メディアの力

こちら日本におけるインドの干ばつに関する報道。映像の伝える力の凄まじさを感じる。

同時に思うのは適切な説明がないとミスリードされてしまうおそれもあること。

おそらく「日常利用している水場が干ばつのため利用できなくなった。そのためふだんは使わなくなっている今では危険な井戸での水汲みを余儀なくされている」ということではないかと思うが、この映像だけでは「満々と水をたたえていた井戸が干ばつのため水位が驚異的なまでに低下したため、深い底まで降りて汲まなくてはならなくなっている」と受け取る人もあるかもしれない。

今年の暑季のインドにおける干ばつはとても厳しいものがあり、年々各地で雨の減少や地下水の過剰な利用などにより、地下水位低下が進んでいるところではあるが、ワンシーズンでここまで下がることはない。そのような印象を与えるとすれば、メディアによるミスリードということになる。

報道というものは、伝え手自身が報じたい部分に焦点を絞り込むあまりに、客観的事実が増幅され、実際に起きていることとの間に乖離が生じてしまうことがある。

こうした災害とは異なるが、先のインド総選挙に関する報道も同様。モーディー政権3選確実と見たメディアはBJP陣営の大勝で野党連合は木っ端微塵を予想。おそらく各社の調査でもそのバイアスがかかり、単独過半数確実を予想したが、蓋を開けてみると、野党に転んでもおかしくない接戦だった。もしかすると「影響力のあるメディアによる煽りとバイアス」がなければ、選挙結果は異なるものとなっていたかもしれない。

メディアには公平性と正確性を期してもらいたいものだ。

インド西部で干ばつ、巨大な井戸に降りて命がけの水汲み(ロイター映像ニュース)

 

ブービー・トラップ

Eチケットには「ターミナル2」と書いてあったのだが、ウェブチェックインしてみると、「ターミナル3」と記されている。どちらが正しいのかコールセンターにかけてみると「ターミナル3」とのこと。

空港でチェックインもできるけど、事前にチェックインせず、ギリギリのタイミングでEチケットにある「ターミナル2」到着したらアウトであった。

この件で航空会社に電話したときのことなのだが、自動音声で「お客様のご用件をどうぞ」というのが流れた後は沈黙。

「新規の予約は1を、すでにお持ちの予約については2を、その他のご質問は3を」みたいな音声を期待するが、何も言ってこない。

すると「ご用件が確認できませんでした。ご用件をお伝え下さい」と音声が流れる。

戸惑いつつも「いま持っている予約のことで質問が・・・」とつぶやくと、「ご用件を賜りました。担当者に繋ぎます」ときた。

コールセンターの1次受けはvoiceBotとやらになっており、そこから振り分けられた2次受けから人間が対応する形らしい。

AIの進化はとても早いので、今に2次受けも人間の対応は不要になり、「責任者を出せ!」とか怒鳴る人にだけ、生身の人間が出てくるようになるのではなかろうか。

いやクレーマーへの対応こそ、人間の心が擦り減ってしまうので、AIに任せるほうが良いだろう。たぶんAIは鋼鉄の心臓を持っているから誰が相手でもへっちゃらなのだ。

Sita Ram Diwan Chand

デリーのパハールガンジの常宿近くのチョーレー・バトゥーレー専門店シーター・ラーム・ディワーン・チャンド

Try Sita Ram Diwan Chand Chole Bhature. Serving since 1950

でテイクアウトの朝食。

大変美味しいのだが、食べ終わると沢山のゴミが出るのが玉にキズ。しっかりした不織布の袋など、実にもったいない思いがする。

ずいぶんしっかりした不織布の袋に入れてくれる。下がテイクアウトのパッケージ。
パッケージを開けたところ

三又ソケット

三叉ソケットを買い足した。宿で利用できるコンセントが足りなかったり、接触が悪くなっていて、何かひとつ噛ませないとうまく通電しないコンセントがあったりするため、とても重宝する。

感心するのは、近年は3つ4つに分岐させるだけではなく、平型タップにも対応する形状になっていることが少なくないことだ。

とりわけ外国人客の多い地域では、そうした需要は少なくないのだろう。つまり2穴式でも丸型だけでなく平型にも使えるということ。もちろん私たち日本も平型だが、アメリカの家電製品に配慮したものと思われる。

安いものだし、何かと置き忘れたり、紛失しがちなグッズでもあるため、見かけたらその都度購入して補充しておきたい。

インドの「民営列車」について

インドにおける鉄道は英領期には複数の鉄道会社が各地で運行しており、中には「藩営鉄道」もあった。独立後はそれらが「インド国鉄」として統合されて現在に至る。唯一例外的に存在していた「英国資本の私鉄区間」はマハーラーシュトラ州のヤワトマルとアチャルプル間の189kmの路線のシャクンタラ・エクスプレス。こちらを所有していたのがKillick, Nixon and Companという民間企業であった。2020年を最後にこれは廃線となっている。

そのインド国鉄だが、実はインドでも国鉄民営化の話はときおり出てきた。その結果として近年は「民営列車」が登場している。

日本でかつての国鉄が民営化されたり、民営化後のJRの不採算路線の一部が廃止ではなく、自治体や民間企業との協力による第三セクターへと移管されたのとは異なる手法によるものとなっている。

現時点で「民営化列車」の数は多くないが、インド国鉄の子会社による運行となっていることだ。その子会社とはIRCTC。つまりインド国鉄のネット予約とケータリングサービスを全面的に取り扱っているあの会社だ。同社はBSE及びNSE上場の株式会社だが、株式の67%をインド政府が保有している。そういう特殊な背景のある企業で、外国人の目から見ると、インド国鉄におけるそうした事業が入札等の手続きなしでIRCTCに丸投げされているのは奇妙であるが、このIRCTCの存在そのものも「民営家圧力」の中から生まれたものであった。IRCTCの設立は1999年。

ネット予約についてはインドの複数の旅行ネット予約会社も取り扱っているが、IRCTCのシステムに乗り入れての実施であり、ユーザーはIRCTCのアカウント保有が利用条件となる。また国鉄のケータリングサービスはホテル運営会社などが受託しており、現場でサービスをしているのはそうした企業だが、IRCTCが入札を実施して委託しているものだ。(ラージダーニー、シャターブディー、ヴァンデーバーラト等々の特別エクスプレス及び一般エクスプレスの上級クラス車両において実施しているものであり、勝手に乗り込んできて商う物売りはこれに含まれない)

そうした状況ではあるものの、今後は外資を含めた様々な企業が参入する方向らしい。

ちょうどデリーその他の大都市における市バスの運行と似た展開かもしれない。例えばデリーにおいては、デリー交通公社(DTC)が市バスろ選を管理して運行させているが、この中には民間資本のバスも多く混じっている。バスのカラーリングや仕様は同一なのだが、そうした車両には受託した企業ないしは個人の名前が記されており、運転手と車掌も公社職員ではない民間人である。これらはデリー交通公社と契約して、同社のサービスとして、定められた路線を運行する事業受託業者の人々なのだ。

あるいは日本の自治体が所有する保育園、図書館、スポーツ施設等などで、事業を受託した民間企業により運営される「公設民営施設」が多いが、それらとも近いやりかたであると言える。

そんな具合なので、今後のインド国鉄では「民営列車」の運行は増えていくのだろうし、これに加えて、たとえば鉄道駅業務や保守関係業務等々の民間委託、不採算路線の民間委託等々といった方向にも展開することがあるのかも?と個人的には予想している。

Private Train in India: All That You Need to Know (RAI.MITRA)