一見インド人

 ゴアで一日ツアーバスに乗ったときのこと。乗客には近隣州から来た人が多かったが、コトバの最大公約数ということだろうか、ガイドはヒンディー語でなされていた。
 近くの席に知人によく似た人がいたので話しかけてみると、インド人ではなく、外国に住むインド系でもなく、アラビア人だった。オマーンから来た留学生。マハーラーシュトラ州内の大学でエンジニアリングの勉強をしているという。英会話はインドに来てから覚えたというだけあって、アクセントも立派なインド風。 本人曰く「ラージャスターンの人と思われることが多いよ」。 なるほど浅黒い肌、細面に高い鼻、鷹を思わせるような精悍な顔立ちだ。
 宿ではモーリシャス生まれのインド系イギリス人にも会った。何代も前にモーリシャスに移民した先祖の出身地はインドだが、どこの地方だかわからないという。幼いころ両親に連れられてイギリスに移住、帰化したが、インドを訪れるのは生まれて初めて。何もかもが物珍しいという意味ではイギリスの白人たちと変わるところはないようだ。
 本来、ヨーロッパから来た他の旅行者たちと意識は同じなのに、彼らと一緒にバイクを借りて走り回れば、道中出会う人々から地元のガイドだと思われるのは愉快な体験だ。
 私たちにとってなかなか真似できることではないが、似たような顔立ちの人々に囲まれてのインドの居心地はどうだろうか。モンゴロイドの少数民族たちが住む東北諸州をふと思い浮かべてみた。

東京国際ブックフェアはじまる

 昨日、4月22日(木)から東京国際ブックフェアがはじまった。
 このイベントは、29ケ国・地域の業者(フェア案内のホームページには25ヶ国・地域とあるが、急遽増えたらしい)が参加する本格的な図書見本市である。
 …とはいうものの、デジタルパブリッシングにかかわる機材やソフト、編集製作プロダクションの売り込み、雑誌の発行元、英会話教室といった、読書人と直接関わりのない部分も多い。大手出版社が幅をきかせていること、わざわざここまで足を運ばなくても手に入るような本の山、売れ残った(?)洋書の特売などなど、都内の大きな本屋の店先と大差ない。何とかひと工夫欲しいものだ。
 そもそもこのブックフェアは読書人が本を漁るためのものではなく、主に業界人たちの商談の場なので仕方ないのかもしれないが、不景気のためか年を追うごとに個性ある出展者が減ってきているように感じる。
 ずいぶんテンションが低くなってしまったが、デリーのダリヤガンジ近くで語学書を中心としたショールームを開いているSTAR
PUBLICATIONS
が今年もFEDERATION OF INDIAN PUBLISHERSという名前でブースを出しており、様々な本を並べて販売している。展示図書が売れるにつれてブースの隙間が目立つようになってくるので、興味のある方はお早めに。会期は25日(日)まで。

いざ決戦!

election2004/ Photo by Times of India
 本日4月20日からインドで、独立以来13回目となる総選挙が始まる。世界最大の民主主義を標榜する国だけあり、全国政党・地域政党合わせて約40もの政党がしのぎを削る。有権者6億人以上、任期5年で543名の代表が選ばれる巨大な選挙である。
 投票日は地域によって異なるが、4月20日・26日、5月5日・10日に行なわれ、5月13日開票、同25日までには結果が判明することになっている。規模だけではなく、かかる時間もまた長い。
 今回の最大の焦点は、昨年12月に行なわれた州選挙での大勝、そして好調な経済が追い風のBJP政権がやはり続投となるのか、しばらく野党の座に甘んじている国民会議派が巻き返しを図れるのかということ。
 いずれにしても昨今は一党単独で多数を得るのは非常に困難なインド政界。選挙が近づくにつれて進む各党の合従連衡の動きについて報じられていた。地域大国インドの政局の動向が周辺の国々に与える影響は大きく、南アジア各国のメディアもこぞって注目している。
 現在、中央政府与党の座にあるBJPは、国民会議派以外の政党としては初めて任期をまっとうすることになるが、今まさに民意によってその評価が下されようとしているわけだ。
 問題も多いが、発展途上の国々の中にあって、まがりなりにもちゃんと国民の総意を問うシステムが機能しているのはインドのエライところ。
 さて今回の選挙で人々は何を期待しているのだろうか?結果としてどんな政府が目の前に現われるのだろうか?


