ラーイプルの極上カフェ

オートリクシャーでラーイプル市内走っていて、ちょっと気になる店があったので写真を撮っておいた。走行中なのでブレブレでも構わない。画像とともに記録される位置情報が目的だからだ。市内でも街道を長距離移動の場合でも、何か気になるものがあれば撮っている。記録される位置情報を手掛かりに、それが何であるかを調べることができる。時間があれば、後で訪問ということもしばしばある。

さて、そのお店、本格的なケーキを出すカフェではないだろうか?と思い、夕方訪れてみると、まさにそうであった。都会では「バリスタ」等のコーヒーショップのチェーンで、それなりのケーキを出す店は多い。もちろんラーイプルもそうなのだが、このような極上クラスのカフェとなると、そう多くはない。

意外なまでの華やかさで、先入観をことごとく覆してくれるラーイプルだ。店ではケーキと喫茶以外にもちょっとした食事も出来るようになっている。

Maharaja Food Factory (zomato)

ケーキはテイクアウトして宿で食べた。

案外華やかなラーイプル

パトナが4割くらいのサイズになった貧しい街(人口比ではだいたいその程度)なのだろうと想像していたラーイプルだが、中心地域はかなり華やかだ。

ミドルクラスが出入りするようなスポットがけっこう多く、ファッション関係の店が集まるエリアが広大で、しかも店の構えも大きく立派だったりする。

意外なまでに都会的な装いの人たちが多く、子持ち世帯の父親や母親たちにもファッショナブルな人たちが少なくなく、経済的なゆとりを感じさせてくれたりもする。意外なまでに景気の良さを感じさせてくれる州都である。

天幕を張った食事処
こういう感じのレストランもけっこう多い。
構えの大きな店が多い。

テキスタイル関係の店が集中するエリアにて。卸売りを主とする業者も多いようだ。

2人目の妻

綴りがおかしいが「2人目の妻」という店にて夕食。店の構えはダーバー(安食堂)だが、ファッショナブルなエリアにあり、店内も比較的キレイにしているため、家族連れやカップルの利用も多いのが特徴。通りに面したところに調理台を配置しており、道路からのホコリがもうもうなのは何だが、調理台まわりすべてが丸見えで、ホコリ以外の面では衛生的に仕事をしていることがお客によくわかる。これが人気の理由かもしれない。ちょっと高めの店でも、表からは見えない厨房は???なことは珍しくないからだ。

キッチンは道路に面したところにある。

店の主人は大変誠実そうな人で、微笑みを絶やさず、自ら陣頭指揮を取って店内を切り盛りしている。インド人の店のオーナーやその家族といえば、仏頂面で出納台にどっかり座って回りを睥睨しているといった具合が多いため、ここはなかなか個性的な店である。
お客が少し引けて店主ラージェーシュさんがややヒマそうになったので、店の奇妙な名前の由来について質問してみた。

「考えて考え抜いてつけました。要はいつも忙しいご自宅の奥さんの代わりに2人目の奥さんのように料理が提供できたら、それで各家庭の奥さんが少し休めるようになったら良いのではないかいう考えがあります。つまり各家庭にとってももうひとつのキッチンとして利用していただければ幸いです。」
とのこと。それならば名前の「Second Wiife」となっているものからiをひとつ削って正しいものにすればいいのに・・・と思ったりもするのだが、大変好感の持てる店であり、店主であった。

聖地ウドワーダー

ゾロアスター教寺院

寺院入口前には神具等の店がいくつか並んでいる。

パールスィーの町、ウドワーダー。ゾロアスター教寺院の中でももっともっと格式高いとされる寺院(インドのパールスィーの間では、イランのヤズドの寺院よりも上位とされる)があり、ゾロアスター教徒の暦で毎月めぐってくる「ベーへラーム・ローズ(至高の日)」には、大勢の参拝者がやってくる。

異教徒は寺院には入れないとはいえ、ちょうど良いタイミングであった。乗り合いオートではゾロアスター教司祭の壮年男性と一緒になり、話を聞くことが出来た。寺院前に建ち並ぶ参拝者相手の店の様子を見物するのも興味深い。田舎町とはいえ、経済的に繁栄しているパールスィーの人たちのコミュニティなので、建物の造りもたたずまいもゆとりが感じられる。

ウドワーダーの町を歩いていると、パールスィーの人たちによく声をかけられる。この町からパールスィーの人口流出が著しいことから、「聖地」とはいえ、当地ではすでに「マイノリティー」になっているとのことだが、「パールスィー以外の人たち」と外見からして異なるため、そうと判る。つまり、イラン系で色白、がっちり型、しばしば長身の人たちであるからだ。

