ゴーンダル3

ナウラーカー・パレスの入口

オートでナウラーカー・パレスに移動。こちらは前述のふたつのパレスに比べるとかなり古いが実に豪奢な造りである。オーチャード・パレスでもそうだったが、ここでも自由に歩きまわることはできず係員がついて周り、いちいちカギを開けて室内の電気を付けて、という具合になる。やはり管理上の理由からであろう。ここでのコレクションは主に古い文物であったりして、あまり印象に残らなかったが、それらとはかなり異なる展示物もあった。王家の子どもたち、おそらく女の子たちのための人形がたくさんあり、これらは欧米からのものだろう。いかにも俗っぽいところが、ちょっと微笑ましくもあった。

王女たちの人形コレクション

「藩王の執務室」であったのだとか。

また子どもたちのものが中心と思われるが、膨大なミニカーのコレクションもある。現在の当主はロンドン在住だが、若いころはヨーロッパでレースに出場するなど、やはりクルマ好きであったそうだまた、ここの宮殿には馬車のコレクションがあるが、これまた大変な数である。これらの車両は英国からの輸入らしい。自動車出現前からこの一族はやはりクルマ狂であったらしく、やはり血のなせる業なのだろうか。

オーチャード・パレスの自動車コレクション同様、ナウラーカー・パレスの馬車コレクションも秀逸

パレスの塀には無数の割れガラスが刺してある。こうした「防犯装置」は庶民のそれと特に変わるところはない。

過去の王家の人々のポートレート

王家の子供たちの遊戯室

朝、宿を出る前にトーストとチャーイしか腹に入れていないので、非常に空腹である。しばらく付近を散策してからマーケットで見つけたレストランで軽食。まったくもってひどい「ピザ」だが、まあ味は悪くない。

食事を終えて、オートでゴーンダル駅に向かう。この駅からラージコートまでは10Rsと、バス代の四分の一くらいである。本数が少ないので日々の行き来に利用するのはたいていバスだろう。だがここからラージコートに向かう列車に乗る人たちはけっこうあった。ここには一日に数本の急行も停車する。

バクティナガル以降はガラガラの車内

ラージコートまでの間にひとつだけバクティナガルという停車駅がある。駅だ。さきほどまでは車内はいっぱいだったが、ここで大半の乗客が降りてガラガラになった。ラージコート郊外の住宅地である。スマホの地図を表示すると、Bhaktinagar Stations Slumというのが駅の西側に表示されたが、そちらに目をやると、周囲の落ち着いた住宅地とはずいぶん環境の異なるひどい状態のスラムが広がっていた。

ラージコートに到着。駅に表示されている主な列車の中にラメースワラム行きのものが週に2、3本あることに気が付いた。ここからだとかなり時間がかかることと思うが、かつてはメーターゲージだったはずのこちら(ラージコート)とあちら(ラメースワラム)が直接繋がったのは、インド国鉄が全国的に進められている線路幅の共通化、つまりブロードケージ化への努力のおかげである。

インド亜大陸の鉄道は、他ならぬ大英帝国の偉大なる遺産だが、かつては幹線鉄路はブロードゲージ、支線は往々にしてメーターゲージであったことから、旅客や貨物の輸送に支障をきたすという「負の遺産」も抱えていた。大量輸送と高速化に有利なブロードゲージで統一するという、大きなコストや手間と時間のかかる作業にインド国鉄は取り組んでいる。

ちなみに、異なるゲージ幅の鉄路への対応として、隣国バングラデシュは、これとは異なる「デュアルゲージ化」という手法で対応している。つまりひとつの軌道に三本目のレールを敷設することにより、どちらの車両も走行できるようにするというものだ。

線路は続くよ、どこまでも 3 (indo.to)

鉄道輸送に依存する度合が相対的に低く、低予算という面からは効率の良い手法だろう。

〈完〉

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