IRCTC (再アップデート)

またインド国鉄時刻表改定の時期の7月となった。先月末の時点で、同鉄道のウェブサイトにアップロードされているTrains At A GlanceのPDF版は、2012年7月以降(2013年6月末まで)の内容に改められた。

ひところ、インド国鉄のウェブ予約を扱うIRCTCのサイトでは、インド国外発行のクレジットカードによる支払いができず不便であったが、cleartripという助け舟的な旅行予約サイトの存在があることは、1年半ほど前にIRCTC (アップデート)と題して取り上げてみた。

だがしばらく前から、事前にIRCTCのサイトで手続きして、インドで入手した携帯電話に送信される認証パスワードを入力しないと購入できなくなっている。厄介なのは、インドの携帯電話でないとこれを受け取ることができないため、もともとそうしたものを所持していないとか、持っているけれどもインド国外にいるという場合だ。

そうしたケースの場合は、IRCTCにその旨の電子メールを送れば、メール宛に認証パスワードを送信してくれることになっているのだが、パスポートの写しを送信しなくてはならないし、返信が来るまで1日か2日程度かかるので、「ああ面倒!」と思う人も少なくないだろう。

そのあたりについては、『インド鉄道利用法:予約から乗車まで』というウェブサイトに詳しく書かれているのでご参照願いたい。

予約内容をプリントアウトすることなく、携帯電話やiPad等に送信された予約内容をそのまチケットとして利用できるという措置が取られるようになっている一方で、予約手続き自体は利便性の向上と逆行しているのがもどかしいところだ。

目的は、クレジットカードの不正利用、そして乗客に対するセキュリティ対策の一環といったところに尽きるのだが、運用されるシステム自体はいかにも「お役所的」である。つまり何か対策が取られるべき問題があるとして、それに対していかに効果的に実施するかという方向ではなく、「これを実行しました!」「こういう対策を取りました!」といった具合に、場当たり的な『私たち、仕事してます』というアリバイ作りに終始しているように思われる。

クレジットカードの不正使用はともかく、仮に犯罪をもくろむ人物が狙いをつけた列車のチケットを入手しようとするならば、駅の窓口や旅行代理店などいくらでもある。ちょうど、鉄道駅のセキュリティ対策と同じようなものだ。

大きな主要駅のエントランスから入場する乗客たちに大げさなセキュリティチェックを施していても、実は沿道からプラットフォーム脇に入ることができるようになっていたり、駅構内にテナントとして入っている食堂等を経由したりすれば、保安要員の検査を受けることなくプラットフォームに入ることができてしまうことが往々にしてある。また中途駅ではそのような措置さえないところが少なくない。

ペーパーレスのチケットが有効となっているならば、いっそのことIRCTCがAppleのiPhone / iPad用あるいはGoogleのアンドロイドの予約用アプリケーションでも開発して、それらを経由して予約・支払いができるようにでもしてくれたら、販売側も管理は楽になるだろうし、利用者側ともによほど助かるのだが。

今のところ、IRCTC用のそうしたスマートフォンやタブレットPCからアクセスできるIRCTCのモバイル用サイトを除けば、アプリケーション自体でインド国鉄のスケジュールや路線のチェック、PNRステイタスの確認等が出来るものはいくつか存在しているのだが、直接予約をできるようにはなっていない。

今後の進展に期待したいところだ。

 

インドヴィザのオンライン申請

今年4月からインドヴィザのオンライン申請が開始されている。

オンラインビザ申請について(インドビザ申請センター東京)

これにより、申請手続きに出向く手間が省けるのかと思いきや、実はそうではない。

ウェブ上で必要事項を入力、申請日を確定してからプリントアウト、その申請日に窓口まで出かけてパスポートその他必要物とともに提出する必要がある。受け取りに出向く手間と合わせて、申請者側にとっては利するものは特にない。ウェブ上で確定した申請日は、基本的に変更できないようなので、かえって面倒になったといえる。

『オンライン化したといっても、ちっとも便利ではないじゃないか!』と思うかもしれないが、もともと申請者の便宜を図るためのものではないのだろう。従前の紙媒体による申請と異なり、申請者の情報を効率的にデータベース化して、出入国管理に役立てようという、当局の便宜を念頭に置いたものであることは明らかだ。

これによって、申請者個々のパスポート番号や発行日等が変更となっても、はてまた二重国籍を有する個人が複数のパスポートで出入国していたとしても、特定の個人の申請・出入国状況を把握することが容易になることから、テロ等の治安対策はもとより、不法入国等、当局側にとって好ましくない人物でないかどうかをスクリーニングすることが可能となる・・・のだと思う。

