カーンケールのハート(定期市)

チャッティースガル州カーンケールのハート、つまり定期市は、国道30号線上にあるバススタンド敷地内で毎週日曜日に開催される。
市街地で開かれるハートは部族色が薄く、ちょっといまひとつに感じる。お客の大半が部族ではない一般の人々となるため、雰囲気が異なるだけではなく、商う内容にも違いが出てくる。売り手にしても部族以外の人たちのほうが多いかもしれない。

やはり不便なところで開かれるからこそ、ハートの主役、売り手も買い手も部族民となるため、私たちのような部外者にとっては面白いのだ。それでも、ここに出入りする部族の人たちの姿は確かにあるし、活気あるやりとりを見ているのは悪くない。

ハートにはよくこうした装飾品屋が来ている。この地域では、ほぼ毎日どこかでハートが開かれているので、日々あちこち回っている専業の人たちなのだろう。こうした人たちの家族は町で店舗を構えているのかもしれない。部族の女性たちが着用する金のノーズリングや太い銀の首輪なども含めていろいろ持ってきている。

村落などでのハートには普遍的に見られて、町中ではあまり見かけないのは、村で自家醸造した地酒を持ってきて開く「青空バー」だろう。会場であるバススタンドの真横に警察署があるため遠慮しているのかもしれないし、町の人は普通に酒屋で売られている酒のほうに関心があり、部族の酒など見向きもしないのかもしれない。

村からこうしたハートに出てきて商う部族の人たちの場合、品物が手に持てる範囲であれば20km、25kmくらい平気で歩くそうだ。マーケットは昼からなのに朝3時くらいに村を出るというケースもよくあるらしい。近郊の村、つまり道路が通っている村から大量の野菜などを運ぶ人はジープなどを手配して仲間たちと一緒に町へ出てきている。

ジープをチャーターして品物を持ってくる人たちもいる。

国道上にある交通の要衝の町なので、かなり大量に売り買いする人が多いいっぽう、あまり欲のないご夫婦もいた。
「週に一度、こうして売りにくるだけだよ。他の日はどうしてるかって?寝てるか畑仕事だなぁ。」
なんだか売り物もずいぶん少ない・・・。

巨峰くらいの粒サイズのジャングルトマトも売られていた。部族の村の特産品とのことで、味が濃く滋養に富むとのこと。町の人たちにも好評だそうだ。

通称「ジャングルトマト」

タイフェスティバル2018

都内における最大級の屋外イベントのひとつ、「タイフェスティバル2018」は、東京渋谷区の代々木公園にて、5月12日(土)および13日(日)に開催される。

タイ王国大使館が主催するこのイベントは、現在では名古屋と大阪でも開催されるようになっており、それぞれタイフェスティバルin名古屋(6/2, 6/3)タイフェスティバル大阪(5/19、5/20)として開催されており、いずれも盛況のようだ。

なにぶん天候に左右される部分が大きい屋外イベント。これら催しの日は好天に恵まれることを期待したい。

PUMA COPA TOREROS 2018

3月30日から4/1にかけて、静岡県御殿場市にてPUMA COPA TOREROS 2018のU-12の大会が開催される。海外の強豪クラブやJリーグのジュニアのチームが多数参加するが、2016年から3年連続でネパールのU12代表がエントリーしている。
3月28日に東京都内で地元サッカーチームとの練習試合を実施する予定であったが、飛行機の関係で来日が遅れ、この日の午後に到着のため中止となっている。大会前に調整できるのは開幕前日の3月29日のみとなってしまったが、ネパールから遠路はるばるやってきたサッカー少年たちの健闘を祈りたい。

PUMA COPA TOREROS 2018公式サイト

第19回カレーフェスティバル&バングラデシュ ボイシャキ メラ

2018年4月15日(日)に東京の池袋西口公園で、ジャパンバングラデシュソサエテイによる「カレーフェスティバル&バングラデシュ ボイシャキ メラ」が開催される。今年でもう19回目となるだけあり、この時期の池袋の風物詩としてすっかり定着している。

