ハザーリーバーグ周辺の民俗画の村巡り⑨

ヴィラーサト・トラストでは、村々で民俗画保存の活動を進めるとともに、インド各地や欧州を含む海外でも展覧会やワークショップを開催するなどして、ハザーリーバーグ周辺の村々の民俗画への認知を高める取り組みを実施している。

また、アーティストたちによる作品を空港、鉄道駅などに展示するたともに、バザーリーバーグの公共施設の塀などにも描かせることにより民俗画への認知度を高める試みを実施している。

行政もこうした活動については前向きのようで、活動のために資金その他の支援に乗り出しているとのこと。ジャールカンド州ではまだ存在しているとは言い難い観光業の振興への貢献も期待される。

しかしながらスポンサー側にも都合や思惑があり、本当は鉱物由来の染料で描くところ、ペンキを使うように言われたり、ジャールカンドのアーディワースィー(先住民)のヒーロー、ビスラ・ムンダーを描くよう頼まれたりしたりと、当惑するようなことがいろいろあるようだ。

しかしながらこれまでの取り組みが功を奏して、ハザーリーバーグ周辺の民俗画がGIタグ(Geographical indication Tag)取得することとなり、この地域固有の文化としてさらなる認知が高まることが期待される。

GI tag for Jharkhand’s Sohrai Khovar painting, Telangana’s Telia Rumal (The Hindu)

ハザーリーバーグのソハラーイー・ペインティング、コーワル・ペインティングについては、これに関する研究を長年続けてきたブル・イマーム氏による以下の文章をご参照願いたい。

Comparative traditions in village painting and prehistoric rock art of Jharkhand (XXIV Valcamonica Symposium 2011)

コロナ禍のため、しばらくの間はインドと諸外国との間の往来が困難な状況が続いているが、長期的にはインドの新たな魅力として広くアピールするポテンシャルに満ちているはずだ。

絵が商業化されて、男性の描き手が続々参入してくるという、ミティラー画等と同じ轍を踏むことになるのかもしれないが、これらの伝統を維持してきたアーディワースィー(先住民)の人々の暮らしぶりや村でのライフスタイルなどといった生活文化も合わせてトータルにアピールできるようになると良いと思う。

得てして、商業化、観光化というものは、外部からの資本とマンパワーの進出を招き、もともと現地に暮らしてきた人たちのメリットが顧みられないようなケースが少なくないのだが、そのあたりのバランスをどう保っていくのか、今後の進展に注視していきたい。

既出だが、ドウジーナガル村すぐ外の民家。訪問当時、ホームステイ受け入れを打診中とのことであった。まさにそれが描かれている家に滞在しながら民俗画を鑑賞できる機会が出てくると面白いかもしれない。

内容は新型コロナ感染症が流行する前のものです。

新型コロナウイルス感染症 インドでは集団免疫達成も近し?

このところインドで新規感染者数が激減。昨日は1万1千人超という数字であった。

Latest News Highlights: 11,039 New Coronavirus Cases Take India’s Tally To Over 1.07 Crore (ndtv.com)

昨年8月から9月にかけては毎日10万人に迫る規模であったのが嘘のようだ。

この日の日本では2500人。インドは日本の10倍の人口を擁することから人口あたりの新規感染者という視点から見ると、インドはなんと日本の44%にしか過ぎないことになる。

これは何故か?

その答えはこちらの記事にあるのかもしれない。

首都圏住民の半数以上が感染、血清調査で判明 (CNN.co.jp)

首都圏人口の56%がこれまでに感染して抗体を持つ可能性があるとか、集団免疫達成には人口の60〜70%が免疫を持つ必要があるとか、いくつかの都市ではすでに集団免疫を獲得している可能性があるとも書かれている。

いくつかの都市といえば、とりわけ、昨年初夏からひどくやられていたマハーラーシュトラ州内の街がいくつか頭の中に浮かぶ。ケーララ州、タミルナードゥ州にもそういう街があるかもしれない。

そこにきてワクチン接種も始まっているのだから、案外コロナ禍からの脱出と立ち直りは早いかもしれない。感染者数の割には死亡者がやけに少ない(総数では大きなものだが、感染者数、人口に比すると欧米のひどい国の比ではない)のは、若年層に厚い人口構成が幸いしたのかもしれない。無症状や軽症で済んだ若者たちも多かったことだろう。

実施された大規模な血清検査の結果、デリー首都圏では56%超の住民が新型コロナウイルスに感染して抗体が出来ているとのことだ。集団免疫達成には住民の6割から7割が免疫を持っている必要があるとされることから、どうやらこれが達成される日は遠くないようだ。

ただしこの「集団免疫」について、よくわからないのは、新型コロナについては罹患したことがあっても免疫の効果は数か月しか持たないという話を聞くことだ。ワクチンについても接種完了したからといって、ずっと有効なわけではなく、こちらも数か月という。

そのような状態なので、今後エンドレスで免疫が切れる頃にワクチンの接種を繰り返す生活を送らなくてはならないのだろうか。またそのようなことがインドをはじめとする途上国はもちろんのこと、先進国でも可能なのだろうか。

新型コロナワクチン接種で観光客回帰?

