トリスールの街の中心にほぼ四角形の大きな土地があり、その中心に名刹ワダッカムナータン寺院及びこれに従属するいくつかのお寺が集まっている。
この四角い土地を「ラウンド」と呼ばれる環状道路事情が囲んでおり、その東西南北をそれぞれ「ラウンド・イースト」「ラウンド・サウス」「ラウンド・ウェスト」「ラウンド・ノース」と称している。道路は一方通行で時計回りに交通が流れている。ちょうどロータリーがとびきり巨大になったイメージだ。
これにより街を代表する大寺院の周りでパリクラマー、つまり仏教やヒンドゥー教寺院などで普遍的に見られる「時計回りに巡拝」することになるわけなので、特別な意味が加わる。例えは大げさかもしれないが、カイラス山周辺を五体投地しながらぐるりと巡礼するイメージだ。
朝から晩まで、そして深夜から未明は交通量はたいへん減るとはいえ、毎日どれほど多くの人たちがワダッカムナータン寺院の周囲をパリクラマー(巡拝)していることになるのだろうか。
ここを観光客として訪問する我々も例外ではない。街の造りの関係上、一度や二度は意識せずともパリクラマーを行っていることになり、トリスールの街が功徳を積むことに貢献しているのだ。私も徒歩でこれを実施してみることにした。