このイベントに出入りする人たちの半分くらいは在日のバングラデシュの人たちで、関東一円はもとより、東北や関西など遠くから同胞の集まりにやってくる人たちも少なくない。そんな具合なので、当日の開催時間だけ、池袋西口がさながら「リトルダッカ」といった様相になる。

回を重ねるごとに、参加しているバングラデシュの人々の中に年配者の姿も増えてきている。これはバブルの頃に来日して定着した人たちの中で、そういう年齢を迎えた人もあれば、両親等を呼び寄せたといった要因もあるのだろう。

また、日本生まれの元気な子供たちの姿も少なくないのだが、昔はあまり見かけなかった在日のベンガル系中学生、高校生くらいの少年少女たちの姿も多くなった。やがて在日三世の姿も見られるようになるのだろう。

かつては20代から30代くらいの男性が大半であった在日バングラデシュ人の人口構成が、年齢層、性別ともに幅が広がっていることを垣間見ることができる。

今でも日本人女性と結婚するバングラデシュ男性は少なくないが、近年では故郷で親族が取り決めたお嫁さんを呼び寄せるケースが少なくないようで、日本における生活に安定した基盤がある人が多いことがその背景にありそうだ。

また、インドと同様に、日本で働くバングラデシュ人の中には理系人材がかなり多いのだが、多くのインド人と異なるのは、日本の永住権、さらには国籍を取得する人たちが少なくないことだ。

「ベンガル系日本人」という新たなアイデンティティを持った子供たちも、続々とこの世に生を受けているわけで、今後が楽しみである。

第19回カレーフェスティバル&バングラデシュ ボイシャキ メラ

国立博物館の企画展「サウジアラビア王国の至宝」

1月23日から2018年3月18日まで、東京上野の国立博物館で開催されている企画展「
「サウジアラビア王国の至宝」を見学した。

先史時代からイスラーム出現前の時代にかけてのものも多数展示されていたのがとても良かった。アフリカで発生した人類がその大陸を出て、まず足を踏み入れたのが現在のアラビア半島。当時は緑と水が豊富な別天地だったという。初期の我々人類のご先祖たちが繁栄した痕跡があるからには、きっとそうであったに違いない。

時代は大きく下り、イスラームの出現後、まさに電光石火という勢いで各地に広がっていき、各地の伝統文化、社会や生活等に多大な影響を与えたわけだが、もしこれがなかったら、どういう世界になったのか?と想像してしまう。

地中海を挟んで欧州と北アフリカはひと続きの文化圏のままであったのだろうし、多神教であったアラビア半島に徐々にキリスト教が浸透して、欧州圏の外縁部のような感じになっていたかもしれない。

いっぽう、欧州では、イスラーム圏からもたらされた数学、航海術等々、当時の先端技術を得ることがなければ、今のような繁栄を迎えることはなかったということも考えられる。

また、中央アジア、南アジアにイスラームが到来しなかったら、これまたまったく異なる世界になっているわけだ。イスラームの影響を受けなかったインドの文化や人々の生活というものが想像できるだろうか。さらに東進した先の東南アジアのマレーシア、インドネシアにおいても同じようなことがいえる。

欧州人たちによる大航海はイスラーム圏から伝わった航海術なしにはあり得なかったとすれば、北米や南米は、今もインディヘナの人たちの大陸ということになるかと思う。

数々の偶然と必然が重なって、私たちの今の世の中がある。

展覧会を見学してから外に出ると、サウジアラビア大使館文化部がしつらえた砂漠のテントを模したところでのデーツとコーヒーが振舞われており、この展覧会のためにずいぶん力を入れていることが感じられる。

「メッカの守護者サウジアラビアの栄光」や「金満サウド王国の財宝」といった視点ではなく、アラビア半島を経由した人類や文化の伝播を俯瞰したスケールの大きな展覧会である。

アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝 (東京国立博物館)