムンバイー・メトロ 来月着工

 インドで『メトロ』といえばコルカタとデリー。ここにきてもうひとつのメガ・シティで新たに導入が予定されている。10月からムンバイー・メトロの工事がいよいよ開始されるのだ。コラバからチャールコープまでの38kmを越える長いルートである。
 またワルソーワーからガートコーパル、バーンドラーからマーンクルドまでの路線も計画されている。後者は巨大スラムとして内外に知られるダーラーヴィーの目と鼻の先をかすめて走ることになることから、同地区の再開発計画にも弾みをつけることになることだろう。この路線が開通するのはいつになるのかわからないが、『かつてここは世界最大級のスラムであった』と言われてもピンとこないような洒落たコマーシャル・エリアに変貌する日がやがて来るのかもしれない。
 ともあれ既存の郊外電車のルートと合わせると、ムンバイーの鉄道交通ネットワークはずいぶん密なものになり、まさにインドきっての商都らしいものとなる。MUMBAI METRO SYSTEMをご参照いただきたい。
 メトロといえば、他にも近年成長著しいアーメダーバード、そしてなんとコーチンでも導入の計画がある。
 都市部では本格的なマイカー時代が到来しているインドだが、都会の公共交通の分野ではメトロの時代がすぐそこまで迫っているのだろうか。将来にわたり都市交通の質の向上が見込まれることは実に喜ばしい。

リコーGR-Digitalを越えるか? シグマDP1

シグマ DP1
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 昨秋発売されたリコーのGR-Digital。ほぼ一年間使ってみた感想としてはレンズ性能、搭載機能、充実したアクセサリー類を含めた拡張性等非常に満足度が高いモデルだと思う。胸ポケットにすっぽり収まってしまうコンパクトさもまた大きな魅力だ。そのおかげで常日ごろどこへ行くにもまさに肌身離さず持ち歩いている状態なのだ。
 しかし不満もある。1/1.8型という小さなセンサーを使用しているためだろうか、ISO感度を高くすると画像がひどく荒れてしまって使えないし、ラティテュードが狭く被写体のコントラストが高ければいとも簡単に白飛びしてしまう。それでもコンパクトな大きさで28mmの単焦点のモデルは今のところGR-Digitalしか存在しないので特に目移りすることはなかった。
 ところが・・・である。ドイツのケルン・メッセにて開催のフォトキナ2006で参考出品されているシグマのコンパクトデジタルカメラ「DP-1」はどうだろう。35mm判換算で28mmの単焦点レンズを持つこのカメラは、発売されればおそらく日本で始めてとなるFOVEON X3センサー(1406万画素)を搭載していることだ。このタイプのセンサーの特色は、光の三原色を1画素で捕らえることができることである。そのため銀塩写真に最も近い画質を実現できるのだとか。これに対して現在一般的な撮像素子は1画素で1色を取り込んだ後に補間処理による画像生成が行なわれる。FOVEON X3センサーは偽色の発生を抑え、より鮮明で正確な色を再現するといわれる。 
 
 このセンサーは今年11月に発売予定の同社の一眼レフSD14に搭載されるものと同じである。コンパクトタイプのデジタルカメラに一眼レフ並みのAPS-Cサイズのセンサーが搭載されるのは世界初だ。これでようやく先述のGR-Digitalに感じていた不満の解消が期待できるだろう。ただレンズの開放F値が4.0と暗いのが気になるところだが、『撮像素子にスタビライザー機能を搭載している』とのことで、どうやら手ブレ補正機能が付いてくるらしい。いまのところ細かいスペックは明らかになっていないが、画像を見る限りではGR-Digitalとよく似たフォルムであり、ボディサイズもほぼ同等らしい。発売から一年にしてようやくGR-Digitalの対抗馬の姿が浮かび上がってきた。
 発売時期は未定だが、来年1月あたりには・・・という話がある。発売に先行して店頭での予約受付が始まった途端フラフラと注文してしまう自分の姿が目に浮かぶ。。コンパクトデジカメとしてはかなり高価なものとなるはずだが、日常や旅先でもマルチに重宝する高品位なカメラとしても注目されることだろう。そしてもちろんインドでも大いに役立ちそうな予感。
コンパクトデジタルカメラ SIGMA DP1開発のお知らせ(シグマ)

たかが名前されど名前 ポンディチェリー改名

 1954年にインドに返還(1963年から連邦直轄地)された旧仏領ポンディシェリー(Pondichéry)は英語ではポンディチェリー(Pondicherry)と言い、タミル語ではパーンディッチェーリ(பாண்டிச்சேரி)と呼ばれる。『新しい町(村)』という意味だそうだ。
 ここにきて再びその名前が変わることになる。8月半ば成立した法案が発効を迎えたことから新しい名称はプドゥッチェーリ(புதுச்சோரி)となり、仏領以前の地名に戻ることになる。
 外国統治下はともかくとして、インド返還後半世紀近くも経ってからその名を変えることにどれほどの意味があるのかとも思う。近年改名された地名は少なくないのでこれに限ったことではないのだが、名称変更後ただちに・・・とはいかなくても、段階的に役所その他の公共施設での表示や公文書における表記を改めていくことになる。そうした手間が行政コストに跳ね返ってくるムダ、また地図、住所表示その他民間にも余計な出費や面倒をかけることになるが、区画整理や自治体の合併などで地名の変更を余儀なくされる場合はともかく、長いこと呼び習わされてきた土地の名前について、こうした代償を支払っても充分ペイする効果があるのかどうかははなはだ疑問だ。
 改称については政治屋さんの思惑や気まぐれに振り回されて『ああ迷惑な・・・』と感じる人も少なくないことと思う。そもそもPondichéry、Pondicherryあるいはபுதுச்சோரிで一体誰が不便や不都合を感じていたというのだろう。あえて大昔の『プドゥッチェーリ』という名称を復古させることにどれほどの合理性があるのだろうか。
Destination Puducherry (The Hindu)