オンライン申請ページを開き、先に進んでみると、申請者名入力の部分のすぐ下の「性別」ところには、male,female以外に「transgender」という区分があるのにはちょっとびっくりさせられる。

それはともかく、この措置が開始されたばかりであるため、システムそのものに多少の問題があったり、申請センターのウェブサイトでの説明が足りない部分もあったりするのか、申請に出向いたもののオンラインでの入力内容に不備があるとされて、再度出向かなくてはならなくなったという話も耳にする。

常々感じていることだが、インドにとって通常は特に問題のない日本その他国籍の人々について、こうした手続きの簡素化を進めてもらえないものだろうか。短期の滞在の場合、アライバルヴィザという措置はあるのだが、空港での手続きはスムースとはいえず、どうにかならないものかと思う。

 

電子書籍

英文出版大国インド。自国インドの様々な分野における興味深い書籍が大変多いのだが、流通面ではいつでもどこでも手軽に何でも手に入るという具合になっているとは言い難い。

大都市の大きな書店に行けば、いろいろと購入したくなるものがあるとはいえ、やはり特定の対象についてドカッとまとめ買いするには、各出版社のショールームに足を運んで見繕ったり、スタッフにあれこれ尋ねて引っ張り出してもらうのが一番だ。

とはいえ、自分自身の状況から、随時そうしたところに出向いて購入するわけにもいかず、さりとて自宅のスペースの問題もあり、関心を引かれるが果たしていつ扉を開くかもわからない本を狭い自室にどしどし放り込むわけにもいかない。

そんなわけで、これまで購入してきた図書類を、自己利用目的で日々少しずつスキャンしてPDF化、いわゆる『自炊』なる行為を続けている。もちろん紙媒体で読むのが一番だとは思うものの、生活との折り合いがあるので、こればかりは仕方ない。他方で、そうした書籍をブックリーダー、タブレットPC、あるいはDropboxにでも保存して、いつでもどこでも時間の空いたときに読みまくるという利便性については私自身非常に重宝している。

どうせならば、最初から電子書籍版も販売されていればいいのに・・・と思う。だが特定のアウトレットやデバイスに依存するフォーマットではありがたさも半減なので、より汎用性の高いフォーマットだと助かる。取り扱いについてはPDFが楽なのだが、やはり違法コピーや著作権の問題もあるので、なかなかそうはいかないのだろう。

そうした面で、比較的汎用性の高い形で電子書籍を販売している業者の中で、イギリスのTaylor & Francisがあり、インド関係の書籍もある程度は扱っているようだ。インド国内でも、電子書籍を販売しているサイトはいくつもあるが、今のところ特に興味を引かれるようなところは見当たらない。電子書籍の分野は、まさにこれからという段階にあるので、今後の進展に期待したいと思う。

ところで著作権といえば、書籍とは関係ないのだが、先日ある方がfacebookで話題にされていた、こんな記事がある。

音楽は発売後3カ月で使い放題に 中国が著作権法“改正”案検討 (Sankei Digital)

上記リンク先記事に書かれている『著作権法改正案』が実現すれば、発売から3カ月後には、海賊行為が政府のお墨付きを得ることになる。こんな感覚なので、国内利用のみに限るという前提で日本や欧州から供与された鉄道技術を、いとも簡単に輸出してしまうようなことになるのだろう。

中国高速鉄道“見切り発車”の初輸出 特許問題で日欧と国際摩擦に発展も(フジサンケイ ビジネスアイ)

作り手側が叡智を集めて作り上げたものの利用については、まさにその受け手側のモラルが問われる。ゆえにそう易々と再頒布される可能性のある形で供与することができないことについては充分理解できるところだ。

PACPAD

こんな記事を見かけた。

iPadならぬ「パクパッド」、パキスタン国防省が生産 (asahi.com)

googleで検索してみると、同様の記事がいくつか引っかかってくる。

$200 PACPAD by Pakistan military (ubergismo)

PACPAD: An Android Tablet by Pakistan Aeronautical Complex (Android Phones in Pakistan)

上の記事ではスペックも記されており、こうしたタブレットPCとしては一般的なレベルのものであるようだ。タブレットPCの低価格化はかなりの速度で進行している。とりわけ第三世界で開発製造されるアンドロイドOSを用いた製品としては、7インチ画面の製品で200米ドル前後という価格は、とりたてて安価というわけではないが、軍需企業による一般消費者向け製品という点が話題になっているのだろう。

ちょっと気になるのは、この製品のホームページhttp://www.cpmc.pk/products/pad/にアクセスしようとすると、PC画面に以下の表示が出たこと。

ウェブサイトに何か仕込んであるのか、それともハッカーに攻撃されたのか知らないが、ちょっと危険な匂い?がする。果たして、製品自体は大丈夫なのだろうか、と締めくくってしまっては、懐疑的に過ぎるだろうか?

