デジタル雑誌に思う

デジタル雑誌
このほどニューズウィーク日本語版Digitalのダウンロード販売が開始された。これをFujisan.co.jpが取り扱っている。
表紙と広告を含めた記載内容すべてが市販されている号そのままのレイアウトでパソコン画面上に再現されるものである。表紙から裏表紙までが全部デジタル化されているため、ウェブサイトと違って紙媒体のメディアの記事をすべて目にすることができるのだ。
同サイトでは他にもダカーポベースボール・マガジンWan等々のデジタル版が販売されている。もちろん定期購読申し込みのみならず、一冊ずつ単品での注文もできる。
私は冒頭のニューズウィーク日本語版を含めて何か個別の雑誌の定期購読を検討しているわけではないのだが、海外在住の人々にとって是が非でも目を通しておきたい日本の雑誌があれば、発行日に即、すでに発刊されているものを単品で購入する場合は注文後即座に、そして確実に手に入るという点で紙媒体を凌駕するメリットがあるだろう。
現在、ニューズウィーク日本語版を買うと、同じ号のデジタル版が無料でダウンロードできるようになっているが、ここで取り扱っている電子雑誌類の中にはいくつか無料の見本誌が用意されているので使い勝手を試されてはいかがだろう。
これらデジタル雑誌は一見PDFファイルに似ているが、記事内にある参照URLサイトのアドレスをクリックするとそのまま飛ぶことができる、いくつか音声および動画プログラムが埋め込まれている部分ではマウス操作によりインタビュー内容や映画の予告編などのビデオが動き出すようになっていたりするなどデジタル雑誌ならではの工夫がなされている。また雑誌によっては音声付で発売されているものもある。
Fujisan.co.jpで取り扱うデジタル雑誌をダウンロードしたり読んだりするためには、専用のFujisan Readerというプラットフォームが必要となり、まずはこれを所定の手順を踏んでダウンロードしてパソコンにインストールすることになる。
電子媒体であるがゆえにコピー対策は万全なようだ。その反面、利用者にとってはやや使いづらい部分もある。ダウンロードしたパソコンでしか読むことができないため、最初からモバイルPCにダウンロードしなくては屋外に持ち運ぶことができないし、自宅でダウンロードしたデジタル雑誌を出先のパソコンで参照するなどといったこともできない。本来手軽に持ち運びできるはずの雑誌ながらも、デジタル版だと読む場所が限られてしまうのだ。
また複数の見本誌をダウンロードしてみて気がついたのだが、版元によっては記事を印刷することができない(Print Screenも不可)なものがあることについても不便に感じる人は少なくないではないだろうか。例えば記事中で取り上げられていたスポットや店などを訪れる際、文章や地図をプリントアウトしてカバンの中に放り込んでおきたいことだってあるはず。
それに紙媒体の場合に必要となってくる大規模な印刷設備、大量の用紙、流通システムその他が不要なので、デジタル雑誌にかかるコストは相当安くなっているのではないかと思う。それでも印刷物とデジタル版の競合を避けるためか、同一誌ならば紙・デジタルともに価格が同じであることもちょっと解せない気がする。
このデジタル雑誌は利用者のスタンスから眺めると不利な部分も少なくないものの、保管スペースが不要という点では大いに魅力的だ。とかく週刊誌類はあっという間に溜まってしまうものだ。何か気になる特集記事や興味深い時事問題を扱った号のみ保存することにしていても、積もり積もればかなり邪魔になってくるし、それらを適当に放っておくと散逸してしまいどこにあるのか探すのが大変!なんてこともある。やや読みづらく取り回しが悪くても、パソコンの中に規則正しく保管できるということは大いに助かる。蛇足ながら通常の雑誌と違い誌面が劣化しないのもいい。
IT大国インドでも、いつかこうした共通企画(メディアごとの規格でもいいが)のもとで、各メディアからデジタル化された週刊誌や新聞を出してくれないものかと思う。いつでもどこでもインド中の『今読みたい』メディアを自宅にいながらにしてダウンロードして読めるといいし、それらが必要に応じ発行時期で検索してバックナンバーを購入することができるといい。もちろんそれぞれのウェブサイトでもおおよその内容は把握できるとはいえ、『実物』のボリュームはそれらと大違いだ。近未来のインドのメディアのありかたに大きく期待したい。せめてインディア・トゥデイやフロント・ラインといった大手週刊誌からでもこうした流れが始まってくれないものかと願っている。

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