カリブ海のインド人はどこに行った?

 来年ドイツで開かれるサッカーのW杯に、カリブ海のインド(?)とも呼ばれるトリニダード・トバゴ共和国が初出場することになった。
 この国について、Wikipediaによれば、「インド系住民41%」とある。すると代表チームのメンバーの半分近くがインド系選手ではないのかと期待して、同国のサッカー協会代表選手紹介ページをクリックしてみたのだが、どうやらそうではないようだ。人口の半数近くを占めるはずのインド系出身選手のプレゼンスの薄さは謎である。
 1998年のフランスワールドカップの際、当時の日本代表同様に初出場だったジャマイカがそうであったように、周辺国や欧州等で活躍する有望な選手ながらも代表経験のない者(サッカーで代表経験のある選手は、国籍を変更しても他国で代表入りすることはできない)に国籍を与えるなどにより、出生時の国籍は違う選手がけっこう含まれていることもあるのかもしれない。他に何か理由があるのかもしれないが、それにしても不思議だ。
 本大会出場とはいえ、アジアでは「トリニダード・トバゴ代表」はまったく未知数の存在。果たして「カリブ海のインド人」はドイツW杯のピッチにやってくるのだろうか。

鎌倉のガンダーラ仏

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 先月下旬、鎌倉の建長寺に、パキスタンから「釈迦苦行像」が寄贈されたとの報道がなされていたことを記憶されている方も多いことだろう。
 あまりにも有名で、ガンダーラ美術の最高傑作のひとつとされる仏像のレプリカだが、先の愛知万博の会期中パキスタン館で展示されていたものである。同国政府が当代一流の職人たちに作製させたこの像の素材はファイバーグラスとのこと。
 10月25日に「遷座奉迎式」が行なわれた同寺境内にある、法堂と呼ばれる建物の中に安置されている。ちょうど私は鎌倉で用事があったので拝観してみることにした。
 雲ひとつない晴天に澄み切った空気。暑さはもちろん寒さとも無縁、なにひとつストレスを感じないこの陽気。こんなパーフェクトで気持ちの良い天気は年に何日ほどあるだろうか。
 総門をくぐり梵鐘や三門などを眺めながら境内を奥へと進む。法堂の入口脇に「パキスタン国寄贈 釈迦苦行像」と毛筆で書かれた看板が置いてある。堂の中には入ることができないが、入口のところから中を覗くことができる。写真などで見慣れた像だが、やはり日本のお寺にあってはずいぶん異質な印象を受ける。それがゆえに、はるか昔、広い大地を越えそして海を渡り、ついに日本まで至った仏教がたどってきた気が遠くなるほど長い旅路、それを支えた信仰の力に対して畏敬を感じずにはいられない。
 わが国最初の禅専門道場であり、木造漆塗りの須弥壇、木造北条時頼坐像など、国の重要文化財をいくつも抱える建長寺に新たな寺宝が加わった。万博に出展したパキスタンによる素敵な置き土産である。
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鎌倉建長寺にパキスタンの国宝の複製が寄贈(愛知万博ちょこっと情報)

世界遺産検定

 11月18日(金)に、NPO法人世界遺産アカデミーによる「第1回 世界遺産検定」実施の発表が行なわれた。
 世界遺産の知識を広げ、啓発と保全活動の輪を拡げることを目的としており、検定料の一部は、世界遺産アカデミーを通じてユネスコ世界遺産センターに対して各世界遺産の保全活動基金として寄付される。
 この検定にパスすることにどんなメリットがあるのか、何か役立つことがあるのかよくわからないのだが、旅行好きの年配の方々などが趣味で受けてみたりするのかもしれない。 
 ツアーガイドその他観光関係の仕事にたずさわっている人たちにとっては、世界各地の観光名所について必要な知識や教養を身につけているどうかをはかる目安になるのかな、と私は想像している。
 第1回の世界遺産検定は、2006年6月18日(日)に東京と関西で実施される予定だ。申込期間は、郵便による申込受付の場合は来年1月16日(月)から 2月28日(火)まで、インターネット・マルチコピー機による申込受付は同1月16日(月)から 3月31日(金)である。受 検 料 は消費税込みで3,675円。試験の合格者に対して、認定通知を平成18年8月中旬発送予定とのことだ。
 現在登録されている世界遺産は812ヶ所。インドはもちろん言わずと知れた世界遺産の宝庫だが、これらについてどんな問題が出題されるのだろうか。

インドに注目

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 ニューズウィーク日本版では、今週から2週連続でインド特集が組まれる。現在発売中の11月23日号は「第1弾 ビジネス編」で、次週11月30日号は「第2弾 外交パワー編」となり、現在のインドの経済と政治の動向をカバーしようという意欲的なものである。

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何が良いのか悪いのか

 昔、外からはあまり事情がよくわからなかった時代の中国からのニュースで、「天才××少年」などといったタイトルで紹介されるものがよくあった。それは暗算であったり、スポーツであったり、音楽の演奏であったりした。往時の共産圏では国内外へのプロパガンダという目的もあり、「国家は人民への目配り気配りを欠かさない」「共産主義とは創造的な個性を伸ばす体制だ」といった具合にアピールしたかったのだろうか。
 国外から眺めていても、特にスポーツの分野ではオリンピックその他の大きな大会で、東側の国々が体操や陸上競技など特定の種目において圧倒的な強さを発揮したりもした。まさに才能を秘めた児童たちを発掘し、幼いうちから国家による英才教育を施した結果だ。こうした才能の発掘と開花の目的は、個の育成ではないことはいうまでもないだろう。才能を見込まれながらも結実しなかった多くの者たちが、その後どうなったのか知りたいところでもある。 
 かつてのような東側ブロックなる世界は存在しないが、現在でもそうした体制の国々はいくつか残っているし、国威発揚のための天才発掘とその育成という「事業」が消え去ったわけでもない。

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