インドネシアでコロナ感染拡大が深刻に

インドネシアがインドよりもずいぶんひどいことになっている。

昨日時点で直近の24時間で新規感染者数が4万人を切ったインドに対して、インドネシアでは、なんと2万7千人超。インドの人口はインドネシアの5倍くらいなので、これをインドに当てはめると、1日の新規感染者数が13万5千人あたりに相当する。

現在のインドネシアでの感染状況は、インドの3.5倍近く厳しいことになっているわけだ。インドも先日まで、そのような数字であったし、現在の「第2波」で最もひどいときには40万人を超えたこともあったわけだが、今は大きく改善している。

イスラーム教の祝祭の時期を経て、大きな人口の移動があったことが背景にあるのは、ちょうどホーリー等の春季の祝祭で、インドで「第2波」の感染が広がったことと通じるものがある。やはり感染拡大を防ぐには、「ステイホーム」と「自制・自粛」が必要であることがよくわかる。イギリスなど、ワクチンが普及した国でも、デルタ株による感染数が急に増えていることも気がかりだ。

コロナの出口は、もうすぐそこ、と思っていたが、どうやらまだしばらくかかりそうだし、「With Corona」で、いつまでたっても今の状態が「常態」になってしまう嫌な夢を見ることがある。やれやれ・・・。

インドネシア 新型コロナ 1日の死者最多に 医療用酸素が不足(NHK)

お供えの花を線香に

日本も河川がドブみたいな時代があったが、今や郊外・街なかを問わず、清流のような澄んだ水になっているところがほとんどだ。やはり長年に渡って社会総がかりでの取り組んできたがゆえのことである。

今は水質やゴミなどでたいへん問題が多いインドの河川も、いつかそうなる日が来ることを切に願いたい。

神聖な花が線香に! フラワーサイクルで雇用を生み出すインドの会社(Business Insider Japan)

コロナ禍で報じられるインド

INDIA TODAY 6月9日号

India Today 6月9日号電子版が配信された。

この前の号の特集は、「自助の共和国」と題して、コロナ禍で大変なことになっている人々に対して、サポートの手を差し伸べる人々を取り上げていた。コロナに罹患した人たちのために自宅で食事のパックを作って提供している人から、グルドワラーで「酸素のランガル」として、酸素ボンベで重症患者に提供するスィクのボランティアの人たち、ヘルプラインを開設し、電話でコロナ関係相談に乗り出した有志の医師たち、はてまた数千人のスタッフを擁するNGOで、コロナの状況に鑑みて、一時的にコロナ患者救済の活動を始めた団体等々、それぞれの出来る範囲で、大変な中でも世間のために働きかける人々の姿に感銘を受けた。

さて、今回はそのまったく反対で、「恐怖のとき」と題して、コロナにより不足している治療薬、酸素ボンベ、酸素濃縮装置その他を投機的に買い占めてボロ儲けする人たち、コロナでの失業、先行き不安からくる精神疾患が多発していること、河岸に流れ着くコロナ死が疑われる多数の遺体等々、たいへん暗い側面が伝えられている。

日本など、外国のメディアに取り上げられるインドは、平時でも偏りがあり、コロナ禍においてもそれ以上であったりするが、もちろんインドへの関心がその程度なので仕方ないことではある。しかしながら、大変好ましい話も、それとは反対にあまりに悲痛な話題も、あまり伝えられないのは残念でもある。これもまた、コロナで大変な目に遭っているのは、インドだけではなく、世界中なので、やはりこれも仕方のないことではあるが。

INDIA TODAY 6月2日号

ブラック・ファンガス

このところインドのテレビニュースを含めた各種メディアで新型コロナ感染の患者が回復期に「ブラック・ファンガス」に冒されるという事例が多く報じられている。「真菌感染症」のことだが、致死率は50%で、眼球や顎の骨を切除しなくてはならなくなったりする場合もあったりするというから恐ろしい。

「ブラック・ファンガス」といえば、私たちは食材のキクラゲを思い浮かべてしまうが、同じ「菌類」でも、それとこの病気の原因となるものとはまったく異なる。新型コロナの症状が重くなった患者には、炎症を抑えるためにステロイド系の薬が投与されるが、この副作用として免疫力が低下すると、生活環境に普遍的に存在する真菌類がと取り付いて起きる真菌感染症「ムコール症」。新型コロナに感染さえしなければ、こうした薬を投与されることはなかったため、この病気に関連して起きたものだと言える。

インドの国営放送「ドゥールダルシャン」のニュース番組では、この「ブラック・ファンガス」について、『患部が黒くなる場合が多いので「ブラックファンガス」と呼ばれるが、必ずしも黒くなるとは限らない。気が付くのが遅れないよう注意する必要がある。』と報じていた。

州によっては、この「ブラック・ファンガス」について、エピデミックを宣言しているところもあるが、コロナそのものと異なり、「ブラックファンガス」自体は人から人へ感染する類のものではない。身の回りのどこにでもある真菌類が原因のとても稀な症状で、前述のようにステロイドの大量投与で免疫力が極端に低下するという特殊環境で起きるものであるからだ。

インド、新型ウイルス患者の間で真菌感染症が急増(BBC NEWS)

 

インドのコロナの状況

今週のインディア・トゥデイの特集は現在のコロナの状況。表紙は火葬場に防護服姿の人たちが新たな遺体を運び込む様子で胸が痛む。インドで、一時は「これで収束に向かうか?」というムードであったころ(今年1月から2月)があったにもかかわらず、現在の状況に至ってしまった背景の分析がなされている。

日本で取り沙汰される変異株だけではなく、祝祭等(宗教行事や結婚式等)が派手に繰り広げられるなど、安堵感の中での緩みがあったこと、一気に第2波(インドにおける第一波とは全国的なロッグダウン明けからの急拡大から昨年末あたりまで)が広がる中で、ワクチン接種のペースが追いつかなかったこと、医薬品の流通に阻害要因があったことなど、社会的背景などにも切り込んでいる。今後の成り行きがとても気になる。

デリーのコロナ関係の動静について、インド各メディアが市内の大病院、「Ganga Ram Hospital」からの情報を掲載することが多い。この病院名を入れてニュースの検索をすると、たいへん緊迫した状況を伝える記事でいっぱいだ。現在90%の患者はコロナ感染者。大きな総合病院なのだが、心臓外科等を一時的に取りやめて、ほぼコロナ対応専門のようになっているそうだ。