アメリカに渡ったボース

 日本でも「ボーズ」あるいは「ボウズ」として広く知られるアメリカ企業BOSE 。
 私たちがよく目にするスピーカー以外にも主に音響分野で製品開発等をおこなっているが、民生用以外にも宇宙開発や軍事用にもさまざまな技術を提供する頭脳集団でもある。
 創立者のアマル・ゴーパール・ボースの父親、ナニー・ゴーパール・ボースは当時インドの独立の志士であったがゆえに、イギリス当局の追及から逃れるために故郷カルカッタを離れなくてはならなかった。そして向かった先はアメリカ。
 フィラデルフィアで生まれたアマルはやがてマサチューセッツ工科大で博士号を取得した後、同大学の教授となる。そして彼は1964年にBOSE CORPORATIONを設立した。その後この会社はおおいに発展して現在にいたっている。
 優秀な科学者にして経営者でもあったアマル・ゴーパール・ボース氏は、なんと2000年に引退するまで同大学の電子工学の教授を続けていたというからおそれいる。
 アメリカ資本ながらも創立者の出自でインドと縁があるBOSE社。本来は「ボース」のはずが独自の読み方が定着しまっているものの、我々にとって身近なNRI系の会社でもある。

広がる航空路 狭くなる世界 2 広がるネットワークから見えてくるもの

 いきなり格安競争時代への突入してしまったインド国内線市場で、「無理な安売り合戦は続かない」という見方が強い。今後も新しい航空会社による国内線参入がいくつか予定されており、体力のない会社はやがて淘汰されていくことになるのだろう。
 それとは異なる次元での懸念も伝えられている。国内線・国際線ともに急激な増便により、空港のキャパシティを含めたインフラ整備が追いつかないというものだ。またパイロット、メカニック、フライトアテンダント、そして地上職も含めて航空業界で働く人員の確保が難しくなってきており、航空会社間での引き抜き合戦も盛んになっているとのことだ。
 こうした動きの中で空の旅の大衆化が一層進むとともに、国内航空路のハブとして新たに浮上してくる街がある。インディアンエアラインスによる独占体制下では遠回りして乗り継がなければならなかったルートでも、今では他社便によるダイレクトに往来できるケースが増えてきており、料金面以外でも乗客にとっての利便性が向上しつつある。
 このところ成長著しい都市が新しい成長センターとして台頭してきていることの証である。この調子でいくと実態に合わなくなって将来「四大都市」という言葉が使われなくなったり、「四大」の示す都市の名前が一部入れ替わったりすることもあるかも(?)とさえ思うことがある。
 その一方、これまで航空機発着のなかった土地での新空港建設の話は少なく、これはまさにインフラ整備の遅れのひとつの側面だ。広いインドを見渡せば、今なお実現していない未来の有望なルートが埋もれている。料金競争の次には新たなルート開拓により、インド国内航空路線市場が今後まだまだ大きく伸びる余地があるのは言うまでもない。
 ジェット・エアウェイズエア・サハラ等のインド国内線キャリアによる国際線進出が続く昨今、エア・デカンも湾岸諸国へ乗り入れを画策しているという。
 近年は地方空港の国際化が進んでいる。ラクナウやカリカットその他から中東産油国への定期便が利用できるし、ブッダガヤからはバンコク、コロンボへのフライトが飛び立つ。 
 最近、アムリトサルからイギリスやアメリカへの直行便が就航したが、ここからはタリバーン時代のカーブル行きの便も出ていた。国内外を問わずインドをとりまく航空路はにぎやかになってきているわけだ。
 そんな中で「穴場」といえるのは隣国パキスタンそして中国への航空路だろうか。これらの国々との関係改善にともない、ビジネスを中心とする相互の行き来が盛んになるにつれて、いつしかインドの地方空港からこれらの国々の街へと向かうフライトが次々に就航する日もやってくるのかもしれない。
<完>

広がる航空路 狭くなる世界 1 またまた新航空会社就航!

