トイトレインでカルスィヨン駅に着いてから、そのままシェアジープでダージリンに戻るのはもったいないので、しばしマカイバリ茶園を訪問することにしたのだが、製茶工場に着いてみると、あいにくこの日は休日とのことであった。せっかくインドのSIMが入った携帯電話を持っているのだから、事前に一本電話確認しておくべきであった。
そんな訳で工場を後にして、坂道を下っていくと、普段は茶摘みの仕事をしているという地元の女性たちが、スマートフォンを大きなスピーカーに付けて音楽をかけて踊っていた。こうしたところで作業に従事する人たちの間でも、スマートフォンを持つことが決して珍しくない時代になっている。
ところで「ダージリン」と一口で言っても、かならずしもここダージリンやそのすぐ近くで収穫されたものばかりであるわけではない。スィリグリーやブータン国境のジャイガオン等も含めて、北ベンガルの丘陵地やヒマラヤ斜面等に茶園が広く分布しており、その数83もある。茶葉の収穫時期は、春、夏、秋、そして現在の冬とあり、その時期によって味わいが違うということになっている。
斜面に広がる茶畑に入ってみると、どの木も短く刈られているが、ちょうど12月から1月にかけての収穫期なので、本日のような休日以外には、茶摘み労働者たちが働く姿を目にすることができる。
茶園のオフィスに日本語の看板もかかっており、「紅茶・緑茶・ウーロン茶」などと書かれているので、ここの製茶工場からは日本にも輸出されているのだろう。本日、話を聞いたり見学したりすることかできなかったのは残念だ。
カルスィヨンの町で遅い昼食を摂った後にダージリンへはクルマで戻ったが、汽車が通らない時間帯はレール上がパーキングのようになっている。日の上り・下りそれぞれ4本ずつしかないとはいえ、この緊張感の無さは何だろう。商店の軒先をレールが走っていたりもするが、幼児のいる家では大変な注意が必要だろう。ダージリンに至る前の名所「ループ」では、汽車の通行しない時間帯には店開きしている商売人たちの姿が多数ある。
そのループでは、インド国旗がこんな具合に翻っていた。思わず敬礼したくなる。
<続く>