ショーレーが帰ってくる

SHOLAY (1975)
 1975年公開のショーレー(SHOLAY)といえばプロデューサーのG.P.スィッピーとその息子ラメーシュ・スィッピー監督が製作、アミターブ・バッチャン、ダルメーンドラ、アムジャド・カーン、ジャヤー・バドゥリー(現ジャヤー・バッチャン)、ヘーマー・マーリニー、ヘレン等々、当時の豪華キャストをそろえた超大作。
 主人公のジャイ(アミターブ・バッチャン)とヴィールー(ダルメーンドラ)演じる若者のふたりが勇気と知恵をしぼってガッバル・スィン(アムジャド・カーン)率いる盗賊団を退治する冒険活劇はまさにマカロニ・ウエスタンならぬ『マサラ・ウェスタン』である。公開当時はまさに西部劇のコピーだとして批判も少なくなかったそうだが、現在のお金に換算して5千万ドルもの興行収入、ムンバイの映画館ミネルヴァ・シアターにおけるなんと286週!という超ロングラン上映期間ともに、ボリウッド映画史上燦然と輝く金字塔を打ち立てた。
 私はその当時の熱気を知る世代ではないためビデオで鑑賞しただけだが、YEH DOSTIの歌とともにアミターブとダルメーンドラがサイドカー付きのバイクで駆けてくるシーン、ガッバル・スィンの野営地でバックに流れる音楽MEHBOOBA MEHBOOBA とともに挑発的なヘレンのダンス等々、とにかくワイルドなカッコ良さに大いにシビれた。
 この映画に出演した豪華キャストの中からアミターブ・バッチャンとジャヤー・バッチャン、ダルメーンドラとヘーマー・マーリニーという当時の映画界を代表する二大カップルが実生活でゴールインしている。
 1975年リリースのオリジナルのショーレーでは、ジャイ役にモヒト・アフラーワト、ヴィールー役にはアジャイ・デーヴガン、盗賊団の親分を倒すジャイ役を演じたアミターブ・バッチャンが今回の新作ではかつてとはまったく逆に大悪党ガッバル・スィンに扮する。ちなみにガッバル・スィンは1950年代にマディヤ・プラデーシュ州のグワリヤル周辺を荒らしまわり悪名を馳せた同名の実在したダークーがモデルとなっている。旧作にてこの役で出演したアムジャド・カーンは、1991年公開のラームガルのショーレー(RAMGARH KE SHOLAY)でも同じ役を担ったが、映画公開の翌年1992年にはそれまで長く患ってきた心臓病が原因で亡くなった。
 来年、そのショーレーが私たちの前に帰ってくる。監督はラーム・ゴーパール・ヴァルマー。彼が32年前の超大作を現代の私たちの前でどのようにリメイクするのかお手並み拝見といったところだ。
 世代を超えて愛される冒険活劇として旋風を起こし、映画史に再び名を残すのだろうか、それとも時代錯誤の懐古趣味、あるいはくだらないパロディーと一蹴されるのか。
 彼が指揮を取る作品ならば必ずやヒネリの効いたオリジナリティ溢れる面白い作品になるのではないかと期待している。でもあまりに偉大な『ショーレー』の看板を背負う以上、ある程度の興行成績を収めることができたとしても、世間は月並みな評価で放っておいてはくれず絶賛か酷評かのふたつにひとつなのではないかという気がするのだ。
 ともあれ2007年版のショーレーが今からとても気になっているのは私だけではないだろう。

代々木公園のインドな週末

ナマステ・インディア
 本日9月23日土曜日、東京渋谷の代々木公園で『ナマステ・インディア2006』が開催された。(会期は明日24日まで)
 築地本願寺から会場を移して最初の開催であった前回に比べて、出展ブースの数がかなり増えているようだ。そして今回はITや人材派遣などの会社、マディヤ・プラデーシュとウッタラーンチャル両州の観光局も参加するなど、参加団体等の幅が広がってきていることが見て取れる。同様に来場者の数も伸びていることと思う。
会場は大盛況
 他にも前回は見られなかったタイプの出展者としては、この催しのためにわざわざインドから来日した細密画師、染物販売者、木工品販売者たちなどの姿があった。
 さまざまな出演者たちが次々に登場するステージにおいて、会期の両日ともトリを務めるのはアオ・ナガ族舞踊団である。
 第二会場の『たばこと塩の博物館』においては、23日には松岡環氏による『最近のインド映画事情』の講演が行なわれた。明日24日は脇田道子氏による『アルナーチャルの民族文化について』および鈴木正崇氏による『ナガランドを旅して』が予定されている。
 明日24日の天気はまずまずのようだ。本日以上の大盛況となるに違いない。
アオ・ナガ舞踊団出演者たち