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 先日は今月9日に就航したキングフィッシャー・エアラインを取り上げてみたが、インドの空のダイヤは今後さらに密になってくる。
 新興航空会社ロイヤル・エアウェイズの「スパイス・ジェット」が5月23日(月)から就航する。同社は最低料金99ルピーという驚くべきキャンぺーン価格とともにインド国内線の格安市場に参入するのである。
 エア・デカン同様、主に鉄道のAC?とAC?クラスの利用客を取り込もうというのが同社の戦略だが、チケットの価格は「離陸まで変動し続ける」というから実にフットワークが軽い。つまり同じフライトでも予約時の空席状況によって違ってくるので実際に購入するまで自分が払う正確な金額はわからないのだ。
 オフシーズンでガラ空きと思われるフライトのチケットを思い切り早めに予約したり、当日空港で出発直前に買ったりすると底値で飛ぶことができるのだろうか。
 
 平均して従来の国内線他社の4割から5割安、鉄道(AC?クラス)よりも一割高いレベルだというので割安感は大きい。今年度初めより国内航空各社は航空燃料価格の上昇にともない12%程度の運賃値上げを打ち出していることもあり、この時期同社の割安感がますます際立つ。
 もちろんこの運賃を実現するために相当なコスト削減が図られており、ミネラルウォーターを頼むには50ルピー払わなくてはないなど、無料の機内サービスの類は大胆に省略されているらしい。
 189席のボーイング747を使用して、5月23日からアーメダーバード、デリー、ムンバイ、ゴアの4地点を結ぶ。6月13日からは目的地にバンガロールとプーネを加え当面は国内6地点に乗り入れる予定だ。以降、グジャラート州都をハブに新たなルートが順次開設されることだろう。
 この「スパイス・ジェット」を運行するロイヤル・エアウェイズを所有するのは米国に本社を置くロイヤル・ホールディングス社。インドで国内線航空事業を指揮するCEOのマーク・ウィンダース氏は過去35年以上にわたって主に北米の航空各社で活躍してきた辣腕経営者だ。インド西部からネットワーク展開する外資系航空会社は、今後目が離せない存在になるだろう。
<続く>
Spice Jet to launch flights in India by May-end (Hindustan Times)

新型パソコン@10,000RS

 インド発の新しいPCの流れが生まれる予感(?)がする。このほどバンガロールのエンコア・ソフトウェア社は、リナックスのOSを搭載した1万ルピー(約2万4千円)で購入できる低価格パソコンを発表した。これまでパソコンの購買層として想定されていない人々をターゲットにする製品だ。
 開発関係者によれば、一般ユーザーの必要以上に多機能にして高性能なパソコンは「西洋の使い捨て文化の象徴」だといい、マイクロソフトのウインドウズとインテルのCPUによる、いわゆるウィンテル支配の呪縛からの解放さえも目指す意欲作とのことで、これまでになかった新しいPC環境創造への意欲が感じられる。
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タイからインド、インドからタイへ

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 中国と同じく世界の成長センターとして、また巨大市場として注目されているインドだが、このほどタイ・サミット・オートパーツ工業が地元企業ジャイ・バーラト・マールティと合弁で操業を開始することにより、タイ企業として初のインド進出を果たした
 タイの自動車産業は「アジアのデトロイトを目指す」とまで言われるほど、同国の重要な位置を占めている。この業界に車両のパーツ等を供給する最大手メーカー、タイ・サミット・グループと地元インドのJBMグループが2003年11月に結ばれた両社間の合意にもとづき準備を進めてきたもので、デリー郊外のグルガオンに建設された工場における四輪車と二輪車の部品の製造をスタートさせた。
 一方、インド企業も将来のグローバル・プレーヤーの仲間入り視野に入れて、このタイ・サミット・オートパーツ工業を足がかりにタイ進出を狙っている。それはチェンナイに本拠地を置くアショク・レイランドだ。 バスやトラックなどのメーカーとしては、昨年大宇自動車の大型商用車部門を買収し韓国進出を果たしたタタ・モータースに次いで、インド第二位。こちらは東南アジア市場を狙い、日韓その他の一流メーカーがしのぎを削る激戦区に果敢にも挑戦しようとしている。
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タタ同様、アショク・レイランドも様々な軍用車両を製造しており、今後インドの自動車メーカーによる車両の引き合いは、民需に限ったものではないのかもしれない。
 今後、自動車産業の分野でも世界各地でインドブランドの存在感が増していくのだろう。