ペルシャ風建築?の屋敷町から区画を少し移動して漁師地区に来ると、色黒で小柄、人種そのものが違う人たちが、簡素な建物に暮らしている。小さな田舎町だが、少し歩くだけで別世界のようだ。

パールスィーの人たちの家屋は特徴的だ。宗教的なシンボルが描かれているだけではなく、ペルシャ風の意匠(?)もあしらわれていることが多いからだ。

パールスィー独自のトーピーを被った男性の姿はよく目につく。
こういうのは、いかにもペルシャ的だ。
ちょっと毛色の違う家屋もある。
「Rustam」という、典型的なパールスィー名を付けたアパートもある。おそらくオーナーが「ルスタムさん」なのだろう。

町はずれにある博物館にて。「パールスィーの歴史的偉人」の展示コーナーには、ファルーク・バルサラーことフレディー・マーキュリーの姿もある。ゾロアスター教の聖地ウドワーダー。地元の人によると、フレディーがボンベイ郊外のボーディングスクールにいたころ、寺院に参拝するためによく来ていたことが知られているとのことだ。映画「ボヘミアン・ラプソディー」には出てこないロンドン移住前のフレディー・マーキュリー。

パールスィー博物館
パールスィーの歴史的偉人としてのフレディー・マーキュリー

それほど多く見どころがあるわけではないため、15km程度しか離れていないダマンからの日帰りで充分かと思うが、ウドワーダー自体にも宿泊施設はいくつかあるので滞在には困らないようだ。ただしパールスィーのダラムシャーラーについては、食事はできるが異教徒は宿泊できないとのことだ。

ゾロアスター教徒のダラムシャーラー
ダラムシャーラーの入口の床にランゴーリーが描かれているところを見ると、パールスィーの人たちの習慣に取り入れられているらしい。
ダラムシャーラーにはレストランも併設されており、なかなか美味しいものにありつくことができる。
「ゾロアスター教最高の名刹」があるだけに、複数のダラムシャーラーがある。
こちらのダラムシャーラーにもレストランが併設されており、パールスィー料理を楽しめる。

パールスィーゆかりの土地があまり訪問先としてクロースアップされないのは、異教徒は寺院に入場出来ないことがあるのかもしれない。これはパールスィー生まれの人々にとっても同様の部分がある。寺院内には司祭としての修練を積んだ人でないと立ち入ることが許されない領域があるのだ。

パールスィーは、パールスィーと結婚しなくてはならず、異教徒と婚姻を結ぶと、もはやパールスィーとは見なされなくなり、寺院への入場はおろか、同教徒の人生最後の通過儀礼である鳥葬も行うことができなくなる。

そんなわけで結婚というハードルにより、振り落とされてしまうパールスィーが多いとのこと。コミュニティ外で恋愛して結婚を決意することもあるだろうし、もとより教育を大変重んじるパールスィー。しかしそうした社会的集団にも一定の割合でドロップアウトする若者たちがいる。もうその時点で同じコミュニティの配偶者に恵まれる機会を失うことになる。そんな背景から、繁栄(経済的に)しつつも衰退(人口が)しつつあるコミュニティとされる。

パールスィーのベーカリー

話は飛ぶが、今のイランにゾロアスター教時代から引き継がれている伝統は少なくない。イラン正月「ナウローズ(文字通り元旦)」はそうだし、ローズウォーターを使う甘味もどうやらそうしたもののひとつらしい。普段はムスリムの名前として認識されている「ファルーク(フレディーも改名する前はファルーク)」「シャールク」は、イランのイスラーム化以前から使われていた名前だ。 

言うまでもなく、ひとつの思想、この場合イスラーム教だが、それが世の中を席巻したからといって、それ以前の習慣がすべて消えるわけではない。アケメネス朝の文化を継承する在インドのイラーニー(パールスィー)と現在のイランに暮らすイスラーム教徒のイラーニーに共通するものは案外少なくないらしいことは、なかなか興味深い。

これらの看板が示すとおり、町にはいくつものホテルがある。

ホテルのエントランス
パールスィーの民家が宿泊施設となっているものもある。

コラバのFood Inn

ツーリストゾーンとはいえ、良質な食事処に事欠かないコラバ。その中でも特定のエリアの食事(ゴア料理など)にこだわらなければ、コラバの宿泊施設が集中するエリアにあるFood Innは、良心的かつ信頼できるレストランだ。お客の大半が外国人という時間帯も多いのだが、実にちゃんとした料理を提供している。

Food Inn (zomato)