
いまや旅行ガイドブックの老舗となっているロンリープラネット社だが、いわゆるバックパッカーの先駆けであったトニー・ウィーラーとその妻モーリーンがアジア横断旅行後、1973年にオーストラリアにて創業。当時はオーストラリアやイギリスなどからアジア方面に出かけるヒッピー旅行者や安旅行者などの読者を相手にしたベンチャー企業であり、今日のように世界中の書店にLPのロゴが入ったシリーズもの旅行案内書を大量に供給するまでになるとは想像できなかったことだろう。
ガイドブック『India』の初版は1981年発行で、今年9月に出たものは12版目となる。さっそくこれを手に入れてパラパラめくってみた。いつもどおりシンプルなレイアウトで写真類が少ない分、情報がギュッと濃縮されている。従来の版が全部で1120ページであったのに対して、今度は1236ページと着実に増えている。ただし紙厚が変わったのか重ねてみると、わずかながら薄くなったように見える。(これまで私が使っていたものが繰り返しめくっていたおかげで背が広がってしまったのかもしれない)
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ついに発刊! Lonely PlanetのAfghanistan ?
しかしながら1978年以前そうであったように、これといった産業がない同国に治安の安定が訪れれば、観光業が国の基幹を支える重要な産業のひとつとなるべきであることは間違いない。国庫への歳入への貢献、外貨収入はもちろんのこと、同業への諸外国からの投資、関連する様々な業種で人々への雇用をもたらすことが期待される。
このガイドブックに取り上げられているAfghan Logistic & ToursやGreat Game Travelといった旅行代理店などは、来るべき時代を見据えて着々と準備をしているのだろう。
ところで在日アフガニスタン大使館のサイトを覗いてみた。これがなかなか頑張っていて好感が持てる。
同国政府、経済、歴史、文化等々にかかわる様々な記事が和文と英文で用意されており、アフガニスタンを積極的にPRしていこうという姿勢が伝わってくる。駐日大使館が発行するニュースレターもPDF形式で公開されている。新興国においては若くして活躍する外交官、政治家が多いが、このサイトで紹介されている駐日大使もまだ30代後半。日本に赴任する前には駐米全権大使代理という職にあったそうだ。限られた予算の中で、先頭に立って色々前向きに取り組んでいるのではないだろうか。
サイトには旅行情報も掲載されている。各地の名所、主要都市間の距離を示した一覧表、航空会社やホテル情報へのリンクも含まれている。ここでもやはり国内事情さえ許せば観光業を振興させたいという強い意志を感じずにはいられないだろう。
ここからリンクが張ってあるアリアナ・アフガン航空だが、首都カーブルからデリー、イスラーマーバード、アルマトイ、テヘラーン、ドゥシャンベといった周辺諸国の主要都市からの便だけではなく、ドイツのフランクフルトへも毎週往復しているとは知らなかった。
同社によるデリー発カーブル行きは火・土の週2便だが、我らがインディアン・エアラインスはこのルートを火・木・土・日と4便も飛ばしている。デリーを朝9時40分に出て、3時間後の12時40分にカーブルに到着。
首都だけでもDarul-Aman Palace、Bagh-e-Babul、Kabul Museum、Bala Hissar、Mausoleum of Nadir Shah、
OMAR Land Mine Museumといった見どころは多いので、比較的安全とされる首都市街地のみに数日滞在してトンボ返りするだけでも充分楽しめるかもしれない。
私自身は今のところ訪れる予定はないのだが、とりあえずガイドブックを眺めてあれこれ思いを馳せつつ楽しんでいる。アフガニスタンの人々が安心して日々送ることができる未来を願い、そこを気楽に訪れることができる日が近い将来訪れることを祈ることにしよう。
あまり売れそうにない(?)ながらも、意欲的かつ実際的な旅行案内書が出たおかげで、ページをめくりつつイマジネーションを働かせて脳裏に具体的な風景(・・・といっても想像力の乏しさから頭に浮かぶのはペシャーワル近辺そのままの光景でしかないが)を描き『紙上旅行』楽しむことができるようになっただけでも大きな進歩かもしれない。Lonely Planetに感謝!である。
素敵な図版満載のガイドブック

『これはなかなかいいよ』
手にとって薦めてくれたのはインドに長く暮らす親友L君だった。彼にはいつも何かと世話になっている。
イギリス系の出版社DK (Dorling Kindersley)から出ているEYEWITNESS TRAVEL GUIDESというシリーズのINDIAという本である。表紙のデザインは凡庸だが、ひとたびページを開いてみれば、他の多くのガイドブックとの違いは明らか。エントリーされている土地の多さでは、LP(ロンリープラネット)のINDIAに匹敵する。しかしこれとはまったく性格が違う本なのだ。
競り勝つ力

現在発売中の東洋経済10月20日号で、『インド人と中国人』という特集が組まれている。この類の経済誌でBRICsの国々の市場動向、産業構造、進出の事例といった部分にスポットが当たることが多いが、今号は両国の頭脳パワーに焦点を絞っている。コストが低く抑えられるアウトソース先としてではなく、人件費が安い『工場』としてでもなく、突出した才能や優れた能力を持つ人材の供給元としてのインドと中国を追う。それがゆえに今回の目玉は両国の『人』なのである。
印中合わせて25億人にも達することはさておき、これら平均値の無い国々中で所得階層上位10%に属する人たちだけでも充分『大国スケール』だ。所得同様にインテリジェンスについても、広い国土の膨大な人口にまんべんなく行き渡るのではなく、全体から見るとごく一部分に非常に濃密に凝縮されているように見える。しかし巨大な分母(=総人口)からすれば相対的にごく小さなセグメントであっても、単純に『数』として捉えれば他国をはるかに凌駕する規模となってくる。
そうした事柄を踏まえて、両国を代表するトップ教育機関と学生たち、その卒業生たちをめぐる人材争奪戦、エリート校出身の財界人の活躍等々といった記事が並ぶ。
地球がどんどん小さくなり、世界のフラット化が急速に進む昨今、どこに暮らしてもいわゆる勝ち組とそうでない人々との格差は開くいっぽう。しかしながら人は収入の多寡のみを励みに生きていけるわけでもない。働き方や稼ぎ方、ライフスタイルや価値観など様々なものがグルグルと目まぐるしく移ろう今の社会で、個々が満足できる居場所を見つけるのはそうたやすいことではない。そのダイナミズムこそが成長のエネルギーであり、そこで勝ち抜いてきた人々知識、能力や経験だけではなく、まさに『競り勝つ力』について着目したのが今回の特集であるようだ。
その名も「インド」

日経ビジネス人文庫から書き下ろしとして出版された「インド」という本がある。「目覚めた経済大国」という月並みなサブタイトルが付いているものの、日本経済新聞のデリー駐在記者による現地報告というだけあり、とかく注目されがちなITのみならず、インドの様々な分野の産業にスポットライトを当てて、左派勢力の閣外協力によりかなり厳しいかじ取りを続ける連立政権の経済運営と今後の課題を幅広く探っている。
内容は一般向けの入門書だが、記述内容が知識のはぎ合わせになることなく、政治経済、産業各界が相互にどういう風に作用して今のインドのアウトラインが成り立っているのか理解しやすく上手にまとめてある。また社会の各要所を占めるキーパーソンについてのわかりやすい記述とともに、経済という視点から眺めたインドの現況を手っ取り早く理解するために実に便利な一冊であろう。この類の本はフレッシュさが命。比較的最近出版された本なので、大手企業参入が進む小売業界、ルピー高といった旬なトピックも盛り込まれているのもいい。