1月14日からセイシェル共和国は「新型コロナワクチン接種済」の観光客を検疫等の制限なしで受け入れることを開始した最初の国となったそうだ。

One island welcomes all vaccinated travelers — but some may want to wait (CNBC)

現在は同様の措置をネパールも検討中とのことで、これと同様の措置により接種済の証明書を持つ人に対してはPCR検査も隔離もまったく求めず、アライバルビザの復活も併せて検討中であるという。

Nepal to allow unrestricted entry to vaccinated tourists (Kahmandu Post)

とりわけこれまで観光に依存してきた国にとっては、今回のコロナ禍により経済が「生きるか死ぬか」になっているところは多い。同様の検討を勧めているところは少なくないはずだ。

もちろんセイシェルがこのような措置を開始したといっても、観光客の送り出し国では帰国時に従前どおり「14日間の隔離」をそう易々と停止することも現状ではなさそうだ。加えて旅客機の国際間の定期便も激減している中で、セイシェルが期待しているとおりには事が運ばないように思われる。新型コロナウイルスについて、まだわかっていない部分も多く、始まったばかりの接種の効果も未知数の部分もある。

今後、その効果と集団免疫の達成状況、そして各国間の合意等を経ることによって、「海外旅行」の機会が私たちのもとに戻ってくることになるのだろう。まだしばらく時間がかかるのだろう。

個人的にはセイシェルには関心はないが、「早く接種してネパールを訪問したい」と思っている。しかしながら現状では、帰国時には2週間の隔離があるだけでなく、「自粛ムード」の中でたとえ航空券が手に入っても、行けるのか?という面も大きなハードルである。

やはりまだしばらく先のことにはなりそうだが、それでも各地で接種が始まっていたり、開始が予定されているワクチンが大変有効なもので、「接種さえすれば海外渡航も行動も制限なしで当然」というムードが醸成される、ごくごく近い未来に期待したい。

街角のよろず屋の風景

極小の間口、中で店主が椅子にでも座るとそれでいっぱい。

そんな小さな店ながらも、なかなかの品揃えの雑貨屋さん。限られたスペースを「店舗兼倉庫」としてフル活用。先入れ先出しで品物を効率よく回転させていくこうした店はカッコよくはないかもしれないけど、ある種の機能美を感じる。店頭で何かを頼むと、迷うことなく数秒後にはカウンターの上に「ほらよ!」と出てくるものだ。

もちろん店主の人柄、性格にもよるので、狭くてかつ埃だらけだったりするところもなくはないものの、たいていは上手に切り盛りしている。

おそらく父親から教え込まれたこと、自ら経験して得てきたことなどが、店内に反映されているのだろう。

長年立ち寄ることが多い街角では、そんな店の中にいる人が年配男性からいつの間にか若者になっていて「代替わりかな?」と思ったり、まったく別の店に入れ替わっていることに気が付くこともある。

いつも同じに見える一角も、実は日々少しずつ変化している。ちょうど店の中の品物がお客に売れて新しい商品が入荷したり、製品が廃版となり、後継商品が発売されたりという具合に、街角の中身も入れ替わっていくものだ。

いろいろな人やモノがぎっしり詰まっているのもまた、街角のよろず屋さんのたたずまいに似ているように感じる。

内容は新型コロナ感染症が流行する前のものです。

真冬のコールカーターで30度超え

コールカーター在住の方から送られてきたヒンディー語のニュースクリップで、「カルカッタ及び周辺で30℃超え」を報じる動画があった。

ググッてみると、やはり本日1月10日(日)のカルカッタの気温がこんなことになっている。

比較的海に近いためパンジャーブ、デリーやガンジス平原部ほど厳しい寒さにはならない(東京の冬と同じくらい寒い。期間は東京ほど長くはない)とはいえ、今ごろの時期はセーターや上着を着て、ほおっかむりまでして「寒い、寒い」と言っているはずの時期なのに。

いったいどうしたのだろう?

寒すぎる真冬の東京も30℃とはいわずとも20℃くらいになってくれるといいんだが。

寒すぎて外に出るのに勇気が要る。