スコタイ空港

今回の旅行直前にこの空港の特徴について知るところとなり、ちょっと興味を引かれていた。ご存知のとおり、空港は国あるいは空港公団所有、公団あるいはそこが委託した企業が運営というのが定番だ。しかしここはバンコクエアウェイズが所有し、同社自身が運営するという変わったものである。

だがバンコクエアウェイズ自体が単なる航空会社ではなく、バンコクエアウェイズを中核企業とする財閥で、旅行業を中心としたサービス関連事業を行う事業体でもある。

そんなわけでターミナルビルはビーチのリゾートホテルのロビーのような吹き抜け。お寺のお堂をモチーフにしたような室内空間を持つ、空港らしからぬ待合室になっている。こうした演出は実に巧みなタイ。

空港敷地内は、スコタイの遺跡を移築したかのように年季の入った仕立ての仏教建造物風のものが散在していてびっくりする。おそらく最初からレプリカを造ったのではなく、譲り受けて移築した「本物」もあることと思われる。

敷地内にはミニサファリのようなものがあり、シマウマが放牧されている。私は見かけなかったがキリンもいるらしい。

乗客全員対象に簡単な飲み物とスナックが提供される。

「空港」と言ってもいろいろあるものだ。朝夕の1便ずつしかない田舎の小空港で、ここまで凝ったものは、他国にもなかなかないのではないかと思う。(遺跡公園風の部分が撮影できていないのは心残り)

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犬の日

スコタイからシーサッチャナーライに日帰り訪問。乗車したバスでは、途中で降りることを車掌に伝えておいたので遺跡公園近くの場所でおろしてくれた。そこに貸自転車屋があったので借りて遺跡公園へと走る。途中にも遺跡公園には含まれていない遺跡がいくつかあるようだ。スコタイとシーサッチャナーライとカンペーン・ペッをあわせてスコタイ遺跡として世界遺産登録してあるそうだ。

橋を渡る
この寺院前から遺跡に向けて自転車で向かう。

とても空いていて、遺跡で出会う人たちといえば、植物の剪定や雑草の刈り取りの人たちしかいない。向こうで犬が吠えていると思ったら、あっと言う間に迫ってきた。足元にある砂利を複数まとめて投げつけて追い払う。どれかしら当たる、猿と違って良いのは、一度撃退すると遠くから吠えるだけで再度来ることはまずないことだ。

遺跡公園内に点在する寺院群だが、他の場所でも犬がこちらを見ているので、予防的に2、3個投げておく。狙ってみてもなかなかうまく当たらないものだが、犬は一目散に逃げる。

帰り道で前を走る農家のおばさんの自転車の周りで2匹の犬がじゃれ合いながら駆けていた。これを横からスピードを上げて追い抜くと、何を思ったのかそれら2匹が唸りながら追いかけてきた。ちょうど速度が同じくらいなので、なかなか距離は詰まらないが、それでも振り切れるかわからないので、どうしようかと思う。

こんな具合に自転車の背後から左右挟み撃ちみたいな形にされるのは初めてだ。停めて応戦するか、振り切るか?振り切れるのか?自転車を止めると、途端にふくらはぎ踵を噛まれそうなので、かごの中のペットボトルをより近くまで迫る右側の犬の足元めがけてたたきつけると一瞬面食らったようで、もう一匹も減速して背後に置き去りにすることができた。かなり危なかった。もう少しで咬まれるところであった。

今日はまさに犬の日である。

犬の追撃をかわしてから軽食

自転車を借りた街道沿いの店に返却すると、「バスが止まるように」と大きな三脚の上に紫色の旗を掲げてくれた。「お客さんいるよ」と知らせるものなのだろう。

客前方、オヤジ後方型トゥクトゥク

けっこうな人数が乗れるが、人が多くなると運転しづらいであろうと思う「客前方、オヤジ後方」型トゥクトゥク。

走り出す前から「前方不注意」な車両だ。形状からして正当なトゥクトゥクの進化・派生型ではなく、荷物運搬用車両から派生した傍系タイプではないかと想像している。

昔はバンコクなどでもバイクを改造したこうした形の荷物運搬用車両はよく走っていたものだ。

コンビニ前の犬

タイのコンビニの出入口の自動ドア前で、大きな野犬が昼寝していることが多い。

邪魔なのだが、店を出入りするお客たちはそれをよけたり、跨いだりもしつつ、放置している。ちょっとインドに近い感覚・・・というよりも、インドであればお店の出入口に寝ていると、蹴飛ばされたり、棒でぶん殴られたりという具合だろうけれども。

