紙パックに入ってしまったオールドモンク

宿の近くに酒屋があったのでオールドモンクのクォーターボトルを所望すると、小さいテトラパックが出てきた。「マンゴージュースじゃなくてオールドモンクを」と言うと、これがそうなのだと言うからびっくり。

近年、クォーター、ハーフといったサイズはプラチックボトルで出てくる酒もあるのだが、ついに、紙パックになったか・・・。

オールドモンクは安酒ながらもインドで長い歴史を持つブランドで、軍の基地にも大量に供給されている。私も昔々これには親しんだので、ごくたまに手にしたくなる。

しかし紙パックってのは、どうするのか?ストローでも差込んで、チューチュー吸えとでも言うのだろうか?

いやはや・・・。

IRCTCのケータリング

駅弁ならぬ社内販売飯。各地でゲリラ的に車両に乗り込んできて食事やスナックを売る「物販ゲリラ」も多いが、こちらはインド国鉄関連会社のIRCTCによる車内販売品。

IRCTCはネットによる乗車券販売及び予約管理、各種パッケージ旅行の販売、鉄道車両での飲食物販売等を包括して引き受ける。こういう組織は汚職や不正の温床になったりしやすいものだが、やはりいろいろ黒い噂は少なくない。

こんな巨大利権が入札手続きなどを経ることなく、長年ずっとIRCTCが丸ごと引き受けていること、国鉄の業務とは関係のないパッケージ旅行(タイ、ドバイ、ネパール、ブータン等の海外旅行など)も販売していること、パントリー車での調理環境に非常に問題があることをメディアが取り上げ、保健省の調査が入ったりするなど話題に事欠かない。たぶん現場の業務なども孫請け会社に丸投げしたりもしているのだろう。

車内で注文した1回目の「チキン・ビリヤーニー」これをビリヤーニーと呼べるのか大いに疑問。
中をほじってもこんな具合。いやはや・・・。

車内ケータリングサービスで面白いと思うのは、ラージダーニーやジャダーブディーなど特別急行で、ひところまではIRCTCではなく、ホテルチェーンに委託していたケースもあった。だが今ではIRCTCによる取り扱いに戻っている。

車内で2回目のチキンビリヤーニー。他になかったので仕方ない。時間的にこれが本日の夕食、目的地着いたらチェックインしてそのまま寝る時間。

この列車で2回目のチキン・ビリヤーニー。こちらのほうが少しはマシだった。

おやつに食べたものとは味付けも何もずいぶん違った。異なる業者が異なる駅でIRCTCに納めているので当然だが、ケーララ州からカルナータカ州に入っているからということもあるかもしれない。私がトリスールから乗り込んだ列車はマンガロール駅に着くところ。急行停車駅で一つ先のウドゥピまで行く。

トリシュールの街角で

トリシュールの街を歩いていて、2、3回ほど「あのう、ヒンディーわかりますか?」と話しかけられた。

こういういかにもの観光スポットで声をかけてくるのはどういう人たちか決まっているが、やはり「旅行中で金を盗られた」「息子が病気で」という類で、要は金をくれというのものであった。同じストーリーを年中繰り返しているはず。ムンバイのヴィクトリアターミナスあたりで英語で話しかけてくる輩と同じだ。

外国人観光客の姿が少ないぶん、ここではインド人旅行者たちがこんな具合に声をかけられているのだろう。観光地であれば、基本的に都会も地方もそんなに変わらない。

若者はバリスタにスタバ、オールドタイマーはインディアン・コーフィー・ハウス。食事もいけるインディアン・コーフィー・ハウス。ビリヤーニーはビーフで。具材に印牛とともに角切りココナツがゴロゴロ入っていることに異郷を感じる。でも悪くない。

デリーやラクナウなどのビリヤーニーとここ南のそれでは米も中身も味付けも違うけど、ビリヤーニーの祖先は中東のプラオ。日本で食べる洋食としてのピラフもスペインのパエジャも、ルーツは同じイスラーム圏。いわば親戚関係の料理群。それぞれの地域で「こう作ると美味しい」という経験値と知恵が集結して、独自の味付け、具材、料理法を編み出して出来上がっている。世界を股にかけて横に繋がる食文化。それぞれ個性があって面白い。