やがて外資系外食産業が押し寄せてくる?

インドのある航空会社のフライトを利用した際、機内食がなかなかおいしいことが心に残った。
小さな紙片には製造にタージホテルグループとシンガポールの空港ケータリングサービスの合弁事業であると書かれている。幾つもの新興航空会社とりわけ格安フライトが厳しくが追い上げている昨今、タージグループというブランドをこれ見よがしに示すのは既存会社としてそれらとの差別化を図るための方策であるにしても、パートナーシップを組むシンガポール企業にしてみてもインドは注目の市場であるがゆえに、とりあえずこうやってアンテナを張っているのだろうか。
インドの消費文化の進展とともに、様々な外食産業の隆盛を見るようになってきた。
その中でとりわけ外資系企業といえばファストフードのチェーンがその典型だが、この国の人々の『食』のありかたが多様化していくのを見極めたうえで、レストラン、デリカッセン、洋菓子、バーなど世界各国で蓄積したノウハウではインド企業を圧倒する様々な外資系外食産業が今後続々とこの新天地に上陸してくるのではないだろうかと感じる。

キングフィッシャーは『発泡酒』?

なんと『発泡酒』であった!
インドのビール、キングフィッシャーを日本で飲んでみた。小ビンで量が少ないのは物足りないが、緑色のボトルが個性を主張し、『Since 1857』の文字が語る歴史と貫禄が深い味わいを保証、そして鮮やかな色彩のカワセミの絵がキレの良さを象徴しているようだ。これこそ世界に冠たるビールの中のビールであると思っていた。まぁ、お酒の好みなんて人それぞれだから要は気分である。
ゴクリ、ゴクリと喉を鳴らせてから、ふと目に入ったのが日本市場向けに背面に貼られた小さなラベルの文字。

である。
まさにこの三文字を目にしたときだ。『百年の恋が醒めた』気分になったのは。
私の目が一点に釘付けになっていると、隣で一緒に飲んでいた友人もこれに気がついた。
『え〜?これって発泡酒だって』
と時を同じくして声を上げてしまう。
あのキングフィッシャーが発泡酒 = 第二のビール = 安酒・・・。
信じていたものに裏切られたような気分だ。
発泡酒とはあくまでも日本の法令上の区分で、麦芽の使用率やビールとしては認められない副原料を使っているかどうかによる違いでしかない。おいしいかどうかはまた別の次元の話なのだが。
気を取り直してふたたび口をつけてみると、今度はやっぱり発泡酒のような味わいが広がった。
要はお酒というものは『気分』なのである。

インド発 日本・中国・アメリカ行き

ケーサル種
昨年6月末、日本におけるインド産マンゴー輸入が解禁となったことを取り上げたが、インドの外交努力の結果か、それとも何でもかんでもインドが注目を浴びる昨今の風潮によるもの(?)なのかよくわからないが、同国産のマンゴーが従来より多くの地域で広く楽しまれることになりそうだ。
週刊誌インディア・トゥデイ4月25日号に、マンゴーに関するちょっと興味深い記事が出ていた。世界全体の生産高のおよそ半分を収穫するマンゴー大国インドだが、これらの輸出について重量で見ると、一昨年は53,480トン、昨年は69,606トンと急増、金額にすればそれぞれ8億9千万ルピー、12億8千万ルピーと伸びているのだという。
そして今、インドのマンゴーには巨大な『新興市場』が浮上してきている。日本と中国がインド産マンゴー輸入の禁を解き、アメリカも同様に門戸を開くようになったため、インドから輸出に回る量の大幅な増加が見込まれている。

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『インドの軽食』ブームがやってくる?

samosa
先日はサブズィーとプーリーの朝食はどうか?と考えてみたが、何も朝食にこだわることはない。日本の外食風景の一部となったが、インド料理は現在までのところ料理屋でドッカリと着席して落ち着いて食べるものということになっているところがミソかもしれない。
サーモーサー、パコーラー、チャート類のみを立ち食いスナックとして普及させるのはどうだろう?そう、道路に面した側面がガバッと広く開いた専用のクルマでドネル・ケバーブを売るトルコ人?たちのやり方をそのまま応用できるのではないだろうか。
昼どきのオフィス街や駅前で、どこからともなくやってきたヴァンが通行人たちにインドのチャーイやスナック類を売り始めればたちまち黒山の人だかり・・・という構図がふと頭に浮かぶ。もちろん路上での販売だけではない。野球やサッカーのスタジアムの売店や祭りの縁日などでもかなりイケそうな気がする。でもこんなことを考えているのはまさかズブの素人の私だけではないだろう。
すでに店の前でスナック類を販売するインド料理店はたまに目にするようになっているが、店舗を持たずに移動販売や屋台などで売るスナック行商人たちが各地で見られるようになる日は案外近いのかもしれない。

インドな朝ごはんはいかが?

インドな朝食
トースト、バター、ジャム・・・なんていう朝食はノドに詰まりそうで苦手だ。寝起きのボヤ〜とした身体が受け付けてくれるのは、結局紅茶だけであとは手付かずであったりする。どうしてダメなのかといえば、おそらく食欲をそそる香りに乏しく、口に運んだときの歯ごたえに欠けており、食感も単調すぎてつまらないと感じるのは私だけだろうか。頭だけがなんとか目覚めても身体のほうはほとんど休眠状態にある朝こそ、パンチの効いた旨いものが欲しい。この食事こそがその日・・・とは言わずとも一日の前半の活力源となるのだから、朝食を抜くなんていうのはもってのほか!と痩せの大食いの私は思うのだ。
でも休日でもなければいつも慌しい朝、手間ヒマかけずにササッと手早く済ますことができる食事でなくてはいけない。それでいてエネルギーはもちろん、各種ビタミン等栄養素のバランスが取れたものは?と思いを巡らせば、和食や中華などを中心にいろいろ思い当たるものはある。でもインドのチャナ豆やサブズィーとプーリーの朝食だって栄養バランスや食感も抜群、しかも腹持ちも良くて素晴らしい朝食アイテムだ。
ここ十数年間の間に日本各地でインド人(およびその周辺国の)コックさんたちが調理するレストランが増殖したおかげで、都会のオフィス勤めの人たちの昼食の定番のひとつに数えられるほど定着したインド料理。そうしたお店は夕方もまずまず繁盛しているのだが、ふと思えば朝食を出しているお店となるとあまり耳にしたことがない。
ニッポンの朝、自宅で食事を取る時間がない、作る時間がないといった人たちは、街角の喫茶店、ファストフード店、立ち食いそば屋などでそそくさとかき込んでいる。グルメが多いこの国ながらも、屋外の朝食風景にはかなり貧弱なものがある。そこにはインド料理が参入できる余地がとても大きいように思うのだ。駅構内、バスターミナル、オフィス街の一角などに立ち食い専門の『プーリー・スタンド』ができれば、コートの襟を立てた勤め人たちが「アチチ・・・」なんていいながらちぎったプーリーでチャナ豆をすくって口に運ぶ様子が『近ごろ流行りの朝ごはん』なんて具合に新聞やテレビで取り上げられたりしなしないだろうか。この『プーリー・スタンド』最初は物珍しがられていても、あれよという間に類似の店舗が雨後のタケノコのように各地に広がって・・・などと想像してしまう。
でも汁や油でベトベト、ギトギトになった手をどうするのかという大きな問題に突き当たる。残念だがちょっと無理かもしれない。