9月最後の週末はナマステ・インディア2007

福岡がインド映画で盛り上がる(?)この秋、東京でも2日間インド関係のイベントが開催される。この時期恒例となった『ナマステ・インディア』だ。今年は9月29日(土)〜30日(日)に開催される。
日印交流年のThe Festival of Indiaの目玉のひとつとしての位置づけとのことで、例年にも増して盛大なものとなることだろう。会場の代々木公園のイベント広場が少々手狭に感じられるようになってきており、今年も晴天に恵まれれば大変な人出となるはず。
それでも周囲はオープン・スペースで一杯のこのエリア、適当な場所を見つけてレジャーシートでも広げて、澄み切った青空のもとで友人・知人たちとまったり過ごすのもいいだろう。雨露をしのぐ場所がほとんどないため、悪天候ならば少々考えものではあるのだが。
それでは代々木公園でお会いしましょう。
ナマステ・インディア2007

伝説の橋

インド・スリランカをつなぐ伝説の橋
アダムズ・ブリッジとも呼ばれるラーム・セートゥ、またの名をセートゥサムドラムは、ラーマーヤナでラーマ率いる一団がラーヴァナに誘拐されたシーターを救い出すためランカ島に渡る際に築かれたものとされる。『橋』というよりもむしろ「コーズウェイ』と言うべきかもしれないが、それはともかく神話とともにまさに絶妙なロケーションと地形から『大昔に人が造ったものである』という説もささやかれている。
南にマンナール湾、北にパーク海峡が控えるこの海域は深さ10メートル程度の広大な浅瀬になっており、氷河期にはここを通じてインドとスリランカが地続きであったとされる。
「へーぇ、なんだかロマンチックでいいじゃないか」と私のような部外者は思うのだが、ここで大きなプロジェクトがまさに実現しようとしている。
インドとスリランカをつなぐこのラーム・セートゥとその北に広がる浅瀬のために大型艦船の通行が困難なため、わざわざスリランカの東側へと大回りして迂回しなくてはならない。この不便さを鑑み、植民地時代には1860年になされたA.D. Taylorの提案以来9回、独立後も5回に渡り、この海域を切り開く水路の建設が提唱されてきた。
ずいぶん長いこと云々されてきたこの計画だが、インドの現在の中央政府が2年前の6月にこのセートゥサムドラム・シッピング・キャナル・プロジェクト (SSCP)の開始を宣言し、実現へと踏み出すことになった。大型船舶が通行可能なルートを造るとともに沿岸の複数の港湾の整備をも含めた大規模な開発計画だ。これにより沿岸輸送の時間が大幅に削減できて商業的に有益であることはもちろん軍事的なメリットも大きいとされる。
しかしながら広大な地域に及ぶ掘削や浚渫等が環境に与えるインパクトが懸念されており、この海域の豊かな生態系を破壊するのではないかという声も高い。また沿岸で漁業を営む人々の間でも影響を心配する声が多いようだ。
また2004年12月に起きたスマトラ島沖地震で発生した津波が、周辺各地に大きな被害を及ぼした際、このエリアで比較的影響が少なかったのはまさにこの特異な地形が津波の威力を弱めたからだという説もある。
先述のとおり、ラーム・セートゥが宗教的に重要な意味合いを持っていることから、コングレスを中心とする連立与党が進めるこの計画に対し、右翼政党は強硬に反対する立場を取っている。この地域特有の神話に基づくいわれがなければ、議論が開発コストや環境への影響あたりに終始しそうなところが、信仰や民族文化にかかわる問題であるとして攻め込むあたりはインドらしい。今回大きく抗議の声を上げているBJPにとって、これまで確固たる地盤を築いていなかった南部、とりわけ地域政党の強いタミルナードゥへの足跡を刻む格好の機会となることだろう。UP州のアヨーディヤのラーマの生誕地問題と違い、現場はほとんど海上であるためそこで大きな騒乱が生じることはないであろうが、与党にとっては取り扱いを間違えると大やけどをしかねない危険をはらんでいる。この伝説の橋をめぐる駆け引きにおける今後の推移を見守りたい。
インド・スリランカをつなぐ伝説の橋

