ダージリンティーの茶園訪問2

ハッピーバレー茶園の製茶工場

昨日カルスィヨンのマカイバリ茶園訪問で失敗したので、本日はダージリン市街地のすぐ外にあるハッピーバレー茶園に前もって電話してから訪問する。たがあいにく「ウチでは冬の茶摘みはしませんので、工場のラインは止まっていますが、それでもよろしければ・・・」という回答。この茶園では収穫期は春・夏・秋の3シーズンのみなのだという。

茶園に到着すると、ちょうどそこにやってきたポーランド人の夫妻があり、茶園の職員に率いられて、一緒に工場内を見学する。この茶園は150年くらいの歴史があり、インドで茶の栽培が始まった初期のあたりからあることになる。茶の木の寿命を尋ねると、かなり長いらしい。茶園が始まったころからある木がまだ沢山あるとのこと。

茶摘みの仕事をするのはすべて女性で、年代ごとにチームを編成し、若い人たちほど遠くのエリアで収穫作業をして、年上になるほど工場に近いエリアで茶摘みをするとのことだ。工場で働くのはほとんどが男性で、女性は数えるほどしかいないとのこと。茶摘み労働者たちの日収は90ルピーと少ないが、その代わりに住居、子供の教育のための学校、診療所は無料となっているそうで、家族のうち数人が茶園で働いていれば、なんとか食べていくことはできるだろう。ちょうどスリランカなど他国の茶園もそんな感じだ。

加工ライン
加工ライン
加工作業に用いられる送風機
これも加工ラインの一部
ここで加工の最終段階を経て最後の選別場に作業は移る。
ここで手作業にて茶葉を等級ごとに選別

収穫期ではないので、空っぽになっている作業場を見学。コンベアの上の茶葉に、最初に常温の風を大きなファンで送り、続いて熱い風を送る。これにより、茶葉が握ってもちぎれることなく、ソフトになるとのこと。その後階下で発酵・熟成の過程があり、最後に茶葉をグレード別に選別するというラインになっている。摘みのシーズンにより、加工の時間は適宜変えるとのこと。通常、茶葉はサイズが大きいほどグレードが上になる。ひとつだけ「ALOOBARI」という別の茶園の名前が記されている加工ラインがあった。同じオーナーが所有する茶園だが、工場が併設されていないため、ここに持ち込んで加工しているとのこと。

ハッピーバレー茶園工場のオフィス

茶園のオーナーは外資系が多いらしい。インド人所有のものではマールワーリーのビジネスマンが経営するものが多いとのことで、このハッピーバレー茶園もまたマールワーリーの所有だ。地元民族であるブーティヤー、レプチャー、グルン等の民族が運営する茶園は存在しないそうだ。

一緒に工場と茶畑を見学したポーランド人夫妻は仏教徒であるとのこと。日本国外でも盛んに布教活動を展開する創価学会かと思いきや、なんとカギュー派とのことで、チベット仏教徒である。ポーランドに僧院があり、そこで入信する人が少なくないとのこと。チベット仏教寺院がそんなところにあるとは驚きだ。これからスィッキムに行き、あるリンポチェに教えを乞うところなのであるそうだ。つまりこれは英語で行われるわけで、先述のポーランドにある寺院とともに、チベット仏教にはなかなか国際的な側面もあるかもしれない。

三人でしばらく茶園を散歩する。茶園の中の集落で、ここで働いている女性に声をかけてみた。茶摘みのオフシーズンには何をしているかと尋ねてみると、それなりに仕事はあると言う。主に茶園の整備や木の手入れであり、この時期にはしばしば茶畑の専門家が来て、茶の木の健康状態をチェックしたり、病気等の駆除の手当等を行なったりするのだそうだ。

茶畑

茶畑の中に点在する集落の家屋は、どれもここで働く労働者のためのものであるようだが、どれもかなり清潔感があり、ある程度の居住スペースはきちんと確保されているらしいのは幸いである。

茶畑従業員の住宅

<完>

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