東京杉並に眠るボース

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 インドの知人から神奈川県(?)にカーリー寺院があり、インド人、特にベンガル人の参拝客が多いという話を聞いた。それはごく最近できたものではなく、昔からあるお寺なのだという。彼は日本に来て日が浅く地理に疎いため、どのあたりにあるのか要領を得ない。そしてどうやらまた聞きらしく、何か勘違いしているのかもしれない。
 だが仏教とともに日本に入ってきたインドの神様は少なくないので、カーリーの仏教名「大黒天女」を祀ったお寺あるいはそうしたお堂を持つ寺院があり、それが在日インド人善男善女を集めるようになっている、というのならばあり得ない話ではないので、機会を見つけて調べてみたいと思う。
 そんな彼に「インドと縁の深い仏教のお寺がある」と、インド独立の志士チャンドラ・ボースの遺灰が納められている蓮光寺のことを話した。

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中東航空会社 ケララ州乗り入れ便が盛況

 インドは観光シーズンを迎え湾岸諸国の航空会社のケララ行きのフライトが盛況だという。これらの航空会社はそれぞれの本国をハブに欧州とインド双方への乗り継ぎが便利だ。
 しかもデリーやムンバイといった大都会への発着のみならず、伝統的にケララ州から中東方面に向かう出稼ぎの人々が多いためもあってか、同州に直接乗り入れる国際便が少なくないことも特徴だ。
 豊かな産油国から訪れる人々の数も無視できないのだろうが、やはり観光目的による訪問客のマジョリティはやはり旅行好きな欧州の人々だろう。これから季節は冬へと向かうが、寒い北ではなく暖かいトロピカルな南での休日を楽しむことができる。
 居住国から同じフライト直に(利用するキャリアの本拠地での乗り換えを含む)往復できるところでは、いきおい同郷の短期旅行者が多くなる。日本からケララへ入るにはどこかでワンクッション置かなくてはならないのとは対照的だ。
 我々にとってのプーケット、バリ、ティオマンといった東南アジアの島々のごとく、インド以西からやってくる観光客たちにとって、ケララ州の海岸は身近な保養地ということになるのかもしれない。
Middle-East airlines gear up for busy days (MSN India)

アラビア海から大津波がやってくる?

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 いよいよ11月だが、ちょっと気になることがある。それは「今年11月にグジャラートとマハーラーシュトラ両州を津波が襲う」という、アーンドラ・プラデーシュ出身のインド系カナダ人「津波専門家」による発言だ。
 彼によれば、次の大津波はアラビア海で発生するだろうということだ。亜大陸では地殻変動による津波が60年周期で起きており、ひとたびそれが起きればグジャラートとマハーラーシュトラで大きな被害が出るだろうとのこと。
 その根拠とは何かといえば「1945年に起きたアラビア海の津波からちょうど60年目にあたる。昨年の津波との相関があると思われ、今年年末までには津波が起きるだろう」というなんだか説得力のないものであるが。ちなみにアラビア海における前々回の津波は1883年だったそうだ。
 そうした指摘におかげ(?)か昨年南インドを襲った津波の教訓か知らないが、行政当局は沿岸部での津波警報システムの構築やマングローヴの植樹といった対策の検討を進めている。なにはともあれ万一の場合に備えて準備をしておくのはいいことだ。
 下記リンク記事は今年9月のものだが、「津波の予言」が空振りに終わることを願いたい。
Tunami could hit Gujarat-Mumbai coast in November (Hindustantimes)

カイバル峠の向こうが見えてくる

 インド周辺地域も実に魅力あふれるところが多い。現在の「国」の枠を超えた人々の活動とともに栄えてきた地域だ。重層的に連なる歴史や文化を人々は国境線を越えて共有しているといってよいだろう。
 有史以来、思想や言語、宗教や建築を含めて文化的にもインドとの間に濃いつながりがあったアフガニスタン。南アジアと中東、中央アジアと中国といった異なる文化圏が交差するところでもあり、まさに「文明の十字路」として豊かな伝統を持つ国。決して今のように外界から孤立した地域ではなかった。20数年間もの不幸で長きに渡る混乱を経て、再び「観光地」として世間の注目を取り戻しつつあるかのように見える。
 まさにこの機を待ちかまえていたかのように、今年9月末ついに日本語によるアフガニスタンの旅行案内書が刊行された。同書表紙には「本邦初!(世界でも珍しい)のガイドブックが登場」とある。
 カーブル、バーミヤン、マザリシャリフ、クンドゥズ、ヘラート、カンダハール、ジャララーバードといった世界的によく知られた街やその周辺部などが紹介されている。アフガニスタンの旅行情報そのものが他国に比較して極端に少ないこと、また初版ということもあり厚みはないのだが「ロンリープラネット」や一昔以上前の「地球の歩きかた」のように、一人旅向けの実用的なガイドブックに仕上がっている。

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祝祭を前に

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 10月29日午後5時58分にパハールガンジで装身具店前の路上に駐車してあったスクーターが、午後6時5分にはサロージニーナガルではチャート(スナック)の露店が爆発した。それらに続きオクラーではDTCバス車内に置かれた不審な荷物に気づいた乗客に注意を促された車掌とドライバーが中身をあらためた結果、爆発物と確信して外に放り出した際に炸裂した。今回の一連の事件で非常に強力な爆薬RDXが使用されたとされる。
 市内各所のマーケット、そして鉄道駅やバスターミナルなどでは新たな事件の発生および不審者洗い出しの一環として、乗客の厳しい荷物検査などの警戒態勢が敷かれているが、首都デリーのみならず、ムンバイなどインドの他の大都市でも同様の措置が取られているという。 
 しかしディーワーリーの休暇のため人々が大移動する時期でもあるため「これだけの人ごみを限られた数の警官たちでどうやってチェックできるのか」「人の流れまではコントロールできない」と、その効果を疑問視する声も上がっている。
 現在までのところ死者55名、負傷者155名と伝えられているが、事件の詳細が明らかになるにつれて、この数字はさらに拡大するのかもしれない。負傷した人々は市内各地の病院に収容されているが、輸血用血液の不足のためメディアを通じて献血提供者を求めるアピールが続いている。
 公務でトリプラー訪問中であったマンモーハンスィン首相は、帰路コルカタに到着した時点で事件が発生し、現地に滞在する予定をキャンセルして急遽デリーに戻り対応に当たることになった。
 今年はディーワーリーとイスラーム教徒のラマダーンの断食明けの祭りがほぼ重なることになるが、これらの祝祭を前にしてこうした事件が起きてしまったことはとても残念である。事件関係者の身柄の確保や事件の真相の究明等が急がれるところであるが、この出来事が今後社会のありかたに甚大な影響を及ぼすであろうことからも、事態の推移を注意深く見守っていきたいものである。
Serial blasts rock Delhi; scores killed (Hindistan Times)