福岡の秋はインド映画三昧

今年9月、10月の福岡でインド映画が熱いらしい。福岡市総合図書館映像ホール『シネラ』にて、9月の『アジアフォーカス・アーカイヴズ』で3本、10月には『日印交流年2007 インド映画パノラマ
と題して19本、そして先述のシネラに加えてソラリアシネマ1、エルガーラホール、西鉄ホール、あじびホールといった多くの上映会場にまたがって開催される『アジアフォーカス福岡国際映画祭』においては5本上映される。
さすがは西日本随一のメトロポリタン・・・とは言いすぎかもしれないが、九州きっての大都会だけのことはある。やるじゃないか、福岡!もうこれだけで生まれ故郷のこの街に飛んで帰りたくなる。
上映予定作品の一覧を眺めてみると、古典から現代の作品まで良いものを取り揃えている。いい仕事してますなあ・・・。
しかしちょっと注文をつけたくなる部分もないではない。心の底から笑えて思い切り泣けるカジュアルなタイトルが見当たらないことだ。
『インド映画パノラマ』まとめて19本も上映するならば、例えば『ムンナー・バーイー』の2作品、『Munnabhai M.B.B.S.』と『Lage Raho Munna Bhai』などが織り込まれていたら強烈なアクセントになったのではないかと思う。またサンジャイ・ダットの他に類を見ない稀有なキャラクターを持ってすれば、インド映画の新たなファン層の掘り起こしに大いに役立つのではないだろうか。
別に誰が出る作品でもどんなジャンルのものでもいいのだが、これまで日本国内で上映されなかったタイプの映画の中から特に上質なものを取り上げてみるのも悪くないと思う。
国内であまり馴染みのない外国映画を持ってくるにあたり、入手が困難であったり諸々の事情からくる制約があったりするだろうし、一般来場者の期待に沿った上映リストが作成されていくのだろうが、その中にイチかバチかのワイルドカードでピリ辛なスパイスを効かせてみてもよかったのではないかと思うのは私だけだろうか。
ともあれ秋の福岡を訪れる機会があれば、ぜひインド映画三昧!といきたいものだ。
………………………………………………………………………………………………………………..
アジアフォーカス・アーカイヴズ 9月15日(土)〜30日(日)
日印交流年2007 インド映画パノラマ 10月3日(水)〜28日(日)
アジアフォーカス福岡国際映画祭 9月14日(金)〜24日(祝)
………………………………………………………………………………………………………………..

Tokyo→Mumbai 36席すべてビジネスクラス

インドを含めた世界各地の航空業界で、格安路線を展開する新興会社が急増する中、既存各社はそれら新規参入組にはないメリットを強調し、特にビジネスクラス以上の乗客に提供するサービスがグレードアップしつつあるのが昨今の流れのようだ。
そんな中、2001年にインド線から撤退したANAが復帰。9月1日から成田・ムンバイー間をB737−700ER型機による36席すべてがビジネスクラスのANA BusinessJetが水曜日を除く毎日、つまり週6便就航している。
ANAのサイトには座席の仕様についての説明もなされている。
シートピッチ最大61インチ(約155センチ)でシート幅は20.6インチ(約52センチ)というサイズは小型ジェット機のものとしては世界最大級なのだそうだ。機内食もなかなか豪華らしい。「やすらげる日本の味」をテーマにしているが、もちろんインド人利用客のためにヴェジおよびノンヴェジの機内食も用意されている。
残念ながら、個人的にはあまり(たぶんまったく・・・)縁がないフライトのようだが、おエライさんたちの往復だけをターゲットに絞っても充分採算が取れるようになってきているのが現在の日本・インド間を結ぶルートの状況なのだろう。なおANAはインド進出を検討している企業を対象にしたセミナーやインドへの視察ツアーなども計画しているというから、なかなか力が入っているようだ。
昨今の「インド・ブーム」で沸き立つ南アジアきっての大国の存在感が突出している。視線をずらせばパーキスターン、スリランカ、バングラーデーシュといった周辺国の姿もあるのだが、これらの国々の姿が近ごろずいぶん霞んでしまっているのもちょっと気にかかるところである。
成田-ムンバイ線就航 (ANA)

アンダマン シンガポール・タイからひとっ飛び!

ANI(Andaman & Nicobar Islands)つまりアンダマン及びニコバール諸島を訪れてみたいと思いつつもなかなか機会に恵まれず、いまだそれを果たせずにいる。
ミャンマーの南、マレー半島の西側、スマトラのすぐ北にまで連なるアンダマン諸島とニコバール諸島からなる広大なエリアからなる連邦直轄地だ。行政の中心地はポート・ブレアーで、2005年12月にインドネシアのスマトラ沖で発生した地震による津波による被災状況に関するニュースがここから多数発信されたことは記憶に新しい。
ANIには570を超える多くの島々があるが、人が定住している島はたった38しかない。もともとこの地域に暮らしてきた人々以外に、インド各地から移住してきた人々も多く、それぞれの移民コミュニティでヒンディー、ベンガーリー、タミル、テルグー、マラーティーその他多くの言葉が使用されているという。またビルマ(現ミャンマー)がインドの一部であった時代にやってきたカレン族も少なからず居住しているらしい。
かつて英領時代にはインド本土から遠く離れていることから独立運動にかかわった指導者たちを投獄する流刑地として格好のロケーションであったし、現在ならば中央政府関係の仕事をしている人たちにとって地の果てにある島々への転勤とは典型的な左遷先あるいはインド軍の要衝ということになるだろう。しかし私たち外国人にとっては、豊かな大自然に恵まれた太陽と澄み切った海の楽園であるとともに、海洋を隔てて本土から遠く離れた立地からしてインドの「広さ」を実感させてくれるところであろう。

続きを読む アンダマン シンガポール・タイからひとっ飛び!