夢心地のマラーイー

店頭の大鍋で牛乳を煮詰めて作ったマラーイー。料理や菓子の材料にもなるが、そのまま食べさせるために提供する店もある。実に濃厚で超おいしい!

少しずつ口に運びながら、しばし幸福感に浸る。近隣にもいくつか同業の店があれば、ハシゴして食べ較べてみるのも楽しい。

ランダムチェックとは

さすがに現在は実施されていないが、インドで国際空港におけるコロナ対策で、乗客の2%を対象としてランダムにPCR検査を実施するとしていた時期があった。

係員が声をかけてくるのは飛行機からターミナルビルの廊下に出たところである。私も声をかけられて「捕まった」わけなのだが、そうして声をかけられている人々、そして連れて行かれた先で目にした人々には明確な共通点があることがわかった。

・外国人とインド人が半分ずつくらい。

・単身か2人連れの乗客(大人数のグループは無し)

・体格の良い人物は無し

・人相の悪い人物も無し

・VIP風の人物も無し

集められた面々は、ごくまっとうで人柄も良さそうな人々ばかりで、要は「揉めそうにない人々のみだ。「ランダムに抽出」と言いつつも、明らかに人を見ていることがわかる。声を掛けたら変に絡まれて因縁をつけられたり、大目玉食らったりする相手だと困るためだろう。彼らもやはり勤め人であるし、余計なトラブルを起こしたり、不要な労力をかけたりするのは嫌であるがゆえ、見るからに面倒そうな相手は避けて、扱いやすそうな人を選ぶのは当然のことだろう。

そのとき歴史は動いた

インド鉄道史の中で有名な苦情の手紙。お腹の不調で駅に置き去りになったオキル・チャンドラー・セーン氏が1902年に鉄道当局宛で書いた内容。当時の列車にはトイレは付いていなかったとのことだ。

この訴えが鉄道関係各署で共有されることとなり、客車にトイレが設置されるようになったという有名なレターである。もちろん彼以外の多くの人々も動揺の意見を持っていたのではないかと想像されるが、当時は列車にトイレがないというのが常識であったため、「まぁ、そういうもの」と我慢して、行き違い等で長時間停車する駅、何かの理由で駅間で停車した際に手早く済ませていたのかもしれない。

それにしても「大」のほうであったら、なかなかそうもいかないし、知らない駅でトイレを探したところで先客がいるかもしれない。とてもスリリングであったに違いない。それに女性だとなおさらのこと大変で、列車の移動の際には極力水分を控えたり、乗車する時期についても考慮したりなど、涙ぐましい努力があったのではないかと思う。

鉄道駅員や列車内の車掌等に文句を言ってもどこかに反映されることはないが、しかるべきところに文書で送ると、きちんとした対応がなされるかもしれないというのは今も昔も同じ。

Indian Railways History – Interesting Story about Okhil Chandra Sen letter (changestarted.com)

サブズィーワーリー

美しい野菜を撮っていたら、ダニヤーを手にしたサブズィーワーリー(野菜売りの女性)が商品のダニヤーを手にして「私も撮りなさい。ほら、こっち」と、いろんなポーズを取りながらずんずん迫ってきた。

ずんずん迫ってくるのはたいてい男性たちなので珍しい。何を喋ってもこの人から返ってくるのはグジャラーティーなのでよくわからないが、隣で商っている若い男性を私との間に通訳として引っ張りこんで、次から次へと質問を投げかけてくるので、こちらがタジタジになる。たまに公式通りでない人はいるものである。

グジャラート語とヒンディー語は近い関係にあるため、人々の多くはヒンディー語にも堪能だが、彼女のようにグジャラート語しか話さない人もいる。それでもずんどん前に出てくる快活さが楽しい。

露店を後にするときも明るい笑顔で見送ってくれた。

リリーフエース

生まれつき、とにかくお腹は弱い。普段の生活でもちょっと疲れたり、お腹冷やしたりで下るため、生まれてこのかた「便秘」の経験はゼロ。

インドでもしばしば下痢に悩まされるのだが、困るのは緒距離バス移動の日にこういう状態となった場合。それでも、いつも魔法のような効き目でピンチから救ってくれるのは、黄色ないしはオレンジ色の下痢止めタブレット。

「ここ一番!」というところでビシッと抑えてくれる、頼り甲斐のあるリリーフの切り札みたいな感じだ。出発時には、移動中にお腹が破裂するという最悪の事態を想像して怖くなるのだが、いつも実にいい仕事をしてくれる。

インドの強力な下痢止め薬には大いに感謝である。