▼[Rediff] Election / India Votes 2004
http://in.rediff.com/election/poll04.htm
▼[Times of India] Young India Votes / Election 2004
http://timesofindia.indiatimes.com/specials/434650.cms
▼[写真] The Mahakumbh Of Politics: Smileys
http://photogallery.indiatimes.com/articlelist/615842.cms
▼インド総選挙投票始まる 有権者6億人、世界最大
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040420-00000041-kyodo-int

女優サウンダリヤ、亡くなる

Soundarya

BJPの選挙キャンペーン中の女優サウンダリヤさんを乗せたセスナがバンガロール郊外で墜落。同乗のご兄弟とともに亡くなりました。彼女はテルグ/タミル/カンナダ/マラヤラム映画で多くの作品に出演した南インドを代表する大女優。日本でも公開された『パダヤッパ』、『バブーを探せ』などでもヒロイン役を演じており、日本にもファンの人が多かったのではないでしょうか。近年は芸術・社会派映画にも多く出演し、女優としてますます脂ののってきた32歳。突然の不幸、心よりご冥福をお祈りします。
追悼>

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みんなおなじ「旅人」

 インドに限らず見知らぬ異国を訪れていると、西洋人たちの存在が身近に感じられるときがある。その国にルーツを持たない「外国人」という立場、地元人たちが渦巻く大海の中でプカプカ浮かぶ圧倒的少数という立場は同じなのだから、そう感じるのもごく自然なことかもしれない。
 旅行中は毎日が新しい出会いの連続。宿で顔を合わせば、自然に「Hi!」と声かけあう。知り合った旅行者と一緒に観光見物や食事に行き、時にはしばらく旅道中をともにすることだってある。いろいろな国籍の人たちと飲みに出かけ、夜遅くまでワイワイガヤガヤと過ごすのも楽しいものだ。
 「旅行者」という立場は同じでも、彼らから見れば我々はやはり「異民族」。こちらから進んでコミュニケーションをとらないと、ひとりぼっちになってしまうこともある。なにせ相手は英語を母語にする人たち。こちらが聞き役に回ることが多くなってしまうのはやむおえない。
 国籍や母語の異なる相手が会話の輪に混じっていると、相手を気遣いちゃんと「共通語」の英語で話すように心がけてくれる人はありがたい。同じ輪に日本人旅行者がいると、ついつい英語でしゃべるのが照れくさくて、その人とだけは日本語で話しがち。そうなると、他の母語の人は会話に入れない。こういう点は前者をおおいに見習いたいと思う。
 旅先ではだれとも利害関係はないし、相手の社会的地位も関係ない。世界各国(先進国から来た人たちがほとんどだが)の人たちがニュートラルな立場で接しあえる空間…そこには束の間の「旅行者コミュニティ」が生まれる。気分はユニバーサルな「地球人」といったところか。
 ただし、悲しいかな「地球人」気分も帰国の飛行機乗るときまで。それまでの「おなじ外国人旅行者」という立場から一転、「地元人」と「外国人」という関係になる。あとは成田空港に到着して、旅に出る以前となんら変わらない平凡な日常に戻るわけだ。
 ひとつの旅が終わった後、おなじ旅人に再会できるのはごくごく稀なケースで、親しくなった人と手紙のやりとりをすることはあっても、その場限りのお付き合いとなってしまうのがほとんどだ。
 旅先で遺跡や自然を楽しみ、土地の人びとと触れ合うだけではない。興味や物事のとらえ方は多少違っても、同じ目線で旅する他国からやってきた旅人たちと無駄話に興じるひととき。それもまた旅の楽しみのひとつだろう。