スワンナプーム空港近くの宿

翌日のフライトが早朝のため、チェックインは夜明けよりもかなり前となる。
そのためスワンナプーム空港近くのラートクラバーン地区にあり、ターミナルビル入口までのトランスファーが付いている宿に宿泊することにした。
このエリアにあるホテルは、どこも宿の造りや部屋の造作もとてもよく似ている。これまでいくつも異なる宿を利用したが、あまり区別が付かない。
2006年9月に開港してから、雨後のタケノコのように次々にこうした宿がオープンしたのだが、デベロッパーたちが、地権者たちに「儲かりまっせ」と売り込みをかけた結果、どれも同じようなものとなった、というような背景もあるのだろう。
カオサンやスクムヴィットのような「ホテル密集地域」といった具合ではなく、広大なエリアに、そうした施設がポツポツと点在している。昔であれば、それこそ有名なガイドブックにでも掲載されなければ、旅行者たちに知られることもなく、たちまち経営難に陥ったはずだ。
ちょうど旅行予約サイト隆盛の時代を迎えてからであったので、売り込む側にはそうしたセールストークもあっただろうし、地権者側としても納得のいくものであったのかもしれない。
実際のところ、あまり大繁盛というような状況ではないどころか、混雑している様子を目にしたことがない。市内の宿と異なり、あくまでも早朝・深夜の乗り継ぎ用宿であるがゆえに、連泊する人はほとんどいないため、経営は厳しいものと思われる。
昔からあるドンムアン空港界隈では、ネット出現以前から大小の宿泊施設がターミナルビルからの徒歩圏に集中しているのとは対照的で、スワンナプーム空港の場合は宿泊費が大変高額なNovotel Bangkok Svarnabhumi Airportか、ターミナル内にあるカプセルホテル(これまたカプセルホテルとしてはずいぶん高い)以外は、空港からクルマで移動する距離にある。ラートクラバーン地区にある飛行機乗り継ぎ用のいわゆる「トランジット・ホテル」の多くは「空港からの無料送迎付き」であることからも、スワンナプーム空港近くの宿が過当競争にあることが窺える。

簡易カーナビ

タイでもインドでもスマホをカーナビ的に配置して使っている運転手が多いが、スマホ普及のおかげでこれまでそういうシステムに縁のなかった人もGPSの恩恵にあずかることができるようになったということになる。
とりわけ地方から出てきて日が浅い運転手にはとても大きな助けになることだろう。
年配運転手からは「今どきの若い奴は」なんて言われるかもしれないが、お客の立場としてもこういう形で「カーナビ」が普及するのはありがたい。

今どきのインドの若者旅行者

成田空港でノックスクートにチェックインで並んでいた際に会話をした20代後半くらいのインド人の青年。ジャイプルからきたと言っていたが、よく話してみるとラージャスターン州のジャイプルからそう遠くないところにあるスィッカルから来たとのことで、私の好きなシェカワティー地方の出身であった。
IITムンバイ校で修士を取得してから、日本でデータ分析エンジニアとして働いており、もうすぐ1年になるとのこと。
ムンバイで働いている何人かのIIT同級生とともにバンコクで落ち合ってビーチで休日を過ごすのだそうだ。IIT卒であるがゆえに、インドの世間相場よりも収入が高いと想定できるとはいえ、そうやって休暇を過ごす若いインド人たちは増えているということだ。

旅行予約サイトgoibibo(ゴーアイビボー)について

インドを旅行する際にgoibibo(ゴーアイビボー)を利用している人は少なくないだろう。ホテル、フライト、鉄道、バス、タクシーその他の総合的な旅行予約サービスだ。

数多くある他社と同様のサービス内容だが、インド国内のホテル予約に強みがある。国際的な大手よりも宿泊料が安めに出ていることが多く、他社では取り扱いのない田舎町など、マイナーな土地の宿泊施設も予約できることが多いことだ。

実際に予約をしないまでも、訪れたことのない町でどのあたりに宿があるのか見当を付けるために宿泊施設のロケーションを表示させてみるのもいいし、混み合うことがあらかじめわかっている時期、あるいは深夜あたりになって到着する予定の場合など、事前に部屋を押さえることができると安心だ。

また、サポートの対応がやたらと早く、アプリ内あるいはログインしたgoibiboウェブサイト内で質問を送ると、「1分以内に」回答が来るのには驚かされる。大変便利であるとともに対応も好印象だ。

だがひとつだけ注意すべきことがある。アカウントを作成する際に登録する電話番号だ。インド国外の番号では登録できないため、インドで契約したプリペイドの携帯電話番号となる。SIMの有効期限があるプリペイドの契約をした場合、与えられる番号は「使い捨て」となるが、これを忘れることなく記録しておく必要があるのだ。

なぜかと言うと、ウェブサイトからログインする際もさることながら、例えばスマホのアプリを再インストールする際(機種変更などで新たにインストールすることもあるだろう)にも入力が求められるのだ。

困ったことにgoibiboの手厚いサポートは、ログインしないと利用できないだけでなく、問い合わせ窓口にアクセスすることすら不可能になるのだ。そんなわけで、最初にサインアップする際に入力した携帯電話番号はとても大切。うっかり忘れてしまうなんていうことがあったら一大事なのだ。

「それならば登録してある携帯電話番号を変更すれば良いではないか」と思うかもしれないが、残念なことにgoibiboのウェブサイト内のFAQに、セキュリティ上の理由により、メルアドとケータイ番号の変更はできないとある。困ったものだ。

また、登録時の携帯電話番号を記憶あるいは記録してあり参照できる状態にあっても、もはや自分が利用していない番号で運用されているのも気がかりだ。期限が切れた携帯電話番号はリサイクルされているはずなので、何かの機会に赤の他人のその番号の現在の所有者にgoibiboから私宛のメッセージが発信されないとも限らない。また何かトラブルが生じてOTPが求められることになった場合、すでに私が所持していない携帯電話番号宛に発信されてしまうという不都合が生じる。

こんな具合であるためインドでポストペイドの携帯電話契約をしている人である場合を除き、goibiboは安ホテル予約専用にしておいたほうが良いかもしれない。航空券、とりわけ国内線でも高額となる旅行シーズンのデリー・レー往復航空券を買っていながら、ログインできなくなってフイにしたら大変なことになる。飛行機を含む交通機関の予約については、サービスが安定していて信頼できるcleartrip.comなど他のサービスに依存するのが安心だ。
また、何か予約した場合は「いつでもアプリで参照できる」と安心してしまうのではなく、紙にプリントアウトしておくか、あるいはPDFに変換してスマホ等に保存しておくことをお勧めする。

21世紀的会話

デリーのパハールガンジでは、宿にも界隈にも、中央アジアから来ている人たちの姿が多い。
おなじみ「ヒマラヤ製薬」の店鋪で石鹸や練り歯磨きなどを物色していたら、そうした中央アジアの人と店の人が、微妙な間合いを置いて、中央アジアの人は私にとって耳慣れない響きの言葉で話し、対する店の人は英語で返事しているのが不思議だった。
ふと彼らに目を向けると、スマホに向かって中央アジアの人が何事か喋って店の人に渡している。それを読んだ店の人が英語で回答すると、それが画面に翻訳されて中央アジアの人が読んで、さらなる質問を自らのコトバで喋って・・・の繰り返しであった。
アプリを経由して、いかにも21世紀的な会話が進行していた。