ドキュメント・スキャナー

衣類を頻繁に購入しているつもりはないのだが、ふと気が付くと収納が一杯になってしまっている。

その結果、普段よく着るものはすぐ手の届く手前に、そうでないものは次第に収納スペースの後方や下方へと、意識しないうちに押しやられてしまうことになる。するとその存在さえ忘れて新たに似たようなものを買ってきてしまっているのだと思う。 

たまに『あのズボンはどこに行ったのだ?』とすべてをひっくり返して探し物をすると、『あぁ、こんなのがあったなあ』『この上着は昨年買ってから着ていない』などといったモノがいくつも出てくる。 

これはいけないと思い、ちょっと勿体ない気はするのだが、昨年1年間着用しなかったものを思い切ってドカッと捨ててしまうことにした。数年前も同じことをやっている。『本当に要らないのか?』と後ろ髪引かれるものはあるが、こういう場合はあまり深く考えないほうがいいようだ。不思議なもので『捨てるべきではなかった』と後で悔やんだ記憶はないからである。 

衣類もそうだが、書籍や雑誌類もまたいつの間にか溜まってしまう。書棚やマガジンラックに入りきらなくなって床に上に積むようになったら、それこそ加速がついて山となってしまう感がある。衣類と違い、目に見えるスペースを蔦が伸びるような速度で覆ってしまおうとする分、こちらのほうがよりタチが悪い気がする。 

雑誌等はちょっと気になる記事があったら『いつかスクラップしておこう』と思いつつも、そのまま床の上に積んでしまう。やがてどんなことが書かれた記事があったのか、それはどの雑誌に入っていたのか、といったことさえ忘れてしまう。 

こちらについてもいろいろ考えずにガサッと処分してしまえば、後から思い出して『保存しておけばよかった』などということもないのかもしれない。 

だがいくらでも似たようなモノが手に入る衣類と違い、それが書かれた時点でしかあり得ない記事というものはある。同じ印刷物でも雑誌以外の書籍類となると、再び読み返すことはないように思っても、なかなか捨ててしまう踏ん切りがつかない。何かで再び読んでみたくなるとか、参照したくなるかもしれないというという気がしてならない。 

それでも今後も印刷物は次々に私の部屋にやってくる。それらを収めることのできるスペースは限られているため、何がしかの新陳代謝の方策が必要であることは明白だ。 

そのためドキュメント・スキャナーである。いろんなメーカーから様々な機種が出ており、さんざん迷った挙句にFUJITSUのScan Snap S1500を購入した。2009年の2月に発売されたモデルで、こうした類の製品としては割と長く販売されていることになる。幅広いユーザーに支持されている一番の売れ筋なので、完成度が高く使い勝手も良いことを期待した。 

このスキャナーで読み取りできる最大サイズはA4。付属のキャリアシートを使えばA3まで対応可能ということになっているが、大量のページを一気にスキャンするという用途においては、実用となるのは前者まで。スキャン速度はカラーまたはモノクロの600 dpiにて1分あたり両面・片面20枚。まずまずのスピードである。 

これを使って、手始めに溜まっていた雑誌類を次々にPDF化してみた。続いて文庫本、新書、ペーパーバックや単行本等の背中を片端から裁断して、こちらもどんどん電子化していく。書籍を切断してしまうとページがバラバラになり捨てるしかなくなってしまう。もはや古本としてどこかの店に持っていくことはできないし、人に譲ることもできなくなってしまう。 

書籍を破壊してしまうことについては、正直なところ気が進まない。本そのものに対して申し訳ない気がするのだ。それでも前述のとおり自宅のスペースに限りがあり処分しなくてはならず、その一方で本の内容自体は手元に保存したいとなると、今のところこの方法しかない。 

もちろん未読の書籍はそうした『電子化』の対象ではないし、すでに読んでしまっていたも、友人等からいただいた本、内容からしてそのままで取っておきたいものなどは、元々の書籍のままで書棚に置いておくので、自宅の本のすべてをそうやって処理してしまうつもりはない。 

ところで、肝心の保存先であるパソコンが壊れてしまうと、それまでにPDF化した印刷物全てを失うことになってしまう。今後、さらにスキャンして電子化を進めていくので、なるべく頻繁にバックアップを取ることを忘れないようにしなくてはならない。 

こうしているうちにキンドルかiPadのような電子書籍リーダーも欲しくなってくるだろう。ただ少々気がかりなのは、PDFというフォーマットが将来長くに渡って利用可能なものであるのかどうかということである。つまりPDFと互換性を持たない新たな電子文書の形式がこれに取って代わってしまい、せっせと『電子化』したものがすべて次代遅れのものとなることがないといいのだが。 

いや、それよりも前にスキャンして保存した時点で、それらの存在さえも忘れてしまうような気がする。今後、PDF保存した印刷物の量がどんどん増えてくると、きちんと分類しなくては、何がどこにあるのか見当もつかなくなってしまうということのほうが差し迫った心配ごとかもしれない。

「ドキュメント・スキャナー」への2件のフィードバック

  1. そこでクラウドサーバに情報を置けて、読み込んだjpeg, pdfを自動で文字認識してくれる機能を持ったEvernoteが最近評判なんですね。
    が、私もまだスキャナが活用できない状態なんですが。。

  2. そうですね。クラウドサーバーに保存しておいて、いつでもどこでもネット環境のあるところで読む、参照してみるといったことができていいかもしれません。現在までのところ、週末の空いた時間はせっせと電子化する作業に忙しく、なかなかそれらを読む時間がないという状態です。

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