犬たちが、こうした場所に寝ているのは以下の理由があるようだ。

  1. ドアの下から少しだけ滲み出てくる冷気が気持ちいい。お客の出入りでドアが開くと、数秒間とても涼しい。加えて運がよければ少し食べ物を分けてもらえるかもしれない。
  2. 自分は界隈の野犬たちの中で最も序列が高いので、ここを占領できる。

「2」はともかくとして、「1」については、出入りするお客たちもそんな心情は理解しているように思われる。だから邪険にしないのだろう。

だいたい、そういう風にしている犬は、見知らぬ人が出入りしても緊張して吠えたり、唸ったりすることもなく、実に大人しくしている。だから受け入れられるということもあるのだろう。犬自身も人様にそういう形で迷惑をかけると、ここを追われることを理解しているものと思われる。

先日は、とても暑い日差しの中でそうやって昼寝していた犬が、自動ドアが開いた隙に、ちゃっかり店内に潜り込んでドア脇に座り込んでしまった。暑くてたまらなかったのかもしれない。

店員の女性たちが怒って店外に追い払おうとするが、その大きな犬は店内にがんばるので、一番新米と思われる女の子が足で押したり、掃除用具でぐぐっと店外に押し出そうとしたりと試みたが、どうにも動かず。ちょっと女性的な感じがする若い男性(タイには多い)とともに力づくで自動ドアの外に押し出して一件落着。

私だったらモップを思い切り脳天に振り下ろすとか、力いっぱい脇腹を蹴り上げるとかすると思うのだが、彼らはそういう手荒なことをしようという素振りすらなかった。

もちろんそういう手段で簡単には済まそうという人もいるのだろうが、「人としての優しさ」を感じられてとてもよかった。そう、犬だって、好きで野犬として行きているわけではないし、そんなところに寝そべっているのが本望というわけではないのだ。もしかすると、犬はとても具合が悪くて「とても辛いので少しの時間でいいからここで休ませて。お願い・・・」ということだったのかもしれない。言葉を発することはできないけれども。

店内に居座ろうとする野犬を目にして、強い対応を思い描いてしまった自分をちょっと反省した。

スコタイへ

駆け足の旅行であったため、ホアヒンからバンコクに戻った後、スワンナプーム空港発の飛行機でスコタイに向かった。

宿泊先は「Perffect Resort」というタイでよくある感じの「民宿」だ。だが部屋は木造で屋内の天井、壁、床も同様。木材に囲まれて心地良い。こういう家屋に住んでみたいと思うくらいだ。

遺跡のあるスコタイ歴史公園。敷地内で一番手前にあるワット・マハータートがスコタイ時代に主役の寺院であったということで造りも大きく立派だ。修復されている部分も多いし、規模や建物自体も大ぶりだ。

天井を支えていた柱が多く残されており、ギリシアのパルテノン神殿もそうなのだが、往時はどのような建物であったのか。今のタイ寺院ともかなり違うものであったはずだし、といろいろ想像してみる。

その寺院の中で、タイ人の一行がお坊さんとともに読経を奉納していた。こういうインド的な眺めは素敵だ。

自転車で巡っているのだがとにかく人が少なくて、開放感がある。日差しは強くて日陰に入って水を補給すると生き返る。木陰を通り抜けていく涼しい風が肌に心地よい。

遺跡公園として入場料を徴収している敷地内以外にも見応えのある寺院遺跡があり、公園の西側の無料エリアにも小さいながらも趣のある建物がある。

遺跡公園内の食堂