Sony Reader

1年半ほど前に、『ドキュメント・スキャナー』と題して、書籍や雑誌記事類をどんどんPDF化させるために購入したスキャナについて取り上げてみた。

『継続は力なり』という言葉を胸に、日々少しずつ、しかし欠かさずにスキャンを続けた結果、室内がスッキリ片付いて快適になってソファのひとつでも置くことになったかというと、なかなかそうはいかない。まだまだ山積みになっている書籍がある。 結局、電子化作業と並行して、いろいろ買い込んだりしているからそうなってしまうのだが、これでスキャナがなかったらと思うと恐ろしい。 だが、せっかく電子化した書籍類はパソコンに蓄積してあるため、もしこれが突然壊れたら・・・という恐怖もある。ゆえに毎週、外付けHDにせっせとバックアップをとるようにしている。

何はともあれ、電子化は進んできたものの、パソコンやタブレットPCの画面でPDFを閲覧するというのは、通常のワードのその他のワープロ文書を書いたり読んだりするのと、あるいはウェブサイトを閲覧するのに比べて、非常に眼が疲れる気がしてならない。もちろん眼への影響は、それらと変わらないはずなのだが、書籍になっている活字を追うという行為は、これまでずっと紙面上で行なってきたため、どうしても紙の書籍を読むときの疲労具合と比較してしまうのかもしれない。

そんなわけで、もっと楽に書籍を読みたいと思い、液晶画面ではなく、アメリカのE Ink社の電子ペーパーを画面に採用している電子書籍リーダーを購入してみることにした。

だが電子ペーパー画面のモデルは案外多くないため、広く流通していて簡単に入手できるものとなると、やはりamazonのkindleかSonyのReaderあたりということになる。どちらもWi-Fiモデルがあり、簡単なウェブ閲覧やメールのチェックにも使えそうだ。

SonyのReaderとKindle Touchを比較してみた。後者のほうに手頃感があるし、電子版書籍をネット上で購入するならば、Readerとは比較ならないほど膨大な量の書籍が用意されている。だが、私の購入目的は自前で電子化した書籍類を読むことであるし、ウェブ検索やメールチェックの際に日本語入力が不自由なくできるほうが良いと思い、しばらくあれこれ考えてみた結果、後者を購入することにした。Kindleは内蔵の4GBのスペースしか利用できないのに対して、Readerは、内蔵メモリーこそ半分の2GBしかないが、micro SD(最大32GB)を挿入して使うことができるため、電子書籍を保存できる容量は格段に大きくなる点でも有利だ。

Eインク画面を利用するのは初めてだが、さすがに電子ペーパーと呼ばれているだけあり、紙のモノクロ印刷物を見ているのと変わらない感覚であるのが良い。これならば目が疲れやすいということはなさそうだ。液晶と異なり、画面が発光しているわけではないためだろう。もちろん太陽がさんさんと降り注ぐ屋外で見づらいということなく、周囲が暗くなるともちろん読めなくなってくる。紙と同じだ。

少々残念なのは、そのサイズだろうか。6インチという画面はペーパーバックを電子化したものを読むにはまあ充分であっても、単行本をスキャンしたものを扱うには小さすぎる。もともと日本の文庫本や新書あたりのサイズを想定した大きさなのではないかと思う。画面を横表示にして読めば、表示される文字は大きくなるのだが、今度はスペースが狭く感じられる。

ページをめくる際に生じる独特の挙動も液晶画面にはないものなので、最初はびっくりした。瞬間的にバラバラッと白黒反転するので、壊れたのかと思ったくらいだ。ページめくりはタブレットPCよりも遅いものの、じっくり読む本の場合は気にならない。だが辞書やリファレンス用の書籍(そういうものを電子化することはあまりないと思うが・・・)の類を閲覧するのには向かないだろうが、とりあえず私にとって当面は充分だと思っている。電源の持ちの良さは特筆すべきものがある。購入してから10日経つのだが、購入時にチャージしたバッテリーが上がる気配さえない。

電子書籍を読むツールとしては、まだ発展途上という感じがするものの、もう少し大きな画面、そしてページめくりの反応がスムースで自然なものとなれば、100%満足のいくものとなることだろう。あるいは市中に出回るタブレットPCの液晶がもっと目に優しいものになっていき、電子書籍リーダー用として単機能(購入したモデルはWiFi接続してウェブサイトを閲覧可能)しか持たない、こうしたデバイスの存在価値が薄れていくのかもしれないが。

とりあえずカバンの中に放り込んでおき、いつでもどこでもヒマさえあれば取り出して読書を楽しんでいる。